愛人 3


「「私はカカシ先生のことを信じてるの」だってさーー。サクラちゃんも人が良いよね」
「・・・・似てないぞ」
声色を変えてサクラの真似をしたナルトに、サスケはきっぱりと言う。
「そんなことはどうでもいいんだよ。ちゃんとツナデのばーちゃんの証言も取って、現場の写真もばっちり撮ってるのにさー、何であんなこと言えるんだか。ちゃんと離婚届も用意してあげたのにぃ」
「・・・・お前、暇なのか」
「いや。任務3つも掛け持ちしてる」

呆れ顔のサスケを気にせず、ナルトはラーメンの汁をすすった。
夕食時ということもあり、一楽の店内は満員だ。
仕事の疲れを全く感じさせないナルトは、すでに二杯のラーメンをたいらげていた。

「・・・俺にはお前がわざと騒ぎを大きくしているとしか思えないんだが」
「失敬な!俺はいつだってサクラちゃん達の幸せを祈っているよ!!」
白々しく胸を叩いて言うナルトに、サスケはため息をつく。
「食べるかしゃべるかどっちかにしろ」
「あ、悪い悪い」
ナルトはテーブルに散ったラーメンの汁を慌てて袖口でぬぐった。
置きっ放しになっていた写真を手に取ると、サスケは写っている女性をじっと見つめる。

「これは」
「ああ、話したとおりカカシ先生の浮気相手だよ。名前は・・・」
「メグミ。25歳OL。趣味はコンビニ通いで好物はファンタグレープ」
自分の知らない情報まですらすらと口にするサスケに、ナルトは仰天する。
「な、何で知ってるんだよ!!?」
「ここに来るまでに瓦版屋が号外を配っていた。この女だろ」

サスケは懐から取り出した紙切れをテーブルに広げて見せた。
号外の記事に載っている顔写真は、紛れもなくカカシの浮気相手と目されていたメグミ嬢。
だが、ナルトを驚かせたのは彼女の隣りに写っている人物と、その記事の見出しだ。

 

 

『三代目火影、極秘入籍発覚!!!』
(お相手の女性はOLのメグミさん(25)。二人の出会いは深夜のコンビニ。ファンタグレープを購入しようとした三代目が店頭にあった最後の一本を・・・・云々)

 

 

 

「いやー、もう極秘じゃなくなったから言っちゃうけど、三代目から直々に頼まれた任務内容ってのはメグミちゃんに手紙を届けることだったのよ。しかも、花束付きで」
家に駆けつけたナルトに、夕食を食べ終えたばかりのカカシは笑顔で事情を説明しだした。
「て、手紙?」
「そー。こーんなに分厚くて、封筒もぱんぱん。便箋20枚くらいに三代目のメグミちゃんへの思いが書き綴られててさ、読んだら赤面しちゃうと思うよ。それを俺が温泉にいる三代目からメグミちゃんのところまで届けて、彼女の書いた返事をまた三代目に届けて、という面倒なことを毎日してたの。滞在先は電話もないような秘湯だし、往復で5時間もかかるんだよ」
会話の合間にカカシはサクラの差し出した茶をすする。

「どこから聞きつけたのか、三代目とメグミちゃんのラブラブな関係をやっかんだ自来也さんが二人の邪魔をしだしてね。温泉巡りを口実に三代目を連れ出しちゃうし。人の恋路を邪魔するなら、自分も可愛い奥さん見付けたらいいのにねぇ」
「で、で、でも、三代目とメグミちゃんって年が離れすぎてない?」
「だから今まで秘密にしてたんだろ。三代目の体面を考えて。でも、三代目もちゃんとメグミちゃんの両親のところに挨拶に行ったし、籍も入れたし、もう周りからとやかく言われる筋合いはないんじゃないの」
明るく笑うカカシに、ナルトは気が抜けたようにその場に座り込んだ。

「何だぁ・・・」
「何だって、何が?」
「別に」
ぶつぶつと独り言を繰り返すナルトに忍び笑いをもらしながら、サクラはカカシの肩を叩く。
「カカシ先生、お風呂沸いたわよ」
「ああ、うん」
「ゆっくり疲れを取ってね」

 

 

「変だと思ったのよね。パパが浮気なんてー」
「何言ってるのよ。小桜だって疑ってたでしょ」
「えへへ」
カカシのいなくなったリビングでは、ナルトとサクラと小桜がそろって茶をすすっている。
床に座ってTVを見る快は子供向けのアニメに夢中で、彼らの話には興味がないようだった。

「最近小桜が冷たいって、先生、嘆いてたんだから。その分もちゃんとサービスしなさいよ」
「うんうん。分かってるって」
「でもさぁ、サクラちゃん最初っから知ってたの?任務の内容」
「何も。ただ、暇さえあれば一日に何度もうちに電話してくるような人が、浮気なんかしないかなぁって思ったから」
余裕の笑みを浮かべるサクラに対し、ナルトは「降参」というように手を上げる。
「どうも、ごちそうさまでした」


あとがき??
カカシ先生は三代目のこともまだ「火影」と呼んでいるみたいですね。在位が長かったので。(笑)
はたけ夫婦も年が離れているからで、三代目はいろいろカカシ先生に相談していたようです。
余談ですが、このシリーズでカカシ先生が長期任務に行くことが多いのは、木ノ葉小町であるサクラを嫁にしたカカシ先生をみんなが妬んで嫌がらせをしているからです。
いらぬ裏情報でした。(^_^;)
暫く放っておくつもりでしたが、たいした話でもなし、時間を空けると続きを書けなくなる可能性があるので(飽きる)終わらせておくことにしました。
ちなみに書きたかったのはカカシ先生の浮気現場(誤解だけど)と、それを楽しそうに(?)サクラに報告するナルトでした。


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