こんにちは赤ちゃん
「カカシ先生・・・・・物凄く嫌がってるみたいなんだけど」
「うるさい!寝起きだから、ちょっと機嫌が悪いだけだっての」
言ったそばから、カカシが抱えている赤ん坊は火がついたように泣き出した。
母親のサクラが抱けばすぐに笑顔になるのだが、父親としての面目を保つため、カカシは自分一人の力で何とかしようと躍起になっている。
現在、はたけ家では新たに誕生したベビー、快のお披露目パーティーが行われていた。
白銀の髪に青の瞳、常に眠たげな快の顔はどう見てもカカシ似だ。
快に会うためにやってきたナルトとサスケは、足元にいる小桜と共にはらはらとしながらカカシを見つめている。「せっかく来たんだし、俺にも触らせてよ。ねっ」
泣き続ける快を見かねてナルトが手を伸ばすと、カカシは渋々彼に赤ん坊を渡す。
だが、状況はあまり変わらなかった。
むずかる快に対して次に手を差し出したのは、彼の姉の小桜だ。
「私に任せて!」
「・・・大丈夫?」
まだ幼い小桜に赤ん坊を持てるのか不安だったナルトだが、一応彼女の要求に応えて快を腕に抱かせる。
すると不思議なことに、快はぴたりと泣くのを止めた。「小桜ちゃん、凄いー!」
「お姉ちゃんだもの」
えへへっと得意げに笑った小桜だったが、油断したのが悪かった。
緩んだ手の隙間から、快がぼとりと床に落ちる。
思い切り、頭からだ。
「ギャーーーーーー!!!!」
その場にいた全員が絶叫したのと、快が家中に響き渡る泣き声をあげたのはほぼ同時だった。
「ど、ど、ど、どうしようー!私のせいで快が馬鹿になっちゃったら!!」
「お、落ち着け、落ち着くんだ!まず救急車を呼ばないと」
「先生、それ、電話の受話器じゃなくてスリッパだって!小桜ちゃん、そっちは玄関じゃなくて押し入れだから!!」
うろたえる彼らは意味不明な行動を繰り返している。
そうこうするうちに、ジュースのペットボトルとコップを持って居間にやってきたサクラは、周りを見回して安堵の吐息をもらした。
「何だ。騒がしいから快に何かあったのかと思ったけど、平気みたいね」
「えっ!?」サクラの声を聞いて後ろを振り向いた三人は、その時初めて快を抱いて立つサスケに気付く。
先程までの不機嫌な顔はどこへやら、快は楽しげに笑い声を立てていた。
「・・・・ちょっと、何で父親の俺よりサスケに懐いているわけ?」
「知らん」
子持ちでもなく、赤ん坊を扱う覚束ないその手つきはカカシと一緒だ。
それでも、サスケを見上げる快は間違いなく嬉しそうに笑っている。「・・・赤ん坊でも、顔の作りが美形とかって分かるのかな?」
「失敬な!俺のどこがサスケに劣るっていうんだ」
ナルトの一言にいきり立つカカシだったが、誰も加勢する者はいない。
こうして新たに家族に加わった快は皆に温かく(?)迎えられたのだった。
あとがき??
私の実体験が元ネタです・・・姉に落とされたのは私ですが。一応、家族6人総出演ということで。
この度は、私なぞが創作したファミリーシリーズを親愛なるケイ太さんに本にして頂けることになり、大変嬉しく思います。(涙)
妙な駄文になってしまいましたが、謹んで献上させて頂きます。
どうぞご自由にお使い下さい。