肉食


皆の腹の音が高らかに鳴り響いた。
野外演習の最中に遭難するなど、あり得ない。
当然、食料は一日分しか持っていなかった。
深夜の森の中、一カ所に集まって座る7班のメンバーは疲れた顔で俯いている。
小さな泉を見つけ、喉を潤すことが出来ることだけが救いだろうか。

 

「パックンがいれば、何があっても大丈夫だと思ったのに・・・」
「面目ない」
カカシの忠実なる忍犬は、申し訳なさそうに頭をさげた。
先ほどからくしゃみを繰り返すパックンは花粉症で、この時期は自慢の鼻が全く役に立たなくなる。
彼が正常な状態ならば、きちんと人里まで案内してくれるはずだった。
「腹減ったよぅ・・・・」
何度目か分からない呟きをナルトがもらしたとき、サクラは傍らに座るパックンをぼんやりと見つめた。
「ねえ、異国には、食用の犬がいるって本当なのかしら」

サクラのその言葉に、一同の視線が一斉にパックンへと注がれる。
身の危険を感じたパックンがカカシに駆け寄ると、彼は憤怒の形相でサクラを睨み付けた。
「な、なんてこと言うんだ、サクラ!!!パックンは大事な俺の家族だぞ!」
「・・・別に、パックンを食べようなんて一言も言っていないじゃない」
くすりと笑うサクラの手には、何故かクナイが握られている。
「じゃあ、その刃物は!!パックンを切り刻むつもりじゃないのか」
「ただ、手入れをしたくなったのよ」
その表情とは裏腹に、サクラの目はけして笑っていなかった。

「そういえば、犬の調理法がうちは家の本の中にあったな。偶然、この鞄に入っていた」
「何でそんなもの持ち歩いてるんだよ!!」
「パックン、今まで有り難う!これからも、パックンは俺達の中で生き続けるよ」
「勝手に成仏させるな!!」
カカシが必死にパックンをかばう中、下忍達はじりじりとその距離を詰めている。
空腹のため、正常な判断が出来なくなっている彼らの瞳は餌を求める野獣そのものだった。
「嫌だ!!パックンは絶対に渡さないぞーー!!!」

 

 

 

自分の叫び声で、カカシはハッとして目を覚ました。
膝の上には愛読書があり、どうやら任務中に本を読んでいて寝てしまったらしい。
「おい、あっちの草むしりは大体終わったみたいだぞ」
「パックン!」
自分の代わりに下忍達のおもりをまかせていたパックンが近寄ると、カカシは瞳を輝かせた。
「無事で良かった!!!」
「・・・・く、苦しい」

パックンを抱きしめ、涙を流すカカシを、後からやってきたサクラが怪訝そうに見ている。
「先生、パックンが圧死しちゃうよ」
「犬鍋や犬ハンバーグになるよりマシだ」


あとがき??
ボッスさんからのリクエストで、「7班で一日野外演習ギャグ。カカシvsサクラで晩ご飯のメニューを巡って大闘争!その時ナルトとサスケは…!?」というものでした。
ちょっとシュールですよね。パックン、ごめん!!
それにしても、これはカカシ×パックンでしょうか・・・・。あれ。

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