小桜バカ一代


「カカシ先生が火影様に呼び出されたって?」
「うん」
「原因は?」
「子供の喧嘩なのよ」
場所ははたけ家の二階、サクラは窓の外に目をやりながらナルトの問いに答えている。
階下を望むと、路地裏で小桜が数人の友達と共に元気に遊んでいた。

「ボールの奪い合いで、小桜が一つ年長の男の子にぶたれたの。それを見ていたカカシ先生がその子のこと追いかけて頭を拳骨で殴ったのよ」
「ええ!!?」
「もちろん手加減したから、小さいたんこぶができただけだけどね。でも、あちらのご両親が怒っちゃって、火影様にどやされてるってわけよ」
「それは、大変だねぇ・・・」
ため息をつくサクラと一緒に、ナルトも呆れている。
カカシの普段の小桜に対する溺愛ぶりを見ているだけに、なんとなく納得の話ではあった。
だが、上忍のカカシに追いかけられた子供はさぞ怖かったことだろう。

「先生も大げさなのよ。ぶたれたあと、小桜だって倍くらいやりかえしていたんだから」
「そうだよねぇ。子供同士のことに口出すなんて、先生も大人気ない・・・・」
笑いながら言ったそのとき、ナルトは目撃した。
小桜が、友達の男の子にスカートをめくられた場面を。
「あれ、ナルト?」
忽然と目の前から消えたナルトに、サクラは目を丸くする。
直後に、子供の甲高い泣き声が路上から聞こえてきた。

窓の桟に手をやったサクラは、身を乗り出して声のする方を見る。
サクラの目に、ナルトが小桜のスカートをめくった少年の足を引っつかみ、逆さ吊りにしている光景が飛び込んできた。
「破廉恥罪の現行犯だ!!この野郎!!!」
というのは、ナルトの弁だ。
怯えた眼差しで遠巻きに眺める子供達の視線などまるで気にしていない。
額に手をやったサクラは、思わず泣きたい気持ちになる。
カカシと同等の親馬鹿ならぬ、小桜馬鹿はもう一人いた。

 

 

 

「・・・なんで俺がこんなことを」
小桜と共に演習場に立つサスケはぶつぶつと呟いている。
サクラから頼まれたのは、小桜に体術を教えることだった。
小桜が強くなれば隙も出来ず、いじめっ子にちょっかいを出されることもない。
体術面で優れているという理由だけで呼び出されたサスケにしてみれば、いい迷惑だ。
「よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる小桜は、事情が分かっているのかどうか。

「お前も大変だな。変な身内がいるからって、友達に疎まれてないか」
「平気。パパもナルトも私のこと大事にしてくれてるって分かってるし。ちょっと大げさだと思うけど」
大人びた表情で語る小桜に、サスケは少し苦笑いをした。
カカシやナルトに比べれば、ずっと精神年齢が上だ。
「それに、サスケお兄ちゃんはあまりうちに来ないから、今日は会えて嬉しかったし」
「・・・・俺の修行は厳しいぞ」
「うん」
頭に手を置いたサスケに、小桜はにっこりと微笑んだ。

 

 

 

「あーもー、心配だ、心配だ、心配だ、心配だ。帰りが遅いーー」
「先生、うるさいわよ!」
リビングを行ったり来たりとするカカシに、快を抱いてソファーに座るサクラは目くじらを立てる。
「サスケくんに任せてあるんだから、大丈夫だって」
「だって、小桜、最近手足が擦り傷だらけじゃないか。女の子なのに」
「あれぐらいの怪我、どこの子にもあるわよ。それに、小桜はサスケくんとの稽古を楽しみにしてるんだし」
二人が話すうちに、玄関のチャイムが響いた。
すぐさま戸口へと向かったカカシは、帰宅した小桜を笑顔で迎え入れる。

「小桜v」
「はいはい、ただいま。ママ、お腹すいたーー」
小桜を抱きしめようとしたカカシの手は空振りに終わり、靴を脱いだ彼女はすたすたと廊下を歩いている。
「もうご飯出来てるわよ。ちゃんと手を洗ってうがいしなさいね」
「はーーい」
自分を無視して洗面所へと向かう小桜に、カカシは涙をにじませた。

「小桜ぁ・・・」
後ろから追いかけたカカシが小桜の腕を取ったとき、彼女の目がきらりと光った気がした。
それからの一連の動きは、廊下まで出てきたサクラの目にも留まらないもので、彼女は地べたを張っているカカシを唖然と見る。
サクラ以上に信じられなかったのは、床に投げ出されて呆然としているカカシだろう。
「あ、ごめんなさい。今、ちょうど背後の敵に対する護身術を習っていたから」
しゃがんだ小桜はカカシに顔を近づけて申し訳なさそうに言う。

油断していたとはいえ上忍を軽くのしてしまった7歳の娘を、末恐ろしいと感じずにいられないサクラだった。


あとがき??
すみません。ナルトと小桜の話にするはずでしたが、予定変更。それは次回にします。
ケイ太さんのカカシファミリー漫画を見たら、急に書きたくなったのですよ。
小桜を目に入れても痛くないメロメロカカシ先生を。(笑)
小桜は7歳。弟の快くんは2、3歳くらい。
ちなみに小桜の視点で言うと、元7班男子はこんな感じ。

サスケ=お父さん的立場(尊敬、憧れv)
カカシ=ママの恋人、遊び相手(時々うざい)
ナルト=友達兼恋人(可愛い)

10分で書いたので、適当な話ですみません!!
タイトルの“馬鹿”はもちろん「特定の物事に熱中するあまり、社会常識などに欠けること。(「学者―」「専門―」「親―」)」のことですよ。(笑)
近頃、頂くメールほとんどに「カカシファミリーシリーズ好きですv」といった類のことが書いてあるので、嬉しいです。


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