できちゃった結婚への道のり
「へー、サクラが一人暮らしを始めたのか」
「うん。土産も買ったし、これから様子を見に行くんだ」
サクラの家に向かう道すがら、シカマルに出会ったナルトは笑顔で事情を説明した。
今日行くことは事前に報せてある。
家具の位置を変えたいサクラは、男手を歓迎しているような雰囲気だった。「でも、本当に一人なのか?」
「えっ」
「恋人が出来たから、同棲しようと思って実家を出たんじゃ・・・・」
思いがけないシカマルの言葉に、ナルトはこれ以上ないほど目を見開く。
「ま、まさか、サクラちゃんにかぎってそんなふしだらなこと、あるはずないよ!」
「馬鹿、今はそんなの普通だよ。いつの間にか子供が出来て、自然と入籍しているっていうのがパターンだな」
「・・・・」
淡々と話すシカマルの声を聞きながら、ナルトは苦しげに胸を押さえた。
心臓がチクチクと痛み出した気がする。
シカマルに会うまで、そのようなことは考えもしなかった。
「まさか、ね・・・・」
不安な面持ちのナルトは、多少緊張しながらサクラの家のチャイムを鳴らす。
ナルトの目で見て、サクラの周りに男の影はなかった。
その彼女が同棲のために部屋を借りたなど、言いがかりだ。
「はいはーーい」
「・・・え」
自分に強く言い聞かせた矢先、聞こえてきた男の声にナルトは思い切り動揺する。
そして、開かれた扉の向こうから現れたのは、上半身が裸で腰にタオルを巻いた姿のカカシだった。「おー、ナルト、早かったなぁ」
「せ、先生、どうして!!っていうか、何でそんな格好なのさ」
「・・・・何でって」
自分の体を見たカカシは、すぐにナルトへと視線を戻す。
「取り込み中だったから」
「あれ、ナルトは?」
ダンボール箱から衣類を出していたサクラは、一人で戻ってきたカカシを不思議そうに見やる。
「えーと、「本当だったんだ・・・」とか何とかぶつぶつ言って帰っていった」
「はぁー?」
サクラは訳が分からないという顔をしたが、カカシにしても同じ気持ちだ。
「これ渡されたけど、何しに来たんだ、あいつ」
「あ、ちょっと、人のもの勝手に食べないでよ」
ナルトが持ってきた菓子をぱくぱくと食べているカカシにサクラは目くじらを立てた。「あーもー、先生が着られるような服なんて、やっぱり無いわよ」
「それじゃ、しょうがないね。乾くまで待つよ」
濡れた服をハンガーにかけ、カカシはサクラの差し出した大きめのバスタオルを肩にかける。
風呂場の掃除を手伝っている最中、切り替えを間違えてシャワーの水を頭からかぶってしまったのだ。
タオルだけでは肌寒いが、先程まで濡れ鼠だったことを考えると幾分マシだった。
ナルトが来ることは知っており、カカシは軽い気持ちで出ていったのだが、彼が顔色を変えた理由は見当も付かない。
「先生、私、もう疲れたー。ご飯作って」
「・・・・何だか、こき使われていない?サスケは来ないの、サスケは」
「サスケくんは部屋が完全に片づいてから呼ぶんです」
「何だよ、それはー」
ぶーぶーと不満をもらしながらも、カカシは仕方なく食材を入れた冷蔵庫へと向かう。
それからというものカカシは何かとサクラに呼び出され、二人の距離も縮まっていくのだが、それはもう少し先の話だった。
あとがき??
可哀相なナルト・・・・。(涙)