ラブラブちゃんv


「これ、サクラさんが好きだって聞いたから」
「うん、大好きv有難う」
チョコレート菓子の袋を受け取ったサクラがにっこりと微笑むと、その少年は顔を赤らめる。

「あの・・・」
「土曜の6時に時計台の前でしょ。ちゃんと覚えてるわよ」
「はい。お願いします」
ちらちらと自分の方を見ているいのを気にしたのか、サクラの意思を確認した少年は足早に立ち去った。
少年に手を振るサクラは、脳天気な笑顔だ。

 

「・・・これで5人目じゃないの」
「うん。何だかよく分からないけど、最近男の子の友達増えたよ」
てくてくと歩き始めたサクラの手には、顔見知りの少年達から受け取ったプレゼントの入った袋がある。
5人目というのは、いのと待ち合わせをして以降サクラに声をかけてきた少年の数だ。

「今の子はね、一緒に行く約束をしていた友達が急に都合が悪くなったから、私にコンサートに行かないかって誘ってきたの」
「それって、何のコンサート?」
「私の大好きなモーツァルトvなかなかチケットが手に入らない評判の楽団なのよ」
「・・・・」

にこにこ顔のサクラを横目に、いのは小さくため息をつく。
そのような見え透いた嘘を信じるのは、サクラくらいだ。
あの少年はサクラの好みを知った上で、サクラのためにチケットを予約したに違いない。

意中の相手がいるせいが、サクラは自分に好意を持って近づいてくる存在に対してまるで疎かった。
今まで何事もなくやってこられたのは、防波堤となる人間が近くにいたからだ。
それが消え去った今、彼らも躊躇無くサクラにアタックを開始したらしい。

 

 

「サスケくんが行っちゃってから、もう2ヶ月ね」
「・・・うん」
いのの口から出た少年の名前に、サクラの顔は急に曇った。
半年もの長期の任務のため、サスケは国を離れている。
サクラはカレンダーに印を付け、サスケの帰ってくる日を指折り数えて待っているが半年はあまりに長い。

「私、毎日毎日手紙書いてサスケくんに出してるのに、なかなか返事がこないの・・・」
「え、ま、毎日!?」
「うん。便箋5枚くらい。短いでしょ」
しおらしく俯いたサクラは、目を見張るいのには気付いていない。

「でも、サスケくんからは、週に一回くらいしか返事がないのよ」
「・・・どんなの」
「これ!私が沢山書いても、サスケくんからはたったの一文字なの!!しかも、いつも同じ言葉!ひどいでしょ」

 

『元気だ。』

サクラから手渡された絵はがき。
そこには、全く簡潔な文字が書かれていた。
だが、サスケの身を案じている者には、何よりのメッセージだろう。
何より、あのサスケが週に一度の割合で手紙をよこすこと自体、いのには奇跡的に思える。

涙目のサクラに顔を向けると、いのは大きな声で言った。

 

「ラブラブじゃん!!」


あとがき??
やっぱりサスケの出てこないサスサクは書きやすいなぁ。高速で仕上がった。
サスケ、苦手、苦手。
サクラが急に手紙を出すのを止めたら、サスケ、心配で里に帰ってきそうですね・・・。
それ以前に「今日は〜君とコンサート行きましたv」というサクラの馬鹿正直な手紙を見たら、誰だそいつは!、となりそうな。
嫌、そんなラブラブは!駄目!!


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