おんなじ空


綺麗な青い空が天上にあって。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」と楽観的に笑う先生がいて。
どこまでも一緒に行ける仲間がいて。
もう、他には何もいらなかったのに。

今になって、夢に見る。
繰り返し、繰り返し。
「大丈夫」の笑顔。
先生みたいにはなれなかった。

 

 

 

「先生―、暗い顔」
ぼんやりと考え事をしていると、腕を強く引っ張られた。
心配げなナルトの顔に、思考は現実世界へと戻ってくる。
「何考えてたの?」
「・・・・イチャパラ続編の発売延期について」
「くっだらない!」
言下に言い捨てたサクラを見て、ようやく笑い方を思い出した。

火影様に託された大事な生徒。
信じて任されたのに、守れなかった。
今はいないもう一人の生徒を思うたびに憂鬱になる。
いつか救うことが出来るだろうか、本当に。

 

 

「だいじょーぶだよ」
ふいに、肩を叩かれた。
振り返ると眩しい笑顔がそのままあって。
記憶は過去へとさかのぼる。

「エロ仙人も取材旅行にまた出かけたし、どんどん新刊が発売されるよ」
「・・・・ナルトって、悩み事がない感じで、いいわよねぇ」
「馬鹿にしてる?」
恨めしい気持ちで訊ねるナルトに、サクラは苦笑している。
「あんたが「大丈夫」って言うと、本当に何とかなっちゃう気がするわ」

見かけによらず苦労人のナルト。
その笑顔の深さを、サクラもよく分かっていた。

 

「明日も晴れるといいなぁ・・・」
空を見上げると自然と笑顔になり、ナルトとサクラも微笑み返してくる。
昔の仲間はいないけれど、頼もしい生徒達がいてくれた。
青い空は先生の瞳と同じ色。
叱るように、励ますように、いつでも見守っていてくれるに違いなかった。


あとがき??
四代目は、カカシ先生がずっと目標にしている人みたいです。
そのわりに、カカシ先生が「大丈夫」って言って大丈夫だったためしがないんですが。(^_^;)
呪印封じとか、7班がまた仲良くなれるとか、ナルト&サスケを追いかけたときとか。
そうしたへっぽこ具合がカカシ先生の魅力なのかなぁ。


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