(おまけ)


任務の合間の休憩時間、7班の面々は思い思いの場所でくつろいでいた。
ベンチに座りミネラルウォーターを口にしていたサクラは、怒鳴るような声にその方角へ目を向ける。
騒がしく口げんかをしているのはサスケとナルトだ。
もちろん、耳に付く声を出しているのは、主にナルトの方。

「またやってるわ・・・」
サクラは頬杖をつきながら呆れたように呟いた。
「本当。懲りない奴らだよね」
いつの間にやら、カカシがサクラの隣に腰掛けている。
全く気配を感じさせず、風のように。
他の誰でもなく、相手がカカシだったことでサクラはさして驚いた様子も見せない。

 

「あのとうへんぼくのどこがいいわけ?」
唐突に問いかけられる。
とうへんぼくと言われ、すぐに誰のことを差しているのか察したサクラは、思わず吹き出した。
これではカカシの言葉を肯定したも同じだ。

「とうへんぼくなところ。気むずかしくて、素直じゃないところが好き」
「えー」
笑いながら答えるサクラに、カカシは否定的な声をあげる。
「何か、それ変じゃない?」
「変じゃないよ。あとは、顔が好きかな」
「顔?」
聞き返すカカシに、サクラは頷く。
「笑った顔がね、すっごく可愛いのよ」
それは君のことを言い表す言葉だよ、とカカシがつっこみを入れたくなるほど、愛らしい笑顔でサクラは言った。

カカシはサスケの笑顔とやらが、どうにも頭に浮かばない。
冷笑なら何度も見た気がするが、可愛いという言葉が当てはまるとは思えない。
「あいつ、そんなに笑ったりするかなぁ」
「笑うわよ。先生、注意力散漫なんじゃないの」
上忍のくせに、というようにサクラは意地悪く言う。
カカシが顔をしかめたそのとき、ナルトが二人のもとへと駆け込んできた。

 

「カカシ先生―!サスケの奴がひどいこと言うんだってばよ。俺のこと馬鹿だとか、常識無しだとか、無鉄砲だとか」
「・・・・全部当たってるじゃないか」
ナルトはキーと声を上げる。
「先生まで!」
「あんたがサスケくんを怒らせるようなこと言ったんでしょ。早く謝ってきなさいよ」
「サクラちゃん!!」
ナルトはショックを隠しきれずに目を潤ませる。
カカシにしがみつくと、ナルトはがんとした言い張った。
「俺は絶対に悪くないってばよ」

二人のケンカなど珍しくもないが、引きずるとお互い気まずくなるし、仕事にも支障がでるかもしれない。
今日の分の任務はまだ終了していないのだ。

「しょうがないなぁ」
ため息をつくと、サクラは遠くでそっぽを向いているサスケのもとへと歩き始めた。
サクラが取り持って、ナルトとサスケの橋渡しをする。
7班ではすでにお決まりのことだ。

「サクラも大変ね」
カカシは人ごとのようにうそぶく。
ベンチから立ち上がって後ろを見ると、ナルトはサスケが視界に入らない場所に立ってふくれっ面をしている。
お互いの実力は双方分かっているようだし、どちらかが折れることが出来れば、わりと良いコンビになりそうなものだが。
まぁ、そんな日は当分来ないか、とカカシは苦笑してナルトの頭をこづいた。
「何だってばよ」
自分を仰ぎ見るナルトに、カカシはただ笑って視線をそらす。

 

首をめぐらすと、遠目にサクラとサスケが談笑しているのが見える。
談笑。
そのまま視点をずらそうとしたカカシは、目を見張って顔の位置を戻した。
サスケが笑顔を見せている。
僅かに微笑む程度だが、確かに笑っている。
可愛いとはいかないまでも、普段の無愛想な表情にくらべると、年相応には見える笑顔。
それは差し向かいにいるサクラに向けられているもの。

「・・・なるほどねぇ。サクラ限定なわけだ」

カカシは顎に手をやると一人納得して呟いた。
「え、何?何の話?」
サクラの名前に反応したのか、ナルトがしきりに訊いてくる。
まとわりつくナルトに、カカシは哀れみのこもった視線を向けた。
同病相憐れむ。
なんとなしに、カカシは猫っ毛なナルトの頭を優しく撫で回した。


あとがき??
しっかりカカサク(&ナルサク)を絡ませるあたり、やはり私はカカサク好きーです。(笑)
ああ、楽しい。ナルト、可愛いな〜vv
・・・もしや、おまけの方がメインだったのかしら。

サクラちゃんが自分の境遇に気づいていない点がミソです。
しかし、サスサク(サクサス)だというのに、サスケの出番少ない!(台詞すらない!!)
坊ちゃん、やっぱり苦手。この人書いてると、妙に照れくさいというか、恥ずかしいというか。
嫌いじゃないんですけどね・・・。
満足したので、サスサク(サクサス)は当分書かないです。(予定は未定)

『とうへんぼく』は、『わからずや』又は『偏屈』という意味ですね。
サスケにぴったり。(^▽^)


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