きみがいない日 −サスケ−


俺を見ない眼。

その事に、正直戸惑った。
身勝手なものだ。
立場が逆になっただけのことなのに。

 

俺がいくら冷たい態度をとっても、君は変わらない。
俺を見つけると、いつでも嬉しそうに笑う。
暴言の数々に、傷ついていないはずはないのに。

ふいに、その泣き顔を見たくなって。
酷いことを言った。

「お前が嫌いだ」

全てを見透かすような、無垢な瞳。
確かに自分を見詰めているのに、それでいて、何か別のものを見ているようで。

「それでもいいよ」

一瞬だけ驚いた顔を見せたけれど、俺の望んでいた表情はついぞ見られなかった。
何でそんな風に笑えるのだろう。
心から不思議に思う。

「私が好きだから。あなたの分も、私が好きでいるから」

君は本当に幸せそうに言った。
その時、すぐに言ってあげれば良かった。
君を嫌いだなんて。
嘘だよ。

優しくしたかったけど、出来なかったんだ。
君はとっくに知っていたかもしれないけれど。

 

俺のことを、知らないなんて言わないで。
いつものように、笑って。

名前を呼んで欲しい。


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