プリンとサスケとお兄さん 3
「プリンちゃんとは仲直りしたか?」
茶化すような声音で話し掛けてきたのは、イタチだ。
屋上で寝転がり、青い空を見つめていたサスケは思い切り顔をしかめた。「プリン?」
「昨日家に来たピンクの髪の女の子だ。彼女が手土産に持ってきたプリンは美味かった」
「・・・・あいつは、今日休みだ」
難しい表情で言うと、サスケは半身を起こした。サクラは午前中の授業を欠席している。
理由は担任も言っていなかったが、これでは謝ることすらできない。
一方的にサクラを怒鳴りつけてしまったサスケの罪悪感は募るばかりだった。
「あの子のプリンは、もう食べられないのか・・・・」
気落ちしたサスケの横顔を見つめつつ、イタチがしみじみと呟いたときだった。
「サスケくん!」
耳についた少女の声に、サスケとイタチは同時に振り返る。
二人のいる場所に向かって全力で走ってくるのは、サクラだ。「ごめんなさい!!」
サスケのもとへとたどり着いたサクラは、いきなり頭を下げた。
「私、サスケくんがプリン嫌いだなんて、知らなかったの。それなのに、私ったら毎日プリンを食べさせちゃって・・・・」
「ちょっと待て。何のことだ」
「サスケくん、プリンが嫌いだったから怒ってたんでしょ。今度から、コーヒーゼリーにするわね」
言い終えると、サクラはサスケの横に佇むイタチへと目を向ける。
「あ、お兄さん、昨日は有難うございました。これ、お礼です」
「こんなに沢山」
「朝までかかっちゃいました。おかげで、こんな時間になっちゃって。親にも怒られるし」
サクラがイタチに渡した紙袋には、サクラの手作りプリンの器がぎっしりと入っていた。
プリン好きのイタチにしてみれば、宝も同然だ。「お礼って」
「ああ、これを頂いたのよ」
怪訝な顔で見つめてくるサスケに、サクラは鞄を探ってパスケースに入れたものを見せた。
いつか見た、『サスケ3歳』の写真。
寝小便をして号泣するサスケのとなりには、幼いイタチも写っている。
「アホか!!!」
激昂したサスケは、顔を真っ赤にしてイタチに詰め寄った。
「何でこんなもん人に渡すんだ!!」
「可愛いだろ」
「ふざけるな!!!!」
大騒ぎをするサスケの隣りで、イタチはそ知らぬ顔でプリンを食べている。「仲がいいのねぇ」
サクラは写真と現在の二人を見比べながら呟く。
写真の中のイタチは、泣きじゃくる弟をなだめようと必死になっている。
兄姉のいないサクラにしてみれば、喧嘩するほど仲の良い兄弟の情景は羨ましいかぎりだった。
あとがき??
8万打記念の投票で、堂々一位だったパラレルで学園もののイタサクサスです。
サスケくん、兄からもサクラからも愛されてます。
凄く筆が止まっていて一度全部消したのですが、“プリン”を登場させると思いついた瞬間にすらすらと話が進みました。
ちなみに、イタチ兄がプリン好きなのは、彼のモデルが『神様がいっぴき』の炬だからです。
外面の良い生徒会長。家では悪魔。そのまんま。
原作と別人ですみません。タイトルのプリンはサクラのことですよ。プリンちゃん。お兄さんはもちろん、イタチ兄。
プリン好きのイタチ兄にとって、プリンを作りが趣味なサクラはそれだけで好印象なのです。(笑)
こらからも学園の屋上でな仲良し3人組み(?)の姿が頻繁に目撃されそうです。
サスケが怒っていた理由が、イタチといちゃついていたからだと全く気づいていないサクラ嬢でした。
以前書いた『ペチカ』という話に似てるのは、この話を元に『ペチカ』を書いたから。
随分前から書いていたのね・・・・。投票してくださった皆様、有難うございました。