はじまりの恋


好きな人がいる。
ずっとずっと好きな人が。
誰よりも何よりも大切に思えるけれど、彼は私のことに関心がない。

それでもいい。
それがいい。
だって、恋が始まってしまう。

終わりのない始まりはこの世にない。
心のどこかで祈っている。
この恋が動き出さないように。

 

 

 

早朝の7班集合場所。
カカシ先生が時間通りに現れるはずもなく。
私とサスケくんとナルトは待ちぼうけ。

いらつくサスケくんとナルトが小競り合いをはじめる。
これもいつものこと。
私はといえば、近くにあったベンチに腰掛けて、見ていた。
サスケくんのことを。
一分一秒でも時間が惜しくて、私は彼のことを目で追いかける。
彼の自然な表情を、絶対に忘れないよう。
いつでも思い出せるよう、まぶたに焼き付ける。
サスケくんは、いつかこの里からいなくなる人だって、知っているから。

 

サスケくんの心はこの里にはない。
彼が思うのはただ一人。
同族殺しのお兄さん。
サスケくんの身内をすべて殺して出奔した大罪人。
サスケくんは、彼を絶対に許さない。

羨ましい。
なんて、羨ましい。
彼だけが、サスケくんの唯一の人。
たとえそれが憎悪であっても、サスケくんは彼のために生きている。
何があっても、サスケくんは彼を追いかける。
地の果てまでも。
これ以上の独占はない。

 

 

「・・・何見てるんだよ」

私の視線に気づいたサスケくんは、眉を寄せて近づいてきた。
彼に言い負かされたのか、ナルトは悔しげにサスケくんの後姿を睨んでいる。
頬杖をついた私は、にっこりと微笑んで彼を見上げた。

「綺麗だなぁと思って、見とれてたの」
「男に対する褒め言葉じゃないな」
「そうかしら」

笑顔のまま答えてみる。
不機嫌そうなサスケくんに、私は一つ質問をしてみた。

「ねぇ、サスケくんの大事な人って誰?」

 

その人を殺せば、手に入るかしら。
終わりのない、サスケくんの永遠。
お兄さんみたいに。

訊ねた直後に、サスケくんは不敵に笑った。
浅はかな私の思惑を見透かすように。

 

「お前だって言ったら、どうする」


あとがき??
イベントのあとって、急にサスサクを書きたくなるんな。
これはサクサスだが。あれ、サスサク?
もう分からないよ。


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