きみがいない日 −ナルト−


俺を見ない眼。

いつもと同じ反応だけど、全く同じではない。
だって、君は振り向いてくれたから。
俺が困っているときは、必ず助けてくれたから。

 

俺が失敗すると、君は呆れたり、怒ったりする。
でも、君のそれは、嘲笑まじりに非難する他のクラスメート達とは違う。
利発な君は、どうすれば事態が好転するか教えてくれる。

「どうして優しくしてくれるの」

全てを見透かすような、無垢な瞳。
確かに自分を見詰めているのに、それでいて、何か別のものを見ているようで。

「別に。普通でしょ」

怪訝な顔で返された。
その答えが、涙が出るほど嬉しかったことを、君は知らない。

普通のことを、普通にできる君に、憧れました。
確かに、君は特別なことをしているわけではありません。
でも、俺の存在は普通ではないのです。

里の人達は皆、俺のことを冷たい目で見ます。
進んで近づいてくる人はいません。
俺と一緒にいれば、周りからどんな反応が返ってくるか。
でも、君はそんなことに臆する人ではなかったのです。

君は普通でない俺を普通の人間として扱ってくれる、数少ない人でした。
そんな君にどれほど救われていたか、君には理解できないことでしょう。

 

俺のことを、知らないなんて言わないで。
いつものように、笑って。

名前を呼んで欲しい。


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