またねこ


何しろ危険な仕事ということだった。
久しぶりの
Aランク任務にナルトは「腕が鳴るぜー」と息巻いていたが、他の3人は慎重に歩を進めている。
誰も足を踏み入れない鬱蒼とした森。
“化け猫の呪い”がかけられている噂があるが、詳しいことは何一つ分かっていなかった。

 

 

「その呪いって、どんなものなの?」
「頭に猫の耳が生え出して、そのうち体も完全な猫になるらしい。何かの伝染病かと思って医療班が調べたけど違うみたいだし、周辺の住民がどんどん猫になっちゃうからここは閉鎖されたんだよ」
カカシの話を聞くサスケとサクラはごくりとつばを飲み込む。
原因調査のために森に来たということは、彼らにもいつ呪いがかかるか分からない。
強張った表情で周囲を見回すサクラは、“呪い”という気味の悪い言葉のためにすっかり萎縮していた。
そしてカカシの後ろに隠れるようにして歩くうちに、ふと気づく。

「ナルトは?」
「・・・・あれ」
最後尾にいたはずのナルトの姿が、いつの間にか消えている。
「まさか、呪いの力が・・・・・」
「や、やめてよ!!ナルト、どこに隠れてるのよー!!!ふざけてるんじゃないわよ!!」
カカシの呟きを遮ると、サクラはすぐさま呼びかける。
しかし、サクラの声は静かな森に吸い込まれていくだけだ。
思わず泣きそうになったサクラだが、数秒もしないうちにがさがさと背の高い草が揺れる音がした。

 

「サクラちゃん、呼んだーー?」
「ナルト!!」
ほっとした気持ちで振り返ったサクラは、その瞬間大きく目を見開く。
カカシやサスケも同様で、彼らは唖然とした表情でナルトを見つめた。
「ん、どうしたの?」
「・・・・ナルト、その頭」
サクラが震える手で指をさすナルトの頭にはしっかりと猫の耳が生えている。
作り物かと思って引っ張っても、ナルトが痛そうに顔をしかめるだけだ。

「何か変なものを食べたり、怪しいものに触ったり、した?」
「美味しそうな木の実があったから食べた。そうしたら、みんなが先に行っちゃって驚いたってばよ」
カカシの問いかけるに答えるナルトは鞄に詰めた赤い木の実を見せながら言う。
一見して、里では知られていない物だ。
「ビンゴ」

 

 

 

 

任務終了後、カカシ宅にて開かれた鍋パーティー。
ナルトの頭にはまだ猫の耳があったが、赤い木の実の成分が分かり次第、解毒薬が出来るそうだ。
それさえあれば、今まで猫化した人間も全て元に戻る。
お手柄
7班は特別ボーナスも支給され、皆の顔には満面の笑みが浮かんでいた。

 

「でも、もう暑いってのに、何で鍋パーティーなのよー」
「いいじゃん、親睦が深まるし、鍋ならあまり失敗しないし」
言いながら、カカシは鍋の中に野菜や肉を適当に入れて煮詰めている。
そこに魚介類も混ざり、もう何の鍋か分からないところまできていた。
しかし、量はともかく材料にいいものを使っているせいか味はそれほど悪くない。

「でも、解毒剤が出来たら猫耳ナルトともお別れなのねー」
テーブルで揃って鍋をつつきながら、サクラは名残惜しそうにその耳を見る。
ナルトの気持ちに合わせて動く耳がサクラはなかなかお気に入りだ。
普段、生意気なナルトも耳がくっついていると不思議と可愛らしく思えた。
「サクラちゃんが好きなら、このままにしておくってばよ」
「何言ってるのよー、そのうち本当に猫になっちゃうわよ。ね、サスケくん」
何気なく傍らを見たサクラは、目を見開いて持っていた箸を取り落とす。

「・・・・・サスケくん、それ」
「何だよ?」
驚愕の表情のサクラの視線を追いかけて頭を押さえたサスケは、そこに猫の耳が生えているのに気づいた。
「な、何だ、これはーー!!!!」
「サスケくん、可愛いーーーーvv」
「サクラも可愛いよー」
アハハッと笑うカカシの頭には猫耳が、そしてサクラにも皆と同じように生え出していた。
「どーいうことだ!!」
「俺だけって、何だか仲間はずれみたいじゃん。同じ班だし運命共同体でいこうよ」
犯人のナルトはけろりとした顔で言う。
どうやら、一人猫耳が寂しかったのか、隠し持っていた木の実を鍋に混入したらしい。

 

「アホかーー!!!」
「いーじゃんよ。どうせすぐ解毒剤が出来るんだしー!」
「そういう問題じゃないニャン!」
「サ、サスケくん!!?」
言った本人も口元を押さえていたが、続くサスケの言葉にも語尾に「ニャン」がくっついていた。
どうやらこれも赤い木の実の影響らしいが、どのように出てくるかは個人差があるようだ。
「素敵・・・・・」
猫耳、さらに「ニャン」が付くサスケの言動にサクラはうっとりと呟く。
だが、気取り屋であるサスケにしてみれば生き恥だろう。
真っ赤な顔で震えるサスケをよそに、カカシとナルトはこそこそと動き出していた。

「サクラー、こっち向いてーー」
「え?」
振り向くなり、フラッシュをたかれたサクラは思わず目を瞑った。
猫耳カカシがカメラを構えてにっこり笑う。
「こんな機会もうないだろうし、今のうちに撮っておかないとー」
「いーねーー!!」
「え??」
サクラは怪訝そうに首をかしげたが、カカシは賛同したナルトと二人でさっそく撮影会の準備を始めている。
部屋の隅には照明機材が置かれ、鍋パーティー会場はあっという間に撮影会に早変わりした。

「じゃ、サクラ、さっそくこの衣装に着替えて!」
「・・・・なんでこんなのがカカシ先生の部屋にあるのよ」
「いや、供えあれば憂いなしって言うし」
メイド服を手渡されたサクラは訝しげな表情で衣装とカカシの顔を見ている。
「や、やめるニャン!」
「うっせーなー、サスケはあっちで鍋食べてろよ」
一人で止めるサスケだったが「ニャン」言葉では全く迫力が出ず、ナルトにあしらわれてしまった。
困惑するサクラはカカシとナルトに言いくるめられてメイド服を身に着ける。
この日撮られた写真は他のサクラファンにも配られ、ナルトはマニア達の間で英雄と呼ばれるようになった。

 

以後、カカシの枕元に置かれた写真立てには、昔の仲間と撮ったものや7班のいつもの写真の他に、猫耳付きの7班メンバーの写真が加わったという。


あとがき??
元ネタは、『銀魂』でみんなの頭にキノコが生えちゃう話。
個人的にツボは、サスケの猫耳&ニャン言葉・・・・・。
みんなの猫耳姿、可愛いだろうなぁ。タイトルは猫又のもじりです。
くだらなすぎて、申し訳ない!


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