猫耳の少女 2
窓をコツコツと叩く音に反応し、ハーマイオニーは顔をあげる。
そして、一羽の青い鳥を見た瞬間に、顔を綻ばせた。「いらっしゃい」
ハーマイオニーが窓を開くと、鳥は医務室の中へと入り込む。
くちばしには、いつもどおり、青い花を一輪咥えていた。
ハーマイオニーが医務室へ閉じこもってから、毎日のようにこの鳥は見舞いの花を運んでくる。「あなたのご主人様は誰かしら?」
ハーマイオニーがその頭に触れて訪ねても、鳥は首を傾けるだけだ。
送り主の分からないこの花に、ハーマイオニーは随分と気持ちを慰められていた。
「グレンジャーが来週には授業に復帰するって話ですよ」
忌々しそうにこぼしたクラッブを、ドラコはちらりと見やる。
「・・・それは、残念だな」
「本当に。このまま学校からいなくなってくれれば、せいせいしたのに」
ドラコの言葉に、傍らにいたゴイルも賛同した。常々ハリーを敵視している彼らにしてみれば、ハリーの親友であるハーマイオニーの存在はハリー同等目障りなものだ。
さらに、ハーマイオニーには毎回首席の座を奪われている。
彼女さえいなくなれば、成績面においてスリザリンがグリフィンドールに遅れをとることもない。
「マルフォイ」
嫌いなものの気配というのは何故かすぐに分かる。
このときも、ドラコは声をかけられる前から彼に気づいていた。「どういう風の吹き回しだ、ポッター?」
振り向いたドラコは威厳高々に問い掛ける。
スリザリン寮に向かうドラコを呼び止めたのは、宿敵であるハリーだ。
「ハーマイオニーに代わって、僕がお礼を言おうと思って」
三人組に射抜くような眼差しを向けられても、ハリーは動じることなく笑顔を見せる。
「これ、君だろ」ハリーの手に握られた、青い花。
息を呑んだドラコだったが、動揺を顔には出さなかった。「あれ・・・」
思わず反応したのはドラコではなく、クラッブだ。
その花に見覚えがある。
ドラコが好んで行く中庭で咲いている花だ。
実際摘んでいるところを目撃したわけではないが、偶然とも思えない。
「何のことだか分からないな」
不安そうに自分を見つめるクラッブとゴイルを無視して、ドラコは平然と言った。
「言いがかりはよしてくれないか。僕は忙しいんだ」
冷たく言い放つと、ドラコはきびすを返した。
取り残されたクラップとゴイルは慌ててドラコの後を追う。
長い間疑問だった、医務室の青い花の贈り主がようやくはっきりとした。
まさか彼だったとは、ロンが調べても分からないはずだ。
手に持ってきた花を空に放ると、ハリーは小さくため息をついた。「強情っぱり・・・」
あとがき??
どうしたんだ、私。急にドラ→ハー書きたくなったよ。はて??
マルフォイくんに鎌をかけたポッターくんの話でした。