メジルシの記憶 1


「・・・何なんだ、一体」
窓もなく、裸電球が一つあるだけの薄暗い部屋の中で、若い男が一人ぼやいた。
彼にはこうした場所に拘束される謂れが全く無い。
何しろ、今日生まれて初めてこの里を訪れたのだから。

故郷の仕事仲間と共に、村で生産された品々の交換のためにやってきた木ノ葉隠れの里。
3日かけての道のりだが、木ノ葉隠れの里は近隣諸国の間では一番栄えている里だ。
高い壁に囲まれた里に入るには、国の発行した通行証を門番に見せなければならない。
その門番の忍びが、その男を一目見るなり顔色を変えた。
あとは、何人かの仲間を呼ばれて彼はここまで強制的に連行されたというわけだ。

「別に危険物とかは、持っていないしな・・・」
男は自分の衣服を見ながら、首を傾げる。
彼には何の後ろぐらいところもないため、あまり動揺した素振りは無かった。
勾留されてすでに半日。
人違いなら、そろそろ解放されても良い頃合いだ。

 

 

今にも壊れそうなパイプ椅子に腰掛けていた男は、扉を開く音に振り返る。
そこにいたのは、老人と若い娘の二人組み。
てっきり、いかつい牢番か何かが現れると思っていた男は意外な気持ちで彼らを眺めた。
「長い間待たせてしまって、すまなかったの」
男の前に立った老人は、丁寧に頭を下げた。
そして、手にしていたファイルを開き、その中にある書類と男の顔を交互に見やる。

「通行証の記述に間違いはないな」
「はい」
「その腕は、怪我でもしたのかの」
老人は、男の左腕をちらりと見て訊ねた。
彼の腕が自由に動かないのを、老人は一目で看破したらしい。

「・・・子供のときに、事故で」
「左目は?」
「同じです。落馬したときに木の枝に引っかけて。中は空洞ですよ」
眼帯をした男の目を、老人と娘は凝視している。
何か言いたげな顔をしている二人に、若者は険のある声で訊ねた。
「証拠を見せないと駄目ですか?あまり人に晒して楽しいものじゃないんですけど」
「・・・いや、無理にとはいわんよ」

 

ファイルを閉じた老人はおもむろに後ろを振り返った。
つられるように、若者も老人の背後に控えている彼女を見詰める。
頼りない照明にはっきりと分からないが、淡い色合い髪を長く伸ばしたなかなかの美少女だ。
「どう思う?」
「この人は、違います」
首を横に振る彼女の口から出たのは、はっきりとした否定の言葉。
何故か聞き覚えのあるその声に男は眉をひそめたが、彼女は気にせず話し続ける。

 

「彼はカカシ先生じゃありません」


あとがき??
現時点ではコメントの仕様がないような・・・。
この世界では3代目がまだ火影やってます。

(追記)
この作品2003年6月10日に4まで書いて止まっていたもの(^_^;)
あとがきも当時のままで、追記のみ現在書いています。


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