木ノ葉サマーランド
「俺は海に行こうって言ったんだよ」
「海が嫌だって言ったのはナルトじゃなかったのか?」
「違う、俺が行きたかったのは夏の海!!12月に海に行って寒いだけだろ!約束したのにさ」
「・・・・・おい」
「そんなこと言ったって、任務続きで休みが取れなかったんだからしょうがないじゃないのよ。こうしてプールに連れてきてあげたんだから、勘弁してよ」
「俺は小麦色の肌に日焼けしたかったんだよー。むらがあったら嫌だから、サンオイルまで買っておいたのに」
「おお。意外に用意がいいね」
「・・・・・おい」「でもさー、ここのプールって美人の客が多いって有名なのよ」
「・・・そういえば。でも、俺はサクラちゃん一筋だし!」
「サクラといえば、遅いよなぁ。更衣室混んでるのか?」
「おい!!!さっきから、無視して会話を続けるな!!」
目くじらを立てるサスケに、ナルトとカカシはぴたりと口を閉じる。「・・・何でお前がいるんだっけ」
ナルトが怪訝な顔で言うと、サスケの目はさらにつり上がった。
「お前らが誘拐してきたんだろーが!!さっさとこの縄を解け!」
常夏の楽園をイメージして作られたテーマパーク、“木ノ葉サマーランド”。
そこは寒風吹きすさぶ冬季でも南国のミュージックが流れ、屋内プールの数は10を超す。
もちろん、宿泊施設も完備だ。
たまの休みにカカシは下忍達を連れてこの場所を訪れたわけだが、何故か、プールサイドにいるサスケは体を縄でぐるぐる巻きにされていた。「だって、お前がサマーランドに行くことを拒否したからさ」
「サスケが来ないと、サクラちゃんも行かないって言うし」
「そうしたら、サクラの水着姿も見られないし」
「アホかーー!!!」
見事なコンビネーションで返答するカカシとナルトに、サスケは絶叫する。
「だからって寝起きの人間を引っさらってこんなところに連れてくるか!?」寝込みを襲われたせいで、サスケは一人パジャマ姿だ
プールサイドでその格好は、非常に違和感がある。
さらには体を縄で縛られているのだから、わきを通る人々の視線はほぼサスケに集中していた。
「一人服着てるから恥ずかしいのか?水着なら、俺の予備のがあるけど」
そう言ってナルトがバッグから取り出したのは、股上の浅い豹柄のビキニパンツ。
「ぜってーーー、履かない!!!」
サスケの顔は怒りのあまり血管がぶち切れる寸前になっていた。
「大体な、サクラのあの平らな胸を見て何が楽し・・・・」
「おまたせーー!!」
サスケの声にかぶるようにして登場したのは、セパレートタイプの水着に着替えたサクラだった。
「ここ、広いわねー。すっかり迷っちゃった。でも、みんなに会えて良かった」
えへへっと笑ったサクラはビーチボールやタオルのはみ出した手提げ鞄をビニールシートの上に置く。
全員分のおやつを小分けに用意してきているのが、几帳面なサクラらしかった。「おむすびもにぎってきたのよvあと、足りないものは向こうの出店で買って・・・・」
シートの上に座ったサクラがタッパを開ける中、隅に寄ったナルトはひそひそとカカシに耳打ちをする。
「・・・・サクラちゃん、何だかバストアップしてない」
「やっぱりお前もそう思う?」
二人の邪な視線に気づかず、サクラは水筒の中身を紙コップに注いでいる。
その胸は、けして大きくないが以前に比べればいくらか膨らみを増している気がした。
毎日サクラを観察している二人だからこそ分かることだ。
「サクラー」
「ん?」
カカシに向かってコップを差し出したサクラは、その胸をおもむろに掴まれる。
意表を突かれて固まったサクラの悲鳴が轟き渡ったのは、数秒、間を空けてからだ。
カカシの手を振り払ったサクラは、顔を真っ赤にして立ち上がった。「な、な、な、何するのよ!!!!」
「いや、偽物の乳かと・・・・」
「失礼ね、本物よ!!!これは近所の骨接ぎ医院でバイトしているお兄さんが毎日私の、あ!!」
話の途中、サクラの目はカカシの顔をそれ、はるか後方へと向かっていた。
「・・・・あ?」
「あそこ、見て!焼き芋屋さんがいるのよ。プールであんなのやっていて売れるのかしら。焼き芋ってやっぱり寒いときに食べたくならない?」話を180度変えたサクラは、焼き芋屋の旗を指差して不思議そうに首を傾げている
そんな焼き芋屋のことより、『近所の骨接ぎ医院でバイトしているお兄さんが毎日私の・・・』、の続きの方が気になる3人だった。
サマーランド内は人口の太陽を模したライトが燦々と照りつけ、波の起こるプールと砂浜はまさにビーチさながらの情景だ。
なんだかんだ文句を言いつつも、パラソルの下にいる7班は銘々くつろいだ様子で波間を見つめている。「そういえば、サスケってアカデミーの水泳の授業、ずっと休んでいたよな」
おむすびを頬張ったナルトの何気ない一言に、サスケはびくりと肩を震わせた。
「そうよね。一度も泳いでいるの見たことないわ」
「もしかして、泳げないんだったりしてーー」
カカシの言葉に、ナルトとサクラは大きな笑い声をあげる。「まさかー。ね、サスケくん」
にっこりと微笑んで傍らを見たサクラは、青ざめたサスケに目を丸くした。
「サスケくん、どうかした?体調でも悪いの」
「・・・いや、別に」
答えながら、心なしサスケの手は震えている。
その理由に全く気づかないサクラは、気分転換とばかりにサスケの手を強く引っ張った。
「ねぇねぇ、ご飯も食べたことだし、私、サスケくんと一緒に水遊びしたいなv」
「い、嫌だ。俺はここで待っているから、お前ら勝手に遊んでくればいいだろ」
「えーーー」
「それに、この格好じゃ水につかれない」
「俺の予備の水着が・・・・」
「お前はすっこんでろ!!!」
口を挟むナルトをサスケが怒鳴りつける。
その声の激しさに、ナルトのみならず、隣りにいたサクラまでつい涙目になってしまった。「・・・・私、サスケくんとプールだと思って水着も新調したし、お弁当も作ってきたのに」
呟いたサクラの瞳にはたちまち涙が零れ始める。
サクラがしくしくと泣く中、ナルトとカカシの眼は明らかにサスケを非難していた。
沈黙とすすり泣きに絶えられなくなったサスケは、決意を固めるように自分の手のひらを握り締める。「ら、来年の夏になったら泳ぐ!」
ぶっきらぼうな物言いだったが、サクラの顔はパァッと明るくなった。
何故今泳がないのかは不明だが、来年もまた一緒にプール、または海に行くと約束をしたようなものだ。
「嬉しいーーvv来年は二人で来ようって意味ね」
「誰がそんなことを言った!離れろ、おい!!!」
サクラに抱きつかれてうろたえるサスケを横目に、ナルトとカカシは面白くなさそうに言葉を交わし合う。
「・・・・平らな胸とか言っていたのは、誰だよなぁ」
「全く」
あとがき??
リクエストは「水着を着るサクラを意識するサスケ。ナルトカカシ視点」だったのですが・・・・。
あんまりリクエストは反映されていないように思います。み、水着の部分だけ?
何でこんなにお笑いになっているのか。
それは、私がサスサクを書くのが大の苦手だからです。
そして、うちのサスケ=ギャグの人、だからです。
リクエストを頂いたのが9月で、今は11月・・・・・。
遅すぎて、もはや連絡すらできないです。申し訳ございません。ちなみに、『近所の骨接ぎ医院でバイトしているお兄さんが毎日私の・・・』の続きは『私のために胸が豊かになるツボを調べてきてくれるの』というものでした。(反転させてご覧下さい)
あと、うちのサスケは金槌です。『のだめカンタービレ』の千秋先輩の影響で。(笑)
来年の夏までに何とか泳ぎの特訓をすることと思われます。
アニメでは泳いでいたけどね。119911HIT、あずさま、有難うございました。