(おまけSSシリーズ131)『私の心』

 

「本当になんだから。だまされたと思って、試してみてよ」
カカシに向かって手を伸ばしたサクラは、胸を張って言った。
彼女は掌を握るだけで、その相手の好きな人物を当てるという。
ちなみに、今までズバリ当てたのは、ヒナタやテンテンやテマリの想い人。
それぐらいならば、カカシにも見ているだけで分かる気がした。

「ほら、先生も手を出して。好きな人を当てるから」
「はいはい」
全く信じてはいないが、カカシはサクラの言うとおり手を差し出す。
彼の掌を握るサクラは、何やら真剣な表情で目を瞑っていた。
そもそも現在好きな女性がいないのだから、当たるはずがない。
何を言われるのだろうかと思いつつサクラを眺めていると、彼女の瞳が開かれる。

「私でしょう」
意味深な笑顔を浮かべるサクラに、どきりとする。
否定しようと思ったのに、口から出たのは疑問の言葉。
「何でそう思う?」
「そうだったらいいなぁと思ったから」

微笑むサクラから、何故か目をそらせない。
これも、ズバリ当たったということになるのだろうか。

 

あとがき??
ヒナタちゃんはともかく、テンテンやテマリの好きな人って誰かなぁ??
サクラちゃんの作戦勝ちということで。

 

 

(おまけSSシリーズ132)『相合い傘』

 

任務が終わった夕方から、雨が降り出した。
だが、天気予報で注意を促していたこともあり、皆、傘を持参している。
中でも、サクラは新品の傘を嬉しそうにカカシに見せびらかしていた。

「桜の花の柄なのよ。可愛いでしょう」
「うん、うん。でも、この傘サクラには少し大きくない?」
「ちょうどいいわよ。二人用だから」
にっこりと笑ったサクラは、傘をカカシに向かって差し出した。
言われた意味を考えたカカシは、少々時間を空けてサクラを見やる。
「・・・・俺、折り畳みの傘を持ってきてるけど」
「二人用の傘なの」
サクラは笑顔のまま繰り返す。
無言になったカカシは、サクラの威圧感に負けてその傘を手に取った。

「帰りましょうか、お姫様」
「うん」
桜の花柄の傘を開いたカカシにサクラがぴったりとくっつき、二人は同時に足を踏み出す。
カカシの折り畳み傘の出番は当分ないようだった。

 

あとがき??
サクカカ。すでに尻に敷かれている様子のカカシ先生でした。

 

 

(おまけSSシリーズ133)『砂糖』

 

カカシはいつも遅刻してくる。
それが5分や10分でなく、何時間の単位なのだから、下忍達の不満は増すばかりだ。
そして、考えた仕返しがそれだった。

「昨日、3時間かかって作ったのよ。残さず食べてね!」
サクラは生クリームたっぷりのケーキが乗った皿をカカシに差し出して言った。
カカシは甘いものが大の苦手だ。
だが、渋るようならサクラが得意の嘘泣きをすれば、カカシは仕方なく食べることだろう。
作ったサクラでさえ、見ただけで胸焼けを起こしそうなケーキだ。
実際は半分ほど食べれば勘弁しようと思っていたのだが、意外にもカカシは笑顔でそれを受け取る。

「有難う。わざわざ俺のために作ってくれたの?」
「・・・うん。でも、無理だったら」
「食べるよ」
抵抗すると思っていただけに、拍子抜けだった。
頭を撫でて自分をねぎらうカカシに、サクラは妙な罪悪感を覚える。
そしてカカシはサクラ達の見ている前で、見事にケーキを平らげてみせた。
引きつった笑顔を浮かべながら。

 

「足、よろけてたよなぁ」
「ああ・・・・無事帰れたかどうか」
計画は成功したというのに、下忍達はどうも気落ちした表情で顔を見合わせる。
ただの生徒に対する愛情というたけで、片づくものではない。
「先生ってば、本当にサクラちゃんのこと好きなんだね」

 

あとがき??
合掌。サクラの手作りなら、石でも食べそうな先生です。

 

 

(おまけSSシリーズ134)『テンテンちゃんの占い』

 

「先生ー、ガイ先生のところに、テンテンさんってくの一がいるでしょう」
「あー、うん」
「彼女、占いが得意なのよ。それで、この間私のことも占ってもらったの」
「へー」
「私の運命の人は、黒い髪の人らしいわよ!やっぱりサスケくんかしら、それともリーさんかも」
「そー」
「・・・・」
サクラが何を言っても、カカシは生返事をするだけだ。
イチャパラを読みながら歩くカカシを、サクラは後ろから蹴りつける。

「いったー!何するのさ」
「上忍なんだから、よけてよね!」
カカシにあかんべえをすると、サクラはそのまま駆け出した。
本当は、「運命の人は銀色の髪」と言われて、嬉しかったのだ。
だが、カカシの反応を見ると、テンテンの占いは外れたにちがいない。

 

翌朝、いつものように遅刻して現れたカカシを見るなり、サクラは開いた口が塞がらなくなる。
髪が、黒くなっていた。
ナルトとサスケも驚いているが、昨日占いの話をしただけに、サクラはなお一層の衝撃だ。
「似合う?」
「・・・・銀の方が格好良い」
カカシを見上げながら、サクラは馬鹿な人だなぁと思う。
だけれど、そうしたところにたまらなく惹かれるのだ。

 

あとがき??
話を聞いていないようで聞いている先生。サクカカも良いv
『闘の書』でテンテンちゃんが占いが趣味と分かり、つい書いてしまいました。

 

 

(おまけSSシリーズ135)『カカシ先生のピンク』

 

任務の帰り道、森の中でうろついている二人の少女を見つけた。
金髪の気の強そうな子供と、泣きべそをかいているピンク色の子供。
おそらく、遊んでいるうちに迷ってしまったのだろう。
金髪の子がもう一人を励まして、必死に出口を探している。

「しょーがねーな。こんなところ滅多に人が通らないし、家まで送ってやるか」
「俺、ピンクの子」
面倒くさいと言いそうなカカシが、いち早く返事をした。
振り向いた暗部仲間は、不思議そうに首を傾げる。
「知り合いか?」
「んーん、でも、俺、あの子がいいv」
「・・・・・」
弾んだ声を耳にして、妙に不安になる。
こうして話している間も、カカシの目はピンクの髪の子に向かっているのだ。

「家まで送っていくだけだぞ・・・・」
「分かってるってー」
ハハハッと笑うカカシの横顔を眺めつつ、絶対に分かっていないと思う暗部仲間だった。

 

あとがき??
暗部時代のカカシ先生と、幼女サクラっす。
金髪はもちろん、いのちゃん。
何となく、ちっこいサクラを書きたくなっただけです。たまに、書きたくなる。
これで終わりだけれど、続きがありそうな感じになってしまった・・・。(適当)

 

 

(おまけSSシリーズ136)『気になる』

 

「どーしたの、それ」
「取り替えたの」
カカシが朝、集合場所にやってくるとナルトとサクラの服が入れ替わっていた。
サスケが来たときには、すでに二人はその姿だったらしい。

「サクラちゃんってば、俺と同じサイズだってばよ」
「・・・・むかつくわね。胸のあたりに余裕とか、ないの?」
「ぴったり」
乙女心など知らずに返答するナルトの頬を、サクラはつねっている。
サクラのスリット入りの服を着るナルトは可愛い。
少年の服を着るサクラも同様に可愛い。
だが、それ以上に。

いつ、服の取替えっこをしようなんて話になったの?
どこからその服を着て来たわけ?
もしや、サクラがナルトの家にお泊りした!?

いちゃつく二人を眺めながら、様々な疑問がカカシとサスケの頭を渦巻いているのだった。

 

あとがき??
ナルト服のサクラと、サクラ服のナルトが見たいよーーー!!
かわいこちゃんS。

 

 

(おまけSSシリーズ137)『モデル、失格』

 

サスケは写真を撮られることが大の苦手だった。
7班の集合写真も、周りが宥め賺してなんとか撮影したものだ。
もちろん、理由はある。

 

「お前、これ全部目を瞑ってるじゃんかよー」
「・・・うるさい」
親睦を深めるという理由で、休日にサスケの家に押しかけた7班の面々は皆爆笑している。
棚にあったアルバムを、サスケの隙を見て広げたのだが、ナルトの言う通りだった。
レンズに顔を向けたサスケは、どれも目を瞑った姿で写っていた。
写真を撮る、ということで緊張して、ついそうなってしまうのだ。
7班の写真がまともなのは、珍しい例だった。

「私の持っているサスケくんの写真、全部隠し撮りだから気付かなかったわ・・・」
ぼそぼそと呟くサクラは、今日もちゃんとカメラを持参していた。
何しろ、サスケの家に入れるなど滅多にないことだ。
サスケ付きで写真を撮りまくろうと思ったのだが、本人に禁止されて渋い顔をしている。

 

「ねぇ、サスケくん。目を瞑らないおまじないをしてあげるから、一枚くらい撮ろうよ」
「・・・おまじない?」
「うん。これ、先生お願い」
壁に掛かった絵の前で強引にサスケと並んだサクラは、カカシにカメラを預ける。
レンズを見てさっそく顔を強張らせたサスケの頬に、背伸びしたサクラは掠めるようなキスをした。

「はい、チーズ・・・」
確かに、目は瞑っていないが、驚愕の表情のサスケが写っていることだろう。
「な、な、何するんだ、お前はー!!」
「だから、おまじないだってば」
「サクラちゃん、俺も、俺も一緒に撮る!」
顔を真っ赤にして抗議するサスケとサクラ、間に割り込んで叫ぶナルトの写真も追加して撮っておく。
そして、後で自分もおなじない付きで写真を撮ってもらおうと心に誓うカカシだった。

 

あとがき??
仲良し7班。何だか、久しぶりにサスサクを書くと、変な感じが。
やはりサスサクは自分で書くより人様の作品を読む方が好きなのだろうか・・・。
しかし、写真で眼を必ず瞑る人って、本当にいますよね。
そいえば、母が友人達と花見に行った際、カメラを頼んだ若者に言われたそうだ。
「顔、写しますかー?」と。
おばさん達がみんなで桜の花の前で並んでいるのに、他、どこを写せと言うのか。(^_^;)
パンチがきいたギャグだなぁ。

 

 

(おまけSSシリーズ138)『しようよ』

 

「サクラー、キスしていい?」
「・・・駄目」
「じゃあ、する」
熱心に本を読んでいるサクラの横顔に、カカシが無理矢理チューをする。
多少顔をしかめたものの、推理小説が佳境に入っているサクラは再び本に集中した。
それから、数分経った頃だろうか。
「サクラー、キスしていい?」
「・・・いいわよ」
「じゃあ、する」
試しに心と裏腹のことを言ったサクラだが、結果は同じだった。
向かいの机にいる少年が顔を赤らめて自分達の様子を気にしているのが恥ずかしい。
再びチューをされたサクラは顔を引きつらせながら椅子から立ち上がる。

「先生、ここ、図書館なんですけど!!」
「知ってるー」
「本を読む邪魔をする人は出ていってよ!!!ドアはあっちよ!」
「・・・・俺よりサクラの方が邪魔になってると思うけど」
「えっ」
思わず驚きの声をあげたサクラだが、事実だ。
閲覧室にいる人間の目は全てサクラに向けられている。
サクラの眼前までやってきた図書館司書の女性は、二人にニッコリと笑いかけて言った。
「出ていってください」

 

 

「もうすぐ読み終えたのに・・・・」
項垂れて歩くサクラの肩をカカシが優しく抱く。
「だから、最初からうちに来れば良かったんだよー。同じ本、持ってるからさ」
「・・・・」
目を細くするサクラは、警戒するようにカカシを見る。
「先生・・・、何にもしない?」
「うん」
カカシは人当たりの言い笑みを浮かべながら答える。
続く、「まぁ、家に着いたら状況に応じて・・・」という言葉は、一応言わないでおいた。

 

あとがき??
ただラブラブーな二人を書きたかった。カカ→サク。
どちらかの家かと思ったら、図書館だったんだ、と途中から知りました。

 

 

(おまけSSシリーズ139)『風呂上り』

(注):サスサク夫婦設定のSSです。暗い部屋にある『血途』シリーズ延長。
二人は結婚していて、サチとユキという息子がいます。
続きますので、サスサクが駄目な方はここでストップしてください。

 

 

「どーしたんだよ、暗い顔して」
机に頬杖をつくサスケの肩をナルトが軽く叩く。
彼とは違う部署で働くナルトだが、たまたま用事があって来ていたらしい。
「悩み事かー?まさかサクラちゃんに何かあったんじゃないよな」
「・・・・・」
確かにサクラに関わることだが、心配事とは違う。
口に出していいものかと一瞬悩んだが、周りには他に人影はない。
思わず心情を吐露してしまったのは、ナルトが昔からの友人で、口外しないと約束したからだ。

「ふむふむ。サクラちゃんが、風呂上りに裸で部屋をうろつくのをやめてほしい・・・と」
腕組みをして頷いたナルトは、怪訝な表情になる。
「うらやましいじゃん。何、のろけだったの?」
「素っ裸だぞ、素っ裸!注意しても「暑いから」って聞きもしない!!」
「えー、ムラムラとかしないわけ?」
「何もつけていないと逆に何の気も起きない」

 

 

そんな会話をした日の夜、仕事帰りのナルトはさっそくうちは家に向かった。
滅多に姿を現さない客をサクラは嬉々として迎え入れる。

「ナルトってば、どうしたの?仕事は相変わらず忙しいんでしょ」
「まあね。・・・・サクラちゃん、今日はまだお風呂入ってないんだね」
「ええ」
首を傾げるサクラにナルトは紙包みを手渡した。
「これ、プレゼント」
「え、何?」
包みを見ながら、何かの記念日だったかと考えるサクラにナルトはにっこりと笑いかける。
「エプロン。これ一枚だったら、暑くないでしょう」
「えっ??」
「帰れ」

振り向くと、いつの間にか廊下に出てきていたサスケがナルトを睨み付けていた。
突然のプレゼントといい、ナルトが妙ににやついているのがサクラには謎だ。
そして、サスケが顔を赤くするのは珍しいと思った。

 

あとがき??
裸エプロン〜。
ちなみに長男のサチくんはまだ赤ん坊なので出番なし。
安住さんのラジオ番組に出てきた、リスナーの悩み事をサスサクで書いてみる。
いや、これ、サスサクで書いてみたかったんですよ。(何故)

 

 

(おまけSSシリーズ140)『父の土産』

(注):サスサク夫婦設定のSSです。暗い部屋にある『血途』シリーズ延長。
二人は結婚していて、サチとユキという息子がいます。
続きますので、サスサクが駄目な方はここでストップしてください。

 

 

「おかえりなさいー」
ソファーでくつろいでいたサチとユキは出張から帰ってきたサスケに声をかける。
すると、彼にしては珍しいことに、紙包みを1つずつ彼らに手渡した。
「え、これってお土産!!?」
「何だろー」
目を丸くするサチの傍らで、弟のユキは包み紙を開けている。
中から出てきたのは、『新選組!』と書かれた大きな提灯。
とくに幕末好きでないユキには、正直微妙な土産だった。
これならば、八つ橋をもらった方がまだ喜べる。

「・・・・・」
「良かったなー、ユキ。大事にしろよ」
「兄さんのは?」
笑顔で肩を叩かれたユキは、半眼で兄を見やる。
あまり期待せずに開けたのだが、やはり中身は予想外のものだ。
「西陣織の財布・・・・」
「いーじゃん。使いなよ!」
「んーーー」
「ちょっと!サスケくんがせっかく買ってきてくれたのに、あんた達ってば!!」
着替えのため、二階にいるサスケを気にしてサクラは小声で子供達を叱咤する。

 

「西陣織って高いのよ!」
「そうだけどさー、使いづらいっていうか・・・」
「もっと嬉しそうにしていなさい!」
階段を下りてくる足音を聞き、サクラは必死に目配せをした。

「・・・お前にもあるぞ」
「え!?」
振り向くなり紙包みを差し出されたサクラは、予想外の展開に目を瞬かせる。
「私にもー?何だろう」
エヘヘッと笑ったサクラだが、一目見るなり体が硬直してしまった。
どこに付けていけばいいのかという、金箔に団扇マークが描かれた微妙なデザインの簪。
「・・・・こ、こういうの、ほ、欲しかったんだぁー」
子供達の手前、サクラはぎくしゃくした動きで髪に簪をさした。

 

 

「ほら、あんた達のせいでサスケくん不貞寝しちゃったじゃない!」
「母さんのせいかもよー」
サスケが寝室に引きこもった後、母湖は喧々囂々と言い合った。
おそらく、原因は両方だろう。

 

あとがき??
『あたしンち』でうちはファミリー。今は普通にまとめ髪に簪さしていますけどね。夏場は。
しかし、『あたしンち』を見ていると無性にサスサクを書きたくなるのは、私だけだろうか??

 

 

(おまけSSシリーズ141)『うちはの母』

(注):サスサク夫婦設定のSSです。暗い部屋にある『血途』シリーズ延長。
二人は結婚していて、サチとユキという息子がいます。
続きますので、サスサクが駄目な方はここでストップしてください。

 

 

「うちの母さん、ちょっと変だから!」
アカデミーの帰りに、家に寄りたいという友人達へサチはあらかじめ警告した。
「お母さんのことそんな風に言ったら、可哀相だよ」
「なー」
友人達は不思議そうに首を傾げたが、サチはため息を付いている。
そうこうするうちに彼らはうちは家へとたどり着いた。
古くから伝わる家なだけあり、いかめしい門構えに友人達は思わず萎縮してしまう。
「あら、いらっしゃいー」
扉を開けて出てきたサクラの朗らかな笑顔に、彼らがどれだけホッとしたか分からなかった。

 

「どこが変なんだよー。ラブリーじゃん」
「本当、本当。ガミガミ煩いだけのうちの母ちゃんと取り替えて欲しいくらいだよ」
「えーー」
口を揃えてサクラを褒める友人達に、サチは怪訝な表情だ。
彼の面立ちはサクラに瓜二つだが、本人に自覚はない。
取り敢えず、友人達とゲームを始めたサチだが、聞こえてきたその歌声にいち早く反応する。
「・・・・来た」
「え?」

じょーねつの赤いバラ〜〜♪そしてジェラシ〜〜♪

鼻歌はサチの部屋の前でぴたりと止まり、同時に扉が開かれる。
「おやつ、持ってきたわよー」
「はいはい。そこに置いてすぐ出ていってよ」
「まー、冷たいわね」
ジュースとお菓子のお盆を床に置くと、サクラはにこにこと友人達に笑いかける。
「ゆっくりしていってね」
そこまでは別に問題はない。
気になったのは、立ち上がりかけたサクラが、皿の菓子を一つ摘み食いした点だ。

 

「み、見た、今の?」
「可愛いー」
サクラが消えるなり、友人達は笑いをかみ殺しながら顔を見合わせる。
サクラは十分すぎるほど彼らに好印象を与えたのだが、サチにすれば母を笑われたようで面白くない。
「慎みをもった行動を」、と息子に年中叱られているサクラは、その意味を全く理解していないようだ。

 

あとがき??
『あたしンち』でうちはファミリー。
サチは、サクラにもっとうちはの家に相応しいマダムを演じて欲しいのですが、無理な話でした。
初戦は庶民育ちのサクラ。

 

 

(おまけSSシリーズ142)『幻想』

(注):サスサク夫婦設定のSSです。暗い部屋にある『血途』シリーズ延長。
二人は結婚していて、サチとユキという息子がいます。
続きますので、サスサクが駄目な方はここでストップしてください。

 

 

「はい、お疲れ様でした」
長期任務が終了し、報告書を提出してようやく帰路に就くことが出来る。
受付で書類が受理されたときは自然と嬉しさがこみ上げるものだが、この日は違った。
「帰らないんですか?」
周りをうろつくサスケに、同僚が不思議そうに声をかける。

帰らないはずがない。
今日里に戻ることは事前に報せてあり、家族は帰りを待っているのだ。
足が重く感じられるのは、おそらく昨夜見た夢のせいだろう。
幼い日に両親を殺され、頼るべき一族を一人残らず失ったあの日の夢を。
明かりのついていない、暗い家に戻る孤独な日々は今思いだしても胸が痛くなる。
今、彼は一人ではない。
頭で分かっているのに、時々、たまらなく不安になった。

この幸せは果たして本物だろうか。
家に帰ったところで、家族など存在しない。
自分は今でもあの広い家に、一人きりで暮らしている。
夢で見た世界こそが本当の現実だとしたら・・・。
考えながら歩いていたサスケは、案の定、人の気配のしない家を見てもあまり驚かなかった。

 

消えた門灯を横目に、サスケは自分で鍵を開けて家の中に入る。
昔は、毎日繰り返していたこと。
「おかえりなさい」の声もないのに、「ただいま」を言う必要もない。
沈んだ表情のまま靴を脱いだサスケは、唐突に鳴り響いたクラッカーの音と眩い光に、呆然と立ちつくす。

「誕生日おめでとうー、サスケくん」
サチが電気を付け、サクラは花束を持ってサスケに駆け寄った。
クラッカーを使ったのはおそらくユキだ。
「忘れてたでしょう。実はパーティーの準備はもう出来てるの」
「ナルトさん達はあとから来るって。ケーキ、凄い大きいの買ったんだよ!」
はしゃいで喋りまくっていた彼らは、その時ようやくサスケの異変に気付く。
彼の頬を伝ったのは間違いなく涙だ。
「・・・そ、そんなに驚いた?」
足元にあるクラッカーの紙吹雪の切れ端を見ながら言うサクラに、目元を擦るサスケは苦笑を漏らす。

その存在をどれだけ嬉しいと思ったか。
きっと彼らには伝わらない。

 

あとがき??
孤独の影はいつまでも付きまとう。
幸せになれても、時々ふと振り返ってしまうみたいです。

 

 

(おまけSSシリーズ143)『祈る』

(注):サスサク夫婦設定のSSです。暗い部屋にある『血途』シリーズ延長。
二人は結婚していて、サチとユキという息子がいます。
続きますので、サスサクが駄目な方はここでストップしてください。

 

 

家族揃って縁日にやってきたうちは家は、参詣を済ませてから出店へと向かう。
金魚すくいに夢中になっている兄弟を横目に、サクラは笑顔で訊ねた。
「サスケくん、さっき神様の前で随分と長くお願い事していたよね。何を祈ってたの?」
「・・・さあな」
「家内安全でしょう!」
生真面目なサスケのこと、お見通しだと思ったサクラだったが、サスケは首を振っている。
「えー、じゃあ、あそこのたこ焼きが食べたいとか、林檎飴が食べたいとか、綿菓子が食べたいとか」
「全部お前の願望だろう・・・」

仕方なく、それらを購入してサクラに渡せば彼女は満面の笑みだ。
単純だと思いながらも、裏表のないその性格に思わず苦笑が漏れる。
「じゃあさ、私とずっと一緒にいたい、とか?」
「・・・当たらずとも遠からず」
もぐもぐと口を動かすサクラから、サスケはたこ焼きをいくつかもらう。

 

願いはいつも一つだけ。
君が幸せでありますように。

 

あとがき??
これが締めのSSだったんですが、ランダム表示だとどれが最後か分からないですね。

 

 

(おまけSSシリーズ144)『うちは家の朝』

(注):サスサク夫婦設定のSSです。暗い部屋にある『血途』シリーズ延長。
二人は結婚していて、サチとユキという息子がいます。
続きますので、サスサクが駄目な方はここでストップしてください。

 

 

「・・・・駄目だった」
父を起こしてくるよう頼まれたサチは、髪の毛を少し焦がした状態で二階から降りてくる。
サスケの寝起きは非常に悪い。
体をゆすっただけで、据わった目の彼は相手を問わず火遁の術を使ってくるのだ。
これでは恐ろしくて近寄ることが出来ない。
「しょーわないわねー」
サチの報告を聞き、玉子焼きを作っていたサクラは火を止めて二回へと駆け上がっていく。
サチはいつも不思議に思っていた。
サクラだけは、いつもサスケを起こすことに成功している。
何か、秘訣があるのだろうか。

サチがそっと寝室の扉を開けると、サクラがベッドのふちに腰かけて彼の顔を見下ろしていた。
「はーい、サスケくん。早くおっきしてねー」
言葉と共に、サクラは彼の額に口付けをする。
目覚めのチューが功を奏したのか、サスケはすぐに目をあけて半身を起こした。
「いい子、いい子」
まだ寝ぼけ眼のサスケの頭をサクラは優しく撫でている。
何故か見てはいけないものを見た気持ちになったサチは、気づかれないようそっと扉を閉めた。

どうやって起こすのかは、はっきりとした。
だが、これはサクラにしか出来ない芸当のようだった。

 

あとがき??
「おっきしてねー」とチューが書きたかっただけです。

 

 

(おまけSSシリーズ145)『男の見栄』

 

カカシ宅を訪れた下忍達は夕方になると一人、二人と帰っていった。
その中で、サクラだけが夜になっても帰らない。
不思議に思ったカカシが訊ねると、「今日は泊まっていく」と気軽に言われた。
ちなみにサクラとはただの教師と生徒の関係で、カカシはまだ手を出していない。
これがナルト達だったら気にも留めなかっただろうが、サクラは女の子だ。
いや、変に意識する方が、かえっていやらしく思われるだろうか。
カカシが悶々と考える中、サクラはいつの間にかパジャマ姿になっていた。
どうやら本気のようだ。

「あのー、サクラ。お風呂沸いたけど・・・」
時間も遅くなり、カカシがおずおずと声をかけるとサクラは「先に入っていいわよ」と振り返る。
「じゃあ、一緒に入ろうか」
カカシの冗談に、サクラは思いがけず笑顔になった。
「うん」
「・・・・・」
聞き間違えではない。
サクラは間違いなく、嬉しそうに頷いている。
自分の方が驚いてどうするんだと思うカカシだが、すっかりサクラのペースにはまっていた。

 

「先生、何のろのろしてるのよ!」
「えーと・・・・」
脱衣場にて、カカシが最後の一枚を脱ぐか脱ぐまいか考えているうちに、サクラは既に素っ裸だ。
自分に背を向けてもたつくカカシに、サクラはため息をつく。
「先に入っちゃうわよ」
言うが早いか、サクラは強引に彼の下着を下ろしてしまう。
そして、後ろから覗き込むなり小さく呟きをもらした。
「・・・・形が違う」

「いろいろあるのね」と、サクラは踵を返して風呂場へと入っていく。
肩を震わせてタオルを握るカカシは、何故か上司に無体な乱暴をされたような心境だ。
果たして、誰と比べられたのか。
いや、自分の方が大きかったのか小さかったのか。
それだけでも知りたいと思うカカシだったが、せっせとお湯を体にかけるサクラにどうしても訊けない。
カカシににっこりと笑いかけるサクラに悪気がないことだけは、確かだった。

 

あとがき??
サクラちゃん、積極的ですね・・・・。すみません、エロくて。
誰と比べたかって、たぶんパパじゃないですよ。ナルトですかね?(適当)
いえ、うちのナルトとサクラは仲良しなので、普通に風呂に入っていそうです。
子供なので、もちろんいかがわしい行為は無しで。それと、うちのナルトは克己心の強い人間です。
えーと、これは一応、5まで続く話です。

 

131〜145まで載せてみました。
web拍手にて、何番の作品がお好きかご意見を頂けると嬉しいですv

戻る