ZOO


「上忍の間で、恋人を動物にたとえると何になるか、訊くのがはやってるんだ」
「へー」
「俺は猫って答えておいたよ、サクラv」
「・・・・何で私に話をふるのよ」
肩に置かれたカカシの手を振り払うと、サクラは素っ気なく言った。
確かに猫っぽいかもと思うナルトは、カカシは犬だろうかと考える。
サクラにすり寄るカカシは尻尾をさかんにふる犬を連想させた。

「ちなみに、アスマは女王アリって言って紅に殴られてた」
「えっ、アスマ先生って紅先生と付き合ってたんだ!」
「知らなかったねー」
サクラとナルトは驚きの声と共に顔を見合わせた。

 

 

任務の合間にそんな話をしたからだろうか。
翌朝、ナルトが目を覚ますと狐になっていた。
いや、狐そのものというわけでもなく、狐の耳やしっぽ、髭が生えている程度だ。
耳を引っ張ったが、痛い。
とりあえず、遅刻をするとサクラに怒られるため、ナルトは着替えて集合場所へと向かう。
すると変化はナルトだけではなかったようだ。
体格の良い八百屋の主人は熊に、ちょこまかとよく動く定食屋の店員は鼠に、よく喋る近所の主婦は九官鳥に似た姿になっていた。
どうやらナルトの目にそう映るだけで、巷の人間は普段通りの日常を送っているらしい。

 

「とすると、サクラちゃんは・・・・・猫かな」
歩きながら、ナルトは想像を巡らす。
何故不思議な現象が起きたのかより、状況を楽しんだ方が得だ。
周りをきょろきょろと見回しながら集合場所に到着すると、案の定、サクラの頭には猫耳が生えている。
「サクラちゃん、可愛い〜v」
「ちょ、ちょっと、何すんのよ!」
にやけ顔のまま抱きつくと、思い切り頬を引っかかれる。
少しばかり血が出たが、毛を逆立てるサクラはやっぱり可愛い。

「ナルトー、お前、何羨ましいことやってんだよ」
「あ、番犬」
不満げに腕を組むカカシの頭には犬耳があり、ナルトは思わず呟いていた。
「先生、何で時間通りに来てるのさ」
「サクラにプレゼントがあるから。早く渡したかったんだー、はい、サクラv」
「・・・・何だっけ」
「とぼけちゃって。昨日これが欲しいって言ってたじゃないの」
「知らない」
「そんな・・・」
カカシの手の上にあるハワイアンジュエリーを見たサクラは、言葉とは裏腹に満足そうにそれを受け取る。

「でも、可愛いわね。もらっておくわ」
「えっ」
驚くカカシに、顔をあげたサクラはにっこりと微笑んでみせた。
「カカシ先生、有り難う」
「サクラvv」
その笑顔に感激したカカシはサクラをひしと抱きしめる。
一度突き放されたと思っただけに、喜びはひとしおだ。

 

「うーん、見事に調教されてる・・・・」
何度も頷いたあと、ナルトは一人離れた場所にいるサスケへと顔を向ける。
「ところで、お前、何なの」
「何って、何だ」
「えーと・・・・」
ナルトはサスケの体を頭から足の先まで眺めたが、何だかよく分からない。
動物の耳は付いているが、微妙だった。
リスに似てるが、少し違うようだ。

「お前、自分を動物にたとえると何だと思う?」
「プレーリードッグだ」
何故かえらそうに胸を張っているサスケに、ナルトは半眼で言う。
「分かりにくいんだよ・・・」

 

 

 

瞳を開けると見慣れた天井があり、自分の部屋で横になっていた。
半身を起こしたナルトは頭に触れたが、そこに耳らしきものはない。
妙な夢を見たようだ。
朝食を済ませ、身支度をして外に出たが、もちろん近所の住人に変化はなかった。

いつも通り、集合場所にやってきたナルトは朝の挨拶をするサクラに笑いかける。
「やっぱりサクラちゃんはそのまんまが一番可愛いなぁ」
「何、訳の分からないこと言ってるのよ」
ナルトは怪訝な表情のサクラから、しかめ面をしているサスケへと視線を移す。
「お前は、プレーリードッグの方が良かったな・・・」
いくら無愛想でも、耳でも生えていればまだ可愛げがあるような気がした。


あとがき??
リクは「相手を動物にたとえると」だったんですが、よく分からない話になってしまいました・・・。ごめんなさい。
参考として頂いたmitsuさんの漫画の方が面白いです。カカシ先生とサクラもラブラブです。

337000HIT作品。
長々たお待たせしてすみませんでした!


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