(おまけSSシリーズ31)『小梅ちゃん 3』

「あ、また・・・・」
サクラの母親に、手紙を取りに行くよう頼まれた小梅は眩暈を感じて額に手を当てる。
先客がポストの中身を探っていた。
堂々と差出人の名前をチェックしているその姿は、他家のポストを物色しているように見えない。
「あの、それ、春野の家のポストなんですけど」
「知ってる」
全く動じず封筒を眺めたサスケは、手紙の中から3通ばかり地面に払い落とす。

「これは?」
「ゴミだ」
拾い上げると、受取人の名前は「春野サクラ様」となっていた。
「サクラのところへは持っていくなよ」
小梅の手からそれを奪ったサスケは、躊躇無く封をあける。
そして、中の便箋を小梅に手渡した。

「えーと、いとしい、いとしいサクラ様・・・・・ラブレター!!?」
「だから、ゴミだ」
目を丸くする小梅に、サスケはつんとした口調で言う。
「毎日排除しているのに、必ず1、2通は混じっている。懲りない奴らだ」
「ま、毎日・・・・」
「これが残りだ」
無害だと判断した分の手紙を渡すと、サスケはすたすたと立ち去る。

サクラが長い間片思いをしているという相手。
彼はやはりとんでもなく変な人だと思った小梅だった。

あとがき??
サクラ、人気あるんですねぇ。毎日。
今時、直筆ラブレター、古風な気もするし、だからこそ惹かれるような・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ32)『マルガリータ』

「随分伸びたわねー」
「うん」
サクラは一つに括ってあるナルトの髪を引っ張った。
昔は短髪だったナルトだが、中忍になった今では肩より下まで伸びている。
「変装するとき、役に立つんだよね」
「床屋に行くのが面倒なだけでしょ」
「えへへー」
笑いながら振り向いたナルトに、サクラはため息を付く。

「後輩のくの一達がね、ナルトの髪、長い方が格好良くて素敵だって言ってた」
「ふーん」
ナルトは興味がなさそうに相槌を打つ。
サクラはナルトが何も言わないのを良いことに、彼の髪で三つ編みを作っていた。
「サクラちゃんは、どう思う?長い方がいいかなぁ」
「丸刈りがいい」
サクラはいやにきっぱりと言い切った。

暫しの沈黙のあと、ナルトはおずおずと振り返る。
「・・・じゃあ、丸刈りにしましょうか」
「くの一仲間は長い方がいいって言ってるのよ」
「サクラちゃんがいいって言ってくれなきゃ嫌だもん」
すねたような口調で言うナルトに、サクラは思わず破顔した。

「出来た!」
三つ編みの最後に、ケーキのラッピングで貰った赤いリボンを付ける。
ナルトの動きに合わせて動くリボンが何とも可愛らしい。
「いいわよ、別に。このままで」
「本当―?」
「こうして、リボンで髪を結んでいてくれるならね」

あとがき??
何だかんだ言って、ナルトに無理難題を押しつけるサクラ。
逆らうなんて考えない、素直に従っているナルチョが可愛いのです。
丸刈りは今はやってるらしいから、いいですよね。
私、ナルトの長髪、見たいですわーーーーー!!!!
ああ、鋼のエドの後ろ髪を見て思い付いた話でした。

 

 

(おまけSSシリーズ33)『とりかえっこ 1』

その日、7班では下忍達のテストが行われていた。
彼らがいかに効率よくチャクラを練ることが出来るかを確かめる。
互いの姿に変化したナルトとサスケは、そのまま任務を遂行し一日もてば合格だ。
気を抜くと体の一部の変化が解けてしまうのはよくあること。
カカシの眼を気にしながら、二人は順調にテストをクリアしつつあった。

「サスケくん、一緒にお昼ご飯食べ・・・・」
弁当を持って半歩踏み出したサクラは、それがサスケの姿をしたナルトだと気づき立ち止まる。
後方では、ナルトの姿のサスケが一人でおむすびをほおばっていた。
果たして、どちらに行くべきなのか。
思い悩むサクラは、誰かに背中を押されて勢いよく地面に転がる。

「な、な、何!?」
「あら、ごめんなさいー」
転んだ拍子にぶつけた額を押さえ、見上げると嫌みたっぷりに笑ういのがいた。
「何でここに!?」
「うちの班もこの近くで仕事しているのよ。そうしたら7班もいるって聞いたから」
言いながら、いのはちらりとサスケを見つめる。
「会いに来ちゃった。一緒にお弁当食べようと思って」
「別にいいけど・・・」
「駄目よ!勝手に触らないでよね!!」
サスケといのの間に割って入ったサクラは、ハッとなった。
中身はナルトなのだから、いのと食事をしても構わないはずだ。
だけれど、何故か面白くない。

サスケの顔をしたナルトがいのと一緒にいるのが嫌なのか。
それとも、ナルト自身が他の女子と一緒にいても同じ気持ちになるのか。
どうにも微妙な心情のサクラだった。

あとがき??
サクナルかサクサスかよく分からない。
続きはカカシとサクラが互いに変化しています。サスサク?

 

(おまけSSシリーズ34)『とりかえっこ 2』

7班では下忍達のテストが行われていた。
彼らがいかに効率よくチャクラを練ることが出来るかを、変化の術で確かめる。
ナルトとサスケは見事テストをクリアし、今日はサクラの番だ。
カカシの姿に変化し、一日そのままで任務を遂行する。
気を抜くと体の一部の変化が解けてしまうのはよくあることで、細心の注意が必要だった。

「サスケくん、大丈夫?手伝おうか」
刷毛でとある民家の壁を塗るサスケは、傍らのカカシを半眼で見やる。
中身がサクラであることは重々承知していた。
だが、カカシに優しい言葉をかけられると、違和感でつい顔をしかめてしまう。
「いい。お前、まだあっちの草むしり終わってないんだろ」
「うん・・・」
自分の持ち場へと戻るサクラを見た後、サスケはため息を付いた。

刷毛を持ち直したサスケは再び壁に向き直ったが、脇道を通る通行人の声に振り返る。
ひそひそ話をする近隣の住人が見ているのは、木陰でのんびりと読書をするサクラ。
いや、サクラの姿に変化したカカシだ。
上忍カカシの変化は完璧で、チャクラの消耗を気にすることなく通常通りの行動を取っている。
つまり、イチャパラ(18禁)を読む12歳の少女を皆が怪訝な顔で見ているという状況だった。

 

ずかずかとカカシに歩み寄ったサスケは、有無を言わせずイチャパラを奪い取る。
「あ、何するんだよ!いいところだったのに」
「うるさい。もっと周りのことを考えて行動しろ」
本を奪い返そうとするカカシの手を掴むと、サスケは厳しい表情で一喝した。
彼女の目が潤み始めたのは、その直後のことだ。
「・・・・サスケくん、ひどい」
悲しげに呟くと、俯いた彼女の頬から大粒の涙が零れ落ちる。
思いがけない仕草に動揺したサスケが手を放すと、サクラの姿のカカシはにやりと笑った。

「修行が足りんね」
舌を出したカカシはかすめ取ったイチャパラを持って中庭へと走り去る。
歯噛みしたサスケが怒りに燃える目でカカシを見ていたのは、言うまでもないことだった。

あとがき??
サクラの涙に弱いさっちゃんでした。
同じ人物が同じ場所に二人いるとやっかいなので、先生もサクラに変化しています。
1はナルトとサスケが入れ替わっています。

 

(おまけSSシリーズ35)『小梅ちゃん 4』

「えーと、月曜はいのお姉ちゃんの家に行ってた」
「・・・水曜は」
「ナルトとラーメン食べてきたって言ってたかな」
「よし、完璧だ」
メモ帳に小梅から聞き出したサクラの行動を記したサスケは満足げに頷く。
「これで今週分の『サクラ観察記録』は完成だ。サクラの日記でははぶかれた部分も多いからな」
「はぁ・・・」
「よくやった」
ぽんぽんと頭を叩かれ、小梅は困ったように笑う。

「次は来週の予定だな・・・何か聞いてるか?」
「日曜に幼なじみのリンちゃんと映画に行くってことだけかな」
考えながら話す小梅に、サスケの目がきらりと光った。
「それは男か女か」
「リンヤくんは男の子だよ。ほら、あそこの写真にもある」
小梅が指差したのは、幼い頃のサクラが近所の子供達と取った写真だ。
「・・・知らない名前だ。ブラックリスト入りだな」
その名前をサスケがメモした直後に、扉が開かれる。
素早く教材を広げた小梅は、作り笑顔で振り向いた。

 

「勉強、進んでる?」
「うん、ばっちりよ」
盆を持ったサクラはテーブルの上にサスケと小梅のカップ、茶菓子をのせていく。
「サスケくんが家庭教師をしてくれるなんて、小梅はラッキーね」
「・・・アハハ」
勉強はすぐに終了し、あとはサクラの情報交換で時間を費やしているのだが、それは秘密だ。
乾いた笑い声をあげる小梅の横では、サスケが涼しい顔で茶をすすっていた。

「リンヤくんが日本刀を持った通り魔に襲われて入院したんですって」
数日後、夕食の席でサクラの母親から告げられた言葉に、小梅はごくりと唾を飲み込む。
「ええ、怖い!!リンちゃんは大丈夫なの!?」
「命に別状はないそうよ。よほど怖い思いをしたのか、目撃した犯人の人相は絶対に言わないの」
「・・・そう。映画どころじゃないわね。お見舞いに行かなくちゃ」
「行かない方がいいと思う」
間髪入れずに言った小梅に、サクラは首を傾げる。
「え、何で?」
「また通り魔に会うかもしれないから」

あとがき??
どこまで続くか、このシリーズ。
リンヤくんは友達のいとこの名前ですね。響きが可愛かったので。

 

(おまけSSシリーズ36)『ひめごと』

いつもは日帰りのDランク任務ばかりの7班だが、時たま泊まりがけの仕事を請け負うときがあった。
その日の部屋割りはカカシが個室でナルトとサスケとサクラが同室だ。
烏の行水のナルトは一番に風呂からあがり、部屋に備え付けのTVを見ていた。
髪の毛を拭きながら戻ってきたサスケに、ナルトは振り返って訊ねる。
「サクラちゃんはー?」
「カカシの部屋に入っていったのを見たぞ」
「ふーん」

 

最初はこれだけの会話で終わっていた。
しかし、1時間経っても、2時間経ってもサクラが帰ってこない。
気になってTVに集中出来なくなったナルトは、立ち上がって扉へと向かう。
「どこへ行く」
「トイレだよ」
出任せを言うと、ナルトは向かい側のカカシの部屋へと直行していた。

扉を開けてすぐ、何かが変だと思った。
不自然な笑いを浮かべて自分を見るカカシとサクラに、ナルトは眉をひそめる。
「の、ノックくらいしてよね」
「っていうか、サクラちゃんここで何してるの」
「今日の任務の予習と復習よ」
「・・・へぇ」
山小屋掃除の仕事の予習と復習とは何だろうかと思ったが、それは置いておく。
「何か、隠したよね。俺が来たとき」
ぎくりと肩を震わせたサクラは、何故か怯えた表情でナルトを仰ぎ見る。
そして、ナルトがさらに追求する前に、彼の前で頭を下げた。

「お願い、ナルト、このまま出ていって。何も訊かないで!」
「サクラちゃ・・・」
「私とカカシ先生の間の秘密なの。誰にも立ち入って欲しくないの」
瞳を潤ませながら訴えるサクラに、ナルトは途方もなく大きな衝撃を受ける。
二人だけの秘密、身を寄せ合って座っているカカシとサクラ、乱れた夜具。
「泣くもんかーーーー」
叫びながら退散したナルトに、サクラはホッと安堵の吐息を漏らした。

 

「あの・・・何だかあらぬ誤解が生じたような」
「サスケくんにばれなきゃいいのよ、サスケくんに」
カカシの体をどかすと、サクラはナルトから慌てて隠したものを布団の下から取り出す。
それはカカシがサクラに頼まれて盗み撮りしたサスケの写真の数々だ。
食事中や居眠り中、なかにはレアものの入浴場面もある。
要所要所、湯煙で見えないがサスケが発見すれば激怒すること間違いなしだ。

「じゃあ、今日はこれとこれ、貰っていくわねー」
うふふっと笑ったサクラは自分好みの写真をチョイスしていく。
残った写真も、高値で買い取るサスケファンの女子は沢山いる。
哀れなのは傷心のナルトよりもカカシによって商売のネタにされているサスケの方だった。

あとがき??
サスケ、可哀相に・・・・。
今の中学生は好きな男子の入浴写真なんか欲しがるのか?
原作のサクラならありえるような・・・。

 

 

(おまけSSシリーズ37)『十年一昔』

初めて訪れたカカシの家は、思った以上に片づいていた。
いや、片づける以前に、物が少ない。
そのうえ家具が白と黒のみで揃えられているため、まるで面白味がなかった。
「・・・つまんない」
「だから、うちに来ても面白くないって言ったじゃないの」
むくれているサクラの頭をカカシは軽く叩く。
彼女が強引に押しかけてきたのだから、怒られる筋合いはなかった。

「先生の彼女は、内装をコーディネートしてくれないの?カーテンの色を変えるとか」
「そんなのいないもん。俺には十年以上前からずっと想っている大事な女の子がいるの」
「え、ええ!!?」
思いがけない言葉に、サクラはつい大きな声をあげる。
「何よ」
「・・・先生も一応上忍だし、もてるだろうから、取っ替え引っ替えで遊んでるかと」
「失敬な子だなぁ」
ぶつぶつと不満を漏らしながら、カカシは棚の上にある来客用カップを引っ張り出す。
「そこの椅子に座って待っていてよ。すぐ茶を入れるから」

 

言われるとおり、椅子に腰掛けたサクラは改めて見回したが、やはり殺風景だ。
唯一の緑である観葉植物を眺めた後、サクラは窓際に並んだ写真立てへと視線を移す。
現在の7班のメンバーの写真と、幼いカカシが所属する班のメンバーの写真、そして・・・・。
「え!!?」
この日二度目の絶叫をしたサクラは、思わずその写真に駆け寄った。
まだ十代半ばのカカシと一緒に写っているのは、三人の赤ん坊。
三人のうちの一人は間違いなくサクラで、残る二人も妙に見覚えがある。

「そういえば、昔ベビーシッターに私の世話を頼んでいたって聞いたことがあるような・・・」
だが、当然サクラに当時の記憶などない。
そのときのベビーシッターがカカシだったとは、浅からぬ因縁を感じてしまう。
写真の端に記された日付に、サクラはしみじみと吐息を漏らした。

「十年以上前なのね」

あとがき??
『赤ちゃんと僕』の番外編かなぁ。
先生、ずっと陰ながら成長を見守ってきたのか・・・って、それってストーカー・・・。
まぁ、熟れるのを待って、あとからじっくり・・・・。(以下、自主規制)

 

 

(おまけSSシリーズ38)『十年一昔 2』

「それで、どんな感じだったの?」
「えーと、男の子二人がやんちゃで、サクラが一番大人しかったかなぁ・・・」
二人並んで茶をすすりながら、サクラは嬉々とした表情で昔の自分達の様子を訊ねる。
カカシがサクラ達のベビーシッターをしたのは十年以上前だ。
自分達がどのような赤ん坊だったか、サクラは興味津々だった。

「ああ、サクラは一度泣き出すとなかなか止まらなくてね。あれは困った」
「・・・静かになるように、暴力ふるったんじゃないでしょうね」
「まさかー。チューしたらすぐ泣きやんでくれたよ」
笑いながら語るカカシに、サクラは目が点になる。
「チ、チューって」
「毎日してたよ。なかなか放してくれなくてさ。サクラってば、積極的なんだからv」
口を指差すカカシを見て、サクラの顔から一気に血の気が引いた。

「嘘よ、出任せよ!」
立ち上がったサクラは力強く主張する。
「変なこと言わないでよね!私のファーストキスはサスケくんのものなんだから」
「・・・今さらそんなこと言われても」
「赤ん坊の頃のことは覚えてないから時効なの。先生とのキスなんて数の内に入らないわ!」
まくし立てるサクラの腕を掴んだカカシは、にっこりと微笑む。
「じゃあ、覚えていればいいんだ」

 

呼吸がうまく出来ずに目が回った。
歯の裏側をなぞる舌の感覚が気持ち悪い。
唇を離すなり、激しく咳き込んだサクラの頭を、カカシは優しく撫でる。

「息止めてたら、死ぬよ」
「バッ・・・・」
再び咳を繰り返したサクラに、カカシは首を傾げた。
「バ?」
「馬鹿――――!!!!」
握り拳を作ったサクラは振り向いた反動を使ってカカシの頬を思い切り殴打する。
変わり身の術で楽々とよけたカカシは、サクラの目に涙が滲んでいるのを見た。
「セカンドキスまで奪われるなんて、最悪よ!絶交だからね!!」

唾液の残る口元をハンカチで拭ったあと、駆け出したサクラは勢いよく扉を閉めて出ていく。
「・・・ちょっと急ぎすぎたかなぁ」
だが、同じ班で行動している以上、嫌でも毎日顔を合わせなければならない。
挽回のチャンスはいくらでもあるのだから、まだまだ余裕のあるカカシだった。

あとがき??
どうせ父や母、その他親戚の方々にチューはされてますよね。赤子の時に。(笑)
『赤ちゃんと僕』の番外編の続きでしたが、さらに続く、のか?

 

(おまけSSシリーズ39)『小梅ちゃん 5』

「近頃、私と親しくすると日本刀を持った通り魔に襲われるって変な噂が流れているの」
キッチンのテーブルでドーナツを食べる小梅に、サクラは沈んだ顔で愚痴をこぼす。
「根も葉もない噂よね」
「・・・うん」
「いのやヒナタ、小梅だってぴんぴんしているのに」
それは女の子だか、という言葉と共に小梅はかみ砕いたドーナツを飲み込む。
犯人はサクラのよく知る人物だ。
だが、彼が裏でしていることに、サクラは全く気づいていなかった。
忍者として、このにぶさは問題なのではと思う小梅だが、それがサクラの良いところでもある。

「そういえば、小梅、近頃金回りがいいわよね」
「え?」
「その赤いリボン、この間までしていなかったわよね。手提げ鞄だって新しいし」
「・・・・」
思わず視線を逸らした小梅に、サクラはずばり言う。
「サスケくんに買ってもらったんでしょ!」

 

実は数日前、サクラは小梅がサスケと連れだって町を歩いているのを見かけた。
小梅が礼を言っていたことから、彼女の手にある紙包みはサスケからの贈り物だとすぐ分かる。
自分に隠れて親しくなっている二人に、サクラは強い衝撃を受けていた。

「小梅、まさかサスケくんと密かに付き合っているんじゃ・・・・」
「違う違う違うーーー!!!」
小梅は大袈裟に首を振ってサクラの言葉を否定する。
サスケが小梅を可愛がっているのは、彼女が昔のサクラによく似た容姿なため。
そして、情報収集のためだ。
「これは、勉強を頑張ったご褒美なの。たぶん、私のことは妹みたいに思っているのよ」
「・・・そうかな」
疑り深い眼差しで自分を見るサクラに、小梅はどうしたらいいか分からなくなる。
ドーナツを握り締めたまま、通り魔の正体をばらすべきか、真剣に悩む小梅だった。

あとがき??
小梅ちゃんは両親が共働きなので、母親が迎えに来るまでサクラの家にいるのです。
ちなみに、父親は猟師(遠洋漁業)で母親は看護婦さん。

 

(おまけSSシリーズ40)『交換条件』

「ねーねー、少しくらい、いいでしょー」
「んー・・・」
袖口を引っ張るサクラにカカシはずっと生返事をしている。
サクラのおねだりの内容は、いつも通りだ。
マスクの下の、カカシの素顔を見せて欲しいというもの。
「今ならナルトもサスケくんもいないわよ。ね、ちょっとだけでも」
「そうだねー」
愛読書を読むカカシは少しも書面から目を離さない。
頬を膨らませたサクラは、顔を背けながらぽつりともらす。
「・・・見せてくれたら、キスしてあげるのに」

もちろん、これくらいの条件でカカシが信念を曲げるとは思えない。
そして、本を読むカカシが自分の小さな呟きを聞いているかも分からなかった。
「それは、嬉しいなぁ」
「え・・・・」
振り向いたサクラは、あっさりと素顔を見せたカカシに唖然とする。
「はい、どうぞ」
「・・・・」
カカシはサクラに向かって両手を広げ、準備万端だ。
今さら「冗談です」とも言えず黙り込むと、サクラは両肩を掴まれて引き寄せられた。

「恥ずかしいなら、こっちからいくよ」
「キャーー!ちょ、ちょっと待っ・・・」
赤面してカカシを押しのけようとしたサクラは、額に触れたあたたかな感触に動きを止める。
目を丸くするサクラに笑いかけると、カカシはすぐに元通りに顔を隠してしまった。
「・・・おでこ、だけ」
「別の場所にもしていいの?」
悪戯な笑みで訊ねるカカシに、サクラの顔はさらに赤くなる。
「馬鹿!」

口を尖らせたサクラだったが、カカシの側から離れる気配はない。
カカシの横顔を盗み見しながら、サクラは以前より速まった鼓動の理由を一生懸命に考えていた。

あとがき??
カカサクは楽しいなぁ〜vサクラ、可愛い、可愛いvv

 

(おまけSSシリーズ41)『どっち?』

「サスケくん〜、一緒にご飯食べましょうv」
昼になると、サクラは弁当を片手に無理矢理サスケの隣りに座り込む。
いつものことだ。
そして、ナルトが恨めしそうに二人を眺めているのも日常茶飯事。

「それでね、いのがね、こう言っていたのよ」
サスケに一方的に話しかけている合間、サクラは傍らで弁当を食べるナルトをじろりと睨む。
「また犬食いして!お箸の持ち方が変なのよ!!しっかり食べなさい」
「んー・・・」
「ほら、ほっぺたにご飯粒ついてる!」
ナルトの頬から米粒を取り、サクラはそれを彼の口元へと持っていく。
ナルトがサクラの手元の米粒をぱくりと食べると、彼女は再びサスケへと向き直った。
「おかしいわよねー、いのってば」
サクラは何事もなく会話を続けていく。

「ねーねー、サクラちゃん」
「何よ」
「水筒忘れたー」
情けない声を出すナルトに、サクラはしょうがなく飲みかけの自分の水筒を手渡す。
「またなの?ほら」
「有難う」
「今日もあんたの家に寄るからね。全く、掃除も満足に一人で出来ないんだから」
口調は厳しいが、ナルトを見つめるサクラの瞳は優しいものだ。
そして、サクラは再度満面の笑みでサスケと喋り始める。

 

「・・・・ねぇ、サクラ、君は誰が好きなわけ」
「サスケくん」
一部始終を見ていたカカシが問い掛けると、サクラは間髪入れずに答えた。
今さら何を言うのかという眼差しで彼を見ている。
しかし、彼女が気にしているのは、どう見ても目の前のサスケよりナルトの方だ。
本人が気づいていないのだから、暫く黙っているかと考えるカカシだった。

あとがき??
ナルサク好きーv

 

(おまけSSシリーズ42) 『娘』

目の前を、よちよち歩きの子供が歩いていた。
覚束ない足取りに目が離せず、カカシははらはらとした気持ちでその後ろ姿を見守る。
そして案の定、いくらも歩かないうちに、彼女はその場でひっくり返った。
火がついたように泣き出した子供を、カカシは慌てて抱き起こす。

「痛かったねぇ、よしよし」
体を高く抱えあげると、子供はすぐに笑顔を見せる。
いとしい我が子の笑い声に、カカシはほっとして表情を綻ばせた。
桃色の髪に翡翠の瞳の、可愛い女の子。
その面影は、彼がよく知る誰かに似ている気がした。

「何でやねん!」
思わず関西弁で突っ込みを入れて、カカシは目を覚ます。
たかが夢、しかし子供の笑顔が瞼に焼き付き、肌の感触も生々しく残っている気がした。

 

その日の任務中、カカシは悶々と悩み続けた。
サクラは確かに大事な生徒で、憎からず思っている。
だが、自分の娘にしたいとは全く思っていない。
願望だとしたら、おかしな夢だ。

「ちょっと、先生、聞いてるの!?」
「あ、ああ、何?」
「もー!さっきから上の空なんだから!!うちの従姉が家に遊びにきた話よ」
「そうだったけ」
「去年生まれた子供をつれてきたんだけど、もう可愛かったのよーv」
任務の合間の休憩時間、サクラはぼんやりとしているカカシを気にせず話を続ける。
「私もね、将来結婚したら、絶対女の子が欲しいと思っちゃった〜」
「あ!!!」
突然大声を発したカカシに、サクラは思わず肩を震わせた。

「え、な、何よ」
「あー、何だ、そうだったのかー」
「へ?」
両手を打ち合わせ、突然笑い出したカカシにサクラは目を丸くしている。
だが、カカシの笑いはなかなか収まらない。
サクラを娘のように愛しているという意味ではなく、未来を暗示する予知夢なのだとしたら。
全て納得できることだった。

あとがき??
小桜ちゃんですv

 

(おまけSSシリーズ43) 『乙女心』

女の自分よりも可愛い。
それはサクラにとって由々しき問題だった。

「えへへー、サクラちゃん、どうかなv」
ナルトがひらりと一回転をすると、短いスカートの裾が靡き、サクラであっても胸がドキリと高鳴った。
ナルトが女性へと変化した術は完璧だ。
腰にくびれのある完璧なボディーライン、身につけたセーラー服の上からでも胸の大きさは見て取れる。
長い髪は両脇で二つに束ねられ、大きな青い瞳と桜色の唇が何とも言えず目を引いた。

「い、いいんじゃないの・・・」
あまりに愛らしいその姿に、サクラは顔を引きつらせながら返事をする。
思わず自分の貧弱な体を目で追ったあと、ちらりと傍らのサスケに目をやった。
サスケはナルトのように変化の術は使っていない。
だが、可愛いという点ではナルトに勝るとも劣らない姿だった。
長い黒髪の鬘をかぶせられ、ふてくされているが、生来の整った顔立ちは隠せない。
同じデザインのセーラー服を着ていても、個性は様々な下忍達だ。

「あー、みんな、可愛くなったねぇ〜」
着替えを終えた彼らを、カカシは目を細めて見つめている。
任務のために、仕方がない。
分かってはいても、ナルトを除く二人は何とか不満を抑えている状況だった。

 

近頃、木ノ葉商店街の裏の路地で出没する、セーラー服を着た少女を狙った痴漢。
その犯人を捕まえるのが今回の7班の任務だ。
よって、下忍達は全員セーラー服でおとりとなったが、犯人が出没した路地は広範囲に渡っている。
「じゃあ、ここからは別行動ね。怪しい奴を見付けたら、深追いせずに仲間を呼ぶこと」
カカシの指示に従い、ナルト達はそれぞれ思う場所へと散っていった。
いつもより動作の鈍いサクラは、足元の小石を蹴りながらのろのろと歩みを進めている。
ショックだったのだ。
ナルトとサスケが、思いの外セーラー服が似合っていたことが。
本人達が喜ぶかは別として、女のサクラが一番魅力に乏しいというのが、許せなかった。

あとがき??
ボツネタシリーズ、第一弾。
後半のネタが浮かばなかったのでボツ。たぶん、サスサクだったのですよ。
後半、こんなストーリーがいいなぁという具体的な案があったら、教えてくださいな。

 

(おまけSSシリーズ44) 『お泊まり会』

雑用任務を終わらせた帰り道。
それはサクラの一言から始まった。

「今晩、サスケくんの家に泊めてくれない?」
聞くとも無しに耳に入ったその言葉に、カカシとナルトは驚愕の表情で振り向いた。
両手を胸の手前で組み合わせたサクラは、サスケを上目遣いで見つめている。
当の本人が無言なのは、驚きのあまり硬直しているからだろう。

「ちょっと待ったーーー!!!」
サクラの肩を掴んだカカシは彼女を無理矢理自分の方へと向かせる。
「サクラ、考え直すんだ!最初は絶対俺みたいなベテランがいいって。痛くしないから」
「はぁ?」
「俺だって!サスケなんかよりサクラちゃんを大事にするよ」
「や、やめてよ、痛いでしょ!」
自分の腕を引っ張り合うカカシとナルトに、サクラは悲鳴を上げた。
二人の手を振り払い、衣服を正したサクラは口を尖らせて彼らを睨み付ける。

「さっきから、何の話よ。私はただ一晩サスケくんの家に泊めて欲しいって言っただけでしょう」
「・・・何でさ」
「両親が旅行で家に誰もいないから。ちょっと不安なのよね。いのは任務で里を離れているし」
話の合間、サクラは眼前の二人を一瞥する。
「カカシ先生は夜も仕事が入っていそうだし、ナルトはいつも家が汚くて私の居場所ないし」
「「そんなことないよーー!!」」
カカシとナルトは同時に声を発していた。

 

揉めに揉めたサクラの宿泊先。
カカシの家にすると言えばナルトとサスケが反対し、ナルトの家にすると言えばカカシとサスケが反対する。
二時間も経ったころには、サクラは討論のために疲れ切っていた。
これならば、一人で家にいた方が良い。
そう思った矢先、サクラの頭に一つの妙案が浮かぶ。

「みんな、うちに泊まりに来てよ」
「え」
「来客用の布団は一つしかないけど、私のベッドを使って二人ずつ寝れば大丈夫よね。」
「・・・・・」
にこにこと笑って言うサクラに、他の三人は複雑な表情で顔を見合わせる。
それならば、どのような組み合わせで眠りに就くのか。
夜にまた騒動が起こるのは、サクラ以外の全員が承知していることだった。

あとがき??
ボツネタシリーズ、第二弾。後半のネタが浮かばなかったのでボツ。
後半、こんなストーリーがいいなぁという具体的な案があったら、教えてくださいな。

 

(おまけSSシリーズ45) 『いじっぱり』

「サスケくんv」

いつものように、サクラは彼の後ろをついて歩く。
夢中で彼に話しかけても、愛想のない返事が返ってくるだけ。
聞いているか、そうでないかも分からない。
それでも、サクラは懸命に彼を追いかける。
分かっているのだ。
彼が素直でない性格なのは。

「あっ!」
短い声と共に、サクラはその場で転倒する。
サスケの顔にばかり注意がいっていたせいで、足元の小石を見落としていた。
石に蹴躓いて転ぶなど、忍びというにはあまりに鈍い。
自分の情けなさにため息をついたサクラは、顔を上げるなり目を瞬かせる。
サスケが立ち止まっていた。
サクラが転んだ、そのままの距離で。
何か気になるものが回りにあるのかと思ったが、それらしいものは見あたらない。

立ち上がったサクラがサスケの背後まで来ると、彼は再び歩き始める。
ナルトのように、心配して駆け寄ることはない。
手を差し出して助けてくれるわけでもない。
それでも、サクラは満面の笑みで彼の背中を見つめていた。

あとがき??
サクラなら自分で立てると知っていたから手伝わなかったのですね。
ちゃんと追いつくまで待っているあたり、実はサクラと一緒にいたいみたいです。

 

31〜45まで載せてみました。
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