first contact 1


少年が目を開けたとき、彼は腰に付けていたポーチを枕にして体を横たえ、見知らぬ男二人と女に囲まれていた。
何故かぶかぶかの服を身につけていたので、忍術で普段来ている物に変化させたのだが、状況が呑み込めない。
場所が、里の周囲を覆う森のどこかだというのは、生えている木の様子から何となく分かる。
「・・・・あんた達、誰?」
首を傾げた少年の第一声に、彼の行動を見守っていた3人は同時に目を丸くしたのだった。

 

 

 

「ハハハッ、先生が俺達よりちっちゃいってばよ〜」
ばしばしと強い力で頭を叩かれ、少年は表情を険しくしたが文句は言わない。
彼らの話を信じるなら、相手は上忍、忍びの世界でランクが上な相手に口答えはしない決まりとなっている。
やや目を細めて彼を見上げた少年は、馴れ馴れしく自分の頭に手を置く青年をまじまじを見つめた。
金色の輝く髪に屈託のない笑顔、彼の担任にうり二つだ。
もう少し、落ち着きのある行動と品のある言葉づかいをすれば兄弟のように似ている。

「ちょっとナルト、先生が嫌がってるでしょう。いじめないでよ」
言いながら、ナルトという青年の手を払ったのは桃色の髪のくノ一だ。
皆にサクラと呼ばれる彼女には、何度も「本当に覚えていないの?」と訊ねられたが、少年はその意味が分からない。
少年は“はたけカカシ”という自分の名前をきちんと覚えており、来月には上忍の進級試験を受けることが決まっている才能ある忍者だ。
リンやオビトと共に任務を遂行していたはずが、今、彼らの気配は微塵もない。
本来ならばパニックになってもいい状況とはいえ、忍びたるもの、どんなときも冷静であるべきという教えが体に染みついている。

 

「大体、先生が子供の姿になったのはナルトのせいでしょう!何とかしなさい」
「俺ってば、先生が風邪気味だっていうから薬をあげただけだってばよ・・・・」
伏し目がちになったナルトが反抗的な答えをすると、たちまちサクラの目はつり上がった。
「火影様の部屋から勝手に持ち出した物でしょう!!ちゃんと確認してから人に渡しなさいよーーー!」
「落ち着け、サクラ」
いきり立つサクラを、それまで黙して考え込んでいた黒髪の青年が押し止める。

「薬の影響でこうなったのなら、中和剤もきっと火影のところにあるはずだ。この馬鹿を責めても何も解決しない」
「・・・うん」
彼にいさめられたサクラは、とたんにシュンとして引き下がった。
彼らの行動を少しばかり見ていただけだが、カカシはどうやらこの黒髪のサスケという者が班のリーダーだと看破する。
とりあえず、彼らは同じ木ノ葉隠れの忍びで、カカシに危害を加える気はない。
大人しく付いていけば事態を解決することも出来そうだと、カカシは判断していた。

 

「じゃあ、そっちの奴を連れって帰れば、今日の任務は終了だな。さっさと終わらせるぞ」
「えっ」
サクラが振り向いたときには、サスケはすでに走り出している。
妙なハプニングがあったとはいえ、その日の任務は里の機密文書を持ち出して森に逃げた間者を捕まえること。
そして、彼らが集まって揉めている間に、間者は遠くから様子を窺っていたようだ。
鳥の地鳴きにも似た独特の音はサスケがカカシから伝授された技を使うときに発せられるもので、ターゲットとなる者はまず逃げられない。
技をまともに受け、声もあげられず倒れた間者を、駆け寄ったナルトとサクラは苦々しい顔つきで眺める。

「こいつのせいで、中忍が3人も病院送りになったってばよ・・・」
「早くしょっぴいてやりましょう!」
間者が隠し持っていた機密文書を奪い取り、体を縄で縛っていたサスケは熱い視線を感じて顔を上げた。
きらきらとした瞳で彼を見つめていたのは、少年の姿のカカシだ。
「い、今の技は!?」
「・・・・チャクラを一点に集中させて相手にぶつけるんだ」
「へぇーーー」
ひたすら感心しているカカシに、3人は思わず顔を見合わせてため息をつく。
コピー忍者唯一のオリジナルの技、それをカカシ本人が見て驚く日が来るとは思いも寄らなかった。


あとがき??
プロローグ。
一応、mitsuさんから指定された設定をそのまま文章にしてみたんですが・・・・。
あまりイラストの雰囲気を出せなくて申し訳ない。サスケのカカシいじめが書けなかった。(涙)
スランプ中なため、短い文章なのにえらく時間がかかりました。
次はフォローのために、ちょいとカカサク・・・・。ナルトとサスケは登場せず、二人の世界。
『サクラ先生とカカシくん』のノリなので、逆年齢差カップルが駄目な人はご注意を。


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