(おまけSSシリーズ266)『お姉ちゃんな先生』

 

朝、サクラが目覚めると体が少年のものに変っていた。
ひとしきり混乱したあと、冷静になって部屋の外に出ると、両親も同様だった。
父が母になって、母が父になっている。
つまり、性別が入れ替わっているのだ。
とりあえず、生活に支障をきたすことはないようで、サクラは朝食を取って出発する。
少年になっても衣装はスパッツ、赤系の服だ。
行き違う近所の人々ももちろん、おじさんはおばさんに、おばさんはおじさんになっていた。
それで騒ぐ者もおらず、どうやらサクラが昨夜寝る前までの世界とは、違った場所のようだ。

 

「おはようーー、サクラくんv」
7班のいつもの集合場所にいた金髪の少女が、人当たりの良い笑顔で言う。
頬に三本の髭、ナルトだ。
胸が女だったときのサクラよりもずっと大きくて、彼女はついつい不機嫌になった。
「どーしたの?」
「・・・なんでもない」
ぷいと顔を背けると、そこには表情なく佇む麗人がいる。
「おはよう」
「あ、お、おはよう」
慌てて挨拶をしたサクラは、黒髪の美少女がサスケの面影を残していることにどぎまぎとした。
いや、体は少年になっても、サクラの心は女のままだ。
緊張はしても、ときめいているわけではない。

「あ、珍しい。カカシ先生が15分遅れでちゃんと来たよ」
「えっ?」
サクラが振り返ると、髪をお団子にして二つにまとめた美女が本を読みながら歩いてくるのが見えた。
服は、何故かチャイナ服だ。
髪が銀色で左右違う色の瞳、そして本がイチャパラだったことから彼女の正体を見破ることが出来た。
「カカシ先生―、なに、その服はー?」
「今、上忍の間でチャイナ娘強化月間なの。くノ一はみんなチャイナ服で仕事してるのよ」
「強化って、なにをですかー?」
「男の欲望よ」

 

ナルトとカカシが会話をしている間、サクラはじっと彼女を凝視している。
スタイル良し、顔も良し、申し分ないこの美女がカカシだとは、どうも信じたくない気持ちだ。
「あれ、サクラってば。あんまり綺麗だから見とれちゃってるの?」
「ち、ちが・・・」
「サクラ、今日も可愛いーvv」
ぎゅうっと抱き締められたサクラは、身動きが出来ずに真っ赤な顔になる。
ナルトとサスケが周りで騒いでおり、性別が違うことを除けば、毎日見られる風景だ。
そして、サクラの心もいつもどおりにドキドキとしている。
心は女、と言い聞かせても止まらない。
中身がカカシならば何でもいいのかと思い、少々自己嫌悪に陥ってしまうサクラだった。

 

あとがき??
性別逆転SSです。
以前、カカシ視点でやった話をサクラにしてみました。あれは大人向けでしたが。(笑)
このSSのサクラは先生のことがラブみたいですね。
ああ、ナルトとカカシ先生の会話は銀魂です。お妙さんのチャイナ服も可愛かった・・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ267)『先生の家のペット』

 

「サクラー、たまには先生の家に遊びに来ない?」
「絶対に嫌」
任務終了後、やたらべたべたとくっついてくるカカシに、サクラはけんもほろろに答える。
「ナルトやサスケくんが一緒ならともかく、一人で行ったらなにをされるか分からないわ」
「そんな、人をケダモノみたいに・・・・」
しくしくと涙するカカシだが、断られるのはいつものことだ。
だから、今日はある奥の手を使うことにした。

「サクラ、これうちで新しく飼い始めた犬なんだ。ほら」
「えっ」
カカシが懐から出した写真をちらつかせると、サクラの目は瞬時に釘付けになる。
今、巷で大人気のチワワだ。
潤んだ瞳をカメラのレンズに向ける仔犬の姿は、なんとも言えず愛くるしい。
「このワンちゃんが先生の家にいるの!」
「うん」
「行く!!触らせて!!!」
先ほどカカシの誘いを冷たく断ったことなど忘れ、サクラは身を乗り出している。
女、子供は小動物に弱いと相場が決まっているのだ。
それこそ、カカシの思う壺だった。

 

「名前はなんていうのー?」
「チワワだからチーちゃん」
「・・・・先生、相変わらずよね」
パグだからパックンと名づけたことといい、あまり複雑な名前は考えられないらしい。
だが、実際にチワワを目にすれば、サクラはカカシが適当につけた名前を連呼せずにいられなかった。
「チーちゃん、可愛いーーvvおいで、チーちゃんv」
きょとんとした顔で首を傾げるチワワは、サクラが手を差し出すと大人しく彼女の腕に収まる。
サクラは至福の表情だ。

「サクラー、明日もうちに来る?」
「うん、行く行く!!」
日が暮れて、カカシに送られて家路を歩くサクラは、何度も首を縦に動かす。
カカシの飼い犬が、すっかり気に入ったらしい。
こうしてペット目当てでカカシの家に入り浸る日が続き、気づくと飼い主の方とも親密な仲になっていた。

 

「サクラちゃん、カカシ先生のどこが良かったのー?」
「えーと、犬が可愛いと飼い主も可愛く見えてくるような・・・・」
付き合い始めて数ヶ月、心底不思議そうに訊ねるナルトにサクラは考えながら声を出す。
「ほら、どんなに極悪人でも、動物好きっていうといい人かもって思うじゃない」
「そっかーー」
「・・・・俺は極悪人か」
彼らの会話を耳にしたカカシが恨めしそうに言ったが、二人は意に介さない。
チワワに取り持たれたカカシとサクラの関係は、意外にも順調なようだった。

 

あとがき??
TVであまり外見がいけてない男でもペットが可愛いと女の子がやってくるという実験をやっていた。
これ、カカシ先生が見ていたら、絶対活用するだろうなぁと思って出来た話。

 

 

(おまけSSシリーズ268)『傘の下の案山子』

 

雨の降る中、サクラが商店街の米屋の前を通りかかったときだった。
米屋の名前は『かかし屋』。
看板なのか、いまどき珍しい藁で作られた案山子の人形が店の脇にたっていた。
頭にかぶっていた菅笠は壊れ、ほぼ雨ざらしだ。
普通ならばそのまま通り過ぎたのだろうが、サクラはなんとなしに立ち止まる。
気になったのは、名前が同じせいだろうか。
雨脚の弱まった天を見上げ、サクラはさしていた青いビニール傘を案山子に持たせた。

走って家路につくサクラだが、もうすぐやむという予想に反し、降りが急に激しくなる。
角を曲がった瞬間、誰かにぶつかってしまったのはサクラの前方不注意が原因だった。
「す、すみませ・・・・」
「サクラ、どーしたの?」
顔をあげたサクラは、首を傾げたカカシを見て仰天する。
「カ、カカシ先生」
「朝から雨降っていたのに、傘持って歩いてなかったの?」
「・・・ええ、まあ」
口ごもるサクラは、まさか通りすがりに案山子へプレゼントしたとは言えない。
「まあ、いいや。家に帰るの?」
「はい」
「入れていってあげる」
にっこりと笑うカカシは、すでにサクラの家に向かって歩き出していた。
カカシの持つビニール傘は、偶然にもサクラが案山子に渡したものと同じ青い色。
途中、カカシにもらった飴玉を口に放りながら、サクラは申し訳なさそうに声を出す。

「カカシ先生、どこかに行く途中だったんでしょう」
「うん、ちょっと本屋にね。でも、いいの」
一つの傘に入っているため、二人の距離は妙に近い。
緊張しつつ様子を窺うと、カカシは明るい微笑を浮かべていた。
「サクラには、傘の恩があるから」

 

あとがき??
案山子に傘を渡すサクラを、どこからか見ていたカカシ先生でした。

 

 

(おまけSSシリーズ269)『泣き虫』

 

毎日のように、ナルトはサクラに殴られて顔を腫らしていた。
全てはナルトの失敗や不用意な発言のせいなのだが、それにしても不思議だ。
これだけぼこぼこにされながら、ナルトはまだサクラのことが好きらしい。
確かに、サクラは可愛く明るく根性もあるが、そこまで惹かれる理由は何なのだろう。

「泣き虫なところ」
訊ねると、予想外の答えが返ってきた。
カカシが思いついたサクラの特徴とは正反対の言葉だ。
何となく意外な気がして、その言葉が頭に残っていたのかもしれない。

 

 

「・・・先生、もう、一週間経っちゃったんですけど」
「面目ない」
病院のベッドに寝かされるカカシは、苦笑いをしてサクラを見やる。
写輪眼の使いすぎで倒れるのはいつものことだが、最近は頻繁だ。
元々使うべきではない人間が無理に力を引き出しているのだから仕方がない。
班長が入院中では、部下達はいつまでも新しい任務に就けなかった。

「先生、もうその眼を使うのはやめて」
見舞いの花を花瓶にいけると、サクラはベッドの隣りにあるパイプ椅子に腰掛ける。
その眼差しは真剣だった。
「分かってるわよ。私達がまだ未熟な分、先生に負担がかかってるって。でも心配なの」
「サクラ・・・」
「こんなに何度も倒れてたら、きっと先生早死にしちゃうわ。私がもっと頑張るから」
声を詰まらせたサクラは、こらえきれずに目を潤ませる。
「先生の体が心配なの・・・・」

おえつを漏らすサクラを眺めながら、カカシは何となく、ナルトの言葉を思い出した。
自分のために、涙を流す人を見るのはいつ以来だろう。
これだったら、ほだされるはずだ。
自由にならない体を懸命に動かし、その頭に手を置くと、サクラはゆっくりと顔をあげる。
サクラの涙は綺麗だけれど、やっぱり笑っている方が彼女らしくて、ホッとした。

 

あとがき??
本誌を見て、何となく書いた。
先生、倒れたままあんなに動けないなんて、随分と体に負担だろうなぁと思って。
失明の危機まであるし、強い力を持つのも善し悪しですね。

 

 

(おまけSSシリーズ270)『カカシ先生の失恋』

 

医療術を学ぶ毎日の中で、カカシ先生の家に度々様子を見に行っていた。
先生ときたら、写輪眼の使いすぎで寝込むことがしょっちゅうある。
私が何かと世話を焼かなければ一人でどうやって生活していくのか、全く疑問だ。
その日、カカシ先生は怪我や病気ではなかったけれど、何故だか元気がなかった。
理由を訊ねると、カカシ先生はじつに悲しげな眼差しで答える。

「失恋したんだ・・・・」

聞いているこちらも気が滅入りそうな、感情のこもる声音だ。
がっくりと肩を落として、見ていられない。
彼の告白を聞いた瞬間、胸がチクリと痛んだのは、おそらく気のせいだ。
健康は昔からの私のとりえなのだから。

 

「一目惚れだったんだ。向こうも俺を見ると嬉しそうに駆け寄ってくれて、両思いだと思っていたのに」
一度言葉を切ると、カカシ先生は暗い瞳を窓の外へと向ける。
「子供が出来たから、嫁に行くって。そんな突然、ひどすぎるよ・・・・」
「こ、子供!!」
いきなりヘビーな展開だった。
「その人、カカシ先生と付き合ってたんじゃないの!?」
「・・・・・・誰のこと?」
驚いている私に、カカシ先生はきょとんとした表情になった。
「だから、先生が失恋した、女の人の話よ」
「女は女だけれど、人じゃないよ。隣りの家で飼っていた雌の犬の話だって」
「はあーーー!!!?」
「もー、可愛かったんだからーー、マルチーズのワンちゃん。俺のジョセフィーヌーー」

真剣に聞いていたのば馬鹿みたいな話だった。
でも、ほんの少しだけ、ほっとしている。
「もう、元気出してよ。先生の好きなもの何でも作ってあげるから。なに食べたい?」
「・・・おいものフライ」
「分かった」
私がにっこりと笑うと、先生も釣られて少しだけ微笑む。
このまま先生好みの料理を作れるようになれれば、犬よりもこっちを見てくれるだろうか。

 

あとがき??
おいものフライを食べたいのは私。
犬好きの先生でした。

 

 

(おまけSSシリーズ271)『大人に子供』

 

「先生って、何にも分かっていないのね」

サクラに怒られた。
でも、悪いのはサクラの方だと思うのだけれど。
突然「好き」だなんて言うから。
サクラくらいの年頃の子供が、年上の異性にあこがれるのはよくあること。
時が経つとすぐに萎んでしまう想いだ。
サクラは大事な生徒の一人だと答えたら、サクラはつまらなそうに言ったのだった。

 

「間違いだらけ」

任務の報告書を提出しに行くと、受付の忍びにすぐ突き返される。
そういえば、一人でこれを書いたのは久しぶりだ。
いつも、サクラが横から口出しをしながら書いていた。
・・・・サクラはあれから近づいてこない。

帰り道、甘味屋の前を通り過ぎる。
サクラに似た子がいて振り返ったけれど、別人だった。
サクラが好きなのは、抹茶白玉あんみつ。
何度も連れてこられたから、自然と覚えていた。
ダイエットを気にしているのに、サクラは本当に美味しそうに食べるんだ。
自分はお茶を飲むだけなのに付き合ってしまうのは、その顔が見たかったからだろうか。

立ち止まった先にあるショーウインドー。
サクラに似合いそうな服が売っている。
だけれど、何もないのにプレゼントするわけにはいかない。
ただの教師と生徒だから。
自分がサクラに言ったことだ。

 

子供だったのは、どっちだろう。
全ての考えがサクラへと繋がってしまう。
建物の陰から走り出した少女の姿も、きっと幻影に違いない。

 

 

「先生―」

飛び付くサクラをそのまま抱きしめる。
何だか久しぶりな感じだ。
今日一日、サクラが少しよそよそしかっただけなのに。
顔を上げたサクラは、悪戯な笑みを浮かべて自分を見る。

「寂しかった?」

何もかも知った口調でサクラは訊ねた。
今まで気づけなかった大人の表情で。
離れられるはずがないんだ。

 

「・・・降参」

 

 

(おまけSSシリーズ272)『HONEST』

 

「本当に有り難うございました・・・」
「いえ、元気になられて、良かったです」
頭を下げる青年に対し、サクラは笑顔で応える。
任務中、毒に体を犯された青年は半死半生で里に運び込まれた。
綱手は留守にしており、弟子のサクラが手早い処置をしなければ彼は息絶えていたはずだ。
サクラが付きっきりで看病したかいもあり、青年は後遺症もなく病院を退院することとなった。

「これは、僕の気持ちです」
「えっ、そんな、いいですよ。同じ里の仲間として当然のことですし」
お礼の品を差し出されたと思ったサクラは、両手を振ってそれを拒む。
だが、よくよく見ると小さなケースに入ったそれは光る石のついた指輪だ。
「結婚してください」

 

 

数週間の間、サクラは親身に彼の世話をした。
年も近く、話が弾んだのも事実だ。
しかし、まさか退院と同時にプロポーズをされるとは、全くの予想外だった。

「サクラ、どーしたの?ぼーーっとして」
「うわっ!!」
中忍控え室の椅子に座っていたサクラは、ふいに肩を叩かれて大げさに声をあげる。
振り向くと、そこにいたのは目を丸くするカカシだ。
思わず立ち上がりかけたサクラは、膝の上にのせていたケースを床に落としてしまう。
転がった大きな石のついた指輪を拾うと、カカシはまじまじとそれを眺め、サクラへと顔を向ける。
「どうしたの、これ?」
「・・・・・結婚を申し込まれたの。まだ、返事はしていないけど」

 

カカシには、それまで何でも相談事をしていた。
多少緊張して事情を話すサクラは必死にカカシの顔色を窺うが、そこに目立った変化はない。

「そっかー、サクラもそんな年になったのか。俺も年を取るはずだなぁ」
カカシは、優しい笑みを浮かべてサクラを見つめる。
いつもなら、胸がどきどきとして、たまらなく嬉しくなるサクラだが今日ばかりは気分が沈んだ。
少しは、動揺するかと思った。
「・・・サクラ?」
サクラの異変に気づいたカカシは、そのとき初めて心配げな顔つきになる。
頬を伝う涙に気づいても、止められない。
「私は・・・先生のお嫁さんになりたかったのよ」

 

口に出してから、自分でも、そうだったのかと納得した。
カカシが困っていることを感じ取り、踵を返そうとした瞬間に、サクラは手首を掴まれる。
驚いて顔をあげようとしたときには、すでに体は彼の腕の中にあった。

「断ってこれる?」
カカシの問いかけに、サクラは彼の胸に顔を埋めたまま頷く。
ずっとずっと離したくない。
どれほど素敵な人間が現れようとも、自分の帰る場所はここ以外には考えられなかった。

 

あとがき??
先生はまだ、自分の気持ちに気づいていないのだと思います。
うちのカカシ先生はいろんな意味で鈍い。
でも、泣いているサクラを見ていたら、何だか渡したくないなぁと思ってしまったのですよ。

 

 

(おまけSSシリーズ273)『ご褒美』

 

「えへへー、一週間かかってようやく見つけたぜーー」
珍しく一番に7班の集合場所にやってきたナルトは、掌を開いてそれを見せる。
近頃巷で人気と噂の、クマのマスコットだ。
だが、自慢げに話されてもサスケはそうした物に興味はない。
「・・・それで?」
「この、帽子をかぶったバージョンをサクラちゃんが捜していたんだ」
にこにこ顔で語るナルトに、サスケはようやく彼の言いたいことを呑み込む。
サクラにプレゼントをして、株を上げようという魂胆なのだろう。
「あっ、サクラちゃんが来たvvおはようーー」

 

 

結果は見ずとも分かることだったが、効果は覿面だった。
「すごーーい!!これ、レアものでなかなか手に入らないのよ!可愛い」
ナルトにクマを渡されたサクラは、きらきらと目を輝かせてクマを眺めている。
何事にも熱中しやすいサクラは今、このクマグッズを集めるのに必死なのだ。
「サクラちゃんのために、方々に手を回したってばよ」
「有り難う、ナルト!!」
感激のあまりサクラはナルトに抱きついている。
普段の素っ気なさが信じられないほどのサービスに、ナルトはすっかり有頂天だ。
会話の和に入っていけず、一人佇むサスケは目を細めて満面の笑みを浮かべるナルトを見つめる。

「あのさ、よかったら今度の日曜日二人で・・・・」
「サクラ」
いよいよ本来の目的であるデートの誘いを口にしたナルトだったが、その一言にサクラはすぐさま反応する。
彼女にとって、何よりも大事な人間からの呼びかけだ。
「何、何、サスケくん!?」
サスケに駆け寄るサクラは、すでにナルトなど眼中にない。
マスコットのクマに対するもの以上の熱い眼差しを彼に向けている。
半眼で自分を睨んでいるナルトの姿に、サスケは胸のすく思いだった。

 

「えっ・・・・・」
肩に手を置かれて顔をあげたサクラは、そのままの姿勢で絶句する。
額に、キスをされた。
常日頃、そのための場所だと主張しながらも、実現したことはない。
サクラの頭をぽんぽんと叩いたサスケは全く無表情で、どう解釈したらいいかも不明だ。

「て、てめー、何やって・・・」
「おはよう、みんなー。遅くなってごめんねーー」
一瞬の間を開けてサスケに詰め寄ろうとしたナルトは、カカシの登場によって出鼻をくじかれる。
今日も賑やかになりそうな7班の面々だった。

 

あとがき??
タイトル、そのまんま。
ご、ごめん、ナルチョ・・・・。(=_=;)ちなみに、クマはリラックマですよ。
うちは家次男の我が儘坊ちゃんは、自分が一番にちやほやされていないと面白くないようです。(笑)
とくに、サクラはね。サクサス祭り以降、ちょっとは素直な坊ちゃんを書けるように、なったかなぁ。
相変わらず台詞少ないけど。(苦手)
今度積極的な坊ちゃんを浦のSSで書くので練習、練習。まあ、浦なので、アレでソレです・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ274)『姐さんはくノ一 12』

 

「あいつ、来月結婚するそうですよー」
「えっ、それはめでたいですね」
カカシの提出した報告書をチェックしつつ、イルカは笑顔で応える。
カカシとすれ違いに部屋を出ていった中忍は、彼らより年下だ。
確か、二十歳になったばかりだったように思う。

「えー、俺は信じられないですよ。まだ若いのに、全然遊ばないで一人の女に掴まっちゃうなんて」
「そうですか?」
「ラーメンを毎日毎日食べさせられるのと一緒ですよ」
突拍子もないカカシの一言に、イルカは紙面から目を離して彼を見やる。
「イルカ先生、ラーメン好きでしょう」
「はい」
「でも、どんなに好きでも毎日食べろと言われたら飽きてくる。それと同じ。たまには他のを食べたくなるものです」

女性をラーメンに見立てるのはどうかと思ったが、イルカは何となしに紅の姿を思い浮かべた。
毎日、彼女がそばにいる生活。
今のところ飽きるなど考えられず、至福の日々だ。
「俺は毎日ラーメンでもいいです」
「・・・・イルカ先生、変わっていますね」

 

二人の会話が終わらないうちに、カカシと同じく報告書を持った紅が部屋に入ってきた。
イルカはすぐに居住まいを正したが、カカシは「あ、ラーメン」と呟きを漏らす。
「何、ラーメンって?」
「こっちの話ーー」
慌てているイルカを横目で見つつ、カカシは楽しげに笑った。
「紅は幸せ者だねぇ」

 

あとがき??
ビバ、イル紅!!やっぱり好きだなぁ、この二人。これからも思いついたら書きますよ。
元ネタは『アマリリス』です。

 

 

(おまけSSシリーズ275)『姐さんはくノ一 13』

 

「見ろ、ナルト、あれ。可愛いぞ!!」
「えーー?」
振り返り、イルカの指差したものを見るなり、ナルトは顔をしかめた。
ショーウィンドーの向こうにあるそれは、ナルトが最も苦手とするものだ。
「イルカ先生、その変な趣味、絶対に紅先生に知られないようにした方がいいよ」
「変な趣味とはなんだよ・・・」
「ユミちゃんのときみたいに、逃げられてもいいの?」

ふてくされたイルカは、ナルトの出した元カノの名前に頬を引きつらせる。
ユミには、10年かけてせっせとコレクションしたブツを見せるなりふられてしまった。
思えば、その前の彼女と駄目になった理由もイルカの趣味に係わっていたのだ。
「・・・こんなに可愛いのに」
店の陳列窓に手を当てるイルカは、名残惜しそうにそれを見つめる。
あまり人には理解されにくい趣味だが、一生掛けて続ける気持ちでいるイルカだった。

 

 

「今日はお招き有り難うございましたv」
「いえ、沢山食べていってくださいね」
イルカの家で開かれた鍋パーティーに招かれ、紅は手土産を持ってやってきた。
鍋の置かれたテーブルにナルトが小皿を並べ、準備は万端だ。
「知り合いがカニを送ってくれたんですけど、一人じゃ食べきれなくて」
「美味そうだってばよ!」
さばいたカニをふんだんに使ったカニすき鍋は、ナルトが滅多に食べられないご馳走だった。

「ナルト、野菜もちゃんと食べろよ」
「分かってるってー」
ほのぼのした雰囲気で鍋をつつく三人だったが、ポン酢を持った瞬間に、そそっかしいナルトが手を滑らせる。
「うわっ」
瓶が割れることはなかったが、ふたが開いていたためにテーブルがポン酢まみれだ。
「布巾、布巾!」
「ごめんってばよー」
「えーと、どこかしら・・・」
慌ててキッチンに向かった紅は布巾を捜して戸棚を開けたが、それがいけなかった。

「ああ、そ、そこは!!!」
イルカが止めようとしたときには、すでに戸棚に押し込まれていたものが崩れて飛び出していた。
イルカが部屋の至るところに飾り、来客があるときだけ仕舞われる、大事なコレクションだ。
「・・・これ」
布巾を捜していたことも忘れ、不気味なゾンビの人形を紅は目を丸くして見つめている。
皮膚は腐り、目玉が飛び出した人形達の山。
夜中にうっかり目が合えば、そのまま気絶しそうなリアルな作りだ。

 

「・・・イルカ先生、こうしたものを集めていらっしゃるんですか」
「そうです」
低い声で呟いた紅に、イルカは観念して応える。
この恋は終わった。
イルカだけでなく、ナルトもそう確信したときだった。

「素敵です!!!これ、ゾンコじゃないですか」
「・・・・は」
「通販限定で、私が申し込もうとしたとき売り切れていたんです。『悪霊の盆踊り』に出ていたキャラですよね!!」
「そ、そうです」
一部のマニアックな者しか知らない映画の名前に、イルカは驚きを隠せない。
「ああ、こっちは『死霊のえくぼ』に出てくるキキ・・・・。泣ける映画でしたよね」
「そう、そうですよ!あれはもう、世界に誇れる感動作だと思っています」
「もげた首を抱きしめてみんながメリーゴーラウンドに乗るラストは、涙なしに見られなかったです・・・」
そっと涙を拭く紅に、イルカまでもらい泣きしている。

ナルトが、全く入っていけない世界だった。
ようやく見つけた布巾でテーブルを拭きつつ耳を傾けると、二人でゾンビ映画を見に行く話になっている。
そのあとに、お互いのゾンビ人形のコレクションを見せ合うようだ。
「お似合いだよ・・・・二人とも」

 

あとがき??
元ネタは再び『アマリリス』。はまるなぁ。

 

 

(おまけSSシリーズ276)『ラブ&エロス』

 

「見て見てーー、先生。これ、新しく買ったスカート」
「あー、可愛いねー」
「この帽子も、いのとお揃いで買ったのよ、オレンジ色」
「似合ってるねー」
久しぶりのデートでサクラは浮かれ気味だったが、カカシは本を読みながら生返事だ。
思わず頬を膨らませたサクラは、彼の手から本を奪い取る。
「ちょっと先生、ちゃんと私のこと見てる?本当に可愛いって、思ってるの」
「・・・・うん」
サクラの勢いに呑まれてつい頷いたものの、カカシの本音は別のところにあった。

「どうせ脱がすんだから、なにを着ていても一緒だと思っちゃうんだよねー」
「・・・・最低」
顔を合わせた際に出たサクラの話題に、紅は思わず半眼で呟いた。
「それ、サクラには言っていないのよね」
「うん。新しい手袋買ってあげたらすぐ機嫌直してくれた。それで、朝までしっぽりと・・・」
「いいから、その続きは言わないでも」

 

そんな会話をしてから数週間後、任務に出たカカシは写輪眼の使いすぎで入院することとなった。
彼に代わって7班の担当上忍となったのは、同じ暗部出身の若い男だ。
見舞いにやってきた紅がそのことを伝えるなり、ベッドに横たわるカカシは大きく目を見開く。

「俺の、俺のサクラが危ない!!」
「は?」
「上司の権力を使ってサクラに悪戯するに決まっている!きっと、あんなことやそんなことを・・・大変だ」
「ちょっと、危ないわよ」
ろくに力の入らない体で必死にベッドから這い出ようとするカカシを、紅は慌てて止める。
「そんないかがわしい目で生徒を見ているのは、あなただけだってば」
「俺が2年もかけて仕込んだのに、サクラーー!!」
なみだ目で嘆くカカシは、紅の言葉を全く聞いていない。
「・・・・ねぇ、あなたの頭の中ってそんなに年中ピンク色なの?」

 

あとがき??
カカシ班なのに、カカシ先生がいなくて寂しかったんだものさ・・・・・。
ちょっとはカカサクってみる。

 

 

(おまけSSシリーズ277)『ベタ惚れ』

 

「ひどいーーー!!」
冷蔵庫の入っていたプリンがどこにも見当たらず、サクラは思わず絶叫した。
盗み食いした犯人は決まっている。
「カカシ先生の馬鹿ーーーーー!!!先生はプリン嫌いでしょう!」
「ハハハー、ごめんごめん。たまーに甘いものが食べたくなるんだよね」
悲しみにくれるサクラが非難すると、カカシは悪びれた様子もなく謝罪する。
「でもさー、サクラは俺のものなんだから、サクラのプリンもやっぱり俺のものじゃないの?」
「・・・・・」
大きなジャイアンがサクラのすぐ目の前にいた。
だが、サクラがそれ以上言及しなかったのが、呆れてしまったのが原因ではない。

 

「何だかさ、ちょっと嬉しかったのよね・・・・」
「プリンは俺のものってやつ?」
「その前」
「サクラは俺のもの」
話を聞いたいのがカカシの言葉を繰り返すと、サクラは頷いて応える。
「・・・・お馬鹿ねぇ」
ため息をついたいのの呟きは、実に的を射たものだった。

 

あとがき??
プリンの入った冷蔵庫は、カカシ先生の家のですよ。

 

 

(おまけSSシリーズ278)『ベタ惚れ 2』

 

上忍専用控え室で、カカシが不動産情報の雑誌を熱心に眺めていた。
カラーペンでチェックしているのは、庭付き一戸建てのページだ。
カカシは独身で、今のところそうした広い家は必要ないはずだった。

「お前、結婚でもするのか?」
「んー、具体的には決まっていないけど、するとしたらあの宿舎は狭いしねー」
「相手は?」
「サクラ」
「・・・・・」
顔をあげたカカシと視線を合わせ、アスマは思わず黙り込む。
生徒のサクラと仲良くやっているのは知っていたが、結婚まで考えていたとは知らなかった。
何しろサクラは彼の生徒で、部下でもあるのだ。

 

「カカシー、少し冷静になれー。これ、見ろ」
「ん?」
アスマはとっさに、傍らの机の上にあった写真立てをカカシの目の前に持っていく。
そこには机の持ち主である上忍の、1歳になる息子の写真が飾ってあった。
「14も離れて居るんだぞ、14も。サクラは今15だから、お前達はサクラとこの子くらいの開きがあるんだ」
「・・・・・」

改めて考えると、確かにすさまじく年が離れたカップルだ。
しかし、アスマの思惑とは違い、写真を見つめるカカシは何故かにやにやと笑っている。
「可愛い子だねー」
「・・・そうだな」
「えへへー、でも俺とサクラの子なら、もっと可愛いんだろうなーー」
絶句するアスマを気にせず、カカシは瞳を輝かせて話を続ける。
「やっぱりさ、最初はサクラに似た女の子がいいんだ。男の子でもいいけど、女の子が一人は絶対欲しいv」

写真立てを元の位置に戻し、もう何を言っても無駄だと悟ったアスマだった。

 

あとがき??
もはや全ての思考がサクラに行き着くらしい。
うちのカカシ先生は総じてサクラ馬鹿。

 

 

(おまけSSシリーズ279)『白い』

 

「毎日毎日、ここは定食屋じゃないのよーー!!」
「定食なんて、とんでもない。高級フランス料理だよ」
「・・・・」
フランス料理に魚や大根の煮付けが出るものかと思いつつ、一応褒められたということは分かる。
すでにテーブルの前で待機しているカカシに茶碗を渡すと、サクラはじろりと彼を睨んだ。
「食べたらすぐに帰ってよね!」
「はいはい、いただきまーーすv」
にこにこ顔のカカシはサクラの厳しい眼差しも気にせず、実に美味そうに煮付けを口に運んでいる。

サクラは数ヶ月前から家を出て一人暮らしをしているのだが、何故かカカシが頻繁にやってきた。
何かしら土産を持ってくるとはいえ、サクラはどうも一人暮らしをしているという気がしない。
事実、引っ越してからというもの、一人で食事をしたのは数える程度だ。
「サクラが心配で・・・」などと最もなことを言っているが、散らかった家に帰るのが面倒なだけに違いない。
何しろ、ここに来ればサクラが食事を作り、風呂を沸かし、カカシはただ寝そべってTVを見ていればいいのだ。
そのうち泊まっていくと言い出しそうで、サクラは今夜こそは早々に彼を追い出すことを心に決めた。

 

「せんせ・・・」
「ねえ、そろそろ髪切った方がいいと思うー?」
話を切り出そうとしたサクラの気持ちを知ってか知らずか、カカシは自分の髪を一掴みして彼女を見やった。
確かにいつもより少しばかり伸びているような気がするが、サクラにはどうでもいいことだ。
「そうね、切ってもいいんじゃないの」
「実はさ、俺、昔は黒髪だったんだよ」
思いもよらないその言葉に、サクラは「えっ!?」と声をあげる。

「お袋は俺が物心付く前に死んで、親父も忙しかったから、親戚の家をたらいまわしにされたんだ・・・」
「・・・・先生」
「どこへ行っても邪魔者扱い、いじめられるうちにこんな髪になっちゃった。心労ってのは本当に体に毒だよ」
初めて聞くカカシの過去の話に、サクラは何とも言えずに口をつぐむ。
幼い子供が気苦労から髪が白くなるなど、とんでもない不幸話だ。
「でも、俺は今、幸せだよ。こうして一緒にご飯を食べる人がいて、寂しくないから」
「・・・・・」
「有り難うな、サクラ」
珍しく真顔で語るカカシに、サクラは目尻に浮いた涙をそっと拭く。
「ところで明日早い時間から仕事が入っているんだけど、今夜、泊まってもいい?」
「うん」

 

 

数日後。

「冗談でしょう。カカシ先生のお父さんって“白い牙”の異名持ってるし、髪の色は遺伝よ」
「嘘!!!」
情報通のいのに真実を聞くなり、サクラは目と口を大きく開けた。
怒ったサクラはさっそくカカシを問いつめに行くのだが、再び舌先三寸で丸め込まれる。
根が素直なサクラを騙すことは、彼女の倍近くの年齢を重ねるカカシには全く簡単なことだった。

 

あとがき??
ちょっと、マリー・アントワネットについての本を読んでいたもので。
逃亡に失敗してパリに戻るとき、金色の髪が一夜にして真っ白になった話は有名ですよね。
心労と恐怖のため。真実かどうかは不明ですが。
カカシ先生とサクラは、まあ、恋人未満だけどねんごろな関係ということで・・・・。
サクラは、14、5歳かなぁ。

 

 

(おまけSSシリーズ280)『サンダーパンツ』

 

サクラのこれまでの人生において、一番の不覚といっていい事態だった。
毎週日曜、サクラは里の外れにある区民プールに泳ぎに行っている。
室内の温水プールなため、冬でも大丈夫だ。
その日はたまたま家から事前に競泳用水着を着て行ったため、気づかなかった。
帰る際に履く、下着を忘れたことに。

脱衣場で青くなったものの、濡れた水着のまま服を着るわけにいかず、サクラは服の裾を押さえながら外に出た。
ノーパン状態だというのに、運悪く短いスカート姿だ。
誰かに助けを求めるのも恥ずかしい。
近くのコンビニで下着を買い、トイレでそれを身に着けるしかないと心に決め、サクラは顔を強張らせていた。
そんなわけがないのに、通りを歩く人々が全員自分を見ているような気がする。
そして、切羽詰ったときにかぎって、邪魔は必ず入るものだった。

 

「あ、サクラーーv」
「・・・・・」
前方からやってくるカカシを見た瞬間に、嫌な予感がした。
道をそれたサクラは彼を無視して行き過ぎようとしたが、何故だかしつこく追いかけてくる。
「何で知らんぷりするのさー」
「ああ、カカシ先生、こんにちは。気づかなかったわ」
「・・・・なんだか素っ気なくない?」
ぎくりとしつつ、立ち止まったサクラは引きつった笑顔を浮かべて振り返った。
「そんなことないわよ」
「・・・・秘密のに匂いがする。何でスカート押さえて歩いてるのさ。妙に急いでるし」

上忍らしく、カカシは時々鋭いことを言う。
硬直するサクラをじろじろと眺めたカカシは、おもむろに彼女の肩へ手を置いた。
「分かった、これから彼氏に会いにいくんでしょう!」
「はぁ??」
「そうだ、きっと勝負下着をつけているから恥ずかしくて押さえてるんだ!それで急いでいるんだ!!」
「ち、ち、違うわよ!!!」
「嘘」
「本当よ。ほら、区民プールの回数券。今、ここに行ってきた帰りなのよ」
誤解を解こうとしたサクラだったが、勝負下着どころか、履いていないとうことは絶対に秘密だ。
サクラの瞳を間近で見つめ、それが真実だと悟ったカカシはとたんににっこりと微笑む。
「じゃあ、これからうちに遊びにおいでよvうち、すぐそこなんだ」
「えっ、い、嫌よ!」
「デートじゃないんでしょう。なら、ちょっと時間を頂戴よ」

 

カカシはかたくなに拒否するサクラの声など聞いておらず、コンビニはどんどんサクラから遠ざかっていく。
ここでノーパンであることを伝えれば、逆にどんな目に合わされるか分からない。
強引に腕を引っ張られて歩きながら、サクラの頭にあるのは「早く帰りたい」ということのみだった。

 

あとがき??
続かないです。(^_^;)まあ、みなさんのご想像通りの展開ということで。
紆余曲折の末、結局は先生に全てばれて
「サクラってば、積極的だなぁ〜。こんなに大胆にせまられたの、初めてだよv」
「ギャーーーー!!(涙)」
ということになると思われます。たぶん。
タイトルは、ロンを演じるルパートくんの出ている映画。

 

266〜280まで載せてみました。
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