(おまけSSシリーズ46) 『決戦』
二人の間には、今までにない緊張した空気があった。
憎しみの感情があらわになったサクラの瞳。
サスケへと向けられる彼女の眼差しが、ここまで冷ややかだったことは一度もない。
彼の胸がズキリと痛んだが、しょうがないことだ。
彼らは今、敵として合間見えたのだから。
力ではかなわない。
先手必勝と見たサクラは、床を蹴り、クナイを片手に躍り掛かる。
だが、それこそ無意味だ。
サスケが写輪眼を使えば、彼女の攻撃はスローモーションのように映る。
繰り出された刃を紙一重で避けると、彼はその手首を掴んでひねりあげた。
痛みを訴える短い悲鳴と、クナイが落ちた音。
サスケの顔はサクラ以上に苦しげな表情だった。「もう、やめろ。お前は俺にかなわない」
「・・・・」
自分を見据えながら言うサスケに、サクラは段々と瞳を潤ませていく。
「ひどい・・・・、ひどいよ、サスケくん」
サスケの手を振り払い、座り込んだサクラはそのまま声をあげて泣き出した。
彼女の言葉はもっともなことだ。
だが、サスケが謝罪をするよりも先に攻撃を仕掛けたサクラにも非はある。
諍いの元となったのは、テーブルに置かれたプリンの器。
中身は空になり、スプーンだけがその中に入っていた。「私が楽しみにしていたプリン、全部食べるなんて・・・」
嗚咽を漏らしながら呟くサクラに、ため息混じりに弁解する。
「弁償するって言っただろ」
「そういう問題じゃないの!それに、期間限定商品だからもう売ってないのよ」
困惑するサスケにかまわずサクラはしくしくと泣き続ける。
風呂上りのプリン、それはサクラには欠かすことができない日課だ。
それを奪われるなど、考えたこともない。
その夜、家にある材料を使い、サスケが四苦八苦して作ったプリン。
思いのほか美味なプリンに、サクラはようやく機嫌を直したのだった。あとがき??
い、一緒に暮らしているんですかね。プリンって・・・。
あるサスサク本で二人が格好いい戦闘服を着ていたもので、戦わせたくなった。
夫婦喧嘩がいちいちこんな感じだと怖いと思う。忍者カップル。
(おまけSSシリーズ47) 『二人サクラ』
早朝、7班の集合場所。
カカシを待つ下忍は4人いた。
ナルトとサスケと、サクラ二人。「え、分身の術に失敗?」
「そーなの」
一時間の遅刻でやってきたカカシは、片方のサクラから事情を聞く。
いろいろな術を併用し、新たな忍術の練習をしていたところ、分身が一人消えなくなった。
サクラは術を解こうと四苦八苦したが、どうしても無理だったらしい。
「ずっとこのままだったら、どうしよう。食費も二倍だわ・・・」
「そんな問題でもないような。確か、そういった事例を解決した人の話を聞いたことが」
うなだれるサクラにアドバイスを始めたカカシは、分身サクラが腕を引っ張られる。
「え、何?」
分身サクラに促されるまま、身をかがめたカカシは彼女に何か耳打ちをされた。
その瞬間、笑み崩れたカカシを見て下忍達は嫌な予感を覚える。「当分、彼女はそのままにしておこう。たぶん、害はないよ」
「えええ!!?」
思いがけない決定に驚きの声をあげたサクラは、目を見開いてカカシを見つめる。
にこにこ顔の分身サクラに彼が「今晩〜」と何やら囁いていたのが非常に気になるところだ。
「じゃあ、彼女は今日からうちの班のメンバーだから」
「はぁ・・・」
「よろしくね」
笑顔で頭をさげた分身サクラは、さっそく意中の相手へと歩み寄った。
「ナルト、今日任務が終わったら一緒に“一楽”に行きましょうよv」
「え・・・うん、いいけど」
分身サクラにくっつかれたナルトは、戸惑いながらも悪い気持ちではない。
分身とはいえ、姿形、声はそのままサクラのものなのだから。「ちょ、ちょっと、私の姿で勝手なことしないでよ!!!」
「あんたは、そっちのサスケくんが良いんでしょ。私、彼みたいな人は全然好みじゃないし」
サクラの顔できっぱりと言われたサスケは、少なからず衝撃を受けた。
サクラはサクラで、ナルトと分身がいちゃついているのを、面白くない気持ちで見ている。
「複雑だなぁ・・・」
思わずもれたカカシの呟きは、そのまま彼らの関係を表しているようだった。あとがき??
何だか、カカサクだとかナルサクだとかサスサクだとか、ごちゃまぜまぜ。
楽しいなぁ〜。分身サクラ、一人欲しい。性格はサクラと少し違うようだが。
たぶん、続かない。
(おまけSSシリーズ48) 『好きになれない人』
「お芋のフライをあげるから!」
カカシの家に押しかけたサクラは、自分の好物を山ほど持参していた。
貢ぎ物の代償は、カカシの愛情。
サクラの熱烈な告白にもまるで頓着せず、カカシは愛読書を読み続けている。「無駄だよー。誰のことも好きにならないって決めてるから」
「ナルトやサスケくんのことは?」
「大事な仲間。それ以上でもそれ以下でもない」
淡々と答えるカカシに、サクラは額を押さえて大きなため息を付いた。
「何でそんなに強情になっちゃったのよ。先生はー」
「みんな死んじゃうから」
ページを捲る手を止めたカカシは、暫しの沈黙のあとに声を出す。「両親も先生も友達も、俺が好きな人はみんな先に逝っちゃうんだ」
サクラを見たカカシは、にっこりと笑った。
「だから、誰も好きにならないって決めたの」
「先生のせいじゃないでしょう」
「言い切れる?」
瞳を真っ直ぐに見据えられたサクラは、無言のまま立ち上がる。
そして、足元に転がっていたダンベルを両手を遣って持ち上げ始めた。
あまりの重みに無理だと判断すると、次は腕立て伏せだ。「・・・何してるの」
「体力トレーニング」
10回の腕立てで息が上がったサクラは、その場でごろりと横になる。
「強くなれば、好きになってくれるよね」
「・・・サクラは前向きだねぇ」
「大丈夫よ。私の手相、生命線長いし、絶対長生きするって占い師に言われたから」
祖父母や両親の健康話まで始めたサクラに、カカシは思わず苦笑をもらす。
明るく健康的な思考なサクラには、死に神も近寄れないかもしれない。
「お芋のフライ、くれる?」あとがき??
不幸好きーのカカシ先生ですが、そうは問屋が卸さないのです。
頑張れサクラ!ということで、サクカカ。
お芋のフライは私の好物・・・・。
(おまけSSシリーズ49) 『衣装チェンジ』
昨日は赤ずきんちゃんで、その前が白雪姫。
今日は『オズの魔法使い』のドロシーだった。
両脇に抱えているぬいぐるみは、ライオンとブリキの樵の形をしている。
案山子は同じ班にいるから、必要ないのだろう。「サクラちゃん・・・、そういう服って、どこで売ってるの」
「手作りなの」
神妙な顔で訊ねるナルトに、サクラは苦笑して答える。
「せっかく作ってくれたんだし、着ないと悪いかと思って」
「ふーん」
「やっぱり変よねぇ」
「ううん、サクラちゃんは可愛いから何を着ても似合うよ」
ナルトはいつでも本気なのだが、サクラは困ったように笑顔を返した。リボンから靴下まで、細かくデザインされている服は巷で売れば高値で引き取られるはずだ。
任務に適しているかと言われればNOだが、実際に服を着たサクラを見れば許せてしまう。
何にせよ、サクラの母親はかなり裁縫の腕が達者なようだった。「サクラーー」
任務が終わり、家路につこうとしたサクラはその声に振り返る。
「これ明日の分だよー」
大きな箱を持って走ってきたカカシは、サクラとナルトの目の前でそれを開ける。
「コンセプトは『不思議の国のアリス』。エプロンドレスがポイントねv」
「・・・・作っていたの、カカシ先生だったんだ」
呆れ返ったナルトを気にせず、カカシはにこにこ顔でサクラを見つめていた。あとがき??
コスプレ万歳。
サクラが着たところを想像し、夜な夜な衣装を作るカカシ先生って・・・。
カードキャプターは、友達がさくらの衣装作っていたよね。
(おまけSSシリーズ50) 『誤解』
その日のカカシは朝から欠伸を繰り返していた。
上忍のカカシには、7班の任務以外に様々な仕事が入る。
昨夜も遅くまである人物の護衛任務を請け負っていたのだ。
休憩時間に入るなり眠り込んだカカシを、サクラは体を揺すって起こし始める。「先生、カカシ先生!」
「んーー・・・・」
寝ぼけ眼でサクラを見たカカシは、体を反転させて再び眠りに就く。
まるっきり無視されたサクラは金切り声を上げてカカシの頭を叩き出した。
「先生―!大事な話があるのよ」
「うーん・・・」
耳元で怒鳴られては、さすがにのんびりとしていられない。
仕方なく半身を起こしたカカシは、目の前で座り込んでいるサクラの頭に手を置いた。「何なのさー。聞いたらすぐ寝るからね」
首を縦に動かしたサクラは、真面目な表情でカカシを見上げる。
「好きな人が出来たの」
「・・・・」
暫しの沈黙のあと、カカシはナルトとサスケがいる方角へ顔を向けた。
「あれでしょ」
「違うの。寝ても覚めてもその人のことばかりが頭に浮かんで、もう限界なのよ」
カカシを見つめるサクラの瞳は、心なし潤んでいる。
「ねぇ、どうして先生にこんな話をしたか、わかる?」
「・・・」振り向かないサスケに業を煮やしたのか、サクラは心変わりをした。
そして、そのことをわざわざカカシに相談した。
ただならぬサクラの眼差し。
それらを総合し、導き出せる結論は一つしかない。
「サクラ・・・、駄目だよ」
「え」
「俺達は教師と生徒という間柄。周りに知られたら、何て言われるか」
「・・・・・何か、勘違いしていない?」
肩に置かれた手を振り払うと、サクラは険しい表情でカカシを睨む。「私が好きなのは、二枚目俳優のミッチー様よ!先生、護衛任務を請け負ったんでしょ!!」
「・・・ああ」
確かに、カカシは最近ストーカーまがいの追っかけに付きまとわれている彼を護衛している。
サクラが彼の熱烈なファンだったことも、カカシはぼんやりと思い出していた。
「お願い、一目で良いの。会わせて!!」
「何だー、そういうこと」あとがき??
続く・・・・はずだった。
2はサスサク風、3はカカサク風の予定だったけれど、内容を忘れました。(笑)
元ネタはゆうパックのCMだろうか。西田さん達の。
映画のサクラが意外とミーハーで可愛かったので。
(おまけSSシリーズ51) 『お中日』
カカシが仕事に向かう前の日課となっている慰霊碑に行くと、先客がいた。
桜色の髪の少女。
静かに歩み寄ると、彼女はゆっくりと振り返る。「先生の、お友達ってどの人なの?」
「・・・・そこ」
刻まれた名前の一つを示すと、サクラはしゃがみ込んでその文字を見つめた。
カカシが、毎日毎日、欠かすことなくこの場所に来ていることを知っている。
おそらく、彼の巡礼は死ぬまで続くことだろう。
それだけカカシにとって大切な人だった。
「私が死んだら、先生、毎日お参りしてくれる?」
微かな笑みを湛えたその顔を見て、カカシは胸に不自然な痛みを感じた気がした。「しない」
いやにはっきりと答えたカカシに、サクラは思わず苦笑をもらす。
「俺は嫌な奴なんだ。サクラが死んだらすぐ忘れちゃう。思い出さない」
「薄情ねぇ・・・」
「そうだよ。だから、サクラは生きていてくれないと駄目なんだ」
駄々をこねる子供のように言うと、カカシはそのまま後ろを向いてしまった。
くすりと笑ったサクラは、彼の体を背中から抱きしめる。「先生って、意外と泣き虫よね」
「・・・泣いてないよ」あとがき??
サクラが少し意地悪です。
(おまけSSシリーズ52) 『ナルトの家族』
待ちに待った給料日、イルカはナルトを連れて巷で評判の和食屋へと向かった。
日頃、ろくな物を食べていないナルトのために、大盤振る舞いだ。
初めて見る懐石料理に瞳を輝かせたナルトは、せわしなく箸を動かしている。「イルカ先生―、美味いってばよ!」
「おー、全部残さず食べろよ」
「うん」
言われずとも、高級食材はみるみるうちにナルトの腹におさまっていく。
元気の良いナルトを笑顔で眺めていたイルカは、急に動きを止めた彼に眉を寄せる。
「どうした?」
「・・・うん」
暫しの間無言で皿を見つめると、ナルトは難しい表情で顔を上げた。「これって、持って帰ったり出来るのかな」
「え!?」
「俺さ、美味しい物を食べると、みんなにも食べて欲しいなぁって思うんだ」
「みんなって」
「サクラちゃんとかカカシ先生とか・・・・サスケの奴とか」
口籠もりながら言うナルトに、イルカはゆっくりと顔を綻ばせていく。「ナルトにとって、7班は家族みたいなものなんだな」
「家族?」
ナルトの頭を撫でると、イルカは嬉しそうに笑った。
「今日は全部食べろ。次に来る時は、ちゃんとカカシ先生達も誘うからさ」ナルトの言動を見ているだけで、彼が7班で大事に扱われ、生活も充実しているのだと分かる。
このままナルトが穏やかな毎日を過ごせるよう、祈るような気持ちだった。あとがき??
可愛いナルトにイルカ先生も私もメロメロ・・・。
ほのぼのイルナルは大好きですv(親子な雰囲気で)
(おまけSSシリーズ53) 『願い事は三回』
「あなたの願いを叶えましょう〜」
ナルトの手には、たった今食べ終えたアイスの棒がある。
そこには『大当たり!』の印があり、登場したのが目の前にいる「アイスの精霊」だ。
『はずれ!』と書かれた棒を持つサスケとサクラは、唖然として精霊を見つめている。「え、何でもいいの?」
「はい。どんなことでも、三つだけ叶えます」
「わーい!じゃあ、アイスをもう一本・・・」
「馬鹿!!!!」
安易な願いを口にしようとしたナルトはサクラに思い切り殴られる。
「アイスなら私が買ってあげるわよ!だから私に願い事を譲りなさい!!」
「えーー!?」
「デート付きよ」
「分かった。サクラちゃんにあげる」サクラに諭されたナルトはあっさりと当たりの棒を手渡した。
サスケも「どんなことでも」の言葉には惹かれたようだが、ナルトに頭は下げられない。
「でもさ、サクラちゃんの願い事って、何なの?」
「えーとね・・・」
サクラはさして考えることなく精霊に向き直る。「サスケくんと一緒にいられますように」
「サスケくんとずっと一緒にいられますように」
「サスケくんとずっとずっと一緒にいられますように」
矢継ぎ早に言うと、精霊はにっこりとサクラに笑いかける。
「承知致しました。それでは、ごきげんよう」
体が光りに包まれたかと思うと、精霊はあっという間に姿を消した。
『大当たり!』の棒も消えてしまい、あとには狐につままれたような表情の下忍達がいる。「・・・馬鹿だな」
「えへへー」
ぼそりと呟いたサスケに、サクラは笑顔で応える。
「願い事で言うまでのことか。お前が勝手についてくればいいだろ」
照れているのか、足早に立ち去るサスケを見てサクラはさらに顔を綻ばせる。
「本当の願い事は別にあるんだけどね・・・」
「へー、何なの」
ナルトが面白そうに訊ねると、サクラは「内緒」とだけ答えてサスケのあとを追った。あとがき??
元ネタは喜多尚江先生。タイトルも一緒。
サクラの本当の願い事もそれを読めば分かる。
アイスの精霊は赤ずきんチャチャですね。
(おまけSSシリーズ54) 『ずっとずっと』
読書の秋。
サクラは任務の休憩時間を使って何かを熱心に読んでいる。
隣にいるカカシがちょっかいを出しても、ほとんど無視だ。
腕を肩に回されて、サクラは初めて振り返る。
「・・・・先生、うざい」
「サクラが全然こっちを見てくれないからだよー」
不満げに訴えるカカシに頬擦りをされ、サクラは大きなため息をついた。「何を読んでいるのさ」
「『前世占い』。今、はやっているのよ」
サクラは目次を指差しながら説明する。
「心理テストみたいな質問がいくつもあって、最終的に自分の前世が分かるの」
「へぇー」
「いのの前世は「飛び魚」って出たのよ。可笑しいわよね」
くすくすと笑うサクラからカカシは本を取り上げた。
そして、サクラの瞳を間近で覗き込む。「こんなの家に帰ってから読めばいいんだから、俺の方を見てよ」
「先生・・・」
「それに、サクラの前世はもう分かっている。来世もね」
「えー?」
サクラの手を取ったカカシは自分の指を絡める。
「何の動物でも、植物でも、サクラは俺の恋人。誰にも渡さない」
「・・・猫とか犬とか、虫とかお花に生まれ変わっても?」
「そう。サクラが花になったら、蝶になって捜すよ」
サクラは笑って話を聞いていたが、カカシの眼差しは真剣だ。「嫌?」
カカシの手を強く握り返すと、サクラは彼に唇を寄せる。
「離さないでね」あとがき??
ラブラブ〜カカサク〜〜。
(おまけSSシリーズ55) 『ウエイトレス』
((注)パラレルで現代設定です)
本来ならば、12のサクラがバイトをすることは出来ない。
だが、その飲食店はいのの叔父が経営していた。
店員が突然三人も辞め、本当に困っているという。
友達の家のお手伝いという理由で仕事についたサクラは、その日がバイトの初日だった。「いらっしゃいませ」
午前中はぎくしゃくしていたものの、午後になればそれなりに慣れてくる。
幸い、迷惑を掛けるような客もいなかった。
「ご注文は?」
メニューを眺めていたその男は、オーダーを取りに来たサクラを見るなりにっこりと笑う。
「きみ」
「・・・・は?」
そのようなメニューがあっただろうかと首をかしげたサクラは、唐突に腕を引かれた。
「君だよ。すぐ食べたいから、テイクアウトでよろしくね」
「え、え!?」
マスクで口元を覆った怪しい男は、サクラを肩に担ぐと唖然とする周りを気にせず扉に向かう。「ちょっと、サクラを放しなさいよ!!」
厨房で働いていたいのが飛び出してきたときには、もう遅かった。
店の前の通りに、サクラと男の影はどこにもない。
だが、あれだけ目立つ容姿をしていればすぐに分かるはずだ。
エプロンを取り払ったいのは店の手伝いをすっかり忘れてサクラのあとを追った。
「やだやだー!放してよー!!」
「ははは。お転婆だなぁー、タクシー」
「ギャー!!ちょっと、こんな怪しい客の前で止まらないでよ!」
サクラを担ぐ男は大きな通りの前であっさりとタクシーを捕まえた。
そして、暴れるサクラごと後部座席へと乗り込む。
「お客さん、どちらまで?」
「ああ、この住所にお願いねー」
「ちょっとーー!!」
サクラがギャーギャーと横槍を入れる中、彼はかまわず運転手と話し込んでいる。「私、誘拐されたんです!運転手さん、聞いてます?」
ウエイトレス姿のサクラがまくし立てても、運転手は笑うだけだ。
「なかなか面白い設定ですね。そういうプレイなんですか」
「可愛いでしょーv俺の愛人なんです」
「やめてよ!!」
笑いながら肩を抱かれたサクラは慌ててその手を振り払う。
そうこうするうちに目的地についてしまったのだが、これからどうなるか見当も付かなかった。あとがき??
続きもありますが、気が向いたらということで。
っていうか、カカシ先生の名前、出てこなかったよ。(涙)
ただ、ウエイトレスサクラをナンパする(誘拐?)カカシ先生を書きたかっただけでした。
(おまけSSシリーズ56) 『ショートショート』
下忍達の仕事着はそれぞれ個性に合わせて決めて良いことになっている。
サクラが下穿きをショートパンツに変えたのは、単なる気分転換だ。
そして、新しいコスチュームはおおむね好評だった。「可愛いってばよv」
「有難う」
素直に自分の気持ちを伝えるナルトに、サクラはにこにこ顔で応える。
サスケは何も言わなかったが、それは彼の肯定の証だ。
気に入らなければ、何でもずけずけと言う性格なのだから。
そして、残る一人、担任のカカシだけは何故か不満げな様子で顔をしかめていた。「何よ、先生が一番喜ぶと思っていたのに!」
腰に手を当てたサクラは口を尖らせて訴える。
「・・・短すぎる」
「え」
「サクラは俺の前でだけ露出度高くすればいいの!他では見せちゃ駄目!!」
言うが早いか、カカシは白いラインの入った小豆色のジャージを無理矢理サクラに着させる。
サクラにぴったりのサイズのジャージ上下をどこから取り出したかは、一切不明だ。「こういうこともあろうかと、用意しておいて良かった」
「先生・・・・暑いんだけれど」
額の汗を拭いながら言うカカシに、サクラは呆気にとられていた。
構わずサクラを抱きしめると、カカシは嫌がる彼女に頬ずりを繰り返す。
「サクラ、二人きりのときは下着姿でも、素っ裸でも構わないからなー」
「なりませんから!」
サクラは真っ赤な顔で力強く返事をしたのだった。あとがき??
サクラなら、やぼったいジャージでもラブリーに見えることでしょう。
素っ裸には、なるのではなく、されるのだと思います。先生にね。近いうちにね。
(おまけSSシリーズ57)『オンリー・ユー』
「もったいないなー」
下忍になったばかりのカカシは、自分の担当教員を見上げて不満げに呟いた。
「え、何が?」
「先生だよ」
カカシは長身の彼の体を上から下まで注意深く観察する。
金色の髪に青の瞳、性格は穏やかで人当たりも良い。
これで忍びとしての才にも恵まれているのだから、文句の付けようがなかった。「さっき、すれ違った女の人が先生のことずっと見てたよ。気付かなかったでしょう」
「へー、そうなんだ」
曖昧に笑う担任を見て、カカシは大きなため息を付いた。
「先生さ、顔はそんなに悪くないし、もっと髪型とか服装とか気を付ければモテモテだよ」
「そう?」
「俺がコーディネートしてあげようか?」
ませた口振りの少年に、彼は思わず苦笑をもらす。「俺はね、一人の人にもてればいいんだよ」
「先生、彼女いるんだ!」
「まあね」
相手について訊かれることを避けたのか、彼はすたすたと歩き始めた。
すかさず後を追うカカシは、早足で彼と歩調を合わせる。
「でもさー、一人より沢山の女の子に好かれた方がいいじゃん。一般的に」
「そんなことはないよ」
すねたような口調で話すカカシの頭に、彼は優しく触れた。
「他の人に好かれても、その人が好きって思ってくれなかったら意味がないんだ」
「・・・そんなもん?」
「そんなもんです」にこにこと笑った彼につられて、カカシも笑顔を浮かべる。
元から魅力のある人は飾る必要はないのだと、カカシは教えられた気がした。
「カカシ先生―!」
懐かしい人の夢を見たあとに、生徒の一人の声で起こされる。
目を開けると、両手を腰に添えるサクラの姿が視界に入った。
「昼休み、もう終わるわよ。早く起きて」
「んー・・・・」
「寝坊で遅刻したのにまた寝るなんて、脳みそ溶けちゃうわよ」
ぶつぶつと言いながらサクラはカカシの隣りに座り込む。「先生、そんなんじゃ女の人にもてないでしょう」
「えー?」
「遅刻魔だし、あやしいマスクを付けているし、エッチな本ばかり読んでいるし」
「ハハハッ」
乾いた笑い声で応えると、カカシは半身を起こしてサクラに顔を近づけた。
「サクラは、俺のこと好き?」
「え・・・・」
急に真顔になったカカシにサクラは言い淀む。
探るように見る右目を意識して、サクラは思わず顔を背けた。「き、嫌いなはずないでしょう!先生だし」
サクラの早口の返答を聞いたカカシは、嬉しそうに笑った。
「それなら、いいんだ」あとがき??
私が四代目&カカシを書くと、どうしてもカカ→四っぽく・・・・。
(おまけSSシリーズ58)『どっきり』
「カカシ先生の家に行った意味がないじゃない!」
「ごめん・・・・」
目をつり上げたサクラに怒鳴られ、ナルトはしゅんとなる。
この日、ナルトは毎日遅刻するカカシを家まで起こしに行く任を担っていた。
合い鍵を使って進入したまでは良かったが、熟睡するカカシはナルトが何をしても起きない。
耳元で怒鳴ろうと、体をゆすろうと微動だにせず、すやすやと寝入っている。
その隙にマスクを剥ごうとも思ったが、手をかけた瞬間に放り投げられてナルトは昏倒した。
そんなこんなで、カカシとナルトは集合場所に三時間遅れでやってきたのだ。「生ぬるい、明日は私が行くわ。合い鍵!」
「はい」
鍵を手渡しながら、ナルトは首を傾げてサクラを見やる。
「どうする気?」
「何か、どっきりすることがあれば先生もすぐ目を覚ますわよ」サクラの言葉の通り、翌日、確かにカカシは「どっきり」と呼べる体験をすることとなった。
目覚まし時計を止めた後の二度寝。
布団の中で寝返りを打つと、何か温かなものに触れた。
訝しげに目を開けたカカシは、すぐ間近にある緑の瞳に驚いて半身を起こす。
「あれ・・・・、サクラ?」
何度も目を擦ったが、確かに自分の隣りで横になっている少女はサクラだ。
しかも、身につけているのは下着だけという、非常に問題のある格好だった。「何で布団の中なんかに・・・・」
「先生、ひどい!昨日、先生が無理矢理引っ張り込んだくせに、忘れちゃったの?」
泣き崩れてみせるサクラは心の中で舌を出す。
もちろん、すぐに「嘘」であることを告げて集合場所に向かうつもりだ。
サクラが服を脱いで布団にもぐり込んだのはつい2分ほど前のことなのだから。「なんてねー、先生、驚いたで・・・」
「ごめん、サクラ!責任はちゃんと取るから!」
「ちょ、ちょっと」
横になった状態で肩を掴まれたサクラは、目を丸くしてカカシを見上げる。
「これは先生を驚かすために・・・」
「覚えてなくてごめん!!でも、同じことをもう一度すれば思い出すと思うんだ」
「えっ、キャーー!!!!」
下着をはぎ取られたサクラは懸命に事情を説明しようとするが、もう遅い。
全ては何も知らずに狼の寝床に入り込んだサクラの落ち度だった。
「やっぱり無理だったかー」
いつも通り、数時間の遅刻で集合場所に現れたカカシを見て、ナルトはため息を付く。
だが、おかしかった。
カカシはいるが、サクラの姿はどこにもない。
「おはよー」
のんびりと挨拶をするカカシに、ナルトは不思議そうに訊ねる。
「先生、サクラちゃんは?起こしに行ったでしょう」
「ん、何だかどっきりしすぎたみたいで気絶してる。今日は休むって」あとがき??
サクラが布団に入ってくるのに気付いたけれど、寝たふりをしていた極悪上忍。
元ネタは『赤ずきんちゃん』か?
(おまけSSシリーズ59)『おんぶ』
妙に視線を感じていた。
今、カカシの背後にいるのは一人しかいない。
しかし、彼女が自分を睨む理由が分からなかった。「・・・何かな?」
「別に」
振り向いて訊ねると、サクラはすねたような口振りで顔を背ける。
明らかに旋毛を曲げていた。
だが、何故なのかはカカシには皆目見当が付かないのだ。
しかたなく立ち止まると、カカシはサクラへと向き直る。「どーして欲しいのさー、サクラは。言わないと分からないでしょう」
「・・・」
「女の子は素直が一番なのよ」
「・・・・先生はそういう女の子が好みのタイプ?」
「うん」
「なら、言う」
サクラは眉間に皺を寄せたまま口を開く。
「先生、今日ナルトのことおんぶしたでしょう」
「ああ」
任務中、転んだナルトが無理矢理背中に乗ってきたのだ。
五月蠅いから言う通りにしたのだが、思えばその間サクラはずっとカカシ達を見ていた。
「私ね、ものすごーーーく羨ましかったの」
「・・・・」後ろに回り込んだサクラは、カカシの背中にべったりとくっついた。
これは、催促しているのだろう。
自分を負ぶされと。
「サクラって、そんなに甘えん坊だっけ?」
「カカシ先生は特別。おんぶしてくれなかったら、明日腹いせにナルトをいじめるからね!」
強い口調で言うサクラはなおもカカシの服の裾を引っ張っていた。
何だかんだと言いつつも、カカシが可愛い生徒の懇願を退けられるはずがないのだ。
「仰せの通りに、お姫様」
サクラの要求通りにしゃがむと、彼女は満足げにカカシの首へと腕を回してくる。
立ち上がって歩き出しても、サクラの軽い体重は少しも苦ではなかった。
「エヘヘッ、先生を独り占めー」
広い背中に頬を寄せたサクラは、幸せそうに笑顔を浮かべる。「先生、明日はだっこしてくれる」
「・・・・それで、道を歩くの?」
「うん」
平然と答えるサクラに、カカシは苦笑するしかない。
「先生、我が儘な子は嫌い?」
「嫌いー」
即答するとサクラが頬を膨らませている様子が見えるようで、カカシは声を出して笑った。
「サクラのことは我が儘でも好きだよ」あとがき??
本編でナルトがカカシ先生におんぶをしてもらっていて猛烈に羨ましかったのです!
サクカカ好きー。
(おまけSSシリーズ60)『ご利用は計画的に・・・ 1』
「先生・・・」
自分の肩に手を置いているカカシを見上げ、サクラは顔をしかめている。
「あんまりくっついていると、お金取るわよ」
「お金払えばいいの?」
ジョークのつもりだったのだが、サクラは真顔で答える。
「上半身500両、下半身1000両。びた一文まけません」
「つい財布を出しそうになったんだけれどさぁ・・・・」
「からかわれてるんだよ」
上忍専用控え室に戻り、事情を話したカカシにアスマは煙草を吹かしながら言った。あとがき??
続くのですが・・・・。
大人向けのカカサクが駄目な人、カカサク以外許せない人は読まないように。
46〜60まで載せてみました。
web拍手にて、何番の作品がお好きかご意見を頂けると嬉しいです。