ターン


サクラがナルトを見ていることに、サスケは気付いていた。

サクラは何かと近寄ってくるナルトには相変わらず冷たい態度だ。
反対に、サスケに愛想良く振る舞うところも、変わらない。
だけれど、ふとした瞬間に、サクラは心細い視線を遠くのナルトに向けている。

気にしていなかったといえば、嘘になる。
だけれど、サスケは考えないようにしていた。
そうした感情は、今は必要ないものだから。

 

 

「今日は木ノ葉丸の勉強を見てやる約束をしたんだ」
任務終了直後、カカシが姿を消すなりナルトはいつものようにサクラに話しかける。
サクラは面白そうに笑ってナルトを見た。
「ふーん。あんたにそんなこと出来るの」
「木ノ葉丸がやってるあたりのことだったら、まだ大丈夫だよ。アカデミーの初期の初期だし」

何とも頼りない臨時教師に、サクラは苦笑する。
「サクラちゃんもよかったら来てよ。木ノ葉図書館でやってるから」
「んー、気が向いたらね」
サクラはあまりあてにならない様なことを言ったが、ナルトは嬉しそうに頷いた。

 

そうしてナルトが走り去った直後、サスケが踵を返そうとしたときにヒナタがやってくる。
どうやら、ナルトを待ち伏せしようとして、入れ違いになったらしい。

 

「ナルトくん、どこに行ったか知らない?」
「知らない」
即答したサクラに、サスケは目を見開いて彼女を振り返る。
「そう・・・」
ヒナタは見るからに意気消沈した様子でため息をつく。

サスケは釈然としない気持ちで立ち去るヒナタの後ろ姿を見詰めた。

 

「何で・・・」
嘘を付いたかと、サスケは問い掛ける。
うつむき加減だったサクラは、サスケを見て薄く微笑した。
「機嫌悪い?」

サスケがむっつりとしているのはいつものことだ。
だけれど、今はそれ以上に不機嫌な感じがする。
「同じ気持ちなのよ。たぶん」
弁解するように言うと、サクラはそのまま帰っていった。

 

残されたサスケは、一人考える。

他に大事なものがあるのに、それが離れていくと寂しいと思ってしまう身勝手な感情。
サクラが言いたかったのは、そういうことだったのかもしれない。


あとがき??
本誌はナル→サク→サスなので、逆をやってみたかったのです。
ナル←サク←サス。
だから、ターン。

サクラはサスケが好きなんだけど、ナルトが自分に寄ってこなくなったら寂しいなぁと思ってる。
サスケはうちは一族の再興のために他のことを排除しているのに、サクラがナルトに気があるそぶりを見せるのが面白くない。
ちょっと我が儘です。


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