きぐるみん


珍しく、カカシが予定通りの時刻にやってきた朝だった。

 

「お待たせー!」
一番最後に到着したサクラは、同じ班のメンバーに手を振りながらやってくる。
その姿を、一同唖然とした顔で見つめた。
理由はサクラの服装だ。
服と言っていいかも分からない。
ウサギの着ぐるみを身につけたサクラは、彼らの困惑に気づかず微笑を浮かべている。

「サ、サクラ、それは・・・」
「今、着ぐるみがはやっているのよ。私がドンキーでみんなの分も買っておいたから。はい!」
サクラは全員に着ぐるみの入った包みを配っていく。
何となく受け取ってしまったカカシとナルトだが、ただ一人、難しい顔をしているのは7班の突っ込み役であるサスケだ。
「お前、こんなの着たら仕事がしにくいだろう」
「修行の一つと思えば平気よ。それに、万が一敵と遭遇しても、この格好なら向こうも怯むでしょ」
「・・・・・」

サスケはサクラの姿を眺めつつ思案する。
ピンク色のウサギになっているサクラ。
小首を傾げる仕草は、確かに可愛い。
着ぐるみのおかげで、愛らしさも倍増だ。
サスケがもし敵として彼女と相対しても、攻撃できる自信はなかった。

 

「俺も着てみたってばよー!」
何の疑問も持たずに着替えたナルトだったが、黄色のキツネの着ぐるみは彼によく似合っていた。
「キャーー!ナルト、可愛いーーー!!」
サクラに飛び付かれたナルトは、顔を真っ赤にしながらも満面の笑みだ。
それを見たカカシとサスケは、無言のまま着ぐるみの入った包みを開ける。
カカシは白と黒のパンダ、サスケは水色のペンギンだった。

「二人も着てくれるの!?」
瞳を輝かせるサクラには逆らえず、数分後には着ぐるみグループとなった7班がいる。
嬉しそうに笑うサクラに、たまにはこれでもいいかと思ってしまう駄目な7班の面々だった。

 

 

 

「アスマ先生、あれ・・・・」
「しっ!目を合わせちゃ駄目だ!!」

指をさしつつ声を出したいのを、アスマは厳しく叱咤する。
任務の帰り道、たまたま7班と一緒になった10班は彼らを遠巻きに眺めていた。
町中を着ぐるみで歩く7班は異様に目立っている。
その名の通り、人目を忍ぶ存在である忍者にあるまじき愚行だ。
ウサギサクラと手を繋ぎ、笑み崩れるパンダ上忍の姿が何とも痛ましい。

「兎の肉って美味いのかなぁ」
スナック菓子を食べるチョウジの傍らで、シカマルは大きなため息を付く。
「木ノ葉の恥だ。まさか、サスケまであんなおかしな着ぐるみを・・・」
「担任に影響されるんじゃないのー」
チョウジは鞄から新たな菓子を出ながら答える。
やに下がったカカシの顔を見たシカマルは妙に納得しつつ、自分達の担任がまともだったことを心から神に感謝した。

 

「まぁ、俺達には関わりがないことだ」
踵を返したアスマは、誰かに袖を引かれてつんのめる。
振り向くと、いのが両手を合わせておねだりのポーズをしていた。
「私もみんなで着たい。着ぐるみ」
「え!?」


あとがき??
着ぐるみがはやっていると聞きまして、パッと頭に浮かびました。
それぞれの動物の姿になったメンバーを想像すると、楽しいです。
チョウジ、シカマル、担任の先生に影響されてるせいじゃないのよ。
サクラの愛らしさが皆を狂わせるのですよ。(笑)

melさんのサイトのイラストに10班がいたので、彼らもゲスト出演。
リクは7班ほのぼのとサスサクだったのに、後者が入っていなくて申し訳ないです!
素敵なイラスト、有難うございました。


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