サクラ100%


マスクの下の、カカシの素顔。
どこにいても、何をしていても、カカシが視界に入るたびに気になる。
一度マスクを剥ぐ作戦を失敗して以来、つい「出っ歯」や「たらこ唇」のカカシを想像してしまうのだ。

 

 

「・・・そんなに見たいの?」
朝、集合場所にやってきたカカシは、自分の顔を凝視している下忍達に訊ねる。
「見たいわよ!ねぇ、ナルト」
「うん」
力強く頷いたナルトを見て、カカシは思わずため息を付いた。
「お前らが期待しているような面白いものは、この下にはないよ」
「それなら、見せてくれてもいいじゃないのー」
「ねー」
まとわりつくサクラとナルトを眺めていたカカシは、思案顔で腕組みをした後、ゆっくりと口元を綻ばせる。
「・・・・じゃあ、交換条件」
「え」
「迷い犬探しの任務中、サクラがそれを脱いでくれるなら、素顔を見せてあげる」

微笑したカカシが指し示したのは、サクラが穿いているスパッツだ。
上着が長いせいもあり、それを脱いでも尻は何とか隠れる。
だが、脇にあるスリットのせいでかなり際どい格好になることは目に見えていた。

 

「い、嫌よ!!絶対に嫌!!!!」
「そう?お前達、一生この下を見られないよ」
真っ赤な顔で叫んだサクラに、カカシは顎をさすりながら意地の悪い笑みを浮かべる。
歯噛みしたサクラを横目で見たナルトは、彼女の腕を強く握り締めた。
「サクラちゃん、お願いだよ!たった一日のことなんだから、我慢して!!先生の顔が見られるチャンスなんて、もう無いかもしれないんだよ!」
「ナルト・・・」
妙に力のこもった熱弁は、カカシの素顔を暴く計画を練っていたとき以上のものだ。
「・・・・あんた、目的が変わっていない?」
「誤解だよ!!俺はただ純粋に先生の顔の謎が解きたいだけだって!サクラちゃんが一枚脱いでくれれば、先生のことを気にせず安眠出来るんだよ」
必死に説得を試みるナルトだったが、サクラの決心が揺らぐことはない。
「やっぱり、嫌」

がっくりと肩を落としたナルトの頭を叩くと、カカシは笑顔で提案する。
「しょうがないねー、ジャンケンで決めようか」
「ジャンケン?」
「俺が勝ったらサクラが脱ぐ。サクラが勝ったら俺が脱ぐ。五分五分の確立でしょう」
「・・・・」
期待に瞳を輝かせるナルトの隣りで、サクラは眉間に皺を寄せながら考え込む。
サクラとて、カカシの素顔は見たい。
最後の最後で誘惑に負けてしまったのは、サクラが好奇心旺盛な子供だったことが原因だろうか。

 

 

「一回勝負だからね!」
「うん。ジャン、ケン・・・」
「あーー!!!」
二人が手を振りかぶった瞬間、唐突に声を発したナルトにサクラは注意を逸らされる。
そして、視線を元に戻したときには、すでに勝敗は決していた。
カカシがグーでサクラがチョキ。
事態を把握出来ず呆然としていたサクラは、にやりと笑ったカカシを一目見るなり、謀られたことを悟る。

「こ、こんなの、ずるいわよ!先生が後出ししたに決まっているわ!!ナルト!」
「ごめーん。そこの木の陰に怪しい人影が見えたようだったけど、気のせいみたい」
へらへらと笑うナルトに見切りを付けたサクラは、救いを求めるようにサスケへと顔を向ける。
「サスケくん!」
一部始終を見ていたサスケならば、カカシの不正行為を証言してくれるはずだ。

 

カカシの素顔か、サクラの太股か。
カカシとナルトの目配せが無くとも、サスケの胸の内は最初から決まっていることだった。

 

 

 

 

「うう・・・・。恥ずかしい」
「大丈夫だよー。こんな森の中、俺達以外いないし」
服の裾を両手で伸ばしながら歩くサクラに、カカシは全くフォローにならない言葉で慰める。
確かに他の人間の気配はないが、三人に見られているだけでも十分だ。
風が吹くたびに尻を押さえるサクラの様子を傍観しながら、彼女以外の7班の面々は和やかムードだった。
普段、諍いの耐えないナルトとサスケも大人しくしている。
いや、神経を集中してサクラの素足を眺めていると言った方が正しい。

「次の賭は上着を脱ぐようにしようか」
「鎖帷子のサクラちゃんも、良いよねぇ・・・・脇からちらりと胸が見えたりして」
「・・・・」
ひたすら妄想を膨らませる三人は自然とサクラの背後に回り込み、肩を並べて歩いている。
しくしくと涙するサクラの耳に、彼らの会話が届いていなかったのがせめてもの救いだった。
もはや彼らの頭からはカカシのマスクのことも任務のことも消え去っている。
ただ一人、任務を早く終わらせたいばかりに、真面目に犬を探しているサクラだったが、このまま暗くなれば作業が明日へと持ち越されることは必至だ。

 

ふいに起こった突風に服を煽られたサクラは、耳まで赤い顔で振り返った。
「・・・・見えた?」
「全然」
三人揃って首を振った後、カカシは小さな声で呟く。
「桜の花柄かぁ・・・・」


あとがき??
・・・・こんなに、いやらしい話になるとは思いませんでした。
ごめんなさい。
ほのぼの7班の話のはずが、ただのサクラいじめ駄文に。(=_=;)
太股(&下着)のチラリズムが何とも・・・。萌。


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