(おまけSSシリーズ116)『オレンジ』
「何―、これ?」
窓際に、てるてる坊主が逆さにしてつってあった。
「雨乞いしてるの」
「・・・何で」
サクラを見たナルトは不思議そうに訊ねる。
輝く太陽が大好きなナルトにとって、雨はあまり好ましくないものだ。
わざわざそれを願う人の気持ちが分からない。「私じゃなくて小桜よ。パパに買ってもらった新しい長靴、履きたくてしょうがないのよね」
「うん」
サクラの言葉に小桜は力強く頷いた。
確かに、長靴を履くには雨が降らないといけない。
いつでも出ていけるよう、玄関に買ったばかりの長靴と傘を用意しているのが微笑ましかった。「ここにね、兎さんが描いてあるのよ」
「本当だー」
小桜は真新しい長靴をナルトに見せて説明する。
思えば、傘も長靴もレインコートも、全部オレンジ色で統一されていた。
「小桜ちゃん、オレンジ好きなの?」
「・・・うん」
ナルトの顔をじっと見つめた後、小桜は笑顔で頷く。
小桜にとってオレンジはナルトを表す色なのだが、本人にその自覚はないようだった。
あとがき??
小桜は3歳くらいか。
ナルトの新コスチューム、ジャイアンツカラーでしたね。
オレンジはナルトに似合うと思いますよ。
ケイ太さんが描かれた漫画で、赤ん坊小桜がオレンジの服を着ていたのでこんなSSが出来た。
この頃からナルトの色に染まっていたんだなぁと・・・。(?)
(おまけSSシリーズ117)『禁断恋愛・・・萌え』
「カカシ」
「・・・・え?」
「だから、カカシ」
元教え子であるサクラに急に呼び捨てにされ、カカシは慌てふためく。
「ど、どうしたの」
「だって、先生と私は今では恋人同士なんだし、いつまでも「先生」って呼ぶのは変でしょ」
「・・・まぁ、そうだけど」
言いたいことは分かるが、長い間「先生」で通っていたせいか、どうもしっくりこない。「やっぱり・・・・「先生」でいいよ。当分は」
「えー、そう?」
「うん」
サクラはまだ納得していないようだが、カカシは笑顔でその頭を撫でている。
教師と生徒。
危険な香りがして何ともいい感じだと思うのだが、サクラにそのニュアンスが伝わることはなかった。
あとがき??
うちのサクラは結婚してもずっと「先生」と呼びます。
『ハレグゥ』のクライヴ&ウェダ夫妻の影響です。
(おまけSSシリーズ118)『ハイルクール☆ララバイ』
脱衣所から出てきたカカシは、タオルで髪を拭きながらTVのスイッチを入れる。
たまたま画面に映ったのは昔のドラマの再放送だった。
チャンネルを変えようとしてリモコンを持ったカカシは、『先生!どうして』という呼びかけに反応する。
見ると、セーラー服の美少女が担任とおぼしき男に何かを必死に訴えていた。
放課後なのか、夕日の入り込む教室には他に人気がない。「あー、これか。サクラが言っていたドラマって。学園もの?」
任務終了後、「ドラマの再放送に間に合わない!」と駆け足でいなくなったサクラを思い出す。
フルーツ牛乳を片手に、何となしに役者の台詞を聞いていたカカシは目が点になった。
『先生、私の気持ち・・・・分かってるんでしょう』
『サクラ・・・』
『私、先生のことが好き!ずっと好きだったの』
しっかりと抱き合う二人の姿をカカシは呆然と見つめる。
偶然にも女子学生の名前はサクラと同じ。
そう簡単にうまくいかないだろうと思いつつ、EDが流れるまでTVの前を離れられなかった。
「先生、私の気持ち、分かってるんでしょう」
「・・・・」
昨日のドラマを知らなければ、ひっかかっていたはずだ。
昼休みの読書中、突然抱きついてきたサクラをカカシは引きはがす。
「何のつもり?」
「禁断恋愛ごっこ」
あとがき??
小悪魔サクラちゃん。すっかりドラマのヒロイン気分です。
内容は『高校教師』なのにタイトルはイモ欽トリオ・・・・。
誰も分からんって。
(おまけSSシリーズ119)『愛情表現』
「先生〜」
クッションを枕代わりに、横になっているカカシにサクラがのし掛かる。
愛読書を読み続けるカカシは、腹部に乗っかっているサクラの頭を無造作に撫でた。
サクラは触り魔だ。
二人きりのときは、いつでもカカシにくっついている。
今もカカシの体を方々手で触れていた。「・・・・好きな人には触りたくなるのよ」
カカシが自分を見ていることに気付くと、サクラは聞きもしないのに言ってくる。
「そうですか」
「でも、先生は人に触られるの嫌いよね」
「うん」
触るどころか、いつもは顔を見られることさえ嫌で隠している。
「じゃあ、私がこうするの、嫌?」
「好きな人には触ってもらいたくなるよ」カカシに笑いかけると、サクラは安心したように目を瞑る。
服越しに伝わる温かさが心地よくて、ずっとこうしていたい気持ちだった。
あとがき??
ラブラブ〜。滅多に書けないですが、ベタベタも良い。
うちの先生はサクラのためならどこまでも優しく、どこまでも残酷になれる人です。
ナルト贔屓のサイトですが、先生も大好きですよ。
(おまけSSシリーズ120)『兎とサクラ』
「先生、これ、どうしたの?」
一人暮らしの男の家にはそぐわない物を見付け、サクラはそれを手に取って訊ねる。
小さな兎のマスコットだ。
「あーそれ、これ買った時についてきたおまけ。サクラにあげるよ」
カカシは机に置いてあるペットボトルのお茶を指差して言う。
「いいの?」
「うん。サクラが持っている方が可愛く見えるしね」
嬉しそうに兎を見つめるサクラは、笑いながら訊ねる。
「私が?それともこの兎さんが?」
「両方」
あとがき??
このごろ、おまけ付きの飲み物が多いですね。
兎とサクラもいいけど、先生が兎を持っているのも可愛いと思います。
(おまけSSシリーズ121)『年の差カップル』
「サクラさー、本当にいいの」
「何の話?」
「俺みたいなおじさんで・・・」
力のない声を出すカカシを、サクラは不思議そうに見ている。
付き合いだして数ヶ月。
時間が経てば経つほど、一回り以上の年齢差が気になった。
二人でいるときは何も思わないが、サクラが同世代の者達と話しているのを見ると急に感じる。
まだ若いサクラにはもっと相応しい相手がいるのではないかと。「誰かに、何か言われた?」
「そういうわけじゃないけど・・・」
繋いだ手を強く握ると、サクラは笑いながら言う。
「先生は、私がいなくなっても平気なの」サクラの一言に、カカシは思わず黙り込んだ。
カカシの手を引っ張るサクラは、先導するように歩き出す。
無意味な質問を繰り返すのはもう止めた。
あとがき??
サクラはたぶん、16、7歳。
彼女が同じ年頃の男の子と仲良くしていると、不安になっちゃうのですね。
先生のそんなへっぽこ具合もサクラがいとおしく思う部分なのです。
(おまけSSシリーズ122)『浮気!!?』
目が覚めて、時計を見て、もう一度布団をかぶって・・・そこまではいつも通りの朝だった。
ベッドが妙に狭く感じる。
嫌な予感がして、もう一度目を開けたカカシは、隣りに黒髪の若い女性が寝ていることを確認した。
夢だったら早く覚めて欲しかった。昨夜はなじみの飲み屋を何軒か回ったのは覚えている。
おそらく彼女は最後に立ち寄った店で働いていた女性だ。
彼女を誘い出し、無理矢理家に引っ張り込んだことをカカシはおぼろげに思い出す。
すると、ベッドでしたことも芋蔓式に頭に浮かんだ。
どう考えても夢ではない。
「・・・・どうしよう」
まず頭に浮かんだのは、恋人であるサクラのこと。
このことがばれたら、生真面目な性格のサクラは別れ話を切り出すことだろう。
酒のせいだと言い訳をしても、聞くはずがない。
「浮気は絶対に許さないわ!!」
サクラの怒声が耳に聞こえてきそうだ。
そうなると、サクラはカカシの前にいっさい現れなくなる。
可愛いサクラにはすぐ新しい恋人が出来て、カカシのことは綺麗さっぱり忘れてしまう。
サクラが他の男といちゃつく姿を想像してしまったカカシは、無性に叫び出したい気持ちになった。「そんなの、絶対に嫌だーーー!!!!」
「え、な、何!!?」
わめき声に驚いた彼女は驚いて飛び起きる。
うつぶせに寝ていた彼女の顔を、このときカカシは初めてまともに見た。
このときの驚きは、彼女をベッドで見付けたとき以上のものだ。
「どうしたのよ、先生」
「・・・・・サクラ?」
目と口を大きく開けたカカシの顔を、サクラは眉を寄せて見つめる。
「寝ぼけてるの?」
髪の色は違うが顔や声は確かにサクラのもので、カカシの頭は大混乱に陥った。
「もー、先生のせいで任務失敗よー!馬鹿」
「え、え、どういうこと」
「私が潜入捜査をしているバーに、酔っぱらった先生が来たのよ。覚えてないの?」
「・・・・」
そう言われても、全然分からない。
以前、その任務の話を聞いたとき、仕事といえどいかがわしい店で働くのを反対した記憶はある。
サクラのいる店に行き、強引に連れ出したのは、そのことが頭に残っていたせいだろうか。
「髪染めて、お化粧で大人っぽくして、ようやくお店の内部のことも分かってきたのに。全部パーよ!」サクラはしきりに恨み言を口にしたが、カカシはそれどころではない。
浮気したと思った相手はサクラ。
別れる必要はなく、これからもずっと一緒にいられるのだ。
地獄から、天国に生還したような心情だった。「サクラー、俺、絶対浮気はしないからね!」
「はぁ??本当にどうしたのよ、先生」
涙を流すカカシに突然抱きつかれ、サクラは怪訝な表情で訊ねたのだった。
あとがき??
数行のはずが、長くなったよ・・・・。
サクラは18歳くらいね。
(おまけSSシリーズ123)『たらしの素質』
「先生―、服がシワシワよ」
「ん、そう?」
「ちゃんとお洗濯してるの?」
「土日にしてるよ。平日は帰ったらすぐ寝ちゃうし、お休みの日しか出来ないしね」
「髪も全然とかしてないみたい・・・・」
「顔は毎朝洗ってるよ」
愛読書から目を離さずに、カカシはサクラの質問に答えていく。
会話をしているうちに、聡いサクラはぴんときた。
今までしっかりしていたのに、急にだらしなくなったということは・・・。「先生、もしかして彼女と別れたの!?」
「するどいねー」
口にしてから「しまった!」と思ったのだが、意外にもカカシは明るい笑顔で返事をする。
何となくホッとしたサクラだったが、その理由についてはさすがに訊けない。「家に帰ってもずっと一人って寂しくてねぇ・・・」
「そうなんだ」
急に肩を落としたカカシを見て、サクラまで妙にしんみりとした気持ちになる。
「じゃあ、私が新しい恋人に立候補しようかな」軽い、ジョークのつもりだった。
笑い飛ばされることを予想していたというのに、カカシは真顔でサクラの手を握る。
「本当?」
「・・・・・」
間近で瞳を見据えられ、サクラは声を呑み込んだ。
彼はサクラの教師であり、恋愛の対象外。
胸の鼓動の早さは、そうした思いこみを打ち消すのに十分な力を持っていた。
あとがき??
恋の始まり・・・・。
先生が、絶え間なく女性とお付き合いしていたら、いいなぁと思いまして。
たまには、ジゴロな先生v
(おまけSSシリーズ124)『逃げたくなる心情』
「これ、先生のー?」
「ん?」
「そこに落ちてたんだ」
カカシの服の袖を引っ張ったナルトはその手帳を見せながら言う。
「違うけど。何で」
「だって、ほら」
落とし主を調べるため、手帳を開いたナルトはそこに一枚の写真が挟まっているのを見付けた。
サクラといのが仲良く談笑している写真だが、ピントはサクラに合っている。「おかしいなー、サクラちゃんの写真を持ち歩くなんて、先生くらいかと思ったのに」
「・・・・それ、サスケのじゃないの」
思いがけない一言に、ナルトは目を丸くする。
「え、嘘!?」
「表紙に団扇のマーク、入ってるし」カカシの予想通り、手帳はサスケの持ち物だった。
疑問点は、何故彼がサクラの写真を携帯していたかだ。「好きだからに決まってるだろ」
当然のように言われ、カカシとナルトは黙り込む。
もちろん他に理由は考えられないが、日頃のサクラへの態度を見ていると、不思議でならない。
「じゃあ、何でサクラちゃんから逃げてるんだよ」
「追いかけるから」
理由はしごく単純だった。
「それに、アイドルは孤高の存在と決まっている」
「・・・・さいでっか」
あとがき??
こんなサスケは嫌だな・・・。くの一達のアイドルということを自覚している様子。
うちのサスケが素直に「好き」という言葉を使うのは非常に珍しい。
おそらく小梅ちゃんシリーズのサスケです。
関係ないですが、刑事ものでよくある、「待てー!」と犯人に言う場面はおかしいですよね。
待つわけないっての。他に良い掛け声(?)はないものか。
(おまけSSシリーズ125)『お色気の術』
「“お色気の術”だってばよ!」
掛け声と共に,、裸の金髪美女に変身したナルトをサクラは腕組みをしながら眺めた。
「うまいこと化けるわよねー」
「研究したもんよ」
感心するサクラにナルトはしなを作りながら答える。
女のサクラでさえ妙な心持ちになるのだから、男ならばイチコロだろう。「あんた、それ封印しておいた方がいいわよ。男に襲われたくないでしょう」
「えー、俺の必殺技なんだけど。三代目のじっちゃんやエロ仙人も形無しだったし」
「・・・まさに奥義ね」
小さく頷くサクラに、ナルトは思いだしたように言う。
「そういえば、今まで一人だけ術が通じなかった人がいたな」
「え、誰!!」
「カカシ先生」
「本当にー?」実に意外な名前だった。
年中エッチな本を読んでいるカカシならば、真っ先に引っかかりそうなものだ。
いや、見慣れているからこそ、無反応なのかもしれない。
「あ、噂をすれば・・・」
「ナルトー、またそんな格好して。風邪ひくぞー」
偶然通りかかったカカシは、ナルトの言うとおり、美女の裸身を見ても全く動揺していない。
「先生さー、何とも思わないの?ほら、乳もでっかいよ」
「・・・・・元がナルトだと分かってるのに、どうしろってんだ」
しらけた口調で言うカカシに、サクラは軽い気持ちで悪戯を仕掛ける。
「じゃあ、女の子の私だったら、どうかしら」煙と共に変化したサクラだったが、その姿は妙齢の美女にはほど遠かった。
ナルトの真似をして印を組んだはずが順番を一つ間違えたらしい。
体のあちこちを成長させるどころか、逆に小さく縮んでしまっている。
「・・・サクラちゃん、それじゃただの幼稚園児だよ。色気もへったくれもないって」
「あらー」
やり直そうと印を組むサクラは唐突に後ろから抱き上げられた。
「サクラってば、ちっちゃくて可愛いーーvv」
「ギャーーー!!!いやーーー!!」
頬ずりをするカカシに悲鳴をあげたサクラだが、両手を掴まれていては変化を解くことも出来ない。
確かに、サクラの“お色気の術”は失敗した。
だが、カカシをメロメロにしたということでは、大成功だろう。「・・・いいのかなぁ、これで」
鼻歌を歌いながら、暴れるサクラをお持ち帰りするカカシを見つめ、ナルトは複雑な気持ちになる。
極めたと思っていた“お色気の術”。
これからも、対象となる人物に合わせた術の研究が必要なようだった。
あとがき??
うちのカカシ先生、ロリコンですから。なかでもサクラは大好物ですから。
好きなもの=サクラ、好きな色=サクラ、好きな食べ物=サクラ、趣味=サクラ、etc.
サクラ、どこに連れて行かれたんだろう・・・・・。
女の子版ナルト、実はNARUTO界一の美女だと思っております。
彼女ならイルカ先生の嫁になってもいいよ。(イルナル宣言!!?)
(おまけSSシリーズ126)『MIND CIRCUS』
カカシの姿を見付けたサクラは、何の迷いもなく駆け出していた。
彼は同じ上忍のくノ一と話していたが、構わない。
突然後ろから抱きついてきたサクラに、カカシは目を丸くして振り返る。
「あれ、サクラ?」
「報告書、提出したんでしょう。早く帰ろう」
「ああ・・・、うん」
サクラの頭を撫でたカカシが傍らを見ると、くノ一は気を利かせていなくなった。
彼女がカカシの古い友人だということはサクラも分かっている。
だが、彼が他の女と話しているのを見ると、無性に腹立たしくなるのだ。
「・・・先生、私に何か暗示をかけたでしょう」
「何のこと?」
「気付くと、いつも先生のこと考えてる。先生とずっとずっと一緒にいたいの」
話しているうちに、サクラは泣きそうになる。
子供じみた我が儘だ。
でも、どうしても気持ちを抑えることが出来ない。「暗示ね、かけたよ」
屈んだカカシは、目元を赤くするサクラと視線を合わせた。
「サクラがもっと俺のこと好きになりますようにって、毎日思ってる」
「・・・先生」
口からもれた言葉は唇で封じられる。
押し隠した執着は、自分の方が強いことをカカシは自覚していた。
「俺だけが好きだったら、不公平だろ」
あとがき??
もー、超ラブラブでベタベタなのを書きたかった。
カカサク、好きで好きでどうしようもなく好きです。
その思いだけでこのサイトは続いております。
(おまけSSシリーズ127)『空と雲と・・・』
公園のベンチに腰かけたサクラが空を見上げていた。
そこにあるのは、青い空と白い雲だけ。
たまに鳥が横切るが、サクラの視線はあくまで上空だ。
通りかかったカカシは不思議に思いながらも、彼女の隣に座る。
そして、同じように空を見つめた。
「・・・・楽しい?」
10分ほど経過してから、カカシはようやく話しかける。
彼女が何のためにここにいるのか、いくら考えても分からない。
だからじかに訊ねることにしたのだが、サクラは曖昧に微笑を浮かべる。
本当は、そろそろ帰ろうと思っていたのだ。
でも、彼が隣に座ったりするから、考えを改めた。
そばにいるだけで、言葉を交わさなくても心地よい空間。「先生がいるから」
あとがき??
言葉はいらない。
(おまけSSシリーズ128)『小悪魔ちゃん』
「まいっちゃうよねぇ・・・本当」
気持ちよく寝息を立てるサクラの頬を突きながら、カカシは大きくため息を付く。
カカシの家に遊びに来て、お菓子を食べたとたんサクラは居眠りだ。
警戒心など全くない。
「どーなっても知らないよー」
ソファーにもたれ掛かるサクラの隣りに座ると、カカシは柔らかな唇を奪うべく、顔を近づける。「・・・せんせ・・い」
小さく漏れた声に反応して、カカシは閉じかけた瞳を開けた。
だが、サクラは目覚めたわけではなく、寝言を呟いただけのようだ。
「大好き・・・」
「・・・・」
幸せそうに笑うサクラを間近に見つめ、カカシは難しい顔になる。
今日こそ、サクラを自分の物にするつもりで家に呼んだのだ。
それが、このように微笑まれては、どうにも罪悪感が胸に募った。「あーあ・・・」
近くにあった上着をサクラの体にかけると、カカシはがっくりと肩を落とす。
サクラのことが好きだ。
だからこそ彼女の気持ちを無視できなくて、当分は苦しい毎日が続きそうだった。
あとがき??
これで、サクラの言う「先生」がカカシのことでなかったら、面白いなぁと・・・。
悪魔!?
(おまけSSシリーズ129)『大人と子供の恋愛』
「そんなんで、楽しい?」
恋人の、サクラの話を知り合いにしたときのことだった。
サクラは自分の生徒で、まだ12歳。
デートは彼女の買い物に付き合ったり、遊園地や水族館に行ったり。
そして、サクラの門限にあわせて家まで送る。
もちろん、子供のサクラは泊まりがけでどこかに行くことは出来なかった。「12歳ってことは、あと何年も待たなきゃ出来ないじゃないか」
「・・・・体を繋ぐことだけが恋愛じゃないだろ」
「俺だったら、そんなの耐えられないねー」
軽い口調で言う知人を、横目で見やる。
サクラはまだ子供と頭では分かっているが、邪な気持ちがないわけでもない。
結局反論することなく別れてしまい、彼との会話は妙に心に蟠りを残してしまった。
「先生、どうかした?」
すぐ耳元で聞こえたその声に、はっとなる。
傍らを見ると、サクラが心配そうに自分を見つめていた。
弁当を持って花見に来たというのに、ぼんやり考え込んでいたらしい。
「ああ、ごめん。ちょっと眠かっただけ」
「春だものね」
安心して微笑んだサクラは、自分の膝を示して促す。
「少し、横になる?」レジャーシートの上に寝転がり、見上げると桜の花が満開で、サクラの膝枕付き。
極楽気分とは、このことだ。
「サクラが好きだよ」
正直な気持ちを吐露すると、サクラは恥ずかしそうに笑う。
こんな幸せは他の人とでは味わえない。
本当の眠気に誘われながら、目を瞑って考えた。サクラがそばにいて、声を聞けて、笑ってくれて。
それだけで幸福になれるこの気持ちを、どうやったら他人に伝えられるだろう。
あとがき??
ビバ、カカサク!
幸せなのは、書いている私の方だという話。
(おまけSSシリーズ130)『小悪魔ちゃん 2』
「それでもう、凄く格好良い人だったのよーー!!」
「・・・・そう」
わざわざ自分の家までやってきて報告するサクラを、カカシは見もせずに応える。
サクラはいつもこの調子だった。
任務の依頼主や、立ち寄った飲食店の店員、少し顔が良い男を見るとすぐ夢中になる。
そのわりに、声をかけることもせず、また新しくいい男を探し出すのだ。「それで、サクラちゃんは何がお望みなわけ?」
座布団の上でイチャパラを読むカカシに、サクラは後ろから抱きついている。
「うん。嫉妬してくれないかと思って」
「・・・・」
カカシの手からイチャパラを奪うと、サクラはにっこりと笑いかけた。
それまで無表情のまま話を聞いていたカカシは、彼女の腕を掴んで体を床に押しつける。
「メチャクチャにしてあげようか」カカシの脅し文句にも、サクラは笑顔を崩さない。
可愛くないのに、可愛いサクラ。
惚れた弱みというやつかもしれなかった。
あとがき??
ラブラブっす。
井上声でそんなこと言われたら、気絶するっての。
116〜130まで載せてみました。
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