みらいのこども
「女は損アルー!!」
洗濯物を畳んでいるときに、突然神楽がわめき声をあげて飛び付いてきた。
おかげで籠は倒れてしまったが、神楽は構わず新八の膝を枕にして寝転がる。
何か気に入らないことがあると、いつも神楽はこんな感じだ。
どうやらクッションの代わりか何かだと思われているらしい。「何でそう思うの?」
仕方なく、神楽の頭を撫でる新八は優しく問い掛ける。
居酒屋で飲むOLあたりが口にするなら分かるが、子供の神楽らしくない台詞だ。
「・・・・銀ちゃんに、女なんだからもっとお淑やかにしろって言われたアル」
「そう」
昨日、真選組の沖田と取っ組み合いの喧嘩をし、傷だらけで帰ってきたことを注意されたのだろう。
いくら地球人より頑丈な体とはいえ、怪我をすれば普通に痛い。
叱ったのは、神楽を心配してのことだ。
だが、女であることを理由にされたのが、神楽には腹立たしく思えた。
「女は不便アル。殴り合いの喧嘩くらい、誰でもするアルヨ」
「いやー、おっきくなったら、普通しないよ。とくに女の子はね」
「・・・・」
新八にも遠回しに非難されたようで、神楽は頬を膨らませる。
「やっぱり女は嫌アル。男がいい・・・」
「僕は女の人を尊敬しているよ」
すっかりふてくされた様子の神楽に、新八は苦笑しながら話を続けた。「男はいくら頑張っても、自分の分身を生み出せないもの。それだけのパワーを持っている女の人は凄いと思う。世界の未来は女の人が作っているんだ」
顔を上げた神楽と目が合い、新八は穏やかに笑いかけた。
「僕は元気な神楽ちゃんが好きだし、無理に大人しくしている必要はないと思うよ。でも、大事な体なんだから怪我には気を付けてね」
「・・・・」諭すような口調で話す新八に、神楽は何も言えなくなった。
新八のそばにいると、優しい気持ちになる。
素っ気ない態度を取りながら、自分を守ってくれている銀時も大事だ。
だけれど、新八はそれとはまた違った意味で、支えてくれている感じがする。
「・・・決めたネ」
「えっ?」
「将来、新八の分身を生むアル」
自分を見上げ、にっこりと笑った神楽に、新八は思わず顔を赤くする。
「いや、別にそういう意味で言ったわけじゃ・・・・」
「どーでもいいアルヨ」
新八の膝枕で寝転がったままの神楽は、満足そうに目を瞑っている。
これでは、いつまで経っても洗濯物を畳むことが出来ない。
困りながらも、新八は無理に立ち上がることも、神楽をどかすこともせずにじっとしていた。未来の子供。
眼鏡じゃなければいいなぁと思う神楽はすでにうとうととしている。
神楽の発言が本気ならば、新八の苦労はまだまだこれからも続きそうだった。
あとがき??
えーと、うちのナルトを新八に変換すると、こうしたイメージになります。
天使ちゃんv
原作では神楽ちゃんの新八に対する態度はひどいですが、普段はこんな感じだと良いです。
新八と神楽ちゃんの子供には、誰かが「お前の母ちゃん何人だ」を歌ってあげて欲しいと思います。
夜兎って、何人?
沖神は“緊迫”なイメージですが、新神は“やさしい気持ち”がキーワードでしょうか。