サクサク 3


サクモとサクラは仲が良い。
気付くとサクモの隣りには必ず彼女の姿があり、むしろ自分とサクラよりも気の合う関係なのではないかとカカシは思う。
自分がいない間、二人はどんなことをして過ごしているのか。

仕事に出かけたと思わせ、家の様子を窺ったのは日に日に募っていく不安が原因だった。

周りの住人に気付かれないよう家に戻ると、カカシはさっそく気配を消して彼らのいる場所へと向かう。
二人は庭の花や草木に水をやっている最中だった。
じょうろを片手にサクモと談笑するサクラは実に楽しげだ。
もちろん、サクモも嬉しそうに笑っている。
当然カカシの中で嫉妬の感情が渦巻き、飛び出していきたい気持ちをすんでの所で堪えた。
任務をさぼって何をしていたのか訊かれれば、覗きをしていた事実がばれて恥をかくのは自分だ。

 

たまにカカシの名前も出る二人の話を聞きながら、茂みに隠れるカカシはふと、サクモの顔を注視した。
サクラに向ける、彼の心からの笑顔。
あんな顔を、自分は今まで見たことがあっただろうか。
遠い昔、母親が生きていた頃は、サクモはいつもあんな風に笑っていた。
だがそれ以降、カカシがアカデミーに入り任務を請け負うようになると、ゆっくり会話をした記憶があまりない。
話しても、朝の挨拶やその日の天気、仕事のアドバイスやいつ帰るかなど連絡的なもの。
カカシの脳裏に、いつか聞いたサクラの声が甦る。

『お父様・・・・きっと寂しいんだと思う』

サクラのように彼の話にもっと耳を傾けていたら、母がいなくても、ああして笑ってくれたのかもしれない。
サクモが必要以上にサクラに構う理由は、自分にあった。
そう思うと、サクラに近寄る彼をむやみに責めることも出来ないような気がした。

 

 

 

 

「ただいま」
「おかえりなさいー」
呼び鈴に反応して飛び出してきたサクラは、帰宅したカカシを笑顔で迎え入れる。
「今日は早かったのね」
「・・・うん」
「ご飯まだ出来てないの。もうすぐ煮物が出来るから、少し待っていてね」
カカシの服の着替えを手伝うと、サクラは急いでキッチンへと戻っていく。
荷物から何かを取り出したカカシは、夕刊を持ってうろつくサクモを見付けて掴まえた。

「木ノ葉横町の焼き肉屋がつぶれて居酒屋になったんだけど、知ってる?」
「・・・知らん」
「たまには親子で飲みに行こう。道でこの20%OFFのチケットをもらったし、俺がおごるからさ」
初めての息子からの誘いに、サクモは訝しげにその瞳を見据えている。
最初は戸惑って当然だ。
今さらながらに、親子の触れ合いを大事にしたい。
そうした純粋が思いが伝わったのか、ゆっくりと微笑んだサクモにカカシも思わず安堵の笑みを浮かべた。

 

「嫌だ」

 

穏やかに微笑するサクモの口から出たのは、これ以上ないほど低音の声だった。
真っ白になるカカシをよそにサクラに歩み寄ると、サクモは後ろから思い切り抱きつく。
「キャッ!お、お父様・・・」
「えへへっ、隙有りー」
驚いて菜箸を落としたサクラだが、彼に抱きしめられた状態では拾うことが出来ない。
両脇から腕を回され、胸をしっかりと掴まれているのも困りものだ。
「あ、あの、お父様、手が」
「ああ、ごめん、ごめん」
サクモが手を離すなり、乳を揉まれたサクラは恥ずかしそうに身を縮ませている。
成長し、段々と触り心地が良くなってきたサクラの胸にサクモは満足げに頷いたが、一部始終を見ていたカカシにすれば激怒するなという方が無理だ。

 

「この、くそ親父!!表に出ろ!!!」
「先生、やめてよ。わざとじゃないんだから」
毎日同じようなことがあれば故意だと気付きそうなものだが、サクラはまだサクモを信じている。
自分を押し止めるサクラからサクモへと視線を移すと、彼はカカシをからかうように舌を出していた。
今からでも交流を持とうと思ったのが間違いだったのだ。
「絶対に抹殺してやる・・・」

怒りに打ち震えるカカシに構わず、サクモは後ろからサクラの肩に手を置いて耳元で囁く。
「サクラ、カカシは明日友達と居酒屋に寄って遅くなるそうだから、二人で温泉でも行こう」
「え?」
「もちろん、一泊で」
振り向いたサクラの額にサクモは躊躇い無くキスをする。
「お、お父様!」
「サクラのおでこって、チューしたくなるよね。可愛いーー」
暴れ出したサクラを強引に抱きしめたサクモは、今度は唇のすぐ近くにキスをした。
サクラが真っ赤な顔で硬直したのを好いことに、やりたい放題だ。

いくらカカシでも、人前でここまでいちゃついたことはない。
目の前で行われた一連の行為に、カカシの憤りが頂点に達したのは言うまでもなかった。


あとがき??
可愛い人達だなぁ・・・。
段々と役割が分かってきましたね。

サクラ
どう見てもサクモを愛している風だが、一番大事なのはカカシらしい。カカシと、彼に瓜二つのサクモが大好き!人が良すぎて少々鈍感。
サクモ
亡き妻の面影を重ねつつ、サクラを次の妻にするつもりでいる。いや、すでに自分の妻扱い。サクラといちゃつくことに生き甲斐を感じている。サクラの乳揉みと風呂覗きが日課。
カカシ
可哀相な人。もはや部外者。サクラの戸籍上の夫。仕事が忙しく、サクラに甘える時間が少ないのが悩みの種。三度の飯よりサクラが好き。

・・・・カカシ先生をフォローしようとすればするほど、悲しい感じに。
カカサク好きーとして、問題有りのような。
でもカカサク前提はずっと変わらないです。
サクモに限らず、里の内外にファンの多いサクラですが肌を許すのは先生だけなのでご安心を。
貞淑な妻・・・・というより相手の自分に対する想いに全く気づけない。そういう危なげなところがまた男心を惹きつけるらしい。
15歳の幼妻というところも萌えポイント。
サクラは鈍いままでいて欲しいと思います。

書き続けると延々と続くので、この辺でやめておきます。


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