うさぎ日記 2.サクラの耳はうさぎの耳


「お前は本当にこれが兎に見えるってのか!」
サスケくんの問いに、ナルトくんはじっと兎を見詰めます。
「・・・兎じゃん」
「うあーー」
一人悶えるサスケくんを尻目に、ナルトくんはすたすたと歩き出しました。
「パジャマ、俺のでいいよねぇ」
時刻はすでに2時。
面倒な話はあとにして、取り合えず眠りにつこうと、ナルトくんはパジャマを探しに自分の部屋へと引っ込みます。
残されたサスケくんは傍らの兎をちらりと見ました。

どーなってんだ、この耳。

好奇心に抗えず、サスケくんは兎の耳に手を伸ばします。
触れると温かいそれは、まさしく生き物の耳でした。
作り物かと半分疑っていたサスケくんは驚きもひとしおです。

 

無意識のうちに引っ張っていると、駆けてきたナルトくんに勢いよく手を払われてしまいました。
「よせよ。兎が嫌がってるだろ!!」
その剣幕に驚いて顔を見ると、確かに兎は瞳を潤ませています。
「よしよし。酷いことされたな」
サスケくんに謝る隙を与えず、ナルトくんは兎の肩を抱いて必死に慰めます。

耳を引っ張られるのは嫌なものです。
それは人間も兎も一緒です。

「ほら、あっちが脱衣場だよ。着替えてくるまでに寝床用意するから泣き止んで」
ナルトくんは兎の顔をタオルでごしごしと拭くと、兎を導きます。
「動物苛めるなんて、最低―」
すれ違いざま、半眼で睨みつけてくるナルトくんの言葉がサスケくんの胸に響きました。

 

 

兎の寝床はナルトくんとサスケくんのいる子供部屋につくられました。
廊下やその他の部屋は暖房器具はなく、朝夕は冷え込むからです。
気まずい空気のまま部屋の電気は消され、静寂が訪れました。

どうにも寝付けないまま寝返りをうっていると、サスケくんは自分のベッドに侵入者がいることに気付きました。
ナルトくんでない以上、犯人は一人しかいません。
枕辺の灯りをつけると、サスケくんはその正体を確かめます。
薄暗い中、もぞもぞと動くそれはサスケくんの予想通り、ナルトのパジャマを身に付けた兎です。

「お前はあっちだろ!」
小声で言うと、サスケくんはナルトくんが用意した簡易ベッドを指差します。
ですが、ダンボールの上に布団を乗せただけのそれは兎にとってあまりいい寝床ではなかったようです。
顔をしかめた兎はしきりに首を振ります。

「なら、ナルトのところに・・・」
言いかけて、サスケくんははっと口をつぐみました。
兎が、なんとも言えない寂しげな瞳でこちらを見ていたからです。
サスケくんの脳裏にカカシさんの言葉がよぎります。

『両親が死んで行くところがないらしいから・・・』

 

こいつ、一人ぼっちなんだよな。

サスケくんには、仲が悪いとはいえ弟のナルトくんも、父のカカシさんもいます。
彼らを失えば、さすがのサスケくんも寂しいと思うことでしょう。

「・・・今日だけだぞ」
サスケくんは兎から目線を逸らすと、更に一言付け加えました。
「さっきは耳引っ張って悪かったな」
ぼそぼそ声の聞き取り難い言葉。
兎の耳はそれをしっかりとキャッチし、彼女は嬉しげに微笑みました。

そして、その様子を不満もあらわに傍観する一人の人物。
「・・・ずるい。俺だって兎と寝たい」
「何だお前は!いつからいたんだ!!」
サスケくんはベッドサイドで恨みがましい顔をしているナルトくんを見て頬を赤らめます。
「同じ部屋でいちゃつかれたら、寝つきのいい俺でも眠れないっての・・・」

 

 

 

翌朝。

「おーい、ガキども。飯ができたぞー」

エプロン姿のカカシさんが子供部屋に皆を起こしに現れます。
ですが、扉付近のナルトくんのベッドに人影がありません。
不審に思って中に進みますと、窓際にあるサスケくんのベッドに塊が密集しています。

「あれま」
カカシさんの顔は自然と綻びました。
一つのベッドに窮屈そうに丸まって眠る二人と一匹。
ですが、彼らの寝顔は満ち足りた様子で、とても幸せそうに見えました。


あとがき??
一応これで完結。
他の作品で行き詰まったらまた続き書くかも。息抜きで。
カカシパパと息子二人とペット一匹。幸せー幸せーー!!(病んでいるらしい・・・)
次はパパとペットをいちゃつかせたいですなぁ。表に置けないよ。(笑)

ああ、ナルトが「ってばよ!」口調じゃないのは見逃してください。(今さら)
あれ、どうにもやりにくくて。
それにしても、似てない家族だ。

これ、今読み返すと、英さんのサイトの『コアラ』という漫画に影響を受けてる気がする。
(サクラがめっさラブリーでカカシ先生に可愛がられてる(それでサスケが横槍入れてる)漫画)
ハッ。だから、サスサクっぽいのか!?


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