ブラック・リスト NO.3


「はい。私の手作りなのよ」

2月14日、リリーは中庭に集まっていたジェームズ達に、順々にラッピング済みのチョコレートを配っていった。
その場にいたのはジェームズ、シリウス、リーマス、ピーターだが、チョコを渡されたのはそのうちの三人。
シリウスは甘いものが苦手で、今日も女生徒達のチョコレート攻撃から必死で逃げ回っているのをリリーは十分承知していたからだ。
もらっても困ると思いつつ、嬉しそうな3人を尻目に、シリウスは心中複雑だった。

 

「シリウス」
その日の夕方、一人廊下を歩くシリウスを見付けたリリーは、大きな声で呼び掛けた。
「何?」
立ち止まったシリウスはリリーが来るのを待ってから訊ねる。
持っていた鞄を探ったかと思うと、リリーはリボンで括った四角い箱をシリウスに差し出した。
「これ。あなたの分よ」
シリウスのためにと用意されたそれは、ジェームズ達に渡したチョコレートの包みよりも一回り大きい。
「みんなには内緒ね」

にこにこ顔で見上げてくるリリーには何の思惑も感じられない。
シリウスはどう反応したらいいか分からず、困惑気味に眉を寄せる。

 

 

「ちょっと待ったーー!!!」

手を伸ばした瞬間聞こえたその声に、シリウスはびくりと体を震わせる。
対して、平然とした顔で振り向いたリリーは、足を踏み鳴らして近づいてくる彼ににっこりと笑いかけた。

「ジェームズ。あなた、図書室に行ったんじゃなかったの」
「そんなことより、どーしてシリウスだけ僕らのと違う物なの!」
「他の3人に渡すのに、シリウスにだけなかったら変でしょ」
リリーはシリウスに渡した箱を指差した。
「だから、シリウスには特別にジンジャークッキーを作ったの。甘さ控えめ」

リリーのはきはきとした返答に気勢をそがれたジェームズだったが、リリーの両肩を掴むと厳しい眼差しを向ける。

「・・・じゃあ、何でみんなの前で渡さなかったのさ」
「あなたがそうやって騒ぐからよ」

 

 

「どうせ、チョコレートの大きさも他の二人と一緒だしさ・・・・。シリウスにはクッキーまで焼いたっていうのに」

ジェームズは廊下の隅のあたりで、壁に向かってぶつぶつと呟いている。
一度すねてしまったジェームズの機嫌を取るのは、リリーにしても難しい。
これが嫌だったから内緒でシリウスにクッキーを渡そうと思ったのだが、後の祭りだ。
リリーは身振りでシリウスに立ち去るように促す。

「ジェームズ、私があげたチョコの箱、開けてみた?」
リリーはしょげかえるジェームズの背中に声をかけた。
無言のままに振り向いたジェームズは、小さく首を振る。
「じゃあ、今すぐ見て」

いつにない強い口調に、ジェームズは言われるままに包み紙を開け始める。
そうして目に飛び込んできたのは、ひとつの文字。

 

『大好きv』

 

「メッセージ入りはジェームズのチョコだけなんだから・・・」
呟いたリリーの顔はほんのりと赤い。
チョコレートの上に書かれたピンクの文字と一緒だ。

「僕もだ」
満面の笑みを浮かべたジェームズは、場所が廊下であることも忘れてリリーを抱きしめる。
その頭から、先ほどのごたごたなどすっかり消えてしまっていた。


あとがき??
英語で書くと、『
LOVE』とかなんでしょうかね。
ベタ甘・・・・。
ラブラブ苦手なので、死にそうです。ダメージ2000。残り
HP1。
うちのジェームズくんは結構うざいです。(笑)リリー命。
相手がシリウスだったから、よけいに心配だった様子。

ジェーリリはあと一作くらい書きたいですが。どうだろう。
ちなみにシリウスくんが甘いもの苦手なのは、うちでの勝手な設定。リリーさんのお花好きもね。


駄文に戻る