だから私は嫌われる


「先生―、今日一日だけパックンを貸してくれない?」
任務が終わった夕方、サクラは両手を合わせたおねだりのポーズでカカシを見つめた。
「え、何で?」
「今夜、両親が日帰り旅行に行っていて帰りが遅いのよ。一人だと心細いから・・・」
「じゃあ、俺が一緒にいてあげるよ〜v」
「却下!!!」
自分の肩に置かれたカカシの手を振り払うと、サクラは間髪入れずに言う。
「先生と二人きりでいたら、よけいに危険よ」
「失敬だなぁー」

ぶつぶつと不満をもらしながらも、カカシが上目遣いで頼み事をするサクラに逆らえるはずがない。
口寄せの術で呼び出したパックンはくだらない用事に使われることを怒っていたが、サクラは満面の笑みで彼を家に連れて帰った。

 

 

「え、一緒にお風呂に入った!!?」
「うん、体を洗ってあげたから、綺麗になっているでしょ」
「ふ、風呂に・・・・」
翌朝、パックンを抱えてカカシの家を訪れたサクラはにこにこ顔で報告する。
興奮冷めやらぬカカシに、サクラはさらに追い討ちを掛けた。

「パックンの体が温かかったから、昨日はよく眠れちゃった」
「えええ!!!?」
目を丸くするカカシを見上げ、サクラは眉をひそめる。
「・・・・何よ」
「ふ、布団の中に入れたってこと?パックンを」
「そうよ、朝までぐっすり。パックンの寝顔、とっても可愛かったわv」
「・・・・・」
体を震わせているカカシの横をパックンが素通りしていく。
取り敢えず、忍犬へのお仕置きは後回しだ。

「サクラ、ひどい!!!俺とだってまだなのに、他の雄を寝床に引っ張り込むなんて!」
「まだって何のことよ。離してよ」
両肩を掴まれて揺さぶられたサクラは不機嫌そうに顔をしかめている。
パックンとカカシでは明らかにサクラの対応の仕方が違う。
それがカカシにはとてつもなくショックだった。

 

 

 

「何でサクラってば、俺に懐いてくれないのかなぁ。俺がこんなに愛しているのに・・・」
「それが原因じゃないのー?」
しくしくと涙するカカシの隣りで、ナルトはアイスを食べながら指摘する。
雑草むしりの任務の休憩時間、サクラは相変わらずサスケを追いかけ、ナルトとカカシは蚊帳の外だ。
「カカシ先生は強引に押しすぎるんだよ。たまには引いてみないと、相手だって疲れちゃう」
「・・・・」
「サクラちゃんのお気に入り、サスケとパックンの共通点って何だと思う?」

ぱくりとアイスの欠片を口にいれたナルトを見やると、カカシは腕組みをして考える。
サスケとパックン。
どちらも愛想がいいタイプではなく、サクラに対しても冷たい態度を取っていることが多い。
ハッとなったカカシに、アイスの棒をくわえるナルトは頷いてみせた。
「分かった?」
「・・・ああ」

ナルトやリー、その他多くの追っかけファンを持つサクラにしてみれば、逆に自分に見向きもしない男が気になるのだろう。
そして、カカシがまるで無視されるのは、毎日しつこくサクラに迫っているから。
解決策が見つかれば、あとは実行するのみだった。

 

 

「カカシ先生、水筒の水、くんできたわよ」
「・・・・」
休憩時間が終わり、全員の水筒を配って歩くサクラは、カカシの手前まで来ると訝しげにその顔を覗き込む。
「どうしたの、怖い顔しちゃって。具合でも悪いの?」
いつもならば、サクラが近づけば抱きつく、尻を触る等のセクハラの嵐だ。
そのカカシが大人しいと、喜ぶよりも逆に心配になる。
不安げな眼差しで自分を見つめてくるサクラに、カカシは堪えていたものが堰を切って溢れだしたような気がした。

「サクラーーーー!!」
「キャーー!!!!」
感情を抑えきれず、水筒を放り出したカカシはサクラの体を思い切り抱きしめる。
「俺には出来ない!!こんなに、こんなに可愛いのに、冷たくするだなんて!」
「嫌ーーー離してよーー!!」
金切り声をあげるサクラは必死に抵抗していたが、カカシは構わずに頬ずりを繰り返している。
全く、いつも通りの光景だ。
遠目に彼らを眺めるナルトは、自分のアドバイスが何の役にも立っていないことを嘆き、大きなため息をついた。

「・・・駄目だ、こりゃ」


あとがき??
押して駄目なら引いてみろ、という言葉を知らないようです・・・先生。
うちのサイトでは、7班の中で一番精神年齢が高いのがナルトです。
お子さまな言動をしていたとしても、猫をかぶっているのです。
ということで、今回はカカシ先生にアドバイスをするナルトがお気に入りです。(笑)ラブリー。
あるサイトで可愛いサクラとパックンの
TOP絵を見かけて、ついこんなSSを書いてしまいました。
この二人(?)の組み合わせは大好きですv


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