(おまけSSシリーズ326)『木ノ葉隠れ大賞』

 

「今日から一週間後に、「木ノ葉隠れ大賞」を発表しようと思う。みんな、より一層励むように」
「は?」
その場に集まった全員が、一斉にぽかんとした顔つきになった。
突然呼び出され、何か緊急事態が起きたのかと皆が緊張の面持ちで綱手の言葉を待っていたのだ。
いきなり「木ノ葉隠れ大賞」と言われても、何がなんなのか全く分からない。
「何だ、みんな、変な顔して」
「あの、その賞がどんなものか分かりませんし、それ、火影様が思いつきで作ったものなんじゃ・・・」
「馬鹿者!」
挙手と共に意見したカカシを綱手が一喝する。

「これはお前達が生まれる前からある由緒ある賞なんだ。非常に名誉なことなんだぞ!」
「はぁ、生まれる前って、いつ頃からあるんですか?」
「・・・・・20年前だ」
「20年前って、俺、もう生まれてますけど」
「じゃあ、30年くらい前」
「・・・・」
綱手とカカシの会話に、一同は顔を見合わせる。
明らかに今、この場で考えましたといった返答だったが、彼女は木ノ葉隠れの里の最高権力者。
さらに人並み外れた怪力の持ち主で喧嘩っ早い。
逆らえる人間はいなかった。

 

 

よく分からないが、名誉ある賞らしく、今後火影の覚えがめでたくなるのは確実だ。
木ノ葉隠れの里の忍び達は、皆がそれぞれの方法で頑張った。
ある者は通常の3倍の任務をこなし、ある者は新聞配達のバイトをし、ある者は早朝のジョギングを始めた。
さらには河原の空き缶拾いや、貯金を全額恵まれない人々寄付した者まで様々だ。
気乗りしなかった「木ノ葉隠れ大賞」に、皆が期待を寄せるようになった頃、その日はやってきた。

「緊張するな・・・」
「ああ。俺、この日のために5キロもダイエットしたよ」
「・・・それは賞のためというより、お前のためなんじゃ」
発表会場がざわつく中、後方の扉から最期に入ってきたのは、つい先ほど任務から帰ってきたサクラだ。
二週間も里を留守にしていたため、当然「木ノ葉隠れ大賞」のことは知らない。
「ねえねえ、何でみんなこんな所に集まってるの?」
「サクラちゃん、今、大事なところなんだ。静かに」
こそこそと訊ねるサクラに答え、ナルトは真面目な表情で演台の綱手を見つめている。
そして場が静まり、ようやく発表のときがきた。

「第30回、栄えある「木ノ葉隠れ大賞」の受賞者は・・・・・」
下忍から上忍まで、忍び達はごくりと唾を飲み込む。
「春野サクラだ」

 

 

演台でトロフィーを受け取り、王冠やファー付きの赤いマントを着させられたサクラは、まだきょとんとしている。
「とても光栄です」
と、挨拶をしたものの、自分の置かれた状況を把握出来ていない。
それは、会場に集まった忍び達も同じ気持ちだ。
「ちくしょう、何でだよ!」
「サクラなんて、この一週間、里にいなかったじゃない」
「俺の貯金を返してくれ」
皆の不満も最なものだった。

「あのー、受賞理由は何だったんでしょう?」
代表して訊ねたカカシに、サクラの傍らで微笑む綱手は悠然と答える。
「可愛いからだ」
後ろに控える「木ノ葉隠れ大賞」の選考委員達は、綱手に目で合図され、しっかりと頷いた。
「ああ・・・、それならしょうがないか」
「サクラちゃんは可愛いしね」
カカシとナルトをはじめ、納得して頷いた男達と違い、くノ一達はまだブーイングをしている。
結局「木ノ葉隠れ大賞」というのは、忍びの能力ではなく、綱手の一番のお気に入りが受賞出来る物として認識されたようだった。

 

あとがき??
元ネタは『魁!クロマティ高校』です。
不良なのによく分からない賞のために頑張る彼らが可愛かったもので、NARUTOで変換してみる。

 

 

(おまけSSシリーズ327)『任務終了後のひとこま』

 

「先生、次の日曜日、暇?」
「え、何で」
「これ、一緒に行きたいなぁって思って」
言いながら、サクラが差し出したのは木ノ葉美術館の入場券だ。
今月の半ばまではサクラの好きな影絵作家の作品が展示されているらしい。
「んー、今度の日曜は無理かな。火影様の用事でちょっと里を出るから」
「・・・・そう」
感情がすぐに顔に出るサクラは、がっかりと肩を落とす。
俯くサクラにすかさず声をかけたのは、二人の様子を気にして話を聞いていたナルトだ。

「サクラちゃん、俺はいつでも暇だってばよ!」
「ナルト、美術館なんて興味あるの?」
「うん」
思わず頷いたナルトだったが、興味があるのは美術品よりもサクラだ。
彼女といられるならば、美術館でも映画館でも水族館でも、何でもかまわない。
「じゃあさ、俺と・・・」
「サクラ」
ナルトの続く言葉を遮るように、カカシはサクラの肩を叩いて振り向かせる。
「今週は駄目だけど、来週ならいいよ」
「えっ、本当ー!?」

 

打って変わって明るい笑顔を浮かべたサクラは、スキップをしながら帰っていく。
サクラとのデートの権利をすんでの所で奪われたナルトは、半眼でカカシを見やった。
「・・・先生、サクラちゃんのこと、どう思ってるの」
サクラが彼のことを好きなのは分かっているが、カカシの本音は全く読めない。
普段はサクラから距離を置いているのに、誰かが彼女に近づくと邪魔をしてくるのだ。

「んー、もう少し育ってくれないと、俺の相手をするには早いよねぇ。でも・・・」
ふいに言葉を切ると、カカシはナルトのおでこを人差し指で小突く。
「他の奴に取られるのは嫌」
「・・・・なんか、ずるいってばよ」

 

あとがき??
たまにはサクカカ?

 

 

(おまけSSシリーズ328)『パパのパパ』

 

任務の最中に敵と遭遇、相打ちで命を落とした。
はたけカカシ、享年36歳。
幼い子供二人と可愛い妻を残して他界するのは非常に心残りだ。
だから駄目もとで頼んでみることにした。
何事もやる前から諦めるのは嫌な性分なのだ。

 

「あのー、どうにか助けてくださいませんかね」
地上で彷徨う魂を拾い、閻魔王の元へと連れて行くという死神に訊ねる。
物語に登場するような、黒いマントにフードで顔が隠すオーソドックスなタイプの死神だ。
カカシと同じ背丈で、鋭い刃の鎌を右手に持っているが、不思議と恐怖心は沸いてこない。
「怖がることはない。死後の世界というのは苦しみのない場所だ・・・」
「いや、それは有り難いんですけど、怖いとかじゃなくて生きないといけないんです」
はっきりとした口調で言うと、カカシはその場所から一歩も動かないというように足に力を込める。
彼のすぐ側に転がっているのは、傷ついて血まみれになった自分の体だ。
霊魂のみの存在となったことで、カカシはこうして死神とも会話を出来るらしい。

「今、その体に戻っても、死ぬほど痛いぞ」
「でしょうねぇ・・・」
実際死んでいるのだから、カカシは苦笑するしかない。
「ま、何とかなりますって。手足が一本くらい無くなっても、生きてさえいれば」
「・・・・・」
死神の表情は見えずとも、戸惑っている様子を感じ取ったカカシはさらに話を続ける。
「俺、小さいときに父親を亡くしているんです。あのときは本当に、悲しくて、辛くて・・・」
父の最期の姿を思い出しただけで涙が浮かびそうになり、カカシは無理矢理笑顔を作った。
誰に何を言われても、構わない。
ただ、父が自分の目に映る場所にいてくれたら、それで満足だったのだ。
「自分の子に、同じ思いはさせたくないんですよ」

 

 

自殺した人間は天国へも地獄へも行けず、閻魔の下で死神として働くことに決まっている。
1000人の魂を閻魔の元へと運んだとき、罪は浄化され、再び生を受けることを許されるのだ。
そして、彼にとってようやくたどり着いた1000人目がカカシだった。

「あれ、サクモさん。あなたもう任期終了のはずでしょう?」
「ああ」
地上をうろつくうちに同じ死神仲間と出くわした彼は、困ったように首を傾ける。
「目を付けていた死にかけの人間が、生き返っちゃったんだ。新しい魂を探さないと」
「それは、運が悪い・・・・。たまにそういうこともありますよね」
死神仲間は同情的な眼差しを向けたが、彼は少しも気落ちした様子はなく、口元を綻ばせている。
今度生まれ変わるならば、人でなくともいい。
犬でも、猫でも、鳥でも、息子や孫に少しでも近い生き物であることが、彼の願いだった。

 

あとがき??
カカシファミリーシリーズの先生だったようです。

 

 

(おまけSSシリーズ329)『映画の衣装』

 

「サクラーーーー、何、そのハレンチな格好はーー!!」
集合場所にやってきたサクラの新しい忍服を見るなり、カカシは真剣な表情でその両肩を掴んだ。
夏に出演する映画用に露出が多く、一番に目を引くのはむき出しになった腹部だった。
自分と二人だけのときなら文句もないが、他の男達の目にさらされるのは我慢できない。
ナルト達を残し、サクラを人目につかない場所に連れ込んだカカシは切々と言い聞かせる。

「女の子はお腹をひやしたら駄目なのよ!!将来子供を産む大事な体なんだから。ほら、これを着て」
「先生、なんだかお父さんみたい。私の友達だってみんな同じような格好しているわよ」
リュックから出した替えの服を着させようとするカカシに、サクラは口を尖らせて反発する。
「それに、子供を産む予定だって当分ないから、いいでしょう」
「・・・・・ふーん」
自分を見下ろすカカシの瞳に、剣呑な光が見えたような気がした。
思わず後退りしたサクラだったが、痛いほどの力で手首を握られ、一歩も動くことが出来ない。
「予定があれば、いいんだ」

 

サクラを連れていなくなったカカシはなかなか帰ってこなかった。
どれぐらい時間が経ったのか、探しに行こうかとナルト首をめぐらせた矢先、丁度二人の姿が視界に入る。
カカシは笑顔で「お待たせーv」と言ったが、サクラは何故か暗い表情で歩き方もおぼつかない。
しかも、先ほどと違う厚着の服を身に着けていた。
「どうしたの?さっきの服、可愛かったのに」
「危険だから脱いだ」
首を傾げるナルトに、きっぱりとした口調で答えるサクラだった。

 

あとがき??
すみません、今、何でだかエロエロな話しか思う浮かばないんですよ・・・。あれ。
夏の映画、カカシ先生はともかく、サクラちゃんの衣装はナイスですよv(長嶋さん)
あそこからカカシ先生が手を差し入れるんですよね。

 

 

(おまけSSシリーズ330)『YES・NO』

 

初めの出会いから4年、交際を始めて半年。
サクラはカカシと同居生活をすることになった。
生活に必要なものを集めるため量販店を訪れた二人だが、主に品定めをしているのはサクラだ。
カカシはふらふらと姿を消しては、どうでもいいものばかりを集めてくる。
「・・・・・・・・何、それ」
「ダースべーダーの顔をした貯金箱。凄いんだよー、このボタンを押すとテーマ曲が流れて、それから」
「却下」
なおも続こうとするカカシの口上を遮り、サクラは貯金箱をもとに戻してくるよう指示した。
安価なものならともかく、新しい
TVが一台買えるほどの値段だ。
何かと物入りなため出来るだけよけいな買い物はしたくない。

 

「サクラー、いいのがあったよーー」
家具コーナーでソファを見ていたサクラは、カカシの声を聞くなりため息をつく。
またリアルなゾンビのフィギュアだろうか、それともダイエット用サウナスーツ、ロデオボーイ。
何にせよ、生活必需品でないことは確かだ。
「先生、少しは真面目に・・・・」
「はい」
険しい表情で振り向いたサクラに、カカシはそれを押しつけた。
カカシとサクラ、二人分の枕だ。
それならばサクラも購入を考えたかもしれないが、問題は枕についているカバーだった。
「・・・・・・・・」
「いいでしょうーv」
呆れて声が出ないサクラに、カカシはにこにこと笑って言った。

日曜の昼に放送されている、新婚さんをゲストに招くTV番組。
そこでゲームの景品として使われていることで有名な「
YESNO枕」というやつだ。
こうして店で売っているということは、結構利用しているカップルが多いのだろうか。
「い、いらないわよ!大体、私、そんなの恥ずかしくてレジに持っていけないわ」
「じゃあ、俺が買ってくるねー」
「えっ、ちょっと」
引き留めようとするサクラを振り切り、カカシはさっさとレジの列に並んでしまう。
こんなことなら貯金箱の方がまだ役に立ったと思うサクラだが、全ては後の祭りだった。

 

「サクラv」
「今日はダメだって言ったでしょう。明日、早いんだから。4時起きよ」
「ちょっとだけだってー」
「そんなの嘘」
夜になり、ベッドに入ったとたん甘えてきたカカシにサクラは目くじらを立てる。
寝不足はお肌の大敵だ。
ただでさえ方々歩きまわって体が疲労しているのだから、きちんと休みたかった。

「もう、ちゃんと「NO」の文字を上にしておいたでしょう!」
「何、それ?」
「えっ・・・・」
きょとんとした顔で問いかけるカカシに、サクラの方が困惑してしまう。
「先生、この枕の使い方、知らないで欲しがったの?」
「何、使い方って。見たことないデザインで面白いなーと思っただけなんだけど」
「・・・・・・」
大きなショックを受けるサクラだったが、今さら自分から用途を説明するのも気恥ずかしい。
どのみちカカシが言うことを聞かないのなら、
YESNOも関係ない気がしたサクラだった。

 

あとがき??
YESNO枕の使い方、分からない人は分からない人はわけ分からないですね。すみません。
これ、本当に使っている人がいるんでしょうか。(笑)
鈴木おさむ氏がエッセイの中でこの枕について書いていまして、ついカカサクネタに使いたくなりました。

 

 

(おまけSSシリーズ331)『仔ナル』

 

ある日、サクラが任務の集合場所に赤ん坊を連れてやってきた。
サスケは怪訝そうに首を傾げ、カカシは驚愕に目を見開いている。
「サクラーーー、相手はどこのどいつなのーー!!!ぶん殴ってやるーー!!」
「私の子じゃないっての・・・・」
泣きながら詰め寄るカカシに、サクラは顔をしかめて答えた。
毎日顔を合わせていれば分かりそうなものだが、よほど気が動転していたらしい。

「・・・・それ、ナルトか?」
「当たりー。師匠のところから預かってきたのよ、可愛いでしょうv」
腕の中にいる赤ん坊を見て呟いたサスケに、サクラは満面の笑顔で頷く。
金髪に青い瞳の赤ん坊には、頬に髭のような痣があった。
脳内も赤ん坊レベルまで退行しているのか、彼はキャッキャッと手を打ち鳴らして笑っている。
無邪気なその仕草には、サクラだけではなく、カカシやサスケまでほんわかとした表情になってしまう。

 

「なんでそんな姿に?」
「前から師匠の調合した薬を飲んで効果を伝えるバイトをしてたみたい。今回は失敗だったようだけど」
「あいつ、そんな危険なバイトを・・・・」
サクラから話を聞いたカカシとサスケは呆れている。
だが、一人暮らしのナルトには下忍としての給料が全てなため、軽い小遣い稼ぎのつもりだったのだろう。
まさか赤ん坊にされるとは思っていなかったはずだ。
今回は肌の老化を防ぐ薬を研究していたようで、ナルトは3、4時間でもとの姿に戻るという話だ。

「先生ー、私、今日は任務休むわ。それでナルトとネズミーランドに行ってくる」
「え、な、何で!」
「ナルト、遊園地に行ったことないんですって。小さい頃の写真も全然ないっていうし、思い出作りよ」
「それなら俺だって一緒に行くよ!」
カカシが力強く主張すると、二人の視線は残る7班メンバーへと注がれる。
「お前はどうする?」
「・・・・・」

 

 

「ずるいってばよーーー!!!」
できあがった写真を見たナルトは、大きな声で泣きわめいた。
入園してすぐ見つけた世界一人気者のネズミのキャラクターと、7班の4人が笑顔で写っている。
たしかに、ナルトはアルバムに初めて赤ん坊のときの写真を飾ることが出来た。
だが、赤ん坊だったナルトには、遊園地での記憶が一切残っていないのだ。

「ナルト、可愛かったわよーv一緒に観覧車やメリーゴーラウンドに乗ったの」
「だから、覚えていないんだって」
ナルトはしくしくと肩を震わせて泣いている。
写真に写るサクラ達はみな楽しそうだ。
あのサスケでさえ、カカシやサクラの傍らで微かに笑みを見せている。
それだけに、一緒にその場にいたとはいえ、ナルトは疎外感を感じてしまった。

「分かったわよー。もう一度連れて行ってあげるから。それなら文句ないでしょう」
「・・・・」
鼻水をぐすぐずとすするナルトは、上目遣いにサクラを見つめる。
「今度はサクラちゃんと二人きりがいいってばよ」

 

あとがき??
何気にデートの約束をしようと我が儘を言うナルトでした。
ただ、可愛い赤子ナルチョにほんわかする7班面々を書きたかっただけの話です。
坊ちゃんも、赤子ナルトといたかったようですよ。仲良し7班v

 

 

(おまけSSシリーズ332)『7班のリーダー?』

 

「ナルト、サクラ!もう体調は万全だ。またお前達と任務に行けるぞ」
病院を退院したカカシは久しぶりに顔を合わせた二人に、弾んだ声で告げる。
しかし、晴れやかなカカシとは対照的に、ナルト達は何故か暗い面持ちだ。
「ど、どうしたんだ?」
「・・・・・カカシ先生が復帰したら、もうヤマト隊長と一緒に仕事出来ないんだね」
「がっかりだわ」
俯くナルトとサクラの言葉に、カカシはハンマーで殴られたような衝撃を受ける。
「何でそんなこと言うのさー!せっかく退院したのに、もっと喜んでよ」
「だって、ヤマト隊長は遅刻はしないし、頼りがいはあるし、的確な指示を出してくれるし」
「はっきり言って、カカシ先生よりヤマト隊長の方がずっと好きだってばよ」
「そ、そんな・・・・・」
ナルトとサクラがカカシに向ける眼差しは冷たく、カカシはその場で跪きそうになった。

「ナルト、お前の家にいつも野菜届けに行ってやっただろう!!」
「そんなの、俺が望んだことじゃないってばよ」
「サクラ、俺と過ごしたあの熱い夜を忘れたのか!」
「セクハラはやめてください。ナルトが信じちゃうでしょう」
つんけんした態度を崩さないナルトとサクラに、カカシは本当に泣きそうになった。
確かに、いい上司でない部分はあったと認める。
だが、生徒を思う気持ちだけは誰にも負けない自信があったのだ。

 

「綱手のばーちゃんに、7班のリーダーをヤマト隊長に戻すように頼むってばよ」
「いいわね。私も一緒に行くわ」
「ま、待ってーーー」
踵を返して立ち去るナルトとサクラに、カカシは慌てて追いすがる。
もはや上忍としての見栄も外聞も無い。
暗部をやめたカカシには、7班と、自分を慕う可愛い子供達が心のより所なのだ。

「捨てないでーー」
叫び声をあげたカカシは、ハッとして目を開けた。
まず視界に入ったのは、見慣れた病院の白い天井だ。
「夢・・・・・」
「カカシ先生、大丈夫??」
「随分うなされてたってばよ」
続いて聞こえてきた二人の声に、カカシはギョッとして傍らを見た。
「今日、任務から帰ってきたんだー。はい、お土産の温泉饅頭」
「そろそろ退院でしょう。早く元気になってね」
先程の夢とは打って変わって、にこにこと笑うナルトとサクラがそこに立っている。
カカシが今度こそ号泣したのは、いうまでもなかった。

 

 

「・・・・カカシ先生の涙と鼻水が服についたってばよ」
「どうしたのかしらねぇ。突然泣きついてくるなんて」
病院からの帰り道、ナルトとサクラは怪訝そうに顔を見合わせる。
「でもさ、先生が退院するってことは、もう少しでヤマト隊長とお別れなんだよね・・・」
「うん。寂しいけど二度と会えないってわけじゃないし、ヤマト隊長は優秀だから私達がいなくても平気だしね」
「そうそう、カカシ先生って頼りないから、俺達が支えてあげないと危なっかしいよ」
その頃、カカシが病室でくしゃみをしていることなど知らず、二人は笑いあった。
ヤマトにも懐いているナルトとサクラだが、やはりカカシは特別な存在なのだ。
もう一人の大事な仲間、サスケが戻ってくるまでは、7班を守り抜こうと心に誓う二人だった。

 

あとがき??
ヤマト隊長、格好いいですよねぇ・・・・。
カカシ先生、ガンバ!

 

 

(おまけSSシリーズ333)『本当の敵』

 

「死んでもサクラを守れ!」

暗部の先輩として尊敬するカカシの命令に、ヤマトは忠実に従っていただけなのだ。
サクラに疲労の色が見えれば休憩を取り、サクラのピンチの時には身を挺して守り抜く。
一緒に行動したことがあるだけに、カカシには逆らわない方がいいということは承知している。
だが、そのことが自分の身を危うくするとは、思っても見なかった。

 

「ヤマト隊長、あの、これ私が作ったんですけど、よかったら・・・」
頬を染めるサクラが昼の休憩時に差し出したのは、彼女の手作り弁当だ。
何かと彼女を気遣ううちに、すっかり懐かれてしまったらしい。
サクラはヤマトがカカシと交わした約束を知らないのだから、当然の反応といえるかもしれない。
だが、カカシには「サクラに手を出したら殺す」とも言われている。
あのときのカカシの目は怖いくらい真剣だった。

「有り難いけど、持ってきているから」
「・・・・そうですか」
感情がすぐ顔に出るサクラはあからさまにがっかりと肩を落とし、ヤマトは優しい言葉の一つもかけたくなる。
しかし、その先に待っているのは身の破滅だ。
涙を呑んで撤退するしか道はなかった。

「逆効果だね、あれは」
傍らで聞こえた声に、ヤマトはハッとした。
見るとすぐ隣りにナルトが立っており、いつからかヤマトとサクラの様子を傍観していたようだ。
「サクラちゃんはずっとずーっとサスケに片思いしていたんだ。どんなに冷たくされても諦めずに」
「・・・そうかい」
「サクラちゃん負けん気が強いから、相手に引かれるとよけいに夢中になるよ」
ヤマトの顔を見上げたナルトは、意味ありげな笑みで続ける。
「逆に優しくすれば、気持ちが満足してあまり近寄ってこないかも」
アカデミー時代からサクラを追いかけているナルトだからこそ、妙に説得力を感じる一言だった。

 

「本当に、いいんですか?」
「うん。俺の用意した弁当は夜に食べればいいし」
ヤマトの返事を聞いたサクラは、にっこりと笑う。
二人並んで仲良く昼食タイム。
結局サクラの弁当を受け取ったヤマトだが、彼女の笑顔が目の前にあるとより一層味が引き立つ気がした。
我慢して突っぱねないで良かった、と思ったヤマトは、ふと顔を上げた瞬間、おむすびをはき出しそうになる。

「・・・・・・・・・・・楽しそうだね」
「カカシ先生!」
真っ青になったヤマトには気づかず、サクラは嬉しそうにカカシを見上げる。
「退院したの!?」
「いや、仮退院っていうか、今日一日だけだけど。ナルトには昨日電話で伝えておいたんだけどね」
言いながら、サクラの隣りに座り込んだカカシはじろじろと二人の弁当を見つめた。
「美味しそうだねぇ。サクラの手作り?」
「そうですよ。ヤマト隊長にはいつもお世話になっているから、これくらいしないと」
にこにこと笑うサクラの声が、ヤマトは随分と遠くで喋っているように聞こえる。
目を細めたカカシの微笑が、今のヤマトには何より怖かった。

 

「これで、邪魔者はカカシ先生が抹殺してくれるってばよ」
一見、ほのぼのとした雰囲気の3人を遠目に眺め、ナルトはしたり顔で言う。
サスケとカカシが消え、いよいよサクラを独り占め出来ると思ったときに、よけいな伏兵が現れてしまった。
だが、これで遠からずヤマトはサクラの前から姿を消すことだろう。
「自分の手は汚さず敵を始末する・・・・。君って、意外と頭良かったんだね」
興味がなさそうに握り飯を食べるサイに、ナルトは満面の笑みで応えた。
「ようやく分かったか」

 

あとがき??
すみません。うちのナルチョは、スレナルなので・・・・。
表面天使で腹に一匹悪魔(九尾)を飼っております。
ヤマトさんがサクラにとても優しいので、こんな話が出来ました。

 

 

(おまけSSシリーズ334)『ぜん×2』

 

「全然変わっていないってばよ!」
2年間の修行から戻り、サクラと共に里の中をぶらつくナルトは周囲を見回しながら言った。
町中に出ると新たに出来た店がいくつか建っていたが、以前そこに何があったか殆ど思い出せないのが不思議だ。
「ねえねえ、ナルトはどんなところ旅していたのよ」
「あー、うん」
ナルトは手短に旅の行程を話したが、なかなかハードな道のりだったようだ。
道なき道を進み、ときにはクマの親子と一緒に彼らの寝床を借りて一夜を過ごしたらしい。

「それは嘘でしょうー」
「本当だって。爪に棘が挟まって痛そうだったから、取ってやったら一晩泊まっていいって言われたんだ」
「クマがそう言ったの?」
「うん」
ナルトが笑顔で頷くと、半信半疑だったサクラも、そうしたことがあるかもしれないと思ってしまう。
思ったことがすぐ顔に出るナルトは、いつでも正直で嘘はつかない。
そうしたナルトだから、サクラも一緒にいて気持ちが楽になるのだ。

「サクラちゃん、一楽に行こうよ。俺さー、旅の間毎日一楽のラーメン食べたいって思ってたんだー」
「別にいいわよ」
快く了承したサクラは、ふと、ナルトの横顔を見て訊ねる。
「ねえナルト。旅の空で、私のこともたまには思い出してくれた?」
「全然」

 

 

殴られ頬は赤く腫れ上がり、なかなか痛みが引いていかなかった。
それでも腹は減るらしく、ナルトは頬を歪めながらも、一楽でラーメンをかっ込んでいる。
あとから一楽にやってきたイルカは、ナルトのその顔を見るなり仰天した。
「だ、誰にやられ・・・・・・」
途中で、イルカの問いかけは尻すぼみに消えていく。
ナルトが抵抗することなく簡単に殴られる相手は、この里で一人しかいなかった。
「サクラを怒らせるようなこと、言ったのか?」
ナルトと同じ味噌ラーメンを注文しながら、イルカは彼の傍らの席に座る。
「よく分からないってばよ・・・」

サクラにすれば、全く思い出してもらえなかった自分はラーメン以下だと言われたようで、腹を立てたのだろう。
だが、実際は逆だ。
一番大切な存在だから、ナルトはあえてサクラのことだけは考えないよう努力した。
少しでもサクラを思えば、すぐにも里に帰って彼女に会いたくなってしまう。
里にいるときでさえ毎日顔を見たいと思っていたのだから、何ヶ月も離れていることは耐え難い苦痛だった。

 

「サクラちゃんのこと大好きなのに、全然伝わらないってばよ」
ナルトは悲しげな様子で鼻をすする。
「イルカ先生、どうすればいい?」
「・・・・・難しいなぁ」
生徒の相談にのることが多いイルカだったが、恋愛についてだけは上手い回答は見つからなかった。

 

あとがき??
ナルサク、ラブ!
「全然」っていうと、真田さんの
CMが思い浮かぶんですけど。

 

 

(おまけSSシリーズ335)『内と外』

 

7班での仕事以外にも上忍カカシへ入る任務は多々あり、何もしなくていい休日というのは久しぶりだった。
いつものように愛読書を読みながら歩くカカシは、視界の隅に入った桃色の髪に目を留める。
立ち止まって振り返ると、そこに居たのはやはりサクラだ。
甘味屋の看板の前で立ち止まり、外に飾られているメニューを熱心に眺めている。

「サクラー、何、あんみつ食べたいの?」
「カカシ先生・・・」
振り向いたサクラは額当てをしておらず、前髪があるせいか微妙に雰囲気が違って見えた。
「ご馳走してあげようか」
「えっ」
「ただし、ここにキスしてくれたらだけどねぇ」
体をかがめたカカシが冗談のつもりで口を指差すと、すぐに柔らかなものが重なった。
突然のことに唖然とするカカシを見つめ、サクラは悪戯な笑みを浮かべてみせる。
「ご馳走、してくれるんでしょう?」

 

 

どうせならば、口元のマスクは下ろしておくべきだった。
いや、それよりも、今日のサクラはどこか変だった。
いつも以上に感情が顔に出やすいというか、行動が素直というか。
店から出るとサクラはさっさと退散してしまったため、カカシは一人歩きながら悶々と考え込んでいた。
「カカシ先生――」
後ろから声がかかるまでその気配に気づかなかったのは、意識が散漫になっていた証拠だ。
「ナルトか」
「サクラちゃん、見なかった!?」
「・・・・・・・」

妙なことを言う奴だと思った。
サクラならば、ナルトの背中に背負われてそこに居る。
眠っているのか、目をつむって浅い呼吸をしているようだ。
「いるじゃないの」
「ちーがーうーーー。これもサクラちゃんだけど、俺が捜しているのはもう一人のサクラちゃんなの!」
「何、それ」

 

とりあえず、近くの公園のベンチにサクラを寝かせ、カカシとナルトは立ち話をする。
封印の書に書かれていた、『多重影分身の術』。
サクラがそれを習いたいと言い出したのが、全てのきっかけだった。
ナルトがサクラの頼みを断れるはずがなく、特訓を始めたのだが、教え方が悪かったのだろうか。
術は見事に失敗した。

「サクラの体が二つに分離して戻らなくなったー??」
「うん。これ、見てよ」
ナルトは眠り続けるサクラの前髪を、片手で払う。
彼女の額には『外』という文字が浮かび上がっていた。
「もう一人のサクラちゃんには、『内』って書いてあるんだ。どっちかが起きてると、片方が眠るみたいだよ」
「へーー」
サクラがいつもと違って見えたのも、それが原因だったらしい。
「この『外』のサクラは、どんな感じの子なのかなぁ」
「先生―、遊んでないで一緒にサクラちゃんを捜してよ。元に戻すには二人を揃えないと駄目なんだから」

 

あとがき??
今のところ続きは考えてないです。
サクラちゃん、昔は「内なるサクラ」がいたのに、今は内も外も一緒だなぁと寂しくなったので。
サスケが戻ってこないと、サクラの二面性は見られないんでしょうか。
猫をかぶる必要がないから。

 

 

(おまけSSシリーズ336)『海』

 

「サスケ、7月17日に、一緒に海に行くぞ!」
両肩を掴んだカカシに真剣な眼差しで言われ、思わず鳥肌がたってしまった。
「嫌だ」
「何、上司の命令に逆らうつもりか!!」
「任務以外で従う義理はない」
「向こうで何でも買ってやるからさー。ポソポソの焼きそばでも、伸びきったラーメンでも」
「逆効果だってばよ・・・」
何とかサスケを引き留めようとするカカシを見つめ、側にいたナルトは小声で呟く。

「先生ー、サスケと二人きりで海に行くつもりー??」
「馬鹿を言え!男と二人で海に行って何が楽しい!!」
目を血走らせて反論するカカシに、ナルトは思わず畏縮する。
「だって・・・・」
「サクラの条件なんだよー。みんなで行くってのが。ナルトは誘わなくてもくっついてくるだろうし」
逃げようとするサスケの腕を掴んでいるカカシは、不満げに口を尖らせた。
「サクラには「何で先生に私の水着を見せないといけないのよ!」なんて冷たく言われるし」
「サクラちゃんの水着姿かぁ・・・・」
カカシの話などもう聞いていないようで、ナルトは遠い眼差しで妄想している。
心の中はすでに海一色だ。

 

「行こうぜー、サスケ」
「い、い、嫌だ。何で俺が、海なんかに。足が着かない場所があるんだぞ。も、もし溺れたらどうするんだ」
「「・・・・・・・・・・」」
見ると、サスケの体は小刻みに震えていた。
思えば皆で川に行ったときもサスケは水に入らず一人で釣りをしていた気がする。
「サスケ、お前もしかして、泳げないんじゃ・・・・」
二人に同情めいた眼差しを向けられ、サスケは眼を大きく見開いた。
「ば、馬鹿、そんなわけないだろう!!俺は5歳でドーバー海峡を横断したことがあるんだ」
「それなら、海なんて怖くないよねー」
青い顔のサスケに、カカシはニコニコ顔で言う。
気持ちに全く余裕のないサスケは、二人に「扱いやすい奴」と思われたことなど、全く気づいていなかった。

 

あとがき??
7月17日は海の日です。
千秋化するサスケ。やっぱり、坊ちゃんは金槌が似合う。(?)

 

 

(おまけSSシリーズ337)『パラレルワールド 1』

 

「あれ、カカシ先生。髪の毛黒くしたんじゃなかったの?」
「えー、何のこと?」
朝、集合場所にやってきたカカシを見るなり、ナルトは目を丸くした。
「おかしいなぁ。黒髪のカカシ先生を見かけたんだけど」
「いつ?」
「昨日買い物しているとき、先生が重い荷物を半分持って家まで送ってくれたんだ。今日はお礼言おうと思ったのに」
全く身に覚えがない話に、カカシは首を傾げた。
「そいつなら、俺も会った」
「サスケ?」
傍らで黙って話を聞いていたサスケも、途中から会話に参加する。
「昨日、黒い髪のカカシに忍術の巻物を貸してもらった。なかなかためになる内容だった」
「さ、サクラは?」
「黒い髪のカカシ先生があんみつをおごってくれたわ。別に不審な行動はとっていなかったけど」
「サクラちゃんも・・・・」

どうやら木ノ葉隠れの里にカカシのニセモノが出没しているらしい。
しかし、彼の行動は多少怪しいとはいえ、害は無く、むしろナルト達は彼に感謝している。
「何だか物腰が柔らかで、いい感じだった」
「そうそう。一人暮らし、大変だねーって気遣ってくれたってばよ」
「俺にはトマトもくれたぞ」
偽カカシについて話しながら、下忍達はイチャパラを読むカカシへと目を向けた。
「・・・・エッチな本なんて読んでなかったしね」
「あっちのカカシ先生の方が、真面目そうで良いってばよ。きっと遅刻だってしないよ」
冷ややかな下忍達の眼差しと口振りに、カカシは内心冷や汗をかく。
ニセモノのせいで、彼の評価はがた落ちだ。
自分の素行を治すことは考えず、ニセモノへの対抗意識を強めていく駄目教師のカカシだった。

 

あとがき??
続く。

 

 

(おまけSSシリーズ338)『パラレルワールド 2』

 

「世界には、似た顔の人が三人にいるっていうしねー」
任務の帰り道、足元にある小石を蹴ったサクラは、小さな声で呟く。
カカシは「絶対どこかの里のスパイだ。見つけたらとっちめてやる!」と言っていたが、悪人には見えなかった。
優しくて、誠実そうで、アカデミーの担任だったイルカに少し似た雰囲気の・・・・。
ぼんやると考えるサクラは、弧を描いた小石の先を見つめ、ハッとなる。

「やあ」
「・・・・こんにちは」
昨日と同じ路地裏に、カカシが立っている。
黒髪の、人のよさそうな笑みを浮かべるもう一人のカカシだ。
「また、あんみつ食べて帰る?」
「うん」
手を差し出されたサクラは、何の迷いもなくその手に掴まる。
背後から、「ちょっと待ったーーー!!」の掛け声がかかったのは、その直後だ。

「この誘拐魔!俺のサクラをどこに連れて行く気だ!!」
「・・・・・甘味茶屋」
ニセモノに代わって答えたサクラに、カカシは目くじらを立てる。
「駄目じゃないの、サクラ、知らない人について行ったら!ニセモノに会ったらすぐ知らせるよう言ったでしょう」
「カカシ先生、やめてよー。絶対悪い人じゃないって」
「そうだ」
あとから出てきたナルトとサスケがニセモノに加勢し、カカシの怒りのボルテージはさらに上がっていく。
「勝負だ、このニセモノめ!!!負けたら俺達の前から消えうせろ!」

 

あとがき??
ああ、元ネタは『赤ずきんチャチャ』です。
セラヴィー先生のニセモノが出てくる話。
カカシ先生の「ちょっと待ったー」はねるとんを思い出す・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ339)『パラレルワールド 3』

 

ジャガイモの皮むき競争、金魚すくい競争、ひよこの性別分け競争・・・・等々。
様々な勝負をしたカカシと偽カカシだったが、なかなか決着はつかなかった。
何しろ容姿が似ているだけでなく、行動が鏡を合わせたように同じなのだ。
「ニセモノさん、頑張ってー」
「もうちょっとだってばよ、ニセモノさん」
「お前ら、どっちの味方だーーー!!」
声援を送るサクラとナルトを、カカシは睨みつける。
「日ごろの行いの差だってばよ」
「ちくしょうめ。賄賂を贈るなんて、汚いマネを。大体、何でお前は俺と同じ姿に化けてるんだよ」
「別に、俺は誰にも化けてない。これが本当の顔だ」

黒髪カカシの話によると、彼はナルト達の存在する世界の裏側にある、パラレルワールドの住人らしい。
そこにはカカシだけでなく、木ノ葉隠れの住人にそっくりな人々がいて、それぞれ似たような生活を送っている。
今回黒髪カカシが木ノ葉隠れにやってきたのは、時空の鏡を通して見た世界で、自分に似た男がいるのを見つけたからだ。
しかも、カカシは彼とは似ても似つかない、だらしない性格だった。
「毎朝上司の遅刻で
2時間、3時間と待たされる子供達があまりに不憫で・・・・つい力を貸してあげたくなってね」
「カカシ先生」
「先生」
「お前達の先生はこっちだってのーー!」
黒髪カカシを慕って歩み寄るナルト達に向かって、カカシは思わず叫び声を上げていた。

 

あとがき??
あと一話で終了。

 

 

(おまけSSシリーズ340)『パラレルワールド 4』

 

「とにかく勝負のやりなおしだー!」
「ちょっと、待ってください」
興奮気味に人差し指を黒髪カカシに突きつけたカカシだったが、ふいに聞こえた第三者の声に、動きを止めた。
後ろを振り返ると、
20代前半と思われる、若い女性が立っている。
そして、ピンク色の髪をした彼女の特徴は、カカシのよく知る人物に酷似していた。
「サクラ!?」
「どうも、うちの主人が迷惑をかけたようで、すみません」
サクラに似た女性は頭をさげ、両脇にいた子供二人が黒髪カカシに駆け寄る。
「父ちゃん、どこに行ったか心配してたってばよ!」
「この、ウスラトンカチ。もう夕飯の時間だぞ」
金髪と黒髪の幼児二人は、パラレルワールドの世界のナルトとサスケに間違いなかった。

「勝手にこの世界に来ないように、火影様にも注意されたでしょう」
「ごめん、ごめん。あ、これはうちの家内のサクラ。そして双子の息子、ナルトとサスケだよ」
紹介せずにも分かることだったが、にこにこ顔の彼を見たカカシは反射的に拳を突き上げていた。
「この幸せ者めーーーーー!!!!」
カカシのアッパーカットが見事に決まり、地面に投げ出された黒髪カカシを皆が唖然と見つめる。
「父さんに何するんだ、馬鹿!!」
「父ちゃんーーー」
子供サスケとナルトが泣き叫ぶ中、カカシも同じく涙を流していた。
一矢報いたとはいえ、心の中にあるのは大きすぎる敗北感。
「・・・・・・完敗だ」

 

ひと悶着はあったが偽カカシ一家は元の世界に帰り、翌朝、集合場所にやってきたカカシの髪は何故か黒くなっていた。
「少しはサクラ好みになったかなー??」
「・・・・・あの、やめてください」
擦り寄ってくるカカシに、サクラはげんなりとした顔で答える。
どうやらパラレルワールドの黒髪カカシに似せれば、可愛い嫁をゲットできると思い込んでいるらしい。
「生活態度を改めてくれないことには、ねぇ・・・・」
「気づかないだろう、あの馬鹿は」
ナルトとサスケの眼差しが一層冷たいものになっていることに、カカシはまだ気づいていないようだった。

 

あとがき??
サクラが妻で、子供達がナルトとサスケ。
パラレルワールドのカカシ先生が、少し羨ましかったり・・・・。
ちなみに、黒髪カカシは奥さんに「あんな気の毒な人にちょっかい出すなんて」と言われたそうです。
カカシ先生、気の毒な人なのか・・・・。

 

 

326〜340まで載せてみました。
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