メルシィ!人生 2


「先生、お腹すいてる?今日は帰りが遅いって言っていたから、先生の好きなお魚とか買わなかったんだけれど」
家に戻ったサクラは、買い物袋の中身を冷蔵庫に入れながら訊ねる。
「んー、ちょっとすいてるかな・・・」
「本当!?」
冷蔵庫の扉を閉めたサクラが振り返ると、ごく至近距離にカカシがいた。
「え、何?冷蔵庫の中、見たいの」
「いーや。ご飯より先にサクラを食べたいかなぁと思って」
「えっ・・・・」
顔を寄せたカカシに唐突に口を塞がれ、サクラは驚きに目を見開いている。
「ちょ、ちょっと、先生っ、あ・・・」
体を離そうと胸を押したが、再び強引に唇を合わされた。
吐息がもれる隙間がないほどの熱い口づけから、サクラは首を振って逃れようとする。

「ど、どうしたのよ、先生、こんな明るいうちから」
「明るくてもいいじゃん。夫婦なんだし」
「駄目!!もうすぐ小桜が幼稚園から帰ってくるの。やめてっ」
スカートの裾から太股を撫でられたサクラは震える声で懇願する。
潤んだ瞳で見つめられたカカシはよけいに気持ちを高揚させたが、その空気を壊すように玄関のチャイムが鳴った。
「ほら、帰ってきたわ」
「ちょっとくらい、待たせても・・・」
なおも続行しようとするカカシを、サクラは上目遣いで睨む。
「・・・・嫌いになるわよ」

 

 

一人キッチンに残されたカカシは、しょうがなく冷蔵庫の中のウーロン茶を取り出した。
「まぁ、夜になれば自由に出来るんだし・・・、ん?」
ウーロン茶を一口飲み込んだカカシは戸口へと顔を向ける。
小さな気配の正体は、桃色の髪の幼子だ。
扉の陰から自分を見据えている子供に、カカシの表情はたちまち綻んでいった。

「か、可愛いーー!!何、これ、お人形!!?いや、ちゃんと生きてるな」
しゃがみ込んでその子供の頭を撫でると、彼女はカカシに抱きついてくる。
「パパ、抱っこして」
「おお!ほら、高い高い」
カカシに高く体を抱えられた小桜は、楽しそうに笑い声をあげた。
カカシは本来子供の扱いは得意ではない。
だが、これほど愛らしい子供なら何人いても良いと思ったのは、自分でも不思議な感覚だった。

「サクラ、有難うな。こんな可愛い子供生んでくれて」
あとからキッチンに現れたサクラに、カカシはしみじみと礼を言う。
「何よ、今さら」
「うん。でもそう思ったから」
カカシが屈託なく笑うと、傍らの小桜もにこにこと笑顔を浮かべる。
彼らの顔を見つめたサクラは、何故だか、涙が出てきそうな気持ちで微笑を返した。

 

 

 

「どうしたの、急にアルバムが見たいだなんて」
「早く思い出したいから・・・」
「え?」
「いやいや、ちょっと気分転換に」
夕食のあと、カカシはサクラが持ってきたアルバムにまとめて目を通す。
すぐに出てくる場所にあったのは彼らが7班として活動していたときの写真だった。
「ふむふむ、あの明るい兄ちゃんと、とっぽい兄ちゃんは同じ班の子達だったのね。サクラは昔から可愛かったんだな」
何か呟きながらアルバムを眺めるカカシを、サクラは不思議そうに見ている。

「あれ、みんなで海なんて行ったんだー」
「タズナさん達に会いに行ったのよ。先生ってば、忘れちゃったの?」
「えーと、何だかうっすらと思い出してきたような・・・・。サクラが小さい胸で頑張ってビキニを着たら、海に飛び込んだ拍子に水着の上が取れちゃって大騒ぎした覚えが」
「そ、そんなことは忘れていいのよ!!」
顔を真っ赤にしたサクラは慌てて海の写真のページを捲ろうとする。
苦笑いして自分を見るカカシを横目に、サクラは面白くなさそうに頬を膨らませた。

「そういえば、先生の部屋に私と会う前のアルバムがあるけど、それはいいの?」
「うーん。今はこの記憶だけでいいや」
言いながら、カカシは傍らにいるサクラの頬にキスをする。
「またあとで思い出すよ」


あとがき??
のっけからエロですみません。(汗)
ほのぼのなんだか大人向けなんだか、微妙、微妙。
投票して下さった皆様、有難うございました。


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