イメチェン!!


「ナルト、何か雰囲気変わったなー」

任務終了後、荷物をまとめているナルトに、仲間の一人が声をかけた。
「そう?」
首を傾げるナルトに、紅一点のくのいちも同調して頷く。
「そうね。髪、伸びたからじゃないの」
「・・・ああ」

ナルトは納得気味に不ぞろいな毛先を見やる。
確かに、このところ任務続きで散髪をしている余裕などなかった。
邪魔な前髪をかき上げる動作は、自然と癖になっている。

「今日の任務は終わったし。これから髪切りに行こうかなぁ・・・」
「いいわよ、そのままで。ねぇ、みんな!」
「うん」
「イメージ変わっていいんじゃないの」
あまり興味もないのか、くのいちの言葉に近くにいた仲間は揃って賛同した。
ナルトは皆の顔を一瞥したあと、すぐ傍らにいるくのいちへと視線を移す。

「・・・髪、長い方が格好良いと思う?」
「うん」

 

 

「ありゃ、女のところに行くんだな・・・・」

別れ際の挨拶もそこそこに駆け出したナルトを見て、仲間の一人が呟いた。
「え、ナルトさんって恋人いたんですか!!!」
「恋人っていうか」
「・・・ねぇ」
悲鳴のような声をあげたくのいちに、長い付き合いの仲間達は顔を見合わせる。

「相手は人妻なんだよ」
「ひ、人妻―――――――――!!!?」
明け透けな性格のナルトと“人妻”という単語が頭の中で結びつかず、くのいちは再び甲高い声をあげた。

 

 

 

「あら、いらっしゃい」
突然の来訪にも慣れたもので、サクラは笑顔でナルトを迎え入れた。
来客用スリッパを出すと、サクラはキッチンに向かって歩き出す。
「ちょうどプリンができたところなのよ。小桜と一緒に作ったんだけどね、ちょっと砂糖の分量間違えたみたいで・・・」
「サクラちゃん」
先を歩くサクラの腕を掴むと、ナルトはサクラを振り向かせた。

「何よ」
「俺、どこか変わったと思わない」
「別に?」
「よく見てよ」
強い口調で言われ、サクラはナルトの顔をまじまじと見る。
「・・・そういえば」
期待して次の言葉を待つナルトの気も知らず、サクラは不快げに眉を寄せた。

「何か、いやらしい感じになったわよ、あんた」
頭を石で殴られたかのようなショックを受けるナルトに、サクラはさらに追い打ちをかける。
「髪なんか伸ばしてるから駄目なのよ。変なの」

 

 

「ちょっと、こっちいらっしゃい」
気落ちするナルトを、サクラは鏡台の前に座らせる。
櫛を掴むと、サクラは有無を言わせずナルトの髪のブラッシングを開始した。
せめて、邪魔にならないよう紐で括ろうという算段だ。

「ちゃんと床屋さん行きなさいよ。だらしない」
「・・・仕事が忙しかったんだもん」
「サスケくんは忙しくても、いつもきちんとしてるじゃない」
「だって、あいつはええ格好しいだもんよ」
ナルトは子供のように頬を膨らませて言う。
仕事の上では部隊長として活躍する彼も、サクラの前では12の少年のときのままだ。

 

「はい、できた」
「おそろいー!」
サクラが櫛を置くなり、興味津々で眺めていた小桜が飛びついてくる。
髪を二つに分けて高い位置で結んだそれは、まさしく小桜と同じ髪型。
きっちりと結ばれた水玉模様のリボンが愛らしい。

「・・・・サクラちゃん」
「家に帰るまではずしちゃ駄目」
明るく厳命するサクラに、ナルトはがっくりと肩を落とす。
うなだれるナルトの頭に手を置くと、サクラはにっこりと笑った。

「私は短いほうが好きよ。ナルトらしくて」

 

 

 

「あれ、髪切っちゃったんだ」
「うん」
翌朝、以前のように短い髪で現れたナルトは満面の笑みで応える。
「好きって言われちゃったんだー」
でれでれとした顔は、まさにこの世の春といった様子だ。
呆れかえる仲間達の中で、くのいちだけが険しい表情でナルトに詰め寄る。

「ナルトさん、私、頑張ってお色気の術に磨きを掛けます!!」
「え・・・」
「絶対、負けませんから!」
鼻息も荒く踵を返した彼女に、ナルトは怪訝な表情で首を傾げる。

「あの子、どうしたの?」
「人妻に対抗しようとしてるんだよ」
仲間の答えに、ナルトの疑問は深まるばかりだった。


あとがき??
ナルトのチームって、何人いるんでしょうね。
ナルト好きーの後輩くのいちがいる様子。ナルトはあんまり眼中に入れてないですが。
ナルトの気を引きたいのなら、お色気よりも家庭的なところをアピールした方が良いかと。
どっちにしろ、うちのナルトは小桜ちゃんのなのですが。

なんでもないー話が書きたかった。
竹本くん(ハチクロ)を見ていたら、ナルト髪伸ばしてもいけるかも、と思いまして。
短髪好きーの私にしては珍しく。
ナルト、将来的に髪長くしてもよろしいと思います。
・・・全体的にナルチョ好き好きオーラが漂っているような気が。
髪伸ばして「いやらしくなった」と言われた人は、実際周りにいました。(笑)何か、色気が出たというか。


駄文に戻る