ゴーゴーヘブン


「ハァッ」
ため息を一つついたナルトに、イルカが歩み寄る。
「悩み事か?ナルト」
「イルカ先生」
振り返ったナルトは力無く頷く。
「それなら、いいところを知っている」
「いいところ?」
「アカデミーに、神父さまがおられるんだよ。そこなら誰にはばかることなく悩み事を相談できるさ」

ナルトはイルカに教えられたとおり、アカデミーの一角に作られた『懺悔室』に向かった。
その部屋には連日何人もの忍びが詰めかけており、中には里でも指折りの上忍の顔もあると噂されている。

 

扉を開けると、そこには誰に対しても平等に微笑みかける神父が立っていた。
胸にある十字架が神秘的な彼のイメージに拍車をかける。

「入りなさい。迷える子羊よ」

 

『以下、プライバシー保護のため、名前はふせさせて頂きます』

 

 

(頬に3本線の金髪少年 N)

「最近、一楽の味が落ちたって評判で・・・。俺もそう思うんだけど、常連としては今更別の店に鞍替えするわけにいかないってばよ」
少年の切迫した悩みに、神父は穏やかに微笑む。
「鞍替えしましょう」
「・・・でも」
「栄枯盛衰はこの世の常。たとえ一楽の店主にうらめしく思われようとも、自分の気持ちに正直になるべきです」
神父に真正面から見据えられ、少年は思わず「はい」と返事をしていた。

「信じるものは救われます。悔い改めるのです」

 

(花の名前を持つ乙女 S)

「私、好きな人がいるんです」
「はい」
「でもその人は全然私の方を見てくれなくて・・・・。もう、どうしたらいいのか」
涙ぐむ少女に、神父はそっと肩に手を置く。
「諦めましょう。他にもあなたのことを見ている人が、きっと近くにいますよ」
「・・・そうでしょうか」
「ええ。眼鏡をかけていて年上で頼れるお兄さんタイプなんて良いと思います」
やたら具体的な意見だったが、神父の澄んだ瞳に見詰められ、少女は「はい」と答えていた。

「信じるものは救われます。悔い改めるのです」

 

(黒髪のすかした少年 S)

「俺は強くなりたいんだ!そのためなら何でもするつもりだ」
少年は握り拳を作りながら熱く語る。
「だけれど、最近は一概にも言えなくなってきている。仲間の存在が日増しに自分の中で大きくなってくるのを感じるんだ」
「犠牲を伴わない勝利はあり得ません」
神父の厳しい物言いに、少年はハッと顔をあげる。
「強さを求めるならば、脇目も振らずに自分の道を進むべきです」
少年を諭すように話しかける神父に、少年は思わず「はい」と答えていた。

「信じるものは救われます。悔い改めるのです」

 

(案外弱そうエリート上忍 K)

「俺は、昔随分とワルなことをしてきたんだ。それこそ、数え切れないぐらい。だけれど、それが今になって重く肩にのしかかってきている気がする」
沈痛な面持ちの上忍に、懺悔室にも重苦しい空気が流れている。
「それでいいんじゃないでしょうか」
神父は穏やかな口調を変えることなく答える。
「例えどんなに罪深い行為をしたとしても、反省の心さえあれば人間はやり直すことができます」
「・・・神父さま、あんたと話していると心が洗われる気がするよ。あんたは悪事なんて何一つしたことがないんだろうな」
手を合わせる上忍に対し、神父は穏和な笑みを浮かべる。

「信じるものは救われます。悔い改めるのです」

 

そして、今日も『懺悔室』には多くの迷える子羊が集まっていた。

 

 

 

「あんた最近楽しそうね。何やってるのよ」
アジトに戻った彼は変化の術を解き、丁寧に神父の服を畳んでいる。
クローゼットに変装セット一式をしまい込んだカブトは、大蛇丸ににっこりと笑いかけた。
「木ノ葉崩し」


あとがき??
内部からじわじわと崩す計画らしい・・・・。
嘘です。カブトさんの趣味です。
人物評はカブトさんの主観。さりげなくカブサク。
8班とか10班とかあったんだけど、妙に長くなるから削除。


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