いまどきのこども


その日の7班の任務は、河川敷での清掃作業。
日中、何かと人通りの多いその場所は、ゴミの不法投棄が異常に多い。
空き缶のポイ捨てから、日常生活のゴミ、壊れた自転車から電化製品まで。
とにかく、いろいろなものが落ちている。
毎日、集めても集めてもなかなか減らないゴミに、ナルトの愚痴の数も段々と増えていった。

「全く、信じられねーよなー。掃除にする方の身にもなれっての」
ぶつぶつと不満をもらしながら、ナルトは散乱していた雑誌や新聞を一つにまとめて紐で縛っていく。
テンポ良く古雑誌の束を作っていたナルトだったが、ある一冊を前に、急に手が止まった。

『木ノ葉の友』。

以前、同じ誌名のものをイルカの部屋で見た。
木ノ葉の忍びの間で、特に若い男性に最も売れ筋の雑誌だ。

 

「へぇ、これ先月号のじゃん。その前の月のも全部そろってるし・・・・」
見るともなしにページをめくっていたナルトは、突然ぽかりと後頭部を叩かれた。
「お前、何休んでるんだ!」
ナルトが振り向くと、怖い顔をして立っていたのはサスケだ。
同じく清掃中の彼は、その手に大きなゴミ袋を二つも抱えている。
ナルトはサスケの叱責などまるで気にせず、手にした雑誌をサスケの眼前に突きつけた。
「なぁ、お前この中でどの子が好み?」

肌をぎりぎりまで露出させた娘の写真が掲載されたその雑誌は、当然子供には購入できないものだ。
よって、ナルトはイルカの部屋でこっそりと盗み見るしかなかった。
“おいろけの術”に磨きをかけるために。

 

 

「・・・右から三番目」
「ええー!!?尻がたれてるじゃん。こっちの子の方が胸でかいよ」
「それは素人の考えだ。この足首の細さを見ろ!」
「何の話?」
ナルト達の会話に、少女の声が乱入する。
ぎょっとした顔で振り向いた二人だが、サクラはすでにその雑誌を覗き込んでいた。

「これ・・・・」
「ち、違う!!俺は違うぞ!!!」
ナルトの手元を見詰めたまま絶句するサクラに、サスケは必死にかぶりを振る。
何が違うのか自分でもよく分からないが、口をついて出ていた。

耳まで真っ赤になるサスケを、サクラはじっと見据える。
視線の意味は「サスケくんもこんなの見るんだ。意外―!」というものだったのだが、サスケには「サスケくんもこんなの見るんだ。不潔―!」と言っているように見えた。
その無言の責めに耐えられず、サスケは「違うんだー!!!」という絶叫と共に駆け出していった。
ナルトの足元に、ゴミ袋を二つ置いたまま。

 

「うーん。純情だなぁ・・・」
「ナルトも少しは慌てなさいよ!」
ナルトはサクラにも後頭部をはたかれた。
「ねぇ、ねぇ、サクラちゃんはどの子が綺麗だと思う?」
「一番、左」
サクラは指を差しながら即答する。

「あまり男の人に媚びてない表情が良いわよ」
「そうー??」
「俺はサクラが一番だと思うよ。是非拝んでみたいなぁ」
ナルトが首を傾げて唸ると、後ろから再び第三者の声が雑じった。
振り返ったサクラは、眉を寄せてカカシを睨み付ける。

「私は脱がないわよ!」
「サクラなら無料でいろいろ教えてあげるけど、どう?俺、木ノ葉一の技師だよ」
「だから、脱がないっての」
サクラの言葉を無視するカカシに、彼女は目くじらを立てた。
「そうそう。サクラちゃんは脱がない方がいいよ」
「どういう意味よ!!!」
なだめようとするナルトに対し、サクラは間髪入れずにパンチをくらわせる。
見たくないと言われても、心中複雑なサクラだった。

 

 

 

「いてて・・・・。全く、手加減ないよなぁ」
任務終了後、ナルトは頬を押さえながら歩いていた。
サクラに殴られるのは毎度のことだが、日に日に衝撃が強くなっている気がする。
このままサクラの馬鹿力に拍車が掛かったらどうしようかと悩んでいる間に、目的地である家が見えてきた。

「イルカ先生―」
扉を叩くと、家の主はすぐに顔を出す。
「お、ナルト。どうしたんだ」
「これお土産―。よく調べたから、たぶん先生が持ってるのとはダブってないと思うけど」
手渡された数冊の古雑誌を見るなり、イルカは目を丸くする。
ナルトの手にあるべきではない大人向けの雑誌に、頭の中はパニック状態だ。

「ど、ど、どうやって手に入れたんだ、これ!いや、先生はこんないかがわしい本は知らないぞ!!」
「そう?取り敢えず、ベッドの下に隠してあるコレクションに加えておいてよ」


あとがき??
何だろう、これは。
近所の古本回収の日はこういう雑誌がよく出されてるなぁと思ったので。
書いていて楽しかったのは、やはりサスケだろうか。
好きな子にエロ本読んでいるところを見られたら、彼のような行動で正しいと思います。微妙な年頃ですし。
うちのナルチョが動揺しないのは原作より精神年齢高いから。大人を冷めた目で見てたりします。
別人ですみません。

全体的に「あんたも好きねぇ」って話。
イルカ先生、ベッドの下は安易すぎるってばよ。
妙な話で申し訳ないです。


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