魁!!木ノ葉高校 2


(注)一応、現代パラレル学園もの。
うずまき家はナルトと四代目の二人暮らし、うちは家はほのぼの四人家族の設定です。

 

 

「どーいうことなんだ、これは?」
久しぶりに実家に戻ったイタチに、サスケは訝しげに訊ねた。
大学生の兄は一人暮らしをしており、滅多に家に帰ってこない。
家族は携帯電話で連絡を取り合っているのだが、数日前サスケに妙なメールが届いた。
送信者はイタチで、文章無しの写真のみ。
満面の笑みを浮かべたイタチが、両手でピースサインをして写っている。
普段物静かな彼にしては尋常でない笑顔で、何があったのか非常に気になった。

「ああ、これか・・・・」
「あら、凄くいい顔しているじゃない。何があったの?」
「・・・・覚えていない」
後ろから写真を覗き込んだ母の問い掛けに、イタチは首を傾げて答える。
確かに何か良いことがあったのだろう。
だが、時が経ったせいか全く思い出せない。

 

「ただ、何となく送っただけだ」
「何となく?」
興味が失せたのか、リモコンでTVを付けたイタチにサスケは目くじらを立てる。
「無責任じゃないか!大体、何で写真だけで文章がないんだ。意思の疎通が出来ないだろ」
「今のメールは大体そんなもんだ」
「そういえば、私も友達からおはぎの写真のメールが来たわよ」
兄弟の会話に、母親も何気に参加している。

「・・・おはぎ?」
「美味しそうだったから、何となく送ったんだって」
「何となくって、そのおはぎを自慢したかったとかじゃなくて」
「そういう意味はなかったみたいよ」
母は茶をすすりながら話を続ける。
考え込むサスケの肩を、イタチは軽く叩いた。
「そういうことだ。今はそれが普通なんだ」
「・・・・そうなのか」
「これからも気が向いたら送るから、慣れてくれ」

 

 

 

こうしてサスケはイタチから度々訳の分からないメールを受け取るようになった。
トイレットペーパーや、糸楊枝の写真を見て悩んでいたのは以前の話だ。
可愛い仔猫の写真が送られてきては顔を綻ばせ、道に咲く花の写真が送られてきては意外に思い、そうこうするうちにサスケはイタチからのメールを心待ちにするようになった。
メールがない日は、気になって何も手に着かなくなってしまう。

 

「あ、来た来た。三日ぶりか」
メールの着信を報せる音を聞き、サスケは慌てて携帯電話に駆け寄った。
そうして開いたメールには、女物のバッグとフルーツジュースが写っている。
場所はおそらく喫茶店だろう。
「・・・女と一緒なのか?」
サスケの疑問を解消するように、続いて送られてきたメールには、イタチが女の手を握って微笑む写真が貼付されていた。
ピースサインといい、笑顔といい、前に見たのと似た写真だが、途中で切られていて肝心の女の顔は見られない。
あのイタチに恋人がいるという話は聞いたことがないが、彼はとにかくもてる。
いない方がおかしいように思えた。
サスケは生まれて初めて返信をしようと思ったのは、好奇心に負けたからだ。

 

『相手の顔は?』
たった一行だが、今までどのメールも受け取るだけだったサスケにすれば目覚ましい進歩だった。
こうして離れて暮らす兄とメールで交流を持つのも、なかなかいいものかもしれない。
子供の頃と違い素直な気持ちは口に出来なくなったが、大切な兄弟なのだ。
何となくほのぼのした気持ちになったところに、イタチからのメールが届く。
『見たいなら、見せてやろう』

イタチと手を繋いで写っているのは、彼と同じように微笑む少女。
桃色の髪の彼女は、サスケが密かに気に掛けているクラスメートだった。

 

 

 

「サスケ、最近見ないなぁ」
早朝の教室で、ナルトは空いたサスケの席を見ながら声を出す。
優等生のサスケにしてはこのような長期欠席は珍しい。
振り向いたシカマルが事情を知っていたのは、ただ家が近所という理由からだ。
「家出したんだってよー」


あとがき??
元ネタは『魁!!クロマティ高校』。2とありますが、1はweb拍手おまけSSの157番です。
これもおまけSS用だったんですが、微妙に長くなったのでこっちに。
サスケ達が高校生なので、イタチ兄は大学生の設定みたいですね。
サクラちゃんの役どころは、クラスのマドンナということで。
前田くんはサスケ以外考えられないのですが、他のキャストは悩みました。
本誌でイタチ兄が出ているので、唐突にイタサク。どうかご勘弁を。


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