願い事は一回
７班の担任のカカシは遅刻の常習者として知られている。
おそらく、下忍などいくら待たせても構わないと思っているのだろう。
遅れる時間も常に３時間４時間と、半端ではない。
よって、その日カカシが集合場所である公園に時間通りに現れただけでも奇蹟だったのだが、優等生のサクラが遅刻したこともまた、他のメンバーを驚かせた。「サクラー、遅れた罰として、何かやってもらうからねー」
「何よ、私は今日の一度だけでしょう。たまたま早く来たからって、先生ってば偉そうに」
「俺は上忍だもん。下忍達の忍耐力を養うために、わざと遅刻してるんだもん」
「ふーん・・・・」
子供じみた言い訳をするカカシに、サクラは反論する気すら起きないらしい。
「いいわよ。待たせたのは事実だから、みんなが望むことを一つだけ何でもやってあげる」
両手を脇に添えたサクラの一言に、カカシだけでなく、その後ろにいたナルトとサスケも目を見開いた。
「「「何でも！！！？」」」
見事に声をはもらせた三人に、サクラは体をびくつかせて後退る。
「そ、そうよ。持ち合わせがないから、お金がかかることは無理だからね」
言ったそばから後悔し始めるサクラだが、三人そろって期待に瞳を輝かされては撤回するわけにもいかない。
そうこうするうちに傍らにいたカカシが突然倒れ込み、サクラは驚きの声をあげた。「え、ちょ、ちょっと先生！？どうしたの」
「あー、大丈夫、大丈夫。ちょっと興奮しただけだから。その辺のベンチで寝転がっていれば治るって」
さして動揺することもなく、ナルトとサスケは昏倒したカカシを近くのベンチへと運ぶ。
サクラに何でもしてあげると言われ、カカシがどのような妄想をしたのか想像に難くない。
口元を覆う布が赤く染まっているのは、鼻血を噴いたせいだろう。
「さて、カカシは戦線離脱したから、俺達だけで話を進めるぞ」
「おお！！」
珍しく息のあった様子でナルトはサスケの言葉に相槌を打つ。
気絶したカカシと共に、後方のベンチに控えるサクラに聞こえていないことを確認しつつ、双方の意見の交換を始めた。「俺、サクラちゃんにスクール水着を着てもらうってばよ。名札入りのやつ！」
熱く主張するナルトは、アカデミーの頃から毎年水泳の授業でのサクラの水着写真をコレクションしていた。
卒業してからはサクラの身体の成長過程を写すことが出来ずに無念だったのだが、これは良いチャンスだ。
しかし、その提案はサスケによってあっさり却下される。
「馬鹿、今は冬だぞ。それよりナースでお医者さんごっこだろう」
「んーー、ちょっと露出が少なくない？」
「チラリズムがいいんだ、チラリズムが。スカートの丈は短くして、服の色はピンクで」
話す合間に、彼らの脳裏にはナース姿のサクラが浮かんでいた。
もちろん患者役はベッドで彼女を待ち受けることになる。
検診に来た彼女を閉じこめてしまえば、あとはベッドのある病室に二人きり・・・。「ナルトーー！！しっかりしろ！」
「はっ・・・・」
カカシ同様、意識が遠のきかけたナルトにサスケが必死に呼び掛ける。
危うく意識を持っていかれるところだった。
「くっ、さすがサクラちゃん、妄想だけでも凄い破壊力だってばよ・・・」
「裸エプロンで手料理を振る舞うくらいにしておくか？」
「うーん、ちょっと待って」
難しい顔で考え込む二人を遠目に眺めるサクラは、もちろん彼らがそのように邪な会話をしているとは思っていない。
「いつの間にあんなに仲良くなったのかしらね、あの二人・・・・」
呟きながら、横になっているカカシの寝顔へ目を向けるサクラだった。
「お待たせ・・・・・って、あああーーー！！何やってるの、そこー！！」
ようやく話がまとまり、後ろを振り向いたナルトは目に映った光景に思わず絶叫する。
気絶していたはずのカカシが、サクラに膝枕をしてもらった状態で二人に手を振っていた。
彼のことだから、おそらく尻を撫でまくるくらいのセクハラは絶対にしているはずだ。
サクラが少し怒っているように見えるのがその証拠だった。「はい、先生のお願いを聞いて膝枕してあげたんだから、もう任務に行くわよ！先生、早く起きて」
「はいはーい」
笑顔のカカシはすっかりご満悦な様子だ。
せっかくサクラにしてもらうことを考えたというのに、鳶に油揚げを攫われた形のナルトとサスケは当然面白くない。
「この卑怯者が」
「先生、ずるいってばよ！！」
「ハハハッ。忍者たるもの、いつでも油断しちゃ駄目なのよ。分かった？」
任務地に向かって歩き出したサクラを横目に、カカシはナルト達をなだめるように言う。
カカシの目が覚めるのが遅ければ、膝枕の要求以上の恥ずかしい目にあっていたとは、先を行くサクラが知るはずもなかった。
あとがき？？
す、す、すみません。いろいろと・・・・。お待たせしたうえに、このような内容で。（汗）
リクエストは７班サクラ総受けでした。
リンク切れを発見してくれたトシ様に捧げます！長々とお待たせして申し訳ございませんでした！！
今後もサイトのどこかでリンク切れの箇所を発見された方は、ご報告をよろしくお願いします。