きみがいない日 −カカシ−


俺を見ない眼。

どうしよう。
何よりも守りたかった存在なのに。
たまらなく憎く感じた。

 

気付くと、君はいつも、俺の後ろをついてきていた。
理由を訊くと、意外な答え。

「寂しそうだから」

全てを見透かすような、無垢な瞳。
確かに自分を見詰めているのに、それでいて、何か別のものを見ているようで。

「変な奴」

正直に言うと、君は不服そうな顔をした。

今になって思う。
君の言ったことは、確かに真実だった。
それまでの俺は、寂しいってことが、どういうことか知らなかったんだ。
ひとりは寂しい。
君がいないと寂しいよ。

自分の半分も生きていない、ちっぽけな存在。
その小さなものに。
どれだけ支えられていたのか、思い知った。

 

俺のことを、知らないなんて言わないで。
いつものように、笑って。

名前を呼んで欲しい。


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