先生のイチャパラと恋愛事情 2


「サクラ、カレーってしょうゆかけると美味しいんだよ。知ってた?」
「えっ、な、何するのよーーー!!!」
「しょうゆ」
サクラの返事など聞かずに、カカシは彼女の皿にしょうゆをかけている。
さらに掻き混ぜられてしまっては、もうしょうゆを排除しようがない。
「はい、食べてみてねー」
「・・・・・」
思い切り不満げなサクラを気にせず、カカシはにこにこと笑って促す。
まだ一口も食べていないのだから残すのはもったいなく、さらには腹が減っていた。
スプーンでカレーをすくったサクラは意を決して口にいれたのだが、それは彼女が思ったよりも随分とマシな味だ。

「ね、美味しいでしょー」
サクラの表情の変化を見逃さず、嬉しそうに笑うカカシをサクラは無言で見つめる。
確かに、美味しい。
だが、素直に認めてしまうのも癪だった。
「まあまあね・・・」
「それは良かった」
棘のあるサクラの声など全く気にせず、カカシはカレーを食べ始める。

そもそも店に入ってすぐ、サクラがメニューを見る前にカカシはカレーを二つ注文していた。
この店はカレーが一番美味しいのだという。
何故こうも強引なのだろうかと眺めていると、顔を上げたカカシと目が合った。
「ん、どうしたの、サクラ?」
親しい者にしか見せない、優しい微笑みを向けられたサクラは、急に顔を赤くしてスプーンで握り締める。
「な、何でもないわよ。よく食べるなぁと思って」
誤魔化すように言うと、サクラはカレーに集中することにした。
人の話を聞かずに行動することをやめて欲しいと思うのに、それに振り回されるのも嫌ではない。
惚れた弱みというやつだが、彼に知られるのは気恥ずかしかった。

 

 

「今日はこれから任務なんだ。付き合えなくてごめんね」
「ううん。お仕事、頑張ってね」
食事のあと、別行動となった二人だが、サクラは名残惜しそうにカカシの袖を掴んでいる。
7班は解散してしまった。
一緒にいられる時間は短く、仕方がないと分かっていても、寂しくなる。
「サクラ、またすぐ会えるから」
「・・・いつ?」
「一週間後かな」
「そんなの、すぐじゃないわよ」

口に出してから、サクラは自分の子供っぽい発言がいやになった。
これでは駄々をこねてすねる幼子と全く一緒だ。
カカシから手を離したサクラは、無理に笑顔を作って手を振ってみせる。
「冗談よ。先生、またね」
サクラの頭を撫でると、カカシは笑顔を残してそのまま姿を消してしまった。
何の、未練もなく。
その場で佇むサクラは、どうしてもそのまま帰る気にならず、いのの家へと歩き始める。

カカシは、サクラに優しい。
だが、それは今里にいないサスケや、ナルトにも同様に向けられるものだ。
彼の特別になりたいと願うサクラの胸のうちなど、分かっていないに違いない。
そばにいられれば満足だったはずが、どんどん欲張りになっている。
カカシに会えないのは辛いが、会ったあとはそれまでよりも一層辛くなっているような気がした。

 

 

 

「私さ、カカシ先生って絶対あんたのこと好きだと思うわよ」
いの部屋で彼女の出した茶を飲むサクラは、きょとんとした顔つきになる。
「嫌だ、いのったら。慰めてくれてるの」
「違うわよ。私、そんな嘘つかないわよ」
茶菓子の大福を頬張ると、いのはサクラに人差し指を突きつけた。
「だってさ、カカシ先生って、あんたと一緒にいるときあの本、読んでいないじゃない」
「えっ・・・」
「イチャイチャ何とかってやつ。いつも持ち歩いていて、どんなときも読んでるでしょう。重要な任務の最中か、サクラといるときしか本をしまってないのよ。気づいていなかったの?」
「・・・・・」

首をかしげたサクラは、自分といるときのカカシの姿を思い出す。
確かに、彼との会話中はいつでも目を合わせて喋っていた気がした。
「あの本を先生がどれだけ大事にしているか私は知らないけど、先生にとってサクラとの時間はあの本を読むより有意義ってことでしょう。だから自信を持っていいんじゃないの?」
いのにウインクをされたサクラは、とたんに赤面する。
自分が思う以上に、カカシに想われていたのかもしれない。
その可能性を知っただけで動揺するサクラは、カカシにすれば随分と可愛い玩具なんだろうなぁと、頬杖をつきながら思ったいのだった。


あとがき??
ようやくタイトルの意味が分かりました。
うーん、また続けたいかな。
格好いいカカシ先生を書くのが夢なのです。夢のまま・・・。


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