観用少女 1


万事屋の仕事は屋根の修理から庭の草むしりまで、日によって様々だ。
その日は家族が夜逃げしていなくなったという、一軒家を片づけるのが依頼内容だった。
金目の物があれば管理人へと差し出し、がらくたは捨てて家を綺麗にする。
立派な門構えで広い家だったが、借金を作って蒸発した家族が金品を残しているはずがなく、一見して殺風景な印象を持った。

「新八―、壁紙でも剥がして持っていこうか」
「そんなもの、売れないですよ。そっちの畳の方がまだ良いんじゃないですか」
ぶつぶつと呟きながら、新八はバケツと雑巾を持って廊下へと出た。
荷物が少ないとはいえ、家を一軒掃除するのはなかなか重労働だ。
それでも部屋を物色している銀時を横目で見つつ、新八はすでに水ぶきを始めている。

 

「こっちは何ですかね」
「・・・・子供部屋っぽいよな」
『神楽』とネームプレートの付いたその部屋は二階の日当たりの良い場所にあり、扉は少女が好みそうなピンク色だ。
「神楽ちゃんっていう女の子がいたんですかね」
「さあなぁ。夜逃げした人間の家族構成まで聞いてねーよ」
欠伸をした銀時は、壁に掛かった絵をじっと見つめている。
「・・・これ、名のある画家かな。ピカソとか」
「ピカソはそんな絵じゃありません」
呆れながら言う新八は、働く気のないらしい銀時を無視して片づけに専念することにした。

「んー、無理かー」
値打ちのありそうな物はネコババしようと思っていたのだが、トイレットペーパーや電球まで綺麗に持ち去られていては、さすがに諦めるしかない。
そろそろ掃除を手伝おうかと思った矢先、血相を変えて階段を下りてきた新八に、銀時は怪訝な顔になった。
「どーした?」
「ぎ、ぎ、ぎ、銀さん!!!」
「おちつけー。こういうときは、ヒッヒッフーだ」
「何も生まれないですよ!!それより、あの子供部屋に死体が!!!」

 

 

 

震える新八は、銀時の背中にくっつきながらその部屋の中へと足を踏み入れた。
そこには新八の言うとおり、少女が一人、瞬きもせずに座っている。
呼び掛けても応えず、身動き一つせずにいるその姿から、死体に間違いないと思った。

「・・・お前、これ、死体じゃないぞ」
「え!!?」
「あったかい」
銀時が触れると少女は人の体温を持っていた。
しかし、それでもやはり彼女に反応はない。
「新八、これは俺達にも運が向いてきたようだぞ」
にやりと笑う銀時だったが、新八には何が何だか全く分からなかった。
「どういう意味ですか。彼女は一体・・・・」
「こつは、観用少女だ。聞いたことないか?」

 

 

人間と同じように呼吸をし、食物を食べ、夜には眠る、生きた人形、観用少女(プランツドール)。
目が飛び出るほどの金額で取引され、ごく一部の資産家が所有しているという噂だ。
手入れにも高額の金がかかり、一般の市民はまず目にすることが出来ない。
よって、新八も話に聞いたことがあっても、実際に見たのはこれが初めてだった。

「これが、観用少女・・・」
呆然と呟く新八だったが、確かに人形めいた整った顔立ちをしていて、肌の色も透き通るように白い。
いくら綺麗でも、気味が悪かった。
人形が生きているなど、こうして間近に見てもまだ信じられない。
「新八、これ、お前が世話をしろ」
「・・・・・・えええーーー!!!?」
銀時に肩を叩かれた新八は、暫しの間を空けて大きな声をあげていた。

「な、な、何で。管理人さんに届けるんじゃないんですか?」
「俺達が見付けたんだから、俺達のものだ。かなりの高値で売れるはずだし、これでようやくお前に給料も払える」
にやりと笑う銀時に、新八は二の句が継げなくなる。
給料をやるから、黙っていろと強要しているのだ。
「買い手が見つかるまでの辛抱だよ。そう長いことじゃない」
「・・・・・」
呆気にとられる新八に対し、銀時は抱えた観用少女を強引に押しつける。
「頑張れよ」

 

銀時は新八が身を寄せる万事屋の社長であり、彼は雇われた身にすぎない。
絶対服従。
軽い観用少女の体を抱いたまま、その4文字が新八の頭の中でグルグルと回っていた。


あとがき??
紹介だけで終わっちゃったよ・・・・。(涙)
元ネタは、川原由美子先生の『観用少女』。
NARUTOでもやったので、銀魂でもやる。
ネックは、観用少女は喋らないというところでしょうか。(歌ったり話すタイプもたまにいますが)
毒舌がなければ、神楽ちゃんじゃない・・・。(涙)もっと別人なのは銀ちゃんだけど。
まぁ、頑張ります。ほぼ原作通りなので、書こうと思えば早く終了しますよ。3話くらいかな。


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