レッツ☆バスロマン


「絶対に嫌!!」
「えー、何でーー?」
頑なに拒むサクラを、カカシは不思議そうに見つめる。
ただ、一緒にお風呂に入ろうと誘っただけだ。
サクラがカカシの家に泊まりにくるのは4度目で、知らぬ仲ではない。
今さら恥ずかしがる理由はなかった。

「だって・・・私、全然胸とかないし、体をじろじろ見られたくないんだもの」
すねた口調で話すサクラは、夜、ベッドに横になる時も必ず照明を暗くすることを懇願する。
それほど卑下する必用はないとカカシは思うのだが、本人は強い劣等感を持っているらしい。
「いーよ。じゃあ、水着で入ろう」
「え?」
「この前、一緒に温泉テーマパークに行くために買ったじゃない。そこの引き出しに入ってるから、それを着ていればいいでしょ」
「・・・・うん」
にっこりと笑ったカカシに肩を叩かれ、サクラは渋々頷く。
水着でも嫌なことに変わりはないが、あまり自分の我を通して、カカシに嫌われるのも怖かった。

 

 

 

「サクラの背中ってば、ちっちゃいねぇ〜」
「ちょ、ちょっと先生!」
サクラの背中を洗うカカシはどさくさに紛れて彼女の胸元に手を置いている。
「ハハハッ、手が滑っちゃった」
「もー!!ここじゃ何もしないって言ったでしょ」
「ごめん、ごめん」
全く反省の色のない謝罪に、サクラは怒る気も失せた。
水着を一緒に選んだカカシの強い勧めで初めてビキニを買ったのだが、今は激しく後悔している。
首元の紐を引っ張ってサクラを丸裸にするのはカカシには雑作もないことだ。

「こ、今度は私が洗うわよ!」
何かある前に風呂からあがるつもりのサクラは、泡だらけの自分の体を洗い流すなりカカシの背後に回り込む。
お気に入りのイルカの形のスポンジ手に取ったサクラは、その背中を一目見るなり、体の動きを止めた。
薄明るい照明では気付かなかったが、大小、数え切れない傷がある。
それ以上に、無駄な肉が一切ない鍛えられた上半身に目を奪われた。
服を着ているときは逞しいという印象を持ったことなどないが、着やせするタイプだったようだ。

 

「・・・・・サクラ?」
「先生って・・・、綺麗ねぇ」
驚嘆したサクラは思わず呟きを漏らしていた。
忍びとしては理想的な体だ。
無数の傷は歴戦の勇士を思わせる。
醜くひきつる火傷のあとさえも、カカシのものならばいとおしく感じられた。
「惚れ直しちゃった」
堪えきれず、背中にくっついてきたサクラに、カカシは苦笑いをする。

「一緒にお風呂入って良かった?」
「うん」
「じゃあさ、これから水着脱いで入る?」
「・・・・うん」
しつこくこだわっているカカシにサクラはくすくすと笑った。
上忍で、優しくて、格好良くて、自分を一番に大切にしてくれる。
これ以上我が儘を言ったらば、罰が当たりそうな気がした。

 

「私が、守ってあげるからね」
口づけを交わしながら、サクラは吐息と共に繰り返す。
サクラは最初からそうだった。
守ってもらうのではなく、大事な人は自分が守るのだと、強い眼差しで主張する。
小さな手のひらとその言葉のギャップに、惹かれたのかもしれなかった。

 

 

 

 

「あれ、パックン。先生とサクラちゃんはー?」
「入浴中だ。一時間ほど入っている」
「・・・あ、そう」
器用にも電話に出た忍犬の言葉に、受話器を持つナルトは思いきり脱力する。
カカシの家に行くことをサクラから聞いていたナルトは、自分も夕食を一緒にしようと電話をしたのだが、お邪魔なようだ。
「あのさ、パックンの目から見て、二人はどう?」
「どうって、何がだ」
「うまくやっていけそうかなぁって」
「・・・・うちに来て、風呂まで入ったのはサクラが初めてだ」
パックンの記憶するかぎり、カカシは女の匂いはさせても、家にまでは連れてこなかった。
それだけサクラを気に入っているということだろう。

「そっかぁ、サクラちゃん良かったなぁ」
安堵の声を出すナルトに、パックンはため息を付きそうになる。
彼が長い間サクラに片思いしていたことは、この忍犬も知っていた。
「お前も人がいいな・・・・」
「まぁ、それだけが取り柄なんで」
受話器越しに、苦笑いするナルトの顔が見えるかのようだった。


あとがき??
すみません、すみません、すみません、すみません。
私の中で「甘甘=エロ」で直結していたようです。
暗い部屋に置くほどでもないと思ったのですが、果たしてどうだったのか。

愛が覚めそうになる瞬間。
サク「こんな先生イヤァー!」
カカ「えぇ?!そんな・・・。どーして??(泣)」
みたいな感じだけど、最終的には丸く収まるような話。

以上があずきさんのリクだったのですが、微妙な感じなのは前半だけで、あとはラブラブですね。(^_^;)
二人がいちゃつくだけでは話がしまらなかったので、最後はナルトに登場してもらいました。
カカシ宅の電話は犬も出られるように受話器なし、ボタン一つで会話が出来る。
うちのナルトは天下無敵のいい男なのですが、そんな彼を見向きもせず、へっぽこ教師のカカシを選んでしまうのが、うちのサクラのサガなのです。
幸せならいいじゃない!ということで。

299299HIT、あずき様、有難うございました!


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