(おまけSSシリーズ191)『姐さんはくノ一 4』
「いーじゃないか、そんな雑用は明日にすれば」
「・・・・忙しいのよ、ごめんなさい」
後ろを付いて歩く上忍仲間に、紅は素っ気なく答えた。
彼は上忍としては新人だが、紅より2つばかり年上で馴れ馴れしく声をかけてくる。
職場の人間とは仲良くしようと思っても、どうもこうしたタイプは苦手だった。
気のあるそぶりをして、本気になられても困ってしまう。「どうしてそんなに避けるのさー。恋人はいないって、聞いたけど」
「いるわよ!火影様とも親しくて将来有望な人なんだから。優しくて、誠実で、とても素敵な人なのよ」
全くのでたらめだったが、紅は声を張り上げて言う。
頭でイメージしたのは、もちろん近頃親しくしている中忍だ。
ようやく立ち止まり、振り向いた紅は驚愕の表情で目を見開く。
紅の後ろには、彼女に言い寄る上忍仲間だけでなく、廊下を通りかかったルカの姿があった。
きょとんとした顔で紅を見ている彼は、一体どこから話を聞いていたか分からない。「あ、ああ、あの・・・・」
突然挙動不審になった紅の視線を追い、上忍仲間は振り返る。
動揺する紅をよそに、イルカはいつも通り人当たりの良い笑みを浮かべていた。
「お話中、すみません。紅先生、今日、家に寄っていいですか?」
「えっ・・・」
「忘れものしちゃったんですよ。枕元に腕時計」
確かに三日ほど前、イルカは風邪で寝込んだ紅の看病をしていた。
もちろんやましいことは皆無だが、寝室に忘れ物をしたと言えば、勘違いして当然だ。
あれほどしつこくされていたというのに、すごすごと退散する上忍仲間を紅は唖然として見つめている。「紅先生、時計なんですけど」
「あ、はい。時計、見当たらなかったから帰ってよく探してみます」
「いいですよ。嘘ですから」
「・・・・は?」
目を丸くした紅を見て、イルカはくすくすと笑った。
「優しくて誠実な人間も、たまには嘘をつくみたいです」
あとがき??
楽しい、楽しいよ。いつまで続くのか。ラブラブになるまでやりたいなぁ。
イル紅、もはやオリキャラのようですが、好きと言ってくださる方がいて嬉しいです〜〜vv
有り難うございます。
(おまけSSシリーズ192)『成仏できない!』
サスケは臨終の床についていた。
死の間際で呼び出す家族もおらず、7班として活動していた仲間が集まっている。
「ううっ、サスケくん、死なないでーー、サスケくんー」
涙を流すサクラは何度も名前を呼ぶが、反応はなかった。
もはや喋ることすら出来ないようだ。
サスケの意識はわりとはっきりしているが、声が出ない。
サスケの生気のない顔色は白いシーツに同化して見えた。
「・・・・サスケ、俺、本当はずっと謝ろうと思ってたんだ」
辛そうに顔をゆがめるナルトが、ぽつりともらす。
「みんなでお前の家に行ったとき、冷蔵庫のトマトジュースの瓶、割ったの俺なんだ」
「えっ、あれ、やっぱり犯人ナルトだったの!?」
「お前あのとき、しらばっくれていたくせにー」
「ごめーん」
病室は一瞬、和やかムードに変わった。
ナルトは人に話したことで気分が軽くなり、カカシとサクラも犯人が分かってすっきりしたようだ。「私も、サスケくんに謝らないといけないことがあるの・・・」
便乗したのか、サクラも真剣な顔でサスケに向き直った。
「実は私、浮気をしたことがあるの」
「ええーーー!!!」
仰天したナルトは目を丸くしてサクラを見やる。
「あ、相手は!!?」
「カカシ先生。何だかしつこくしてくるから・・・つい」
「チューしただけだってば」
ハハハッと笑ったカカシは、突然胸ぐらを掴まれて目を見開いた。
相手は青白い顔でカカシを睨んでいるサスケだ。「てめー・・・、サクラには手を出してないって言っただろーが」
「いや、ほら、まだ二人が付き合う前のことだし。1回だけだって、あれ、2回、3回か?」
「殺す」
「さ、サスケくん、動いたら点滴はずれちゃうわよ!!落ち着いて」
その迫力に押されたのか、逃げ回るカカシをサスケは憤怒の形相で追いかけている。
どう見ても元気いっぱいだ。
「あのー、先生、サスケ、もう大丈夫ですよね」
「奇蹟だ・・・・」
ナルトが傍らにいる医者に訊ねると、彼は呆然と答えた。
あと数秒で死ぬと思われていた人間が走り回っているのだから、まさに奇蹟としか言いようがない。
「愛は勝つってやつかなぁ・・・」
あとがき??
サスケの病気って何だったんでしょう?
『木更津キャッツアイ』の最終回を見たらこんなの書いていました。
このあと、サスケは100まで生きたそうです。
(おまけSSシリーズ193)『デリバリーサービス』
電話をすると、可愛い女の子が指定した場所まで来てくれるらしい。
料金は格安、何をしてもOK。
上忍仲間から番号を聞いたカカシは、もちろんその日のうちに電話をかけた。
店で1番可愛い子ではなく、4番目、さらには図書委員タイプというマニアックな条件を付けて。
珍しく胸を高鳴らせて自宅待機をしたカカシは、チャイムの音を聞くと嬉々として立ち上がる。
「はーい!ちょっと待ってねー」どのような美女が来るのか、物凄く期待していたのだ。
だから、ローラースケートをはいた少女が扉の前に立っているのを見たとき、唖然とした。
いくら何でも、十代前半と思われる彼女は年齢が幼すぎる。
栗色の髪をおさげにし、メガネをかけているのは「図書委員タイプ」と言ったためだろうか。
「チェンジで!」
「あの、それは困るんですけど」
「でも、俺、ロリコンでもポリゴンでもないから・・・・」
困ったように少女を見たカカシは、そのまま視線をはずせなくなる。
いたずらに笑う、緑の瞳。
よく似た面立ちの少女をカカシは知っていた。
「・・・・サクラ?」
「大当たりv先生ってば、もっと早くに気づいてよね」
くすくすと笑う少女は栗色のウイツグとメガネを取り、完全にサクラの姿に戻る。
それでもまだ、カカシは何が起きたのか分かっていなかった。
「サクラってば、いつの間にこんな商売を・・・」
「だから違うって。先生が今日中に電話をかけるかどうか、みんなで賭をしていたの」
「賭!?」
カカシにいかがわしい店の電話番号を教えた上忍仲間も、もちろん仕掛け人だ。
賭に勝った者、負けた者、皆が外でサクラが帰ってくるのを待っているらしい。
もちろん、サクラはカカシが電話をかける方にかけていたため、大金が手に入る。「・・・・みんな、俺をだしにして遊んでいたんだ」
「そんなに怒らないでよー。先生のおかげで臨時収入があるし、私が何かおごってあげ・・・」
突然腕を掴まれたサクラは、最後まで言うことが出来ないまま家の中に引っ張り込まれる。
「ちょ、ちょっと、先生!?」
「騙されてやるつもりなんてないもん。女の子はちゃんと来てくれたわけだし」
「ギャーー!!!ど、どこ触ってんのよ、馬鹿ーーーー!!」
サクラが建物に入っていくのを見届け、金勘定をしていたナルトは、はたと気づく。
「そういえば、サクラちゃん、戻ってくるの遅くない?先生に怒られてるのかな」
「おい、よそ見して取り分間違えるなよ」
「分かってるよー」
掛け金を均等に分ける役目のナルトは、皆に睨まれて作業を再開した。
このときカカシの家に乗り込まなかったことをひどく後悔するのだが、全ては後の祭りだった。
あとがき??
これも『木更津キャッツアイ』ネタですね。
4番目に可愛い子って、どんなんだ。(笑)
エロネタですみません・・・。分からない人は分からないままでいて。
(おまけSSシリーズ194)『ビバノンノン♪♪』
〜 あらすじ 〜
一人暮らし中のサクラの家に上がり込み、風呂を借りたカカシ先生。
そこへサクラの父が訊ねてきて大混乱。
果たして、サクラは誤解を解くことが出来るのか!?
サクラの父が意識を失ったのは短い間で、今はしっかりとテーブルの前に座っている。
その手前にいるのは、きちんと衣服を整えて正座したカカシとサクラだ。
今日はたまたまサクラの家を訪れ、風呂まで入ったカカシだが、二人は恋人でも何でもない。
しかし、夜に娘の家を訪れて男が出てくれば、誤解して当然だった。「あの、お父さん・・・」
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」
おずおずと声を出したカカシに、サクラの父は開口一番に言う。
かなり、力強い口調だった。
確かに、自分といくらも年齢が変わらない男に「お父さん」と呼ばれるのは抵抗があるだろう。
だが、カカシはサクラの父親の名前を知らず、他に呼びようもない。「お父さん、ほら、前に話したことがあるでしょう。この人、私の担任のカカシ先生・・・」
「教師が教え子に手を出したのか!!」
「いや、そ、そうじゃなくて・・・」
「サクラ、こうなったら観念しよう」
「えっ」
身を乗り出したカカシは、サクラの父の瞳を真正面から見据えた。
「お父さん、お嬢さんを僕にください」
あとから聞いた話によると、TVドラマでよく見かける、あの場面を演じてみたくなったとのこと。
だが、サクラの父はしごく真面目で、あとから「冗談だった」と言ってもきかない性格なのだ。
面白半分に演技などされても、迷惑以外のなにものでもない。「な、な、何言ってるのよー!!!」
傍らを見て絶叫するサクラの顔は真っ赤だ。
「お父さん、サクラはもう、僕なしでは生きていけない体なんです。実は・・・」
「いやーー!!やめてーーー!!」
ぺらぺらと好き勝手なことを言い出したカカシの口を、サクラは必死で塞いだ。
掌をカカシの口元に置いたまま、サクラは恐る恐る父を振り返る。
父は二度目の失神をしていた。
あとがき??
可哀相に・・・・・。
カカシ先生が「僕」って、何だか良いですね。
タイトルがドリフターズって、分からない人もいるんだろうな。
(おまけSSシリーズ195)『聞き耳』
泊まりがけの任務はこれまでも何回かあったが、宿を取るのは久々だ。
食事もなく、ほとんど素泊まりだが屋根のある場所で眠れるのは何より有り難い。
雨の降る中での野営を思い出すと、小さいとはいえ温泉のある宿は天国のようだ。「サクラちゃん、もう寝ちゃったかなぁ・・・」
8時という異様に早い時間が消灯なため、廊下を歩くナルトは携帯用の灯油ランプを持っている。
一応、紅一点であるサクラには個室が与えられており、ナルト達の部屋より一つ下の階だ。
鞄に詰めたスナック菓子はサクラへの手みやげだった。
「夕飯におむすび一つなんて、足りないもんねー」
ぱたぱたとスリッパを鳴らすナルトは、その扉をノックしようとして、寸前で手を止めた。
なにやら人の話し声がする。
一人はもちろんサクラだが、彼女と喋っているのは風呂に行ったまま戻らないカカシのようだ。
「・・・先生、私、やっぱり」
「何を今更。サクラが俺を引っ張り込んだんだろ。もう覚悟を決めなよ。ほら」
「あっ・・・」
意味深な会話に、ナルトは思わず身を乗り出した。
それから急に声が小さくなり、何を言っているのか定かではないがサクラは啜り泣いている。
「痛い・・・、先生、もう駄目」
「もうちょっとだから。我慢してよ」
声だけというシチュエーションで、妙に想像力がたくましくなってしまう。
このまま静かに立ち去るか、踏み込むか、悶々と悩んでいると唐突に扉が開かれた。「何やってんだ、お前」
「ギャア!」
思わず悲鳴を上げたナルトは、恐る恐るカカシの顔をランプで照らす。
「お、俺、何も見てないから!おやすみ!!」
サクラが廊下に出てきたときは、走り去ったナルトは影も形もない。
「え、誰?」
「ナルト。何だかさっきから気配があったんだけど、俺の顔を見たら逃げ出した」
「何で?」
「さあ」
顔を見合わせた二人は同時に首を傾げた。「サクラさー、その耳、ちゃんと消毒しておきなね」
「うん」
サクラが耳を押さえているタオルには血がにじんでいる。
手順通り、耳たぶを氷で感覚が無くなるほど冷やしてピアス用の穴を開けたのだが、相当痛かった。
「何も、旅先でやらなくても・・・」
「だって、昨日いのにおそろいのピアスもらって、すぐ付けてみたかったんだもの。片耳だけだし」
しかし、一人でやる勇気がなく、7班で一番器用そうなカカシを部屋に引っ張り込んで頼んだのだ。
ナルトに誤解されていることを二人はもちろん知らない。「ナルトの奴、何か落としていったよ」
「お菓子だ!先生、お茶入れるから食べてから帰ったら?」
ナルトのものは自分のものとばかりに、サクラはカカシを誘う。
サクラと食べるはずだった菓子まで奪われ、まさに踏んだり蹴ったりのナルトだった。
あとがき??
ナルチョ、可哀相に・・・・。(涙)
(おまけSSシリーズ196)『パックンとサクラ』
「パックンーー・・・」
「私、パックンじゃないんですけど!」
後ろからカカシに抱きつかれるサクラは、不満げに言う。
「分かってるよー。でも、同じ匂いー」
サクラが肩を怒らせながら歩いていても、カカシはお構いなしだ。
愛犬が持病の腰痛で入院して以来、カカシは何かとサクラにひっついている。
ただ使っているシャンプーが同じという理由だけで、大きな迷惑だ。「あーもー、離れてよーー。私とパックンじゃ全然違うでしょう」
「んー、でも、パックンとサクラって、似てるしさ」
「どこが!!!」
憤慨するサクラを見て、カカシはくすくすと笑う。
「そういうところ」
治療を終えたパックンは、その夜、予定よりも早く家に戻ってきた。
もちろんカカシは大喜びだ。
「おかえりーーv」
「・・・暑いぞ」
抱きしめられ、熱烈に歓迎されたパックンは顔をしかめている。
「うーん、サクラと同じ香りvパックンもサクラも、抱き心地が最高だよね〜〜」
「あんな小娘と一緒にするな!」
「でも、パックンとサクラって、似てるし」
「どこがだ!!」
目くじらを立てるパックンに、カカシは笑顔で答える。
「そういうところ」
あとがき??
どっちもプライドが高いのね。
先生がサクラを可愛がるのって、パックンと同じ感じなのか。(笑)
パックン、ラブリーだなぁ。
(おまけSSシリーズ197)『ポックル』
アカデミーからの帰り道、兄のイタチの姿を見つけたサスケは必死に追いかけた。
今日こそは、練習を重ねた手裏剣の技を見てもらうのだ。
「兄さん、待ってよ!」
声は聞こえているはずだが、彼は全く振り返らない。
何か、考え事をしているのだろうか。
「兄さん、兄さん」
サスケが何とか彼の服の裾を掴むと、イタチはようやく立ち止まる。
彼の目の鋭さに一瞬たじろいだサスケだが、つばを飲み込んでから声を出した。「修行に付き合って」
「・・・・今は忙しいんだ」
適当に弟をあしらおうとしていたイタチは、後方を見るなり驚愕の表情で目を見開く。
ピンクの髪に、赤いリボンを巻いた少女がもじもじと二人の様子を窺っていた。
「ああ、あの子、何だか勝手に付いてきたみたいで、アカデミーのくノ一クラスの・・・」
「コロポックル!」
突然大きな声を発したイタチに、サスケとサクラはびくりと体を震わせる。
驚くべき早さでサクラの傍らに移動したイタチは、どこから出したのか、ふきの葉を差し出した。「これを持て!」
「は、はい・・・」
「コロポックル、コロポックル!!凄い、本物だ!」
なにやら大興奮のイタチはサクラの姿をデジカメで撮りまくっている。
傘のように大きな葉っぱを持つ小さなサクラは、妖精に見えなくもない。
だが、訳の分からない状況に怯えるサクラの顔色は真っ青だ。「に、兄さん・・・・」
今まで沈着冷静な兄の姿しか見ていなかったサスケにしても、混乱している。
これが恋に落ちた瞬間だと、気づくはずもなかった。
あとがき??
ハチクロの森田さんと化したイタチ兄。(笑)
コロポックルー!(←合い言葉)
今、イタサクが暑い、いえ、熱い!
(おまけSSシリーズ198)『ビバノンノン♪♪♪』
〜 あらすじ 〜
カカシの出任せを信じ、自宅で寝込んでしまったサクラの父。
サクラは誤解を解くために、一時的に帰宅するが・・・・・。
「何やってるのーーーーー!!!!」
サクラはその光景を一目見るなり、絶叫していた。
サクラの父と母、そしてカカシが和やかな雰囲気で食事をしている。
すっかりカカシは家族の一員としてとけ込んでいる感じだ。
「何って、ご飯食べてるの」
「サクラ、ちゃんと先生に挨拶しなさいよ」
「っていうか、何で鍋なのよ!もう暑いのに」
「親睦が深まるだろー」
サクラやその母、カカシの言葉が入り交じっている。「サクラ、この先生はなかなか見所のある人だぞ」
「ちょっと、お父さん、何で懐柔されてるのよ!!」
いきり立つサクラは、彼の背後に置いてある箱を見るなりハッとした。
父が何より好きなものが、中で蠢いている。
「・・・あれ、先生が持ってきたの?」
「うん。シノくんのパパにお願いして、ちょっと分けてもらったんだー」
ため息をつくサクラは何もかも悟り、仕方なく自分の席に座る。
サクラの父の趣味は昆虫採集。
専用の部屋まで作り、カブトムシやクワガタやサクラの知らない虫を嬉々として育てていた。
カカシがサクラの父にプレゼントしたのは、クワガタの王様と言われるオオクワガタだ。
しかも、10センチ以上ある大物に、サクラの父は陥落したのだろう。「ねえねえ、サクラ。トメコとヨネコ、どっちがいい?」
「えっ、何、それ?」
「名前だよ、名前。俺達の子供の」
「・・・・・・ええーー!??」
その意味を理解するなり、サクラは大きな声をあげて立ち上がっていた。
「楽しみねぇ」
茶を啜る母の言葉に、父も静かに頷いている。
子供など、いない。
そもそも、サクラはカカシと交際などしていないのだ。
いや、何故、娘が生まれるということになっているのか。
トメコとヨネコ、その、最悪なネーミングセンスをどうにかしてくれ。突っ込みどころが多すぎて、サクラはただぱくぱくと口を動かすことしか出来ない。
非常に嫌な予感がする。
この場から逃げ出したい衝動に駆られながら、どうにも身動きが出来ない。
にっこりと微笑むカカシに、引きつった顔を向けるのが精一杯のサクラだった。
あとがき??
「サクラは僕がいないと生きていけない体」と言われ、父は子供が出来たと思ったようです。
そして、サクラパパのその勘違いに便乗するカカシ先生。
流されるサクラ。
果たして、行き着く先は・・・。
(おまけSSシリーズ199)『ポックル、ポックル』
〜 あらすじ 〜
サスケにくっついてきたサクラをコロポックルと勘違いするイタチ兄の話。
まだイタチ兄がぐれる前の設定。
ちなみに「コロポックル=アイヌの伝説で、北海道に住んでいたとする小人」とのことです。
「コロポックル、コロポックル!」
「・・・・」
兄の部屋を通り過ぎたとき、サスケは確かに興奮するイタチの声が聞こえた。
彼はここ数日任務で家を留守にしていたのだが、戻っていたらしい。
いや、そんなことより、サスケが気になったのはその言葉だ。
思えば、玄関に見慣れない赤い靴があった気がする。
「あの・・・兄さん」
嫌な予感がしたサスケは、怖々とその扉を開いてみた。すぐには声が出ない。
イタチが、涙目で震えるサクラの上着を強引に脱がしている。
「な、何やってるのーー!!!!!」
「あれに着替えさせるんだ」
イタチはサクラのサイズに合わせて作られたアイヌの衣装を見ながら言う。
「希少生物を保護しただけだ」
「サクラは人間だよ!っていうか、あきらかに僕に会いに来たんだろ!!人さらい」
サスケはサクラが自分に持ってきたお菓子の包みを指さして言及するが、イタチは聞いていない。
いそいそとサクラに衣装を着せると満足げに頷いていた。「どうしたの?騒がしいけど」
「あ、母さん!兄さんをどうにかしてよ」
様子を見にやってきた母に救いを求めたサスケだが、彼女はサクラを見るなり目を見開く。
「コロポックル!!!」
「え・・・ちょっと、母さん」
「大変だわ!!お父さんにも知らせなきゃ!」
「コロポックル、コロポックル」
部屋から駆けだしていった母を気にせず、イタチはデジカメの準備をしている。
あとで分かったことだが、イタチだけでなく、父や母もコロポックルの熱狂的ファンだったらしい。
「これが元凶か・・・・」
本棚にある世界の妖精&精霊について描かれた本を見て、サスケは深々とため息をつく。
分かりやすく描かれた解説の隣りに、ピンクの髪と緑の瞳の愛らしい小人のイラストが載っていた。
サクラに似ていないこともない。
カラーリングが派手なのは、子供用の本だからだろう。「コロポックル、コロポックル!」
「コロポックル!」
「コロポックルー!!」
サスケの後方では、何かの合い言葉のように連呼する父、母、兄がサクラを撮影している。
哀れなのは状況を把握出来ずにおどおどと立ちつくすサクラだ。
サスケに会いに来ただけなのだが、妙な衣装を着せられ、写真を目一杯撮られている。
しサクラがサスケをさけるようになったら、全てはうちはの家族の責任だった。
あとがき??
コロポックルー!!(合い言葉)
何だか、うちは×サクラみたいになってしまったよ。
あと二つばかり書きたい。カカシ先生とか。
サクラ、イタチ兄とラブラブにしても、いいかなぁ。
(おまけSSシリーズ200)『同情といたわり』
「綺麗な夕日ねー」
「うん」
サクラは仕事帰りに一楽に寄り、ナルトと二人で歩いている。
もちろん、初めはサスケに声をかけたのだ。
断られるのはいつものことだった。「サスケくんは、私のこと、嫌いなのかな・・・・」
「・・・・サクラちゃん」
「何だか、いつも遠いところを見ていて、私のことなんか視界に入っていないみたい」
言いながら、サクラは足下の小石を蹴りつけた。
サスケにとってのサクラなど、この小石と同じ価値しかないのだろう。
サスケと喧嘩ばかりでも、相手をするだけ、ナルトの方がよっぽどマシな存在だ。
同じ班になれば何か変わると思っていたのに、距離は少しも縮まることはなかった。
「俺は、サクラちゃんのこと、大好きだよ!」
「・・・・」
「ずっとずっと、何があっても好きだよ」
まっすぐにサクラを見つめる瞳には、それが真実だと伝える力があった。
だが、サクラはどこか冷めた目でナルトを眺めている。
これは自分そのものだ。
ナルトがいくらサクラを好きだと言っても、彼女はそれに応えられない。
同様に、サスケもサクラの誘いにのることはない。
ふいに、澄んだ青い空のような瞳を、汚したい衝動に駆られた。「あんたが、私のことを好きじゃなかったら良かったのに」
サクラが小さな呟きを漏らすと、ナルトは怪訝な様子で眉根を寄せる。
残酷な発想だ。
ナルトのことは大嫌い、顔も見たくないと言ったなら、彼はどんな表情をするだろう。
ひどく傷ついた顔をして、それでも、悲しげに笑うはずだった。
あとがき??
たまにはナル→サク。
(おまけSSシリーズ201)『姐さんはくノ一 5』
きちんと整理整頓されていて、まさしく“イルカの部屋”といった様子だった。
初めて彼の家を訪れた紅はやや緊張気味に椅子に座っていたが、ふと、テーブルの上の物へと目を向ける。
旅行会社のパンフレットがいくつか並んでいた。
草津や伊豆、近場の温泉地のようだ。
何気なくそれを眺めていた紅は、お茶を運んできたイルカに気づいて顔をあげる。「イルカ先生、温泉好きなんですか?」
「はい。よく日帰りで行くんですが、今度は宿を取ろうかと思いまして」
「へぇー」
「紅先生、どこがいいですか?」
「私は伊香保に行ってみたいです。この前、友達が凄く良かったって言っていて・・・・」
その瞬間、何となく話の流れが妙な方向いっている気がした。
紅が黙り込むと、イルカは優しく微笑んで言葉を続ける。
「じゃあ、明日、予約入れておきますね。今日中に宿を決めましょう」
「は、はあ・・・・」
イルカ個人の旅行かと思いきや、いつのまにか一緒に温泉に行くことになっていた。
もちろん紅も依存はないが、イルカといると、どうも彼のペースで話が進んでしまう。
「イルカ先生って、もしかして、凄腕のジゴロなんじゃあ・・・・」
「は?何か言いました」
「あ、いえ、イルカ先生って今まで相当女性におもてになったんじゃないかと」
紅が言いにくそうに視線をそらすと、イルカは実に明るい笑い声を立てた。
「全然ですよー。女の人には全く縁がなかったです。むしろ、さけられているみたいですよ」
「えっ」意外な答えだったが、にこにこと笑うイルカは嘘を言っているように見えない。
彼ほどの好人物がもてないなど、あるのだろうか。
どうも釈然としない紅だったが、その答えは数日後にはっきりすることとなる。
「何だか楽しそうねー」
颯爽と廊下を歩いていた紅は、からかうような声を聞いて立ち止まる。
仲の良いくノ一仲間の、みたらしアンコだ。
「男でも出来たの?」
「まあ・・・ね」
「誰よ、相手は」
聞かれて、もちろん紅はすぐ彼の名前を言おうと思ったのだ。
だが、機先を制したアンコはにっこりと笑って言う。
「まさか、イルカ先生だなんて言わないでよ」
「・・・・」
どういう意味だろう。
まさか、彼女とイルカは深い関係なのだろうか。
するとイルカは嘘をついていたことになるが、アンコは紅の動揺を知らずに話を続ける。「イルカ先生はアカデミーの教師達のアイドルなのよ」
「えっ!?」
「3年連続「婿にしたい男」NO.1!ファンクラブもあって、熱狂的ファンが凄いのよ」
「・・・へぇ」
「ファンクラブの中には何故か男の人も多くて、あの三代目火影様の名前もあったわ」
「ええーー!!?」
思わず声をあげた紅だったが、アンコは神妙な顔で頷いている。
「今はファンの間でイルカ先生に近づかない約定が出来ているけれど、誰かが破ったら血の制裁ね」
「・・・・・」
近づくどころか、互いの家に行き来する関係だとばれれば、どうなるだろう。
イルカが女性にさけられていると言っていた意味がようやく分かった。
「それで、紅の恋人って、誰?」
「・・・内緒」
上忍で、そして、ファンに襲われても対応できる腕があって、紅は本当に良かったと思う。
もはやイルカの身を守ることが使命のような気さえしてきた紅だった。
あとがき??
危うし、紅先生!
いや、ある意味、イルカ先生も危ないんですが。(笑)男のファンが・・・。
紅先生に守ってもらいましょう。
あらゆることを無視して、いきなり恋人同士みたいになっている様子。
うちのイルカ先生は手が早いようなので、まぁ、いいかと。
(おまけSSシリーズ202)『ポックル 3』
〜 あらすじ 〜
サスケにくっついてサクラをコロポックルと勘違いするイタチ兄の話。
まだイタチ兄がぐれる前の設定。
ちなみに「コロポックル=アイヌの伝説で、北海道に住んでいたとする小人」とのことです。
ずっと気になっていた。
うちはイタチが、任務の間中背負っているその荷物が。
寡黙な彼は仲間達と無駄な話はしない。
だが、少しくらい説明があってもいい気がした。「イタチ・・・・、その女の子、誰?」
「女の子じゃありません。コロポックルです。森の精霊です」
自分の背中を見つめる暗部仲間に、イタチは不機嫌そうに言う。
負ぶい紐でくくられたサクラは口にテープが貼られていて声が出ない。
わけのわからない場所に連れてこられたためか、潤んだ瞳が痛々しく見える。「お前、まさか誘拐・・・・」
「保護したんです。コロポックルです」
「いや、これは考えても人間の・・・」
「コ、コロポックル!!!」
何とかサクラを保護しようとした暗部仲間を押しのけ、一人の上忍がイタチに近寄る。
きらきらと瞳を輝かせてサクラを見ているのは、班のリーダー的存在であるカカシだ。「カカシ、お前どこにいたんだよ。また遅刻・・・・」
「コロポックル、本当に、本当にいたんだな!!!」
「気安く触らないでください」
サクラを触ろうとしたカカシから離れると、イタチは鋭い眼差しで彼を睨む。
「これは俺が発見したんです」
「それ、俺にくれ!金なら払うから」
「嫌です!これはうちは家で世話をするんです」二人が怒鳴り会う中、怯えるサクラはイタチの肩を必死に掴んでいた。
もちろんイタチは苦手だが、サスケの兄という点では安心出来る。
対して、カカシは全く見ず知らずの他人なのだから、連れて行かれてはたまらない。
「・・・なぁ、あれ、人間の女の子だろ」
「さあ。コロポックルなんじゃないのか?」
残る暗部仲間二人は、様子を傍観しながらぼそぼそとした声で語り合う。
物事にあまり執着しないあのイタチが拘るのだから、やはりだたの少女ではないのかもしれない。
あとがき??
イタチ兄、暗部の仕事にまでコロポックルを連れて行っています。
何だか時代がよく分からなくなってきた。パラレルだし。
(おまけSSシリーズ203)『惚れた弱み』
「先生、本気でやってよね!!!」
「んー・・・」
日頃、ナルトやサスケにばかりかまっているカカシを掴まえ、サクラは体術の特訓をしていた。
サクラは真剣に向かっていくのだが、カカシはどう見ても遊び半分だ。
愛読書である18禁本を持ったままで、サクラの拳や蹴りを受け流している。
全く、面白くない。「・・・・たまには攻撃してきてよ」
激しい動きで体力を消耗したサクラは、その場にへたり込みながら呟く。
「無理。サクラ、女の子だし」
横に手を振りながら言うカカシに、サクラはかちんと来た。
「何よ、それ。差別じゃないの!サスケくんにはいつも本気で相手してるじゃない!!」
「えーと、それじゃあサクラがもし男の子だったとして、サクラは好きな女の子を殴ったり出来る?」
「・・・・・出来ない」
「その通り」
にこにこと笑うカカシを、サクラは怪訝な表情で見上げる。
「その話と私の特訓とどう関係があるのよ」カカシの想いはサクラに全く伝わっていないようだ。
カカシは呆れるのを通り越して、笑うしかない。
「サクラって頭いいのに、肝心なところで鈍いよねぇ・・・・」
あとがき??
元ネタは『うる星やつら』の渚くんですね。
外見は美少女だけど実は竜ちゃんより強い男の子。あの子、好きなんですよ。
前にも使ったネタだった気がする。
(おまけSSシリーズ204)『デカメロン伝説』
「先生―、特訓しようよ、特訓!新しい技を教えて」
カカシの家に押し掛けたサクラは、背中を丸めて座る彼にひっついておねだりをしている。
たまの休み、のんびり愛読書を読むはずが、後ろで騒がれては集中出来ない。
さらには、サクラはカカシの背中に思い切り抱きついているのだ。
「あの・・・サクラ、離れてくれる?」
「何でよ、ナルトなんていつも飛びついてるじゃない」
「いや、その、当たるから、さ」
妙に歯切れの悪い物言いに、サクラは怪訝な表情になった。「何が?」
「胸が」
サクラはちらりと胸元に目を向けたが、肩に置いていた手をカカシの首筋に巻き付ける。
これで密着度は倍だ。
「大丈夫でしょう。私の胸なんて、マドレーヌくらいの大きさだし」
「んー、甘食くらいはあると思うよ」
「なら、いいじゃない」
上手く言いくるめられた気がする。
大体、何がいいと言うのか。「サクラ・・・・」
「先生を誘惑中なのです」
ようやく愛読書から目を離したカカシに、サクラは笑顔を向けた。
「甘食がメロンパンくらいになったら、振り向いてくれる?」
「・・・そうね、本物のメロンぐらいになったら考える」
「先は長いわねぇ」
ため息をつくサクラは自然と腕に力をこめる。
甘食でもメロンパンでも、サクラが相手だから緊張するのだが、そのことはもう暫く黙っておくことにした。
あとがき??
ちなみに、スイカサイズは綱手姫。
タイトルは少年隊の歌ですよ。前にもどっかで使ったような。
サクラ→カカシも好きだなぁ。誘惑、誘惑。
(おまけSSシリーズ205)『さくさく 4』
〜 あらすじ 〜
サクモ父が生きていて、カカシ先生とサクラが結婚しているパラレルです。
3人仲良く(?)一緒に暮らしております。
そして、サクモ父は息子の嫁であるサクラに片思い中。いや、ほとんど両思い。
カカシ先生の悩みはつきないようです。
任務から帰宅したカカシだったが、家の中には子供の泣き声が響いていた。
そもそも、呼び鈴に反応してサクラが玄関に出てこないのがおかしいのだ。
荷物を廊下に置いたカカシは、怪訝な顔で部屋の中を覗き込む。「はいはい、パパですよー。泣きやんでねーー」
「お父様、ミルク、用意出来ました!」
赤ん坊をあやすサクモに、キッチンから出てきたサクラが駆け寄った。
「あ、飲んでる、飲んでる。良かった」
「お腹がすいていたのね」
ほ乳瓶に手を添えてミルクを飲む赤ん坊の姿に、サクモとサクラはホッとして微笑む。
どう見ても、仲の良い夫婦と、その子供という光景だ。
「サクラーーーーー!!!!」
勢いよく扉を開いたカカシは、驚くサクラに涙目で詰め寄る。
「俺がいない間に親父の子を産むなんて、ひどすぎる!」
「え・・・」
「いつかは、いつかはこんな日が来るんじゃないかと思っていたよ」
跪いたカカシのあまりの落胆ぶりに、サクモとサクラは暫く声を出せない。
赤ん坊まできょとんとした顔でカカシを見つめている。
「・・・先生、子供ってどれぐらいの期間で産まれるか、知ってる?」
「およそ十ヶ月」
「先生が留守にしていたのって三日間だけでしょう。その間に子供作って産んだり出来ないわよ」
赤ん坊が近所の若夫婦の子供だと知るなり、カカシはすぐに機嫌を直した。
彼らが買い物に行っている数時間の間、子守を任されたのだ。
妻の方とサクラは仲良しで、たびたびこうして子供を預かっている。「私も早く、赤ちゃん欲しいなぁ・・・」
「サクラ、頑張ろうねv」
「何でお前が頑張るんだよ」
サクラの肩を抱いて言うサクモを、カカシが後ろから蹴り飛ばす。
それからは、いつもの乱闘だ。
赤ん坊を抱え、もみ合う二人を傍観していたサクラは、何気なく声をかけた。「二人は、男の子と女の子、どっちが欲しい?」
「「サクラ似の女の子!!!」」
見事に、サクモとカカシの声は重なっていた。
同時に顔をしかめた二人を見て、サクラはくすくすと笑う。
「本当に、よく似た親子」
あとがき??
何だかもう、このまま3人で幸せになって欲しいです。
サクモパパの子でも、カカシ先生の子でも、いいじゃないの。同じ顔だし。
いや、駄目なのか・・・。
191〜205まで載せてみました。
web拍手にて、何番の作品がお好きかご意見を頂けると嬉しいですv
個人的に、イル紅シリーズが楽しいですね〜。