(おまけSSシリーズ161)『ロリータ・コンプレックス 2005』

 

暗部としての仕事の合間、カカシは近所に住む女の子の遊び相手をしていた。
人見知りのサクラは最初なかなか打ち解けてくれなかったが、今ではすっかり仲良しだ。
「お兄ちゃんとずっと一緒にいたい」
「アハハッ、そうか。じゃあ、うちの子になるか」
「うん」
頭を撫でながら言うと、サクラは嬉しそうに笑って頷く。
子供相手に、軽はずみに冗談を言ってはいけない。
そう知ったのは、その日のうちだった。

「じゃあ、サクラをよろしくお願いします」
「・・・え?!」
夜、夕飯のカレーを作っていたエプロンの姿カカシは、玄関口で固まった。
頭を下げる母親の隣りで、自分の荷物を詰めたリュックを背負うサクラはにこにこ顔だ。
母親は、サクラの世話をカカシに頼みに来たのだった。
「サクラにどうしてもと頼まれまして。何でも、カカシさんも納得済みとか」
「え、ああ、それはそうですけど・・・」
だが、両親がそのような話を承知するとは、全く考えていない。
戸惑うカカシに抱き上げたサクラを渡すと、母親はにっこりと笑った。
「じゃあ、任せましたから」

 

 

「へぇ。それで、そのサクラちゃんと二人暮ししてるんだ」
「そーだよ。近所だから、俺が任務で家にいないときは春野家に戻らせてる」
同僚のアスマに全てを打ち明けると、カカシは大きくため息をついた。
「まさか、本当にうちに来るとは思わなかったよ」
「そりゃ、そうだ」
「ま、サクラは可愛いし、楽しいからいいんだけどさぁ・・・変な感じ」
「楽しいならいいじゃねーか。正式に養女にでもして育てたら」
「馬鹿、何言ってるんだよ!!!」
アスマの提案に、カカシは思わず目くじらをたてる。

「一度親子関係になると、血が繋がっていなくても将来結婚出来ないんだぞ!!冗談じゃない」
「・・・さいですか」
怒るところはそこなのかと、疑問に思ったアスマだった。

 

あとがき??
カカシさんは一応、暗部で18歳。
サクラをこのまま自分好みに育てて嫁にするつもりらしい・・・。紫の上?
いいなぁ、サクラの育成話。

 

 

(おまけSSシリーズ162)『世界が壊れるとき』

 

その瞬間、心臓が壊れそうなほど、締め付けられた。

「先生、昨日、女の人と歩いていたよね。彼女?」
「そうだよー」
サクラの問いかけは、驚くほどあっさり肯定される。
「綺麗だったでしょう」
よけいな一言まで、おまけにつけて。

「へー、俺も見たかったなぁ。サクラちゃん、どんな感じの・・・」
傍らからサクラの顔を覗き込んだナルトは、仰天する。
サクラの目から、涙が零れ落ちた。
「ごめん。私、帰る」
目元を拭い、駆け出したサクラを二人は唖然と見送る。
「・・・え、何で?」
「さ、さぁ」
忍術の本を読んでいたサスケが、間の抜けたその会話に口を挟んだ。
「どんかーん」

 

あとがき??
カカサクサイトにあるまじき!

でも、サクカカも好きなのです。

 

 

(おまけSSシリーズ163)『野菜でチュー』

 

「あんたの体のためなんだってば!!!」
「絶対に嫌だよ!!」
昼休み、ナルトとサクラは弁当箱を挟んで怒鳴りあっていた。
野菜嫌いのナルトのためにサクラが工夫して料理したというのに、付き返されたのだ。
普段は何でも言うことの聞くナルトが珍しく抵抗し、サクラも躍起になっている。

「分かった。じゃあこの人参のグラッセを食べたら、ご褒美としてほっぺにチューよ」
「え!!?」
思わぬ提案にすぐ反応したナルトだったが、何故かサクラとの距離が遠くなっていた。
サスケが、二人の間に入り込んでいるせいだ。
ごく至近距離で瞳を見据えられ、サクラはごくりとつばを飲み込む。
「・・・さ、サスケくん、食べる?」
こくりと頷いた彼に、サクラはフォークでさした人参を食べさせる。
もぐもぐと口を動かしながら、なおも彼はサクラの顔をじっと見つめていた。
思わず脂汗をかくサクラだったが、視線は外されない。
どうやら、彼はナルトとサクラの先ほどの会話を聞いていたようだった。

 

「び、び、びっくりしたー。っていうか、ナルト用に作ったんだけど・・・」
「どこから飛んでいたんだよ、あいつ」
ほっぺに軽くしただけだったが、チューの権利を奪われたナルトはサスケの後姿を睨んでいる。
次にサクラが弁当を作ってきたときは残さず食べよう。
そして、今度こそご褒美にチューをしてもらおうと心に誓うナルトだった。

 

あとがき??
カカシ先生だと普通なので、サスケにしてみる。
坊ちゃん、地獄耳。肝心のチューの場面書いてないですね・・・。ごめんなさい。
サスケというか、いい男全般に至近距離で見つめられると、緊張しますよね。

 

 

(おまけSSシリーズ164)『四月馬鹿』

 

「サスケ、俺、出来ちゃったってばよ・・・」
「えっ」
「責任とって、結婚してくれ」
ナルトはしごく真面目な表情でサスケの顔を見つめている。
サスケの夢は一族の再興。
そのためには、結婚は早い方が良かった。
順番が逆になったのは気になるが、この際目を瞑ることにする。
「分かった。俺も男だ、覚悟を決める」
「やったー」

「うーん、あいつら。最近仲が良いと思ったら、そんなことになってたのかー」
あんぐりと口を開けて二人を見るサクラに、カカシがぼそぼそと話しかける。
茫然自失のサクラは相槌を打つどころではない。
よりにもよって男のナルトに、意中の人物を奪われた。
サクラにとって何よりの屈辱だ。

 

「なんちゃってー。サクラちゃん、驚いた!?」
「・・・何をやらせるんだか、全く」
エイプリルフールということで、演技を強要されたサスケはネタばれ後も顔をしかめている。
だが、前日にカカシとナルトが呼び出し、指導したおかげでなかなか様になっていた。
「あれ、サクラちゃんは?」
「あそこ」
カカシの指差す方を見ると、サクラがナルトの写真付きのわら人形に五寸釘を打ち付けている。

「うわ、なんてベタな・・・」
「古典的だよねぇ」
青い顔でサクラを見つめる二人に、サスケは憮然として言う。
「男に子供が出来るはずないだろう」
「気が動転して、冷静な判断が出来なくなってるんだよ」

 

あとがき??
私がホモを書くとは、珍しい・・・。たまには楽しい。
でも、ナルトなら女体化するし、あり得ないことでは(略)。

 

 

(おまけSSシリーズ165)『出っ歯でたらこ』

 

「先生、ごめんなさい!!!」
「・・・・え?」
「先生がそんなに気にしていたなんて、知らなかったの!もうしないから、許して!!」
「な、何のこと、突然」
サクラに勢い込んで言われたカカシは、訳が分からず目を瞬かせる。
「先生、たらこ唇で出っ歯なんでしょう。それで、恥ずかしくて顔を隠すようになったって・・・」
「誰が言った」
「アスマ先生」
さらりと答えるサクラにカカシは笑顔のまま握り拳を作った。
生徒に出任せを教えるなど、許せることではない。

「もう、無理に先生の素顔をあばこうなんてしないわ」
「へぇ」
そんなことを考えていたのか、と思いつつカカシは頷く。
「サクラだけに、特別に見せてあげようか」
「え!」
サクラが振り向いたときには、カカシは邪魔な額当ても取り素のままになっていた。
出っ歯とたらこ唇を想像していたサクラは、目を見開いたまま硬直する。
悪くない顔、いや、美形に入るかもしれない。

 

「サクラー?」
呆然と佇むサクラの眼前で、掌を振ったカカシだが反応はない。
屈んで顔を近づけると、サクラは手を伸ばしてカカシのマスクを元の位置へと直してしまった。
「サクラ?」
「・・・・先生、出っ歯とたらこ唇の方が良かったかもしれない」
「何、それ」
額当てを戻したカカシは怪訝そうに眉根を寄せている。
だが、真っ赤な顔のサクラは問い掛けに答えることなく俯いていた。

一生、サスケ一筋。
その気持ちが揺らぐなど、考えたこともなかった。

 

あとがき??
こんな恋の始まりとかね。

 

 

(おまけSSシリーズ166)『ちょっと、ドキドキ』

 

報告書を提出した帰り道、廊下でサクラと出くわした。
図書室に行った帰りなのか、サクラは何冊かの本を抱えている。
そしてカカシを目が合うなり、顔を真っ赤にして逃げ去ってしまった。

「・・・カカシ、あんた、何かしたの?」
「ちょっと、ね」
「ちょっと、って何をちょっとなの」
「チューをしてみました」
不審を抱く紅に、カカシは笑顔で言う。
「かわいーんだよ、遅刻したことを怒っていたから、ちょーっとおでこにチューしてみたの」
「・・・・へぇ」
「それからずっとあんな感じ。思春期の頃ってみんなああなのかなぁ」
「・・・あんたも顔、赤いわよ」
「嘘!」
紅に指摘され、カカシは思わず顔に手をあてる。
「もしかして、俺も思春期!?」
「馬鹿」

恋をしている自覚は、まだないようだった。

 

あとがき??
いいなぁ、でこチューー。

 

 

(おまけSSシリーズ167)『ちょっと、ドキドキ 2』

 

サクラは泣いたり怒ったり笑ったり、忙しい。
優秀な忍びになるほど、感情のコントロールを余儀なくされる。
思ったことがすぐ顔に出るサクラは忍びとしてあまり褒められない。
だが、そうした素直なところを好ましく思ってしまうのだ。

「・・・・何考えてた?」
「えっ?」
「思い出し笑いしてた」
「そうー」
提出する報告書を仕上げるため、せっせと筆を動かしていたカカシは向かいの席の紅に笑いかける。
「今日はね、サクラがお弁当を作ってきてくれて、それがまた美味しくて・・・」
「ふーん」
口を開けば、サクラ、サクラ。
延々と続くカカシのサクラ話を、紅は聞き流している。

「そのとき笑ったサクラが、また凄く可愛かったんだー」
満面の笑みで言葉を締めくくったカカシを見ながら、紅は思った。
今のカカシだって、サクラに負けないほど可愛い顔をしているのではないかと。

 

あとがき??
カカシ先生、上忍失格・・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ168)『大好き、イタチ兄さんv 1』

 

(注)イタチ兄がぐれなかった場合のパラレルもの。うちは家はほのぼの四人家族の設定。
ちなみにサスケはまだアカデミーの生徒で8歳か9歳設定ですよ。
たぶん、サスサク。

 

 

アカデミーのアイドルであるサスケの通学路には、女子生徒達がひしめいている。
中には、手紙や差し入れをする者もいるが、よほど勇気がある女子だけだ。
そして、サスケがそれらを受け取ったことは一度もない。
もし取り巻きの中の誰かかサスケと親しくなったら、それこそ大混乱になることだろう。
サスケが素っ気ないために、女子の間の関係が保たれているといって良かった。

 

「ただいま」
「おかえりなさいー。おやつ、冷蔵庫に入ってるわよ」
「うん・・・」
玄関の扉を開いた母は、元気がない様子のサスケに首を傾げる。
「どうしたの?」
「・・・・別に」

今日は待ち伏せしている女子の中に、赤いリボンを付けたピンクの髪がいなかった。
まともに会話をしたことはなかったが、気になっている少女だ。
だが、「彼女はどうしたのか?」などと聞けるはずがない。
そして、彼女がいないことにこれほど落胆している自分に驚いていた。

俯いて考え込んでいたサスケは、家族のもの以外の靴に気づく。
「誰か、来てるの?」
「ええ、イタチの部屋に案内したけど、凄く可愛いお嬢さんよ」
母は珍しくはしゃいだ様子だった。
イタチが友達を連れて帰るなど初めてで、嬉しいのだろう。
女児用の赤い靴を、サスケはじっと見つめる。
どこかで見た覚えがあるのだが、イタチの女友達と自分に係わりはないはずだった。

 

あとがき??
すみません。途中で力尽きました。
サクラ受サイトで、イタサク絵を見ていいなぁと思ったので。
ちなみにサスケ達がちっこいのは、そこの絵がイタチ兄とちっこいサクラだったからです。
しかし、うちのイタチ兄はサクラを気に入ってもブラコンなので手を出さない。
サスケの気持ちを知っているので、「可愛い弟の嫁に!」と思ってしまうのですねぇ・・・。
たまにはそうでない関係にするのも、また一興ですが。
続きも書く予定だったんですが、うやむやに。あれ?

 

 

(おまけSSシリーズ169)『ちょっと、ドキドキ 3』

 

「キャーーーー!!!!」
公園のベンチで居眠りをしていたサクラは、目を開けるなり悲鳴を上げていた。
すぐ眼前にカカシの顔があったのだから、驚くなという方が無理だ。
「・・・・サクラ、鼓膜破れるって」
「な、な、な、何よ、何をしようとしたのよ!」
「王子様のキスでお姫様を目覚めさせようと思って」
口元のマスクを戻したカカシは悪びれもせず彼女の隣りに座る。
頬を膨らませたサクラは、真っ赤な顔のままカカシから距離を取った。

「随分と老けた王子様ね」
「そう?こう言うと、大抵の女の子は喜んで飛びついてくるのに」
不思議そうに呟くカカシに、サクラはカチンと来る。
「へぇー、他の子にもそんなこと言っているんだ」
「あれ、サクラってば焼餅―?」
「だ、誰が!!!」
にやにやと笑うカカシにサクラは思わず目くじらを立てる。
だが、怒れば相手の思う壺だ。
何とか平常心を取り戻すと、サクラは半眼でカカシを見据える。

「先生、こんなところにいて、いいの?」
「どういう意味」
「依頼人の未亡人と恋仲になったって聞いたわよ。アスマ先生から」
「あれー、サクラのところまで伝わっちゃってるんだ」
否定せず、感心した口調で言うカカシにサクラの機嫌はさらに悪くなった。
何故だかは分からない。
だが、こうしたカカシの色恋の噂を聞くたびに胸がムカムカとする。

 

「私にかまわないで、その人のところに行けばいいでしょう!!」
「やだなー、彼女のことはただの噂だし、アスマも何か勘違いしているんだよ」
立ち上がろうとしたサクラの手を、カカシは素早く握り締めた。
「今日はサクラとデートしようと思って捜していたんだよ。どこに行きたい?」
「・・・・・」
昨日は図書館、その前は映画、近頃彼は妙にサクラにまとわり付いてくる。
逃げてもすぐ捕まるのだから、素直に従った方が良い。
けして、彼と一緒にいたいと思ったわけではないと、サクラは自分に言い聞かせた。

「・・・あんみつ、食べたい」
「ん、じゃあ、行こうか」
にっこりと笑ったカカシは、椅子から立つと再びサクラに掌を差し出す。
彼のことは好きではない。
ただ、彼の温かな掌が好きなのだと言い訳して、サクラは仕方なくその手を取った。

 

あとがき??
先生がスケコマシになりました。
おそらく、『伯爵と妖精』シリーズを読んだせいだと思います。
谷瑞恵先生、デビュー作が発売された当時からファンなのですよ。
『パラダイス ルネッサンス』を読んだときは、「天才!」と思いました。
エドガー風なカカシ先生、また書きたいなぁ。

 

 

(おまけSSシリーズ170)『恋愛期限』

 

「何にでも、始まりがあれば、終わりがあると思うんだよね」
「なるほど」
「だから、好きーって気持ちもそのうち薄まって消えちゃうんだよ」
「ふーん・・・」
TV画面を見るサクラはぱくぱくとドーナツを食べている。
カカシの話を聞いているのか、いないのか。
このところ、サクラは毎日のようにカカシの家に押しかけていた。
「好きだから」だと言うが、思春期にありがちな、年上の男に対する憧れだろう。
そんなものはすぐに消えるはずで、子供の遊びに付き合っているようなものだ。

「じゃあ、また来るね!」
帰り際、カカシに抱きついたサクラは満面の笑顔で言う。
カカシの説得は全然分かってもらえていないようだった。

 

「ただいまー」
次の日、いつものようにやってきたサクラは大量のアイスを持ってきた。
「何、それ」
「恋心の冷凍保存。冷やせば長持ち」
冷凍庫にアイスを詰めるとサクラはアイスキャンディーを一本カカシに差し出す。
自分もアイスを食べながら、「ナイスアイディアー」と悦に入っているサクラが何だか可笑しい。

以来、カカシの家に来るたびにアイスを冷凍庫へと仕舞っていくサクラ。
他の物が入れられないと不満を言っていたはずが、そこにアイスがないと不安になった。
どんな感情も時が経てば薄まっていく。
毎日「好き」の気持ちを重ねれば、減っていく分を継ぎ足せるものだろうか。

 

あとがき??
サクラに気付かれないよう、こっそりアイスを足していたりして。

 

 

(おまけSSシリーズ171)『触りたいんです』

 

「ギャーーーーーーー!!!」
「・・・色気のない叫び声だなぁ」
尻を触られた直後にサクラは悲鳴をあげたが、犯人のカカシは構わす彼女の尻を撫でている。
「な、何するのよ!!」
彼の手を払ったサクラが真っ赤な顔で詰め寄っても、カカシはにこにこと笑っている。
何かの偶然ではなく、しっかりと彼の意思で触ったのは明らかだ。

「サクラを見てるとさー、何だか触りたくなるんだよね。もう、我慢の限界だよ」
「意味が分かりません!!!」
「仕方がないんだよ。頭じゃやめようって思っても、体が勝手に動いちゃうんだから」
言いながら、カカシはサクラをぎゅうっと抱きしめている。
仰天したサクラは当然もがいたが、どうにも体の自由は利かなかった。
「先生、犯罪よ、犯罪!!婦女暴行!!!」
「恋人同士だからいくら触っても良いのです」
「誰が、いつ、恋人同士になったのよーーー!!!!」
金切り声をあげるサクラの顔を見下ろし、カカシは楽しげに笑った。
「じゃあ、サクラが俺の恋人になってくれるなら、手を離してあげる」

 

サクラは心底悩んだ。
YESと言えば、今は解放されるが今後どんな目にあうか分からない。
NOと言えば、カカシはずっとこのままくっついている。
「・・・・どっちにしろ、これからも先生に触られまくるんじゃない」
「大当たりv」
「いやーーー!!!あっち行ってーー!!!」
「ハハハッ、サクラってば、照れ屋さんだね」
カカシは嬉しそうにサクラの頭に頬ずりしている。
額にキスをされたサクラが真っ青な顔でも、カカシは「照れている」と解釈した。

「何、さっそくうちに遊びに来たいって?散らかってるのに、しょーがないなぁ」
「ひ、人さらいーー!!だ、誰か、助け・・・」
サクラの口を塞ぐと、カカシは彼女を担いで軽やかな足取りで歩き出す。
「あ、サクラの家に今夜は帰れないかもって連絡入れておくねー。心配するといけないし」
暴れるサクラを物ともせず、空いた方の手でカカシは器用に携帯電話をかけている。
電話に出たサクラの母は、担任ということでカカシをすっかり信用しきっている様子だった。

何故、どうして、自分がこんな目に。
しくしくと涙するサクラだったが、いくら考えても答えが出ることはなかった。

 

あとがき??
原作でのサクラがあまりにナイスケツなので、カカシ先生に触ってもらいました。
私の代わりに。ということは、これは第二部サクラなのか。
何にせよ、いいなぁ、先生。全てはサクラが可愛いの原因なのですよ。

 

 

(おまけSSシリーズ172)『触りたいんです 2』

 

場所は、雑誌に何度も紹介されたおしゃれなカフェだ。
観葉植物がそこかしこに置かれており、木目調のテーブルや椅子が安心出来る空気を作っている。
カップルが多かったが、その日サクラをカフェに呼び出したのは親友のいのだった。

 

「・・・・・・・・鬱陶しくない?」
現れたサクラが自分の手前の椅子に腰掛け、大分経ってからいのは口を開く。
視線を逸らしたサクラは、ふっと虚無的な笑いを浮かべた。
「慣れた」
サクラの傍らには背後霊が座っている。
いや、背後霊のように彼女に寄り添って歩き、今は傍らに座っているカカシがいた。
大事な仕事が入ったとき以外、彼は常にこうしてサクラに付きまとっているらしい。

「カカシ先生と付き合い始めたって、本当だったのねぇ」
「ち、違うわよ!」
「そう、ラブラブなんだーv」
全く相反することを言いながら、なおも二人はくっついている。
「・・・先生の家に三連泊したって聞いたけど」
「うん。情熱的な夜だったよねぇ、サクラ〜」
「ううっ・・・・」
サクラは何故か瞳を潤ませて俯く。
「違う、違うのに・・・」
何かを繰り返し呟くサクラの肩を抱き、カカシは満面の笑みを浮かべた。
「ね、ラブラブでしょー」

脳天気に明るいカカシと項垂れるサクラを見ながら、いのは無言でお茶をすする。
不思議なカップルだと思った。

 

あとがき??
1とあんまり続いていないですねぇ。
カカシ先生はあくまでポジティブシンキン。
先生にずるずると引きずられていくサクラでした。

 

 

(おまけSSシリーズ173)『触りたいんです 3』

 

(空白の三日間について)

「サクラ、腕によりを掛けて作ったから、どんどん食べてねー」
「・・・フガッ」
カカシの家に強引に連れてこられたサクラは、テーブルに並んだ料理を前にくぐもった声を出す。
猿ぐつわを付けられた状態では、会話など出来るはずがない。
「ああ、ごめん、ごめん。それじゃ食べられないよね」
サクラの背後に回ったカカシはすぐに縛めを解いたが、両手は椅子に括られたままだ。
何度も逃げようとしたため、相当きつく結ばれていた。

「せっかく手料理をご馳走してあげようと思ったのに、何でそんなに不機嫌なの?」
不満げなカカシだが、怒りたいのはサクラの方だ。
「当たり前でしょう!!!!人を誘拐しておいて!!!大体、先生はいつも・・・」
「はい、美味しい」
怒鳴りつけた瞬間に、カカシは箸で摘んだ料理をサクラの口に放り込む。
もうもぐと口を動かすサクラは確かに美味しいと思ったが、絶対に褒めたくはない。
彼女は自分の意志でここにいるわけではないのだ。

「・・・帰してよ」
「全部食べたらいいよ」
低い声で呟くサクラに、カカシは笑顔で答える。
半信半疑だったが、信じるより他に道はなかった。
こうしてカカシに手ずから料理を食べさせられたサクラだったが、最後に大きなミスを犯す。
お茶を口に含んだサクラは小さく咳き込み、カカシはそれを見て目を光らせた。
「サクラ、風邪!!?」
「え、違うわよ。ちょっとむせただけで・・・」
「大変だ!!インフルエンザかもしれないよ!早くベッドへ!!」
「ギャーーー!!!違うって言ってるでしょーー!!!いやーーー!!!」

 

 

風邪が治るまで、という大義名分を手に入れたカカシに監禁され、家に帰れたのは三日後だった。
そして、職場復帰すると、何故かサクラがカカシの家に三連泊したという噂が広がっている。
誰が吹聴したかは考えるまでもない。
「こんな写真が出回ってたし、もう観念したら」
「いやーーー!!」
いのの花屋に立ち寄ったサクラは、手渡された写真を見るなり悲鳴を上げた。
パジャマ姿で熟睡するサクラの写真のわきには、きちんとピースサインのカカシも写っている。
おそらく、サクラが眠りについた隙にタイマーで撮影したものだろう。

「何か、イタズラはされなかったの?」
「ベタベタ触られたけど、それ以上は何もないわよ!でも、こんな写真を撮られたら・・・」
「みんな、二人は出来ている、って思うわね」
「最悪ーーー!!!」
「写輪眼のカカシの女となれば、あんたに好意を持っていても男は誰も近づいてこないわよ」
絶望的ないのに一言に、サクラはその場で泣き伏した。

今日も午後になれば、カカシの任務が終了する。
そろそろサクラを捜しにやってくるだろうかと、いのはのんびり時計を眺めていた。

 

あとがき??
りょ、両思いまでいかなかったです・・・・。三日間の真相が明らかに。
本当はもう少しエロかったんですが、自制しました。
パジャマはサクラ用に先生が用意したもの。トイレの時も先生がドアの向こうで監視。
汗をかいた体は先生が拭いてくれたようです。
付きっきりの看病。・・・・十分、エロい。4まで続く。

 

 

(おまけSSシリーズ174)『触りたいんです 4』

 

「あれ、カカシ先生は?」
「・・・・知らないわよ」
花屋に入るなり訊ねられ、サクラは仏頂面で答える。
ここ一週間ほど、サクラの顔を見るたびに皆がそう訊いてくるのだ。
恋人でも夫婦でもないのに、サクラがカカシの行動をチェックしているはずがない。
だが、年中二人で行動していたために、サクラが一人でいるとどうも違和感があるらしい。

「へー、じゃあ、一週間も先生はあんたの前に姿を見せないんだ」
「そう」
「ふられたのねー」
いのの思いがけない一言に、サクラは目を大きく見開いた。
「な、何ですって!」
「サクラ、先生に飽きられたんじゃないの。邪険にするからー」
しゃがんで植木の手入れをしながら、いのは面白そうに笑って言う。
サクラとしては、邪魔なカカシがいなくなってせいせいしていた。
だが、自分がふられたと思われるのは我慢ならない。

 

「ちょっと、訂正してよね!私は先生と付き合ってたわけじゃ・・・」
「呼んだーーー??」
突然背後から聞こえた声に、サクラは悲鳴を上げそうになった。
振り返ると、カカシが右手をあげていのに挨拶をしている。
「いやー、ひどい風邪をひいちゃってさー。大変だったよ」
「え、じゃあ、最近見なかったのは」
「寝込んでいたんだよ」

風邪の名残か、小さく咳き込んだカカシにサクラは同情の眼差しを向ける。
「言ってくれれば、お見舞いに行ったのに・・・」
口に出してから、しまったと思った。
「サクラってば優しいー!!俺がいなくて、寂しかったんだねーー!!!」
「ギャーーーー!!!」
抱きついて頬をすり寄らせてくるカカシに、サクラは絶叫する。
彼の居ない毎日は穏やかだったが、どこか寂しくも感じていた。
それは大きな勘違いだったと、サクラは今、このとき実感する。

 

「サクラ、もう心配はいらない。すぐにも結婚して一緒に暮らそう。寂しい思いはさせないよ」
「いつからそんな話になったんですか!!」
脈略のない話に仰天したが、細かく記入された婚姻届けを見せられてサクラは戦慄した。
「あとは、サクラの拇印を押すだけになっているから。今日にも提出しよう」
「何でそんなもの持ち歩いているのよ!!いやーーー!!!!」
震えるサクラの手を強引に押さえ、朱肉付きの親指を紙に押し当てたカカシは満足そうに頷く。
「よし、サクラ、今日からお前ははたけサクラだ。良かったな!」
「や、やめてよ!!それ、返して!!!」
脱兎のごとく駆け出したカカシを追い、サクラは必死な表情で店から飛び出していった。

「騒がしいわねぇ・・・」
煩い客がいなくなってホッとしたいのは、植木をよく見える場所へと運んでくる。
丁度夕方の買い物に出た主婦達が店に立ち寄る時間だ。
サクラ達の遊びに付き合っている暇などあるはずがなかった。

 

あとがき??
これにて終了・・・・あれ、両思い??

 

 

(おまけSSシリーズ175)『必需品』

 

町中で、妙な視線を感じた。
振り返ると、同じ木ノ葉の額当てを付けた男がサクラを凝視している。
いくら考えても誰か分からず、サクラは訝しげに彼の瞳を見詰め返した。
「あの・・・」
「君、もしかしてサクラちゃん?」
唐突に名前を呼ばれ、サクラは仰天する。
「そ、そうですけど。何で・・・」
理由を訊ねようとした矢先、彼は何故か腹を抱えて笑い出した。
意味が分からないサクラは唖然としたが、彼の笑いは止まらない。
「ほ、本当にそっくりだなぁー」
気安げにサクラの頭を撫でると、彼は笑顔で続けた。
「カカシによろしくね」

 

カカシといえば、つい先日まで長期任務で里を離れていた。
戻ってくるなり家に押しかけられ、散々頬ずりをされたのだから忘れるはずがない。
「サクラ!!いらっしゃいー!!!」
カカシの家に足を運ぶと、彼はもちろんサクラを歓迎した。
「ささっ、早く座って。すぐにお茶入れるから!」
「・・・はぁ」
抱きつかれたサクラは顔をしかめながら答える。
先程会った男はカカシの知り合いかどうか確かめに来たのだが、話は後まわしだ。
取り敢えず、茶を飲んでリラックスをしてから切り出そうと思った。

「いやー、あの子の入れるお茶は本当に美味しいんだよ。期待しててね」
「え、あの子?」
誰か他にいるのだろうかと思って振り向いたサクラは、その場で卒倒しそうになる。
自分が、もう一人いた。
見たら死期が近いという、ドッペルゲンガーのように瓜二つだ。
「これ、お手伝いロボのさくら。サクラに似せて作ってもらったんだー」
青ざめて動けないでいるサクラに、カカシは笑顔で説明し出す。
仕事を持つ者が一人暮らしをしていると、何かと不便だ。
そうした人間を対象に発売されている、家事の手伝いをしてくれるロボット。
リクエストに基づいて容姿と人格の設定をされ、カカシの場合はサクラの写真を業者に渡した。

 

「・・・先生、これ、この前の任務にも連れて行った?」
「うん。一人にすると可哀相だし、可愛いって評判だったよー」
おそらく、サクラを見て笑った男はカカシと同じ任務についた忍びだ。
ひとしきり笑ったあと、何故か同情的な眼差しを向けられた意味をサクラはようやく悟る。
「掃除や洗濯、お料理も完璧だよ!」
ロボさくらにべたべたと触るカカシを見たサクラは、思わず頭に血をのぼらせた。

「ちょ、ちょっと胸とか勝手に触らないでよ!」
自分の体でなくとも、同じ顔のロボがカカシにいいように扱われているなど我慢ならない。
「そんな、今さら・・・」
ロボさくらをかばうようにして立つサクラに、カカシは嫌な笑いを浮かべる。
「今まで散々・・・」
「嫌、やめて!!」
「お風呂も一緒に入っているんだよ。肌のはりとか普通に人間と変わりなくて・・・」
「嫌だってば!!!」
「夜になったらもちろん・・・」
「ギャーーー!!!それ以上言ったら、グーで殴るわよ!!」

カカシに遊ばれ、悲鳴をあげ続けるサクラをロボさくらはきょとんとして見ている。
取り敢えず、運んできたお茶をどこに置けばいいか、指示して欲しかった。

 

あとがき??
いいなぁ、ロボさくら。
ああ、ちなみに先生はサクラをからかっているだけで、夜の機能とかないですよ。(笑)

 

 

161〜175まで載せてみました。
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