片恋
「お嬢さん、一緒にお茶でもどーですかい?」
巡回中、紫色の傘をさす後ろ姿を見付けた沖田はからかい半分に声をかける。
神楽が眉を寄せて振り返ると、沖田は傍らの土方を指差した。
「と、こっちの人が言っておりやす」
「おい!!」
だしにされた土方は不満げに声を出したが、沖田はすまし顔だ。「・・・・遠慮しておくアルヨ」
二人の顔をじっと見据えた神楽は、首を振りながら言う。
「お前達、両方とも私の好みのタイプじゃないネ」
「どこが駄目なんでさァ?土方さんは、一応うちでは二の線で通っていやすぜ」
「おい!」
何故か自分が袖にされたような気分の土方は、再び会話に横槍を入れる。「そうネ・・・・。お前が銀色の髪で、もっとやる気のなさそーな目だったら、付いていったかもしれないアル」
素っ気ない口調の神楽は、彼らを一瞥した後その場から立ち去った。
取り残された気持ちで佇む沖田は首を傾けながら訊ねる。
「土方さん、髪染める気は?」
「ねーよ」
神楽の言うとおり、髪の色を変えたところで意味がないことは知っていた。
神楽が好きなのは銀の髪の男ではない。
銀色の髪をした銀時だ。
傍若無人な彼女の、唯一と言っていい泣き所。
彼がいるかぎり神楽は振り返らない。
この世から消えてしまえば、神楽の気持ちもまた変わるだろうか。
「やめとけ」
物騒な発想をしたとたん、沖田は土方に釘を刺された。
「死なれたら、よけいに心に残っちまう」
「・・・・さいですか?」
「ああ」
吸い殻を足で踏みつけると、土方は新たな煙草に火をつける。
妙に、実感がこもっている気がした。
何かといえば、すぐ「斬る」と言い出す土方にしては珍しい。
自分の経験から出た言葉かもしれない。「せつねーもんですねェ・・・・・」
俯く沖田の口からは自然と呟きがもれていた。
彼女のためなら簡単に殺せる。
それなのに、彼女の幸せを壊したくないとも思う。
時が経つほどどちらに転ぶか分からなくなる、曖昧な感情だった。
あとがき??
ありゃー、土方&沖田が仲良しさん。
可愛い兄貴分、弟分・・・・だといいなぁ。
台詞だけを羅列してあとからいろいろ付け足したもので、変な感じ。
沖田くんはもっと素直に神楽を誘えばいいと思いました。