彼女の異変 1
「集まってもらったのは、他でもない。トリニティーのことだ」
「ああ、分かってるよ」
モーフィアスが深刻な表情で切り出すと、ネオとリンクは揃って頷いた。
場所はネブカドネザル号の中。
皆が食事に使っている部屋だったが、そこにトリニティーの姿はなかった。「彼女、船に乗ってからずっとろくに食事を取っていないんだ。難しい顔をして、何か考え込んでいるようだよ」
「そう。今までなら、悩み事は何でも相談してくれたのに」
気落ちした様子で呟くネオの肩を、リンクは軽く叩いた。
「一体何をしたんだよ、ネオ」
「お、俺は何もしていない・・・・・たぶん」
「お前が浮気したから機嫌が悪いとかじゃないのか」
「そんなことはしない」からかうような口調のリンクに、ネオは憮然と答える。
多忙な身のネオにそのような暇はなく、また、時間があっても浮気など考えもしなかっただろう。
忙しくなければ、いつまででも彼女と一緒にいたいと思っているのだから。
そのまま言い合いを始めた二人を見据え、モーフィアスが重々しく呟いた。「逆、かもしれないな」
「え?」
怪訝な顔で振り向いたネオに、モーフィアスは頷いてみせる。
「トリニティーに新しい恋人が出来た。ザイオンに残っている彼を思っているから、食事がのどを通らない。暗い表情なんだ」
「・・・・」
あまりに予想外な発想に、ネオは声をなくした。
だが、本当ならばトリニティーがネオに何も話さないことも説明が付く。
顔色を変えたネオに、モーフィアスは少しだけ頬を緩めた。
「冗談だ」モーフィアスもリンクも、二人がどれだけ互いを思いあっているか十分知っている。
そのことを踏まえての軽口だったのだが、ネオは眉を寄せて俯いたままだ。
「まぁ、女ってのは意外とつまらないことで悩んでたりするんだよ。そういうときは、プレゼントでもして気分を変えさせることだな」
どこから取り出したのか、リンクは小さな紙袋を机の上に置いた。
「何?」
「開けてみなって」
促されるまま紙袋に手を伸ばしたネオは、中身を見るなり目を丸くする。
甘い香りのするそれは、飴細工の砂糖菓子。
現実の世界では、砂糖は金と同等の扱いがされるほどの貴重品だ。「女子供は甘いものが好きと相場が決まってる。もし体調が悪くて飯が食えないんだとしても、菓子なら別だろ」
「・・・これ」
「甥っ子達にやろうと思って苦労して手に入れたんだ。お前にやるから、トリニティーに渡してやれ」
「でも」
「素直に受け取ってくれよ。俺達は、仲間だろ」
ウインクを一つしたリンクに、ネオは紙袋を押し抱いて頭を下げる。
そして、部屋の扉が開かれたのはその直後のことだった。
今、この船にいる乗組員は彼らの他に一人しかいない。
一斉にその方角へと眼を向けると、彼女は不思議そうに首を傾げた。「みんな、どうしたの?こんなところに集まって。まだ食事の時間じゃないわよね」
「トリニティー」
呼びかけに反応したトリニティーに、ネオはリンクから譲られた紙袋をおもむろに差し出す。
「これ、君に」
その場にいた誰もが、トリニティーの笑顔を信じて疑わなかった。
だが、実際はその逆。
紙袋に入った砂糖菓子を見るなり、彼女の瞳からは大粒の涙が零れ落ちた。
これには、ネオやリンクだけでなく、モーフィアスも驚きに目を丸くする。「・・・ごめんなさい、ネオ。受け取れないわ」
震える声で言うと、トリニティーは紙袋をネオに押し返す。
そのまま、目頭を押さえるようにして彼女は扉の外へ消えていった。
固まった空気が動き出したのは、彼女の足音が随分と遠ざかった後のことだ。「泣いてるの、初めて見た・・・」
「私もだ」
呆然とするネオに、モーフィアスも賛同する。
彼らが知るのは、いつでも強く猛々しいトリニティー。
どんな状況であれ、彼女が弱さを表に出したことは一度もない。断ったのは、甘い物が苦手だからか、渡した相手がネオだったからか。
どちらにせよ、泣くほどの理由など分からない。
彼らの頭をかすめたのは、先ほどのモーフィアスの発言。
もしトリニティーが心変わりをして悩んでいるならば、ネオの気遣いは逆に辛いはずだ。「・・・マジかよ」
傍らのネオが蒼白な顔をしていることに気づいたリンクは、それ以上言葉を続けられなかった。
あとがき??
ごめんなさい。
人類のために戦っている彼らがこんな低レベルな会話をしているはずがないです。
私が普段書いているNARUTOと同レベルの内容です。
でも、私の頭では高尚なシリアス話は書けないです。
どこまでもギャグとラブコメとほのぼのです。適当に筆を滑らせているだけなので用語や設定等が間違っていると思いますがお見逃しください。
・・・謝ってばかりな。
リンクが船に乗ったのは、タンクが死んでかなり経ってからなんでしょうか??
彼の役はタンクの方が良かった気が。
あと、船で食事がまずいとか言っていた記憶があるのでお菓子とか食べられないのかなぁと思ったんですが。違うかも。
ネオ達の精神年齢は十代くらいだと思って読んでください。