白雪姫の林檎 1


「・・・美味しそう」

一目見て、ナルトは涎をたらさんばかりの表情で呟いた。
その視線の先には、たわわに実る真っ赤なリンゴ。
今日の7班の任務はリンゴ園の収穫作業だ。
とある富豪の私有地に実るそのリンゴは、大変貴重なもので市場には滅多に出回らない逸品らしい。
その世話を一手に任された農夫の田子作は、指をくわえてリンゴを見詰めるナルトに苦笑する。

「食べてもいいよ。ただし、そっちの傷物のやつね」
「本当―!!」
了承を得るなり、ナルトはすぐさまリンゴの入った籠へ駆け寄る。
「うめーー!」
もしリンゴ園のCMに出演するとしたら、ナルト以外に適した人材はいないだろう、という表情でナルトはリンゴにかじりつく。

「どれどれ・・・」
つられたように、カカシとサスケもリンゴに手を伸ばす。
サクラも続こうとしたときに、
「あんたは駄目」
田子作はサクラの腕を引いて言った。

 

 

「男女差別よ!」
結局、一人リンゴを食べることのできなかったサクラは、憤りを隠せずにぶつぶつと呟いている。
サクラが理由を聞くと、田子作は「あんたは女の子だから」と答えた。
全く、理解できない。

サクラがちらりと様子を窺うと、ナルト達はサクラとは別の枝のリンゴをつみ取っている。
そして、目の前には沢山のリンゴが実る木。
サクラはごくりと唾を飲み込んでリンゴを凝視した。

これだけあれば、サクラが一つばかり食べても、誰も気付かないことだろう。
ダイエットをしているサクラはいつでも腹をすかせている状態だが、フルーツならばそれほど影響はないように思える。
駄目だと言われれば、よけいにやってみたくなるのが人情だ。

リンゴにそっと手を伸ばしたサクラは、もう一度周囲に目を配った。

 

 

「サクラちゃん!」

ナルトの悲鳴に、一同はその方角へと視線を走らせる。
そこにはサクラが倒れ込み、リンゴの入った籠が横倒しになっていた。
駆け寄ったカカシは、抱き起こしたサクラを見るなり、愕然とする。
「・・・・死んでる」
カカシの口からもれた言葉に、ナルトとサスケの顔から一気に血の気が引いた。

「あーあ。リンゴ食べちゃったんだ」
一人のんきな声を出しているのは、田子作だ。
確かに、サクラの手には食べかけのリンゴが握られていた。
「可哀相に。駄目だって言ったのにねぇ」
「・・・どういうことだ」
すでに泣き顔になっているナルトの傍らで、サスケは険しい表情で訊ねる。

「これは、毒リンゴが実る木なんだ。珍しいでしょ」
あっけらかんと答える田子作に、同じ木のリンゴをたらふく食したナルトは引きつった顔で籠を手放した。


あとがき??
展開、はえーなーー!!
そして短いですねぇ。これは序章です。ちょっと時間切れ。
というか、サクラが死んでるよ!!!!あわわ。
ど、どうしよう。

・・・・後編は、サスサクになりそうな予感。(汗)


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