猫耳の少女
ポリジューズ液を飲んで猫化したハーマイオニーが医務室へ閉じこもってから、随分経つ。
もちろん、授業に出ずとも自習を続けている彼女だが、外へ出られないことは非常に退屈だった。
猫の耳がまだ残っているものの、体は全くの健康体だ。
ハーマイオニーは親しい生徒の面会を受け入れるようになり、そろそろ日常生活に復帰しても良い頃だと思っているのだが、何故かハリーは激しく反対した。
「駄目だよ!!危険すぎる」
ちょっと庭を散歩をしたいと言っただけで、ハリーは頑なにハーマイオニーを押し止める。
「そんな、おおげさな・・・・」
「とにかく駄目。完全に治るまで、じっとしていてよ」
ハリーはベッドの上で半身を起こしているハーマイオニーの手を強く握る。
「ね!」
「・・・うん」ハーマイオニーがうなだれると、頭についた猫耳も元気なく垂れ下がる。
罪悪感で胸がちくりと痛んだが、ハリーは主張を変えなかった。
「じゃあ、次の授業が終わったらまた来るから」
「うん」
医務室の扉の前で振り返ったハリーに、ハーマイオニーは小さく手を振る。廊下に出ると、待ちかまえていたロンがハリーに駆け寄った。
「情報、集めてきたよ」
「お疲れ様」
ハリーはにっこりと笑うとロンから黒い帳面を受け取る。
いわゆる、ブラックリストだ。「3年生か。別の寮の女生徒に手を出すなっての」
ロンのまとめた文章を見詰め、ぶつぶつと呟くハリーをロンは怯えた様子で見遣る。
「・・・・ねぇ」
「ん」
「もう止めない?こんなこと」
か細いロンの声を耳にした瞬間、ハリーの動きがぴたりと止まった。
帳面から視線を外したハリーは、まっすぐにロンを見詰める。「本気?」
ハリーの顔はいつもの明るい笑顔だ。
それでも、眼差しはロンの背筋が凍りそうなほど冷たい。
思わず逃げ出したい衝動に駆られたロンだったが、足がすくんで身動きが出来なかった。
「ただでさえ可愛いのに、猫耳に尻尾なんてオプションが付いたら、マニアックなファンがまた増えちゃうだろ」
「・・・・」
「友達なんだから、僕らで守ってあげないと」
ハリーは微笑を浮かべてロンの肩を叩く。
「医務室の窓際に水色の花が飾ってあった。あれも、誰の見舞いの品か調べておいて」
翌日、ハリーとロンが医務室へ行くと、ハーマイオニーは寂しそうな様子だった。
「最近、会いに来てくれる友達もハリー達だけになっちゃって・・・」
「大丈夫だよ。僕らがずっと付いてるから」
優しく励ますハリーに、ハーマイオニーは瞳を潤ませる。
「ハリー・・・」ハーマイオニーは知らなかった。
医務室に見舞いに来る生徒(男子)が減ったのは、ハリーが軒並み闇討ちしているせいだとは。
真相を知っているのは、協力者であるロンだけだ。
一番マニアックなのは、暇を見付けては猫耳ハーマイオニーに会いに来るハリーなのではないかと思ったロンだったが、そんなことは口が裂けても言えなかった。
あとがき??
ダークハリーにしようと思ったのに、ダークというより、変な人になってしまった。(汗)
ハーマイオニーマニア。「危険すぎる!」って、君の方が危険だよ、という感じが・・・。(=_=;)
ロンがハリーのパシリになっております。ごめんなさい。
リクエストはもてもてハーマイオニーと焼き餅ハリー、でした。66000HIT、もんち様、有難うございました。