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てんとう虫のサンバ
「先生と結婚するの」
白昼堂々、サクラの爆弾発言。
ナルトは一瞬にして石化し、サスケも目を丸くして彼女を見詰めた。
「急だな・・・」
サスケは驚きも覚めやらぬ声で呟く。
サクラはにこにこと笑って二人の反応を楽しんでいる。7班を解散して以来、こうして下忍3人が集まるのは久々のことだ。
彼らの年齢は数え年で15。
木ノ葉の里ではかなり早い結婚といっていい。
ばらばらになって活動するメンバーに、近況を報告したいと招集をかけたのはサクラだ。
平日の昼間、人もまばらな茶店で3人は向かい合わせに座っている。
だが、ナルトもサスケも急な呼び出しに、このような重大発表があるとは思いも寄らなかった。「子供が出来たから。早く式をあげようって、先生が言ってくれて・・・」
サクラは幸せそうに微笑んで続けた。
度重なる衝撃に、サスケがさすがに気遣わしげに傍らを見る。
生きる屍と化したナルトは、サクラの言葉はちゃんと耳に入っているらしかった。
「カカシ先生――――!!!!」
「うわ!!」
呼び鈴に扉を開けるのと同時に、ナルトに飛びつかれた。
昔と違い、ナルトは身長も伸び、体つきもしっかりとしてきている。
カカシはその勢いに倒れそうになったが、かろうじて踏みとどまった。
そして、ナルトの後ろからサスケが複雑な表情でこちらを見ているのに気付いた。「何だ、お前ら、突然。来るなら連絡しろ」
「それどころじゃないってばよー!!先生、いつの間にサクラちゃんとそんな良い関係に!」
「・・・はぁ?」
詰め寄るナルトに、カカシは首を傾げた。
「何のことだ」
「しらばっくれても無駄だってばよ!!サクラちゃんが先生と結婚するって言ったんだから」
ナルトの言葉に、カカシはさらにわけが分からないといった顔する。
その表情を見て、サスケは一目で看破した。「ナルト、人違いだ」
「え!?」
「サクラの相手は、こいつじゃないようだ」
涙と鼻水の張り付いた顔で振り向くナルトに、サスケは淡々と告げた。
「サクラは“先生”と結婚するって言ったんだな」
「そうだってばよ」
ある場所へと向かう道すがら、ナルトは事情をすっかりカカシに説明する。
「全く。早とちりしやがって」
「ごめんなさい・・・。だって、サクラちゃんが“先生”って言ったから、カカシ先生のことだと思って」
ナルトもサスケもそう納得していたから、わざわざカカシかどうか確認しなかったのだ。
元7班の彼らにしてみれば、一番身近な教師といえば、カカシのことだ。
「ま、彼に聞けばきっとはっきりするよ」冷静な声で言うカカシに、ナルトは隣りを歩くサスケにこそこそと耳打ちする。
「カカシ先生、反応薄いな。もっと何かリアクションがあると思ってたけど」
「・・・お前は相変わらず注意力散漫だな」
サスケは呆れ顔で呟くと、ある一点を指差す。
その先を見詰め、ナルトは大きく口を開けた。
カカシの履くサンダルは、左右違った色のものだった。はたして、彼らが向かった先にその人物は在宅していた。
「はいはい」
イルカが玄関にやってくると、カカシ、ナルト、サスケという顔ぶれが揃っている。
「あれ、どうしたんですか。皆して」
ナルトは年中遊びにやってくるが、他の2名は初めての来訪だ。
笑顔で問い掛けるイルカに、カカシもにっこりと微笑んだ。
「カカシ先生、落ち着いて!!!!」
「ここで問題を起こせば懲戒免職だぞ!」
「離せお前ら!!!俺の可愛い生徒に手を出すなんざ、言語道断だ!」
もみ合う3人に、イルカは呆然としてその場に座り込んでいる。
カカシに殺気の漲る瞳で見据えられ、何が起こったのか理解できなかった。
イルカの頬を掠めたクナイは壁に突き刺さっている。
事態を察したナルトとサスケが止めなければ、一瞬で息の根が止められていたかもしれない。「俺だって悔しいってばよ。でも、お父さんがいなくなったら、生まれてくる子供が可哀相だろ!」
「俺が責任を取る」
「そういう問題じゃない!!サクラの気持ちを考えろ!」
3人はイルカを無視して怒鳴り合いをしている。「・・・・あの、ご用件はなんでしょうか」
一人蚊帳の外のイルカは、尻餅をついた状態のまま問い掛けた。
その頃。
「先生―。今日、ナルト達と会って報告してきたのよ」
スキップをしそうな軽い足取りのサクラに、彼女の恋人は不思議そうな顔をした。
「報告?」
「私達が結婚するって」
悪戯な笑みを浮かべるサクラに、彼は「へぇ」っと声をあげた。
「驚いてなかった?」
「驚いてたわよ」
彼らの姿を思い出し、サクラはくすくすと笑う。
「でも、「おめでとう」って」
「そう」
彼女の笑顔に、彼も自然と顔を綻ばせる。幸せ一杯の二人には、サクラの言葉が起こした波紋など、全く関心のないことだった。
あとがき??
先生って、誰だったんでしょうね・・・。
エビス先生でも、ハヤテさんでも、お好きな人を当てはめてください。
・・・・ガイ先生とか。(!!?)
投票をして、人気のあった先生で続きを書こう。(笑)すみません。
これ、書いててめちゃくちゃ楽しかったです。(^▽^;)
30分もしないで完成。早!!
取り乱すカカシ先生を書きたかったので、満足っす。ああ、「てんとう虫のサンバ」は披露宴で歌われる定番の曲です。(笑)チェリッシュの名曲。
これを歌って、新郎新婦にキスをさせるのだ。
今時歌う人は稀だろうけど、それがまた新鮮でよろしいかと。