(おまけSSシリーズ386)『理想の大きさ』

 

「何、これ?」
「アンケートだとさ。今年のミス木ノ葉隠れの里を決める」
アスマから手渡された紙を見ると、二十歳前後で美人と評判のくノ一達の名前が5つほど並んで書かれていた。
その右横にある正の字は、支持者の数だろう。
今のところ票が集中しているのは、豊満な胸が目を惹く快活な雰囲気の下忍と、スレンダーな体型ながら知的な美しさの上忍。
彼女達の姿を頭に浮かべたカカシは、迷わず下忍のくノ一に票を入れていた。

「お前、そっちなのか」
「当たり前じゃないのー!!」
カカシは必要以上に大きな声でアスマに応える。
「やっぱり女の子は胸がおっきくないと!顔や忍びとしての能力は二の次よー」
「へーー」
小さく頷いたアスマの目は、何故かカカシの後ろへと向けられている。
それに釣られて振り向いたカカシは、思わず椅子からずり落ちそうになってしまった。
鬼のような形相でカカシを見つめているのは、日頃彼と親しい付き合いをしているサクラだ。

「なるほど」
「さ、さ、サクラ・・・・」
「これ、アスマ先生にあげます。カカシ先生は胸がおっきくて、顔が劣る女の人に作ってもらってください」
カカシのために用意した弁当をアスマに押しつけると、サクラは引きつった笑いを浮かべて踵を返した。
慌てて椅子から立ち上がったカカシは猫なで声でサクラにすり寄る。
「さっきのは冗談だってー。細身の女の子って可愛くて魅力的だよね」
「もういいですよ。私は先生よりアレのおっきい男の人とお付き合いすることにします。顔や忍びとしての能力は二の次で」
「サクラァァーーー」
ばたばたと騒がしく上忍控え室から出ていく二人を見送り、アスマは傍らにいる紅の胸元を見つめて呟く。
「・・・俺は、ほどほどの大きさでいいと思うぞ」
「別に聞いてないわよ」

 

あとがき??
『Dr.コトー診療所』のシゲさんを見て何となく書いた。シゲさんは清楚な女性が好きらしいです。
ほんのりアス紅。
カカシ先生は、サクラなら大きくても小さくてもいいらしいです。

 

 

(おまけSSシリーズ387)『愛、流されて』

 

「サクラ、お帰り〜♪」
「・・・・」
青ざめた顔で家の中に駆け込んだサクラは、カカシの寝ているベッドの前で座り込んだ。
今まで生きてきた中で、一番恥ずかしい思いをしてしまった。
「どうだった?あれは買えた?」
「買ってきたわよ!!ほら!」
思わず怒鳴ってしまったサクラは、鞄から取り出した本をカカシの布団の上に放り投げる。
『イチャイチャパラダイス外伝 もう一つの物語♪』。
カカシの生きがいとなっているイチャパラシリーズの最新刊だ。

ある任務で写輪眼を使いすぎたカカシは、一週間経ってもまだ寝たきりの生活をしている。
そのおかげで、サクラはサングラスと帽子で顔を隠した怪しい出で立ちで本屋に行くことになってしまった。
カカシに懇願されたとはいえ、18禁本を手にしたところを誰かに見られれば、恥ずかしくて死にそうだ。
何冊か別の雑紙を買い、その間にイチャパラを挟んだのだがレジの前に立つ店員は意地悪だった。
「この本、面白いのー?えーと、『イチャイチャパラダイス外伝 もう一つの物語』?」
そのままタイトルを読み上げた店員に、サクラは思わず叫びそうになる。
「・・・・お嬢ちゃん、いくつ?」
「じゅ、18です!!あの、急いでいるので、早くして頂けますか!!!」
本屋にいた全員の視線が自分に向けられたように感じられ、会計をすませたサクラは一目散に本屋を飛び出していた。

 

 

「死ぬほど恥ずかしかったんだから!!」
「変化の術を使って俺に化ければ良かったんじゃないの?」
泣きそうな顔で叫ぶサクラに、カカシはしごく冷静に応答する。
ハッとしたサクラだったが、全ては後の祭りだ。
「今更、そんなこと言わないでよーー」
サクラはそのまま床に泣き伏した。
「先生にとって私って、一体なんなのよー!女の子にこんな本、買いに行かせるなんて・・・」
「愛してるよ」
本を捲りながら呟いたカカシに、サクラの涙はピタリと止まる。

「サクラのことが一番好きだよ」
顔をあげたサクラと目が合うと、カカシはにっこりと笑って言った。
「その本よりも?」
「これは、二番目に大事。動けるようになったら、ネズミーランドでもUFJでも好きなところ連れて行ってあげる」
鼻を啜ったサクラは、上目遣いにカカシを睨んだ。
「・・・・先生って、ずるい人よね」
「そんなことないよー。ただの幸せ者です」

 

あとがき??
サクラがエロビデオを初めて借りる少年のようになっています。(^_^;)
「面白いの?」は私が昔、本屋のおじーさんに言われたんですよ。
「NG騎士ラムネ&40 ビクビクトライアングル愛の嵐大作戦」のタイトルがいけなかったのか・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ388)『卒業(仮)』

 

長い片思い期間を経て、ナルトはようやく憧れのサクラと結ばれることとなった。
結婚式は里の外れにある小さなチャペルで、サクラの両親と親しい友人だけを呼ぶ質素なものだ。
しかし、招待状を受け取ったカカシには、分かっていた。
ナルトの泣き落としで気持ちが揺らいでしまったが、サクラが本当は何を望んでいるかを。
結婚式での花嫁の強奪。
映画やドラマではよく見られる光景だ。

 

 

「くっ・・・・、やるな、ナルト」
式の当日、花嫁を攫うためにチャペルへと向かったカカシだったが、なかなか会場にたどり着くことは出来なかった。
明らかに命を奪うことを目的としていると思われる、様々なトラップ。
念入りに刃物には全て毒物が塗ってある。
おそらくカカシの行動を予測し、ナルトは人気のないチャペルを選んだのだろう。
他の招待客にはもっと簡単に到着できる道が教えてあるはずだ。
「こんなことで俺は止められ・・・」
額の汗を拭ったカカシの呟きは、背後から仕掛けられた攻撃のために中断される。
クナイを握りしめて立っていたのは、式の途中で抜け出してきたのか、正装のサスケだった。

「悪いな。ここから先は行かせない」
「サスケ!」
「あいつに頼まれたんだ」
淡々とした口調で話すサスケに、カカシは思わず目くじらを立てる。
「恩師に楯突く気か、この野郎―――!!」
逃げまどうカカシにサスケは容赦なく起爆札付きのクナイを投げつけてきた。
カカシが何を言おうとも、サスケの決心は揺らがないようだった。

 

「ちょっと待ったーーー!!」
思わぬ伏兵のため、カカシが何とかチャペルにたどり着いたときには、式は終盤にさしかかっていた。
サスケは縄でふん縛ったため、当分は動けないはずだ。
激戦の末カカシの装いはぼろぼろで、白を基調としたチャペルにはあまりに不釣り合いだった。
「・・・・カカシ先生」
ナルトは驚きに目を見開き、サクラはカカシの登場に感動したのか、涙で目を潤ませている。
「サク・・・」
いとしい人の名前を呼ぶ前に、カカシの世界は暗転した。
カカシといえど簡単には上ってこられないほど深く掘った落とし穴は、サクラが手元のボタンを押すと開く仕掛けになっていた。

「こんなこともあろうかと、用意しておいたのよ。可愛いナルトを奪われてたまるもんですか!」
「さ、さ、サクラちゃん」
「ナルトは私が絶対守るわ。安心してねv」
事態を呑み込めず、唖然としている招待客の前でドレス姿のサクラはナルトに抱きついた。
「あの、カカシ先生の目的って、俺じゃなくて・・・・」
「ん?」
小首を傾げるサクラと目が合うと、ナルトは苦笑いをしてその背中に手を添える。
「・・・まあ、いいか」

 

あとがき??
本当はカカ→サク→ナルなんですが、カカサク←ナルだと勘違いしているカカシ先生の可哀相な話・・・・。
カカサク大好きです!!でもナルトも好きです!!(麒麟さんと象さん?)
ああ、さりげなくナルサクカップルを支えるサスケがいい奴でした。坊ちゃんも好きだ!友情パワー!!

 

 

(おまけSSシリーズ389)『特別ルール』

 

朝、いつものように遅刻をして集合場所に到着すると、ナルトがオレンジ色のマフラー、帽子、手袋を身に付けていた。
「あったかそうだね」
「サクラちゃんの手編みだってばよv昨日、帰り際にもらったんだ〜〜vv」
嬉しそうに微笑むナルトの言葉に、カカシは頬を引きつらせる。
羨ましい。
見ると、サスケも色違いで同じ手編みグッズを付けていた。
普段から仲良しな生徒達だが、自分だけ除外されたのかと思うとかなりショックだ。

「ナルト、任務中はそれ全部外してね」
「ええー!!何で」
「忍者は忍耐が大事なんだよ。寒くても我慢するの。ちゃんとルールブックにも載ってるよ」
「そんなこと、昨日まで言ってなかったじゃん!」
ぶーぶーと不満を漏らすナルトから視線をそらし、カカシは口笛を吹いている。
もちろんそんな規定などなかったが、意地悪でもしないと気持ちが収まらなかった。

「・・・・そうなんだ」
振り返ると、ナルトの隣りにいるサクラまで、何故か肩を落としている。
「これ、先生の分も作ってきたんだけど」
「えっ」
サクラに手渡された紙包みを開くと、確かに毛糸の3点セットが入っている。
しかし、親指だけ動くナルト達の手袋と違って、ちゃんと5本指に別れていた。
「先生のは特別に作ったから、ちょっと時間がかかっちゃったんだけど・・・・」
「有り難うーvv大事に使うよ」
サクラの見ている前でマフラーを巻いたカカシは、にこにこと笑ってサクラの頭を撫でる。
打って変わってご機嫌になったカカシに、ナルトとサスケは呆れきっている様子だ。
「・・・・忍びのルールは?」
「撤回ですv」

 

あとがき??
ほのぼの7班〜。

 

 

(おまけSSシリーズ390)『サクゾウ』

 

「実は私、男なんです。本当の名前はサクラじゃなくてサクゾウ」
毎日毎日ベタベタと張り付いてくるカカシに苛立ったサクラは、ある日きっぱりとした口調で言った。
「両親は女の子が欲しかったみたいで、今まで女として育てられたんですよ」
さすがに驚いたのか、自分の体から手を離したカカシに、サクラはさらに畳みかける。
「だからカカシ先生とはお付き合い出来ないし、将来的に結婚も出来ないの。分かった?」
「・・・・・」
呆然とするカカシに向かって舌を出すと、サクラはそのまま駆け出していく。
そばで話を聞いていたナルトは、呆れ顔でサクラに歩み寄った。
「あんな嘘、信じるわけないってばよ」
「そうでもないわよ」
振り返ると、カカシは愕然とした表情のまま同じ場所で佇んでいる。
「・・・・・・カカシ先生」
指折りの上忍だというのに、妙なところで間が抜けた人なのだった。

 

 

「サクゾウ」
翌朝、カカシに呼びかけられたサクラは、すぐにそれが自分のことだとは気づかなかった。
「サクラちゃん、呼んでるってばよ」
「・・・ああ」
ナルトに肩を叩かれて、ようやく昨日の嘘を思い出す。
まだ信じているらしいカカシが可笑しかったが、サクラは素直に彼に近寄った。
「何ですか」
「子供は養子でもかまわないよね!!いくら頑張っても、流石に男は産めないし」
「・・・・・・・・はあ?」
何を言われたのか理解出来ず、サクラは素っ頓狂な声で答える。

「まさか結婚のことまで考えていてくれたなんて、知らなかったから。昨日は感動したよ」
「カカシ先生――」
「男と付き合ったことなんて無いけど、俺、頑張るから!幸せになろうね」
「・・・・・」
もはやサクラの声は耳に入っていないのか、カカシは彼女をぎゅっと抱きしめる。
どうやら昨日は「サクラは男」ということより、「結婚」という部分に衝撃を受けていたらしい。
「もう、諦めるしかないんじゃないのかなぁ・・・」
ナルトは青い顔のサクラを見つめながらしみじみと呟く。
この調子なら、サクラが宇宙人だと分かっても、カカシは全てを受け入れるに違いなかった。

 

あとがき??
うちのカカシ先生はただのサクラ馬鹿なんですよ・・・。
可愛ければ男でも宇宙人でも怯まないらしい。
サクラが「実は宇宙人なの」と告白したら、「産まれてくる子供が楽しみだねv」と言われるのです。
何故か話が全部子作りの方へ・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ391)『アカデミー時代』

 

アカデミーの離れにある飼育小屋には一匹の子豚がいた。
生徒達が飼育当番をさぼるために、世話をしているのはほぼナルト一人だ。
ある日ナルトが飼育小屋を覗くと、中にいるはずの子豚がいない。
「ギャーー!!」
ナルトが振り返るのと同時に、どこからか悲鳴が聞こえてきた。
慌ててその方向へと駆け出すと、くノ一クラスの女子が子豚に飛びつかれて尻餅をついている。
あまり話したことはないが、いつもテストで満点を取っている、春野サクラという名前の少女だ。

「何よ、このブタ!!服が汚れちゃったじゃない!」
擦り寄ってくる子豚を放り出したサクラは、うろたえるナルトを睨み付ける。
「・・・あんたが逃がしたの」
「えっと・・・」
「ちゃんと掴まえておいてよね!!丸焼きにして食べちゃうわよ」
立ち上がってスカートを叩いたサクラは、子豚を蹴飛ばすような仕草をした。
驚いた子豚は、屈んで両手を広げたナルトの方へと急いで駆け寄ってくる。

「・・・・ブタって、いじめると祟るって知ってる?」
「えっ」
そのまま立ち去ろうとしていたサクラは、ナルトの呟きに、足を止めた。
「みんなに恐れられているから、こんな離れに飼育小屋を作ったんだよ」
「そ、そんなの嘘に決まってるわよ」
「・・・・こいつはもう3人呪い殺してる。サクラちゃんは知らなかったんだね」
同情的な眼差しでサクラを見たナルトは、子豚を抱えなおして踵を返す。
もちろん大嘘だったが、子豚を蹴ろうとしたとしたサクラが少しでも怯えればそれで良かった。

 

 

翌日、ナルトが飼育小屋へ到着すると、そこには珍しく先客がいた。
昨日ナルトが有りもしない子豚の祟りで脅かしたサクラだ。
不思議に思ってそっと近寄ると、サクラはなにやら子豚に話しかけている。

「どんなもの食べるか分からないから、いろいろ持ってきてあげたのよ。感謝しなさい」
見ると、サクラは子豚に餌をやっているようだ。
「これはおまけ」
サクラはポケットから出したリボンを、子豚の首に巻き付けた。
サクラが髪に付けている物と、おそろいのリボンのようだ。
「いいわね。私のこと、祟るんじゃないわよ」
話が分かったのかそうでないか、子豚は小さく頷いたように見えた。
思わず吹き出したところで、ナルトの気配に気づいたサクラは、小屋の戸口へと目を向ける。

「ようやく来たわね。あんたからも、ちゃんと言っておいてよ!」
「えっ、何を」
「昨日、蹴ろうとしたのは本気じゃないって。だから、私のこと悪く思わないように説明して」
「・・・・・」
真剣な様子で話すサクラを、ナルトはじっと見つめる。
頭がいいはずなのに、自分の法螺を素直に信じている姿が、妙に可愛く見えてしまった。
「一回優しくしたくらいじゃ、駄目だよ。毎日来ないと。昨日は随分と怒ってたから」
「ええーーー!!」
ブヒブヒと鳴く子豚はサクラに懐いたようで、鼻を擦り寄らせている。
どうしてそんな意地悪を言ったのかナルトにもよく分からなかったが、彼女ともっと仲良くなりたい気がした。
ナルトの嘘ために、サクラは「ブタは祟る」という話をして皆に笑われることになるのだが、それはまた後の話だ。

 

あとがき??
元ネタは『カルバニア物語』のフランのママですね。
劣等生のナルトにすれば、優等生のサクラは苦手なはずなんですが、何故か好意を持っている。
アカデミー時代にこんなエピソードがあったら、それも頷けるかなぁと思いまして。

 

 

(おまけSSシリーズ392)『愛の賛歌』

 

「もう、聞いて頂戴よー、いのちゃん。サクラってば、ひどいんだよ!」
「はいはい」
店先に並んだ鉢植えに水をやるいのは、カカシの話を適当に聞き流している。
サクラと喧嘩をしたようだが、理由は単純だ。
サクラがカカシのコーヒーに入れた砂糖の量がいつもより少なかったらしい。
「俺、砂糖はいつも4つ入れるって決めてるのに、サクラってば3つしか入れてくれなかったんだ!」
「・・・・・・・」
すでに相槌を打つ気力すらなかったが、カカシは延々と愚痴をこぼしている。
サクラには連絡を入れてあるため、もうすぐカカシを引き取りに来てくれるはずだった。

「カカシ先生!」
やがて、店に入ってきたサクラを見ると、カカシは顔を強ばらせていのの後ろに隠れる。
「何しに来たんだ、サクラ!」
「何って、先生を迎えに・・・・」
「嘘だ!本当は俺のことなんてどうだっていいんだ!!」
握り拳を作るカカシは、さらに語調を強くして続けた。
「何もかも知り尽くした仲だと思っていたのに、俺達もうおしまいだよ!」
「そんな、砂糖一つで終わっちゃうの、私達って・・・」
呆れたように呟くと、サクラは意を決して二人のいる方へと進み出る。
「カカシ先生、私の愛が足りないなら努力するわ。だから、先生ももっと私のことを信じてよ」
「・・・・・サクラ」
感動に瞳を潤ませるカカシの隣りでは、額を押さえるいのが大きなため息をついていた。

 

「あのさぁ、いつもいつもこうやってうちの店に飛び込んでくるの、やめてくれないかなー」
ラブラブに抱き合う二人に、いのは迷惑そうに顔をしかめて声をかける。
「ごめーん。でも、月いちのイベントみたいなもんだから」
サクラの返答からすると、これから先もずっと砂糖より甘い台詞の応酬を聞くはめになりそうだった。

 

あとがき??
元ネタはハレグゥ。喧嘩で愛を確かめ合っているようです。
いや、本当は二人の台詞は男女逆なんですけど。(笑)うちのカカシ先生はこっちの方が似合う。
原作の先生は甘いの苦手みたいですが、うちは甘党っぽい。

 

 

(おまけSSシリーズ393)『あてられっぱなし』

 

「ナルトって、おっぱい好きなの?」
机に頬杖を付いたサクラの一言に、向かい側の席にいたサスケは危うく茶を吹き出しそうになる。
もちろんその問いかけは彼ではなく、隣りにいるナルトに向けられたものだ。
「えー、嫌いな男なんていないんじゃないの。なあ」
「俺に話をふるな・・・」
不機嫌そうに眉を寄せたサスケは、おむすびを食べながら喋るナルトから顔を背けて答える。
「でも、何で?」
「いっつも寝るとき私の胸触ってるじゃない。夜に目が覚めても同じ格好だし」
「んーー、そうだっけ」

ナルトは布団に入って目をつむると3秒で熟睡出来るため、その後のことはあまり覚えていない。
無意識の行動だったが、考えてみるとサクラの言う通りかもしれなかった。
「ナルトが術で女の子に変化するときもやっぱり巨乳だし、大きい方がいいよね・・・」
「大きくても小さくても、俺はサクラちゃんがいいってばよ」
明るく答えるナルトの笑顔はサクラの不安を払拭するのに十分で、彼女もようやく頬を緩ませる。
かといって、この話題がのどかな昼休みにふさわしいかどうかは甚だ疑問だ。
「お前もそう思うだろ、サスケ」
「だから、俺に話をふるな・・・」

 

あとがき??
ナルチョはマミーが恋しいのでおっきい方が好きそうです。
でも、サクラちゃんのことはもっと好きなのです。
ラブラブナルサクと可哀相な坊ちゃんを書きたかったのか・・・・。一応、仲良し3人組。

 

 

(おまけSSシリーズ394)『見張り役』

 

「横暴だぁ〜〜」
「自業自得だってばよ」
机に突っ伏して嘆くカカシだったが、彼の見張り役であるナルトは突っ慳貪な口調で答えた。
ナルトの言うとおり、カカシが尋問室に監禁されて仕事に励んでいる原因は、全て彼にある。
通常任務が終了して三日以内に提出すべき報告書を、カカシは10件以上ほったらかしにしていたのだ。
「期限は明日なんだからね。綱手のばーちゃんもこれ以上待てないって言ってるし」
「鬼〜〜、少しは手伝ってよ」
「駄目、今まで何度も締め切りを破ってる罰として、手は貸すなって言われてるんだから」
ペンを握りしめるカカシは、傍らに立つナルトを涙目で見上げる。
「じゃあ、せめてサクラに面会させてよー。サクラに三日以上触らないと禁断症状が出るんだから」
「禁断症状?」
「呼吸困難になります。苦しいよぅ」
「・・・・・・・」

額を押さえてため息をついたナルトは、渋々印を組んで彼の思い人に変化する。
桜色の髪の少女を前にして反射的に瞳を輝かせたカカシだったが、所詮は紛い物だ。
「本物はー?」
「サクラちゃんは今日一日綱手のばーちゃんの手伝いで忙しいの。これで我慢しといてよ」
「んーー・・・・・」
立ち上がったカカシはサクラの姿のナルトを抱きしめてみるが、やはり中身が男だと思うと張り合いがない。
「匂いが違うーー。サクラはもっと柔らかいし、フローラルな香りが・・・・」
「我が儘言わないでくれよー。さ、早く仕事に戻って」
カカシをせかすナルトがその手をふりほどこうとすると、尋問室の扉が唐突に開かれた。

「先生ー、差し入れ持ってきたわよーー」
「ナルトもそろそろ腹が減っただろ」
二人分の食事を持って入ってきたサクラと綱手は、笑顔を凍り付かせて一切の動きを止めた。
ころころと床に転がった水筒を見て、ナルト達はようやく異変に気づく。
サクラに変化したナルトがカカシと抱き合っているのだから、妙な誤解をするなという方が無理だ。
「えっ、ちょっと、違うってばよ。これは・・・」
「・・・・お前ら、密室で今まで一体何を」
「カカシ先生がそんな見境がなかったなんてーー!!私の姿ならナルトでもいいのねーーー!」
泣きながら走り去るサクラに続いて、綱手も無言のまま部屋から出ていく。
「ギャーー!!何やってんの、ばーちゃん!!」
ガチャガチャと外から鍵をかける音がして扉に駆け寄ったナルトだったが、すでに綱手の背中は遠ざかっていた。

 

あとがき??
仕事しないでいちゃついていた(ように見えた)罰として、閉じこめられた二人。
ナルトはとばっちりです。可哀相に・・・・。
サクラは一週間カカシ先生と口をきいてくれなかったそうです。

 

 

(おまけSSシリーズ395)『ライバル?』

 

「ひどい、ひどすぎる・・・・・」
任務は無事終了したものの、サクラはなかなか立ち直れず愚痴をこぼしていた。
急な任務が入ったため、7班はクリスマスも正月も何も出来ずに終わってしまったのだ。
「まあまあ、7班の任務は明日から一週間お休みだし、今からケーキとお餅を食べればいいじゃないのー」
「時期を外したら駄目なのよ!「メリークリスマス」って書いてあるケーキがいいの」
カカシはサクラの膨らんだ頬を突いてみたが、彼女はまだ口を尖らせている。

「それじゃあ、先生から特別にクリスマスプレゼント&お年玉をあげよう」
「えっ!!」
「「カカシ先生と一週間ラブラブに過ごせる権利」をあげる。付きっきりでサクラの面倒を見るよv」
「・・・・・」
少し期待してしまったサクラは、冷ややかな眼差しをカカシに向けている。
どちらかといえば、それはサクラではなくカカシへのご褒美のようだ。

「ねーねー」
二人の話を聞くともなしに耳にしたナルトは、カカシの袖口を引っぱった。
「ナルト?」
「その権利、サクラちゃんがいらないなら、俺がもらってもいい?」
「えっ・・・」
まっすぐにカカシを見つめるナルトは冗談を言っているように見えない。
唾を飲み込んだサクラは、とっさにカカシの腕を自分の方へと引き寄せていた。
「わ、私のだからね!」

 

サクラに引きずられて去っていくカカシを見送り、サスケはおずおずと訊ねる。
「・・・・・カカシとラブラブに過ごしたかったのか」
「えー、大掃除を手伝ってもらおうかと思ったんだよー。散らかったままだし」

 

あとがき??
ただ、働き手が欲しかったナルチョでした。先生の援護をしたわけではないです。

 

 

(おまけSSシリーズ396)『携帯電話の待受画面』

 

ナルト → 一楽のラーメンの写真
サスケ → 無地、大きく時計を表示
サクラ → ナルト&サスケ&サクラ、3人の写真(カカシ撮影)

 

「お前の、すげーつまんねーなぁ・・・」
「ラーメンよりマシだ」
顔をしかめたナルトの呟きに、サスケは声を荒げて反論する。
待ち受け画面はそれぞれの個性が出るものらしい。
見せ合ったことを後悔したのか、サスケは早々に携帯電話を鞄にしまっている。
「ねえねえ、カカシ先生は?」
「えっ、俺ー?」
本を読みつつ3人の話を聞いていたカカシは、サクラにせっつかれて携帯電話を胸ポケットから取り出した。

「どれどれ」
興味深げにカカシの携帯電話を見たサクラは、画面を一目見るなりすぐにそれを折り畳む。
あまりの早業に、後ろにいたナルトとサスケには何があったのかまるで見えなかった。
「カカシ先生ーーーー!!!」
「えっ?」
「な、な、な、何てもの待ち受け画面にしてるのよ!!っていうか、いつのまに撮ったのよ」
カカシに詰め寄るサクラの顔は真っ赤だ。
「えー、だって、サクラ可愛かったし、つい・・・」
「ほ、他の誰かに見られたら、どうするつもりよ!馬鹿!!」

なにやら揉めている二人を尻目に、一体どんな写真が待ち受け画面だったのか、気になって仕方がないナルト達だった。

 

あとがき??
それぞれの待ち受け画面は、私のイメージで。
一応、番外編もあります。
ナルトのアニメのEDで、サクラ達が携帯電話を持っていたのがショックでした。
いちいち鳥で連絡したり、水晶玉を使っていた意味って・・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ397)『携帯電話の待受画面 2』

 

ナルトが置き忘れていたサクラの携帯電話を盗み見たのは、ほんの出来心だった。
履歴等をチェックするつもりはなく、最新機種の電話が珍しかったのだ。

 

「大変だってばよーーー!!!!」
大慌てで駆けつけたナルトに、立ち話をしていたカカシとサスケは怪訝な顔になる。
「どうした?」
「サクラちゃんに、彼氏が出来たかもしれないってばよ!」
7班の紅一点であるサクラの一大事に、皆の間に緊張が走った。
「何でそう思うの」
「だって、ほら。これサクラちゃんの携帯なんだけど、色男の写真が・・・」
ナルトが差し出した携帯電話の待ち受け画面には、一人の男の写真があった。
サクラとはよほど親しい関係なのか、くつろいだ様子で笑みを浮かべている。

「サスケも負けたかもしれないってばよ」
「・・・・・・」
サスケが無言の返事をしたのか、肯定か否定か、どちらの意味にもとれる。
だが、ナルトにそう言わせるだけの面立ちをした男なのは事実だ。
「・・・どこかで見た覚えがある」
「えー、そう?こんなイケメン、俺の周りにはいないってばよ」
サスケの呟きにナルトは驚きの声をあげたが、よく見るとそんな気もしてきた。

「みんな、どうしたの?」
集まって話していた3人は、背後から聞こえた声にびくりと身を震わせる。
「な、何でもないってばよ。あの、サクラちゃん、これ」
ナルトが携帯電話を差し出すと、サクラは無くしたことに気づいていなかったらしく、目を丸くした。
「どこにあった?」
「お昼を食べてた、あのテーブルに・・・」
「有り難う。明日からの予定とか、全部入ってたのよ」
サクラはにっこりと笑ってナルトに礼を言う。
待ち受け画面の相手のことを聞きたいのは山々だが、それでは中を見たことがばれてしまう。
何となく微妙な雰囲気の7班だったが、サクラはそれを別の意味に捉えたようだった。

 

「もしかして、見られちゃったかなぁ。カカシ先生の素顔、待ち受けにしてたんだけど・・・」
ナルトとサスケがその場を離れると、サクラは不安げな様子でカカシを見上げる。
二人が親しくしていることは、他の二人にはまだ秘密だ。
「二人とも気づいてないみたいだから、いいんじゃない」

 

あとがき??
いや、一楽親子(とくに、親父の方)が惚れたくらいだから、素顔は凄いことになっているのかと思って・・・・。
マスク一つで、どれだけ人相変わるんだ!!
携帯繋がりでタイトルに2がついていますが、1とは全然別の話です。

 

 

(おまけSSシリーズ398)『携帯電話の着信音』

 

「じゃあ、今日の任務は・・・・」
カカシが任務の内容を説明しようとした瞬間、巷で人気のアニメ『プリごろ太』のOP曲が周囲に響いた。
「あ、ちょっと待って」
ポケットから携帯電話を取り出したナルトは、「もしもし」と話し始める。
何かの勧誘の電話だったらしく、すぐ切ったがカカシは不満げにナルトを見つめた。
「任務中は携帯の電源は切っておくもんだぞ」
「ごめんってばよー」
しょんぼりと俯いたナルトを励ますように、サクラは彼の肩に手を置いた。

「でも、『プリごろ太』の曲、いいわよね。今度私もそれにしようかしら」
普通に携帯に内蔵されているベルの音を使っているサクラは、背後に立つカカシを仰ぎ見る。
「カカシ先生の携帯は、どんな着信音?」
「サクラの声」
「・・・えっ?」
「サクラの「カカシ先生v」って声を録音して登録したんだ。それならすぐ気づくし。目覚まし時計もそれ」
「・・・・・・へぇ」
頬を引きつらせたサクラは明らかに嫌がっていたが、カカシはそうした乙女心には全く気づいていない。

 

チャンチャカチャカチャカ〜、パフッ♪スチャラカスチャラカ〜♪♪

 

「何、この軽快なメロディーは!!?」
「笑点のテーマ曲だってばよ」
サクラとナルトがきょろきょろと周りを見回すと、サスケが鞄に手を突っ込んだ。
「あ、俺だ」
唖然とする3人だったが、サスケはかまわず携帯電話で会話をしている。
この日、サスケがお笑い好きだということを初めて知った7班の面々だった。

 

あとがき??
どうも、サスケ=7班のお笑い担当、ということが頭にあって・・・・。
何だか携帯シリーズが続きました。

 

 

(おまけSSシリーズ399)『先生の秘密』

 

「・・・・・・何のつもりだ、あれは」
「さあ。先生の考えてることなんて、分かるはずないじゃない」
「「萌え〜」とか、言って欲しいのかなぁ・・・・」
困惑する7班の子供達が見つめる先にいるのは、犬耳の飾り(?)を頭に付けたカカシだ。
朝、いつものように遅刻をしてやってきたカカシは任務内容を話し始めたが、どうも頭上に目がいってしまう
面と向かって「それ、何ですか?」と訊ける勇気のある者は誰もいなかった。

「これからも、ずっとアレ、付けてくるのかしら」
「そんなの俺は認めないぞ!みっともなくて、一緒に歩けるか」
「まあまあ、アレはカカシ先生の頭に直接生えてきたってことにしようよ」
いきり立つサスケをなだめるナルトは、カカシに同情的な眼差しを向けて続ける。
「病が悪化すると、本物の犬になっちゃうのかも」
「そうか、あれは病なのか・・・」
ぼそぼそと自分から離れて会話している3人を、カカシは怪訝そうに見つめた。
「どうしたの〜?」
「何でもないです」
カカシに笑顔で応えたサクラだったが、その視線は自然と犬耳へと向かっていた。

 

(翌朝)

 

「カ、カカシ先生―――――!!」
仰天した三人は目を見開いたまま体を硬直させる。
その日、遅刻して7班の集合場所にやってきたのは、片目を額当てで隠した犬だった。
よく見ると、眠たげな目やぼんやりとした顔つきが、カカシとうり二つだ。
「病が進行したみたいだな・・・・」
「そんな、たった一日で」
よろよろと犬に歩み寄ったサクラは、屈んで目線を合わせる。
「本当にカカシ先生なの?」
「ワンッ!」
犬は明らかにサクラの言葉を理解している様子で、頷いてみせた。
「俺達の責任だよ。昨日の段階で病院に連れて行ったら、こんなことには・・・」
ナルトは瞳に涙を滲ませ、おいおいと泣き始める。
パニック状態になった三人に、それが本当にカカシなのかどうか、疑う気配は微塵も無くなっていた。

 

ゴホゴホッと咳が繰り返されるカカシの家では、病人が一人横たわっている。
近頃仲間と飲み歩いて遅くなる日が続いたのだが、どこかで風邪の菌をもらってきたらしい。
「コイちゃんはちゃんと俺が休むって、みんなに伝えてくれたかなぁ・・・・」
「あいつ、確かまだ人語を喋れなかったぞ」
カカシの看病をするパックンは、不安げな様子で窓の外を見つめる。
「そういえば、それ、いつまで付けてるつもりだ」
「えっ?」
パックンに言われて頭に手をやったカカシは、犬耳に触れると驚愕の表情になった。
「これ、飲み会の罰ゲームで付けられたやつ!?もしかして昨日ずっとくっついていたんじゃあ」
黙って頷いたパックンを見て、鼻水をすすったカカシは悲しげに顔を歪める。
「何でみんな教えてくれなかったのかなぁ・・・・」
「面白かったからだろ」

 

あとがき??
同じような話、前にも書いたような。
コイちゃんは、カカシの忍犬です。拾ったとき子犬だったからコイちゃん。(カカシ命名)
子供達ではなく、カカシ先生に犬耳や猫耳を付けてみたかった・・・・。
『魁!!クロマティ高校』の高橋先輩を思い出す。

 

 

(おまけSSシリーズ400)『唯我独尊』

 

「ちゃんとハンカチとティッシュは持ったか。夜は腹出して寝るんじゃないぞ」
「・・・・先生、お母さんみたいだってばよ」
何やかや世話を焼くカカシに、ナルトは目を細めて突っ込みを入れる。
部下の一人が遠い地に旅立つのだから、仕方のないことだろうか。
里に戻ったサスケは「抜け人」として処罰され、火の国から追放となった。
身柄は同盟国の風の国に預けられ、いずれ許されることがあるにしても、この先10年は戻ってくることはない。

「サスケ、生水には注意した方がいいってばよ」
「お前だって似たようなもんだろー」
二人はハハハッと笑い合ったが、あとにはしんみりとした空気だけが残った。
いざ別れの時が近づくと、胸が詰まって何を言ったらいいのか分からなくなる。
里の入り口である門前にはサスケと関わりのあった人間が多く集まっていたが、サクラは彼らに紛れるように立っていた。
顔を見れば、また、彼が里を抜けたときと同様に無理を言ってしまいそうだ。
本当はどこにも行かないで欲しいが、火影の決定に逆らうわけにいかない。
里に害をなす組織に与していたことを考えれば、信じられないほど軽い罰なのだ。
涙を堪えて俯いていたサクラは、差し出されて手に気づくと、驚いて顔をあげる。
彼の顔にさして表情らしいものは浮かんでいなかったが、眼差しは、どこか優しかった。

「来るか?」

 

旅支度を何もしていない。
やり残した仕事や、家族、友人のこともある。
そうしたことは、その一瞬でどこかに消えてしまっていた。

「なんか、ドラマか映画みたいだったってばよ・・・」
サクラに配送を頼まれた荷物をダンボール箱に詰めながら、ナルトはぼんやりと呟く。
いろいろ文句は言いたかったが、サクラが二つ返事で「行く」と答えたのだから、口出しは出来ない。
笑顔のサクラがこぼした涙を見れば、第三者としては彼女の幸せを祈るしかなかった。
「サスケのことが解決して、ようやくサクラちゃんも俺の方を見てくれるかと思ったのに。ぎりぎりで逆転勝利かよ」
ぶーぶーと不満をもらすナルトに、箱詰め作業の手伝いをするカカシは苦笑している。
「あいつ絶対断られることとか考えてなかったってばよ」
「まあ、サスケだしな」

 

あとがき??
坊ちゃん、台詞一言でサクラ強奪。羨ましい。
のだめの「俺様千秋様」を見ていたら、サスケを書きたくなった。
元気にしているのかいのぅ。

 

 

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